[JAPANESE] Fashion Transparency Index 2023

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2023 Edition

FASHION TRANSPARENCY INDEX 世界の大手ファッションブランドおよび小売業者250社を対象に調査を実施。 人権と環境に対する各社の方針、実践、効果についての情報開示度をもとに、 ランク付けを行っています。


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

CONTENTS 04 概要 05

FASHION REVOLUTIONについて

06

はじめに

07 08 17

FASHION TRANSPARENCY INDEXについて 今年のインデックスはどう変化したか 主な調査結果

調査結果概要

24 このインデックスについて 25

26 28 29 30

31 32

私たちが見たい変化と、業界内外での果たすべき役割 政策変更、文化の変容、業界の変化

変化を実現するための透明性の役割

Fashion Transparency Indexの役割と目的

Fashion Transparency Indexがどのように変化を促すか 金融関係者がFTIを活用する方法 分析会社がFTIを活用する方法

ケーススタディ:アパレル・繊維クラスターにおける水のリスクと機会 ケーススタディ:なぜ皮革産業に透明性が必要なのか

33 調査の方法と範囲 34 35 36 37 38 39 FASHION REVOLUTION 2

40 41 42 43

ブランド参加

ブランド一覧(アルファベット順) 調査範囲

調査プロセス 調査方法

調査方法アドバイザー 調査の限界

調査結果の算出方法 得点の重み付け

最終スコアの見方

データの解釈の仕方


45

46

最終スコア

調査結果概要

104 107

各分野の平均スコア

108

56 ガバナンス

122

47

48 ポリシーと公約 60

引用:マックス・ローソン : Oxfam International 不平等政策担当

62 サプライチェーン・トレーサビリティ 69

引用:ナタリー・グリリオン : Open Supply Hub 事務局長

76 把握・開示・改善 84

引用:シーマ・ジョシ : STAND.EARTH ファッション&ITキャンペーンディレクター

85 重点課題 88 92 93 96 97 99 100

121 123 127 128 136 137 138 139 140

サステナブルな調達と素材

VIEWPOINT:ウルスカ・トランク (CHANGING MARKETS FOUNDATION ) 過剰消費、廃棄と循環

Viewpoint:エミリー・マッキントッシュ (欧州環境局)

VIEWPOINT:ジョセフィン・フィリップス(SOJO ) 水と化学物質

VIEWPOINT:オードリー・ミラー博士(オスロ大学) 気候変動と生物多様性

Viewpoint:アリア・ロディ (Inter Market Knit有限責任会社) Viewpoint:ルス・マクグリップ (Action Speaks Louder) Viewpoint:ベト・ビナ (Farfarm)

Viewpoint:ポーリーン・Op・de・ベック (Apparel Impact Institute) 引用:タラ・カーン : Pakistan Environment Trust

141 最終結論と推奨事項 142

働きがいのある人間らしい仕事と調達慣行

144

Viewpoint:ルスラン・ミアティエフ (Turkmen.News)、 ロシオ・ドミンゴ・ラモス(アンチ・スレイバリー・インターナショナル)

150

引用:アンディ・ホール : 独立した移民労働者の権利と強制労働の専門家

引用:アディティ・メイヤー : サステナブルファッションコンテンツクリエイター、 フォトジャーナリスト、労働権利活動家、環境正義スピーカー

145

透明性に向けた行動

クレジット 参考文献 免責事項

Viewpoint:ヒラリー・マーシュ (Transform Trade)

引用:デララ・ブルクハルト : The Progressive Alliance of Socialists and Democrats Viewpoint:アンネ・ビエニアス(Clean Clothes Campaign )

Viewpoint:ファルーク・タリク (Pakistan Kissan Rabita Committee)、 テス・ウールフェンデン (Debt Justice)UK 引用:ナタリー・スワン : Business and Human Rights Resource Centre VIEWPOINT:アヨミ・ジャランシー・ウィックレマセカラ(FTZ組合)

FASHION REVOLUTION

102 103

113 114

ジェンダー&人種間平等

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

44 結果と分析

3


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

EXECUTIVE SUMMARY 4

概要


FASHION REVOLUTION について ファッションレボリューションは、環境を 保全・修復し、成長や利 益よりも人を大 切にするファッション業界の実現を目指 して活 動しています。 バングラデシュの ラナ・プラザ(5つの縫製工場 が入った 商業ビル)の崩壊事故をきっかけに設立 され、 ファッシ ョン業界の透明性と説明 責任の向上を求めるファッションレボ リ ューションの呼びかけに何百万人もの 人々が参加するように なりました。

Fashion Transparency Index は、人権や環境問題に関するブラン ドの情報公開を、5つの主要分野の 258の指標で評価している。 1. ポリシーと公約 2. ガバナンス

3. サプライチェーン・トレーサビリティー 4. 把握・開示・改善

5. 今年の重点課題は以下の通り •

働きがいのある人間らしい仕事(デ ィーセントワーク)、強制労働、生活 賃金、購買慣行、組合結成と団体交 渉 ジェンダーと人種の平等

サステナブルな調達と素材

水と化学物質

• •

過剰消費とビジネスモデル • 廃棄 物と循環性 気候変動と生物多様性

FASHION REVOLUTION

Fashion Transparency Indexは、 世界最大 のファッションブランドお よび小売業者250社を 対象に、 自社 事業およびサプライチェーンにおけ る人権や環境に関する方針、 慣行、 影響につ いて、 公開の度合いに応 じてランク付けしたもので、 毎年発 表しています。私たちは、 最も収益 性の高い最大手のブランド や小売 企業に焦点を当てます。 なぜなら、 これらの企業は労働者や環境に最 大の悪影響を与え ており、 それゆえ 変革のための最大の責任を負って いるからです。透明性は、 世界のフ ァッション産業において体系的な変 化を達成するための基礎となるも のであり、 だからこそ私たちは2014 年からそのためのキャンペーンを展 開し、 このツールを 作成しました。 透明性は変革の土台となるもので すが、 残念ながらファッションのバリ ュー チェーンの多くは不透明なま まであり、 搾取が 平然とまかり通っ ています。 透明性は最初の 一歩で あり、 急進的ではありませんが、 必 要なことなのです。 透明性は持続可 能性(サステナビリティ) と混同され るものではありません。 しかし、 透明 性がなければ、 サステナブルで、 説 明責任を果たし、公正なファッショ ン業界を実現することは不可能でし ょう。 このインデックスの仕組み、 透 明性が重要な理由、 方法論につい ては、 38-43ページをご覧ください。

EXECUTIVE SUMMARY

Fashion Revolutionは、調査、教育、提 言活動を 通じて、市民、産業界、政策立 案者を動員し、世界最大のファッ ショ ン・アクティビズム運動となりました。フ ァッション業界の問題は、決して一人の 人間や一つのブラン ド、企業によって解 決できるものではありません。 だからこ そ私 たちは、私たちの声でシステム全 体を変革することに注力して います。 シ ステム的、構造的な変化により、 ファッシ ョン業界は 何百万人もの人々を貧困か ら救い、彼らに適正で尊厳のある 生活 を提供することができます。 生きている 地球を保全し、回復 させることができま す。 人々を結びつけ、個人やコミュニティ の 喜び、創造性、表現力の大きな源と なることができます。

FASHION TRANSPARENCY INDEXについて

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ABOUT

5


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 6

はじめに 本来は、 このレポートは存在すべき ではありません。 私たちは2017年 からこのインデックスを発表してい ますが、世界のファッション業界の 大半は透明性を欠いています。 加速 する気候危機、深刻化する社会的 不平等、環境破壊、 そしてファッショ ン業界を規制しようとする様々な 法律の制定に直面しているにもか かわらず、進歩が見られない点は 懸念すべきことです。

透明性は基礎となるものです。 私た ちはここで、最低限のことについて 話しています。 しかし、今年もまた、 ブランドは自らのポリシーと公約に ついてより多くを語る一方で、 これ らのポリシーと公約が何をどう達 成したのかについてはほとんど語っ ていません。 そして、開示された証 拠がない限り、 ファッション業界が 状況を好転させているかどうかを 理解することは難しいのです。 透明性とは出発点に過ぎず、多くの ブランドはレースに参加することさ えできなかったようです。 世界で最 も裕福な企業のいくつかによる頑 固な不透明さは、現状を維持した いという願望の表れです。 私たちを 気候危機から救うには不十分で空 虚な約束と野心的でない目標を示 すことに既得権益があり、一方で不 合理なまでの過剰さ、賃金の未払 い等、私たちが共有する地球の消 耗を続けています。 ファッションは 1兆ドル規模の世界的産業ですが、 環境と私たちの服を作る人々に多 大な恩義を負っています。

枯れてしまった地球にファッション は存在しません。 しかし、はるか未 来に設定された各ブランドの脱炭 素化目標は、 ひどく不十分なもの に感じられます。 私たちは不可逆 的に生態系を破壊し、世界の水路 を汚染しています。 未来は私たち にかかっているのです。 私たちはど のような未来を残していくのでしょ うか?

歓迎すべき進展は、政策立案者が グローバル・サプライチェーンにお ける多国籍企業の行動を規制する 法律の必要性をますます認識する ようになったことです。 企業が自発 的に自主規制を行うという考え方 は何度も誤りであることが証明さ れており、企業の説明責任を法律 に明記することを求めるのは、もは や急進的なことではなくなっていま す。 私たちは、 アメリカ、EU、 ヨーロ ッパのいくつかの国、 そして日本で、 企業の責任を追及するための法案 が提案され、可決されるのを見てき ました。 6月に行われた画期的な投 票では、欧州議会が厳格なコーポ レート・ サステナビリティ・デュー ディリジェンス指令(CSDDD)を賛 成多数で可決し、企業の説明責任 に対する政治的な支持を明確にし ました。 海外では労働者やエコシス テムを搾取しながら、国内では評判 の高い企業活動を行うことが完全 に合法であるという時代は、終わり を告げようとしています。

農家から加工業者、縫製業者に至 るまで、私たちの衣服を作る人々の 専門知識を活用することなく、 この 産業の未来を描くことはできませ ん。 そして、私たちの衣料廃棄物を 管理する人々や、私たちの衣料消費 によって影響を受ける地域社会へ も私たちは関心を広げていかなく てはなりません。

最終的には、 ファッションレボリュ ーションは、 ファッションが尊厳あ る仕事、公正で平等な賃金、文化や 歴史を尊重し、同時に環境を保全、 回復し、無駄を出さない世界を構 想しています。 これは実現可能な未 来であり、実際に私たちのFashion Open StudioやSmall But Perfect Initiativesでプラットフォームとな っている多くのサステナブルファッ ションブランドの現実です。 しかし、 気候変動と不平等という2つの危 機に真に取り組むには、社会の価 値観を体系的に見直す必要があり ます。 私たちは、成長や利益よりも、 人間や環境の保全と回復に価値を 置かなければなりません。 ファッシ ョンだけでなく、私たちの社会と地 球の未来は、 これにかかっている のです。 私たちが求めているのは、正直さ と率直さです。 それなしには、 この 産業が抱えている人権侵害や環境 侵害の蔓延に対処することはでき ません。

イギリス、 グラスゴーのFRIDAYS FOR FUTURE MARCHにて、 FASHION REVOLUTIONのリブ、 キアラ、 デルフィンがCOP26にて撮影。

私たちのGood Clothes, Fair Pay キャンペーンは、衣料品、繊維、 フッ トウェアセクター全体に、 これまで にない新しい方法での生活賃金の 法制化を要求しています。 2023年7 月19日までに、goodclothefairpay. euにアクセスして署名してくださ い。 EU市民でない方は、EU市民の 友人にメッセージを送ったり、 ソー シャルメディアで私たちの投稿をシ ェアすることで、 このキャンペーン を広めてください。


• •

エントリーレベル労働者の週 手取り賃金は、時間外労働を 除く、週労働時間48時間以下 の標準労働時間に基づいて いる

サプライチェーンにおける出 来高払いの労働者のおおよそ の割合

サプライチェーンにおいて、(a) 出来高払い労働者、(b)日給 労働者の存在が明らかにされ ている

• •

• • •

ティア1(一次)施設ごとのエネ ルギー消費量を開示

ティア1(一次)以上の施設ごと のエネルギー消費量を開示

科学的根拠に基づく目標イニ シアティブ (Science Based Targets Initiative)に沿っ て、1.5℃パスウェイに沿った 近未来(5~10年)および長期 (2040~2050年)の科学的根 拠に基づく目標を発表する。

脱炭素化のための年間投資額 の開示 RE100へのコミットメントを 開示

どの地域や部門が影響を受け ているかを含め、生産に占める 石炭の割合を開示する。

私たちの審査はより厳格になり、期 限と測定可能性の両方の基準を満 たしている場合には、目標の進捗 状況を評価することにしています。

しかし、 ブランドがこの点について 透明でない限り、目標や期限に対す る責任を問うことは不可能です。 今年、私たちが方法論に導入した もうひとつのトピックは「脱成長」 で す。 脱成長運動は、企業利益や過 剰生産、過剰消費の代わりに、社会 的、生態学的な幸福を優先するも のです。 そのためには、根本的な再 分配、 グローバル経済の物質的規 模の縮小、 そしてケア、連帯、自律に 向けた共通の価値観の転換が必要 です。 重要なのは、 これは主に、北 半球による過剰生産、過剰消費、有 限資源の使用など、社会的・環境的 に有害な慣行を意図的に削減する ことであると考えることです。

ファッションブランドに対し生産量 を減らすよう指示することはできな いかもしれませんが、私たちにでき ることは、生産量を減らすよう提唱 することです。 私たちは、消費者の 要求、法律、 そして経済的なインセ ンティブ、 たとえばブランドが人間 や環境に与える影響について責任 を負い、当事者に対しては税金を引 き上げるなどの対策を取ることが できます。 政策、産業、文化の変革 の組み合わせが重要であり、 そのた めに私たちは今年から、 この指標を 方法論に導入しました。 最後に、本年度は、0ポイントに相当 する指標をいくつかインデックスに 追加することも決定しました。 この 決定は、新たに追加された指標の 中には、施設ごとのエネルギー消

費量の開示など、現段階ではごくわ ずかなものであり、 この情報を開示 していないブランドに対してペナル ティを課したくなかったためです。 こ の情報を開示しているブランドの例 については、71ページと133ページ をご参照ください。 2024年に向けて 方法論を更新する予定もあり、 これ は今年に限った指標表示です。

Fashion Transparency Index は、Creative Commons AttributionNonCommercial 4.0 International(CC BY-NC 4.0)の下で ライセンスされていま す。 これはFree Culture Licenceではあ りません。 詳しくはこちらのリンクをご覧 ください。

creativecommons.org/licenses/ by-nc/4.0 /

我々が提供するRaw Data Fileについて、 我々は、 本インデックス作成のために当 社が編集したRaw Dataを使用するライ センスを読者に付与するものではありま せん。 読者は Raw Data Fileを閲覧する ことのみ許可され ています。 . Fashion Transparency Indexの複製と 再配布は、以下の条件を満たせば、 どの よう な媒体や形式でも自由に行うこと ができま す。 Fashion Revolutionがこの インデックス を作成したことを認めてい ただければ、 どのよ うな媒体や形式であ っても自由に複製・再配布 することがで きます。

ご意見、 ご感想を お聞かせください 私たちは、 このインデックスが完璧 ではなく、常に改善していくものと 考えています。 本指標に関するご 意見やご質問は、transparency@ fashionrevolution.org までお寄せ ください。

このライセンスは内容を 変更、 リミック ス、 変換、 翻訳、 その他の方法で 修正す る権利を与えるものではあり ません。 こ れには、 有料のサービスの一部とし て、 あるいはコンサルタントや他のサービス の 提供の一部として提供することが含 まれます。 このインデックスの全部または一部の商 用利用を希望する場合は、transparency @fashionrevolution.org からFASHION REVOLUTIONに連絡してライセンスを取 得する 必要があります。

FASHION REVOLUTION

少なくとも最低賃金が支払わ れている工場労働者の全体的 な割合に関する報告書

加えて、今年のインデックスは、気 候危機への取り組みを支援するた めに活動する独立系慈善団体であ る欧州気候基金(ECF)から一部資 金提供を受けており、脱石炭と排出 削減に関連するブランドの情報開 示に的を絞った新指標セットを組 み込んでいます。

EXECUTIVE SUMMARY

私たちは毎年、 ステークホルダーへ のインタビューやメディア・レビュー を通じてインデックスの詳細な見直 しを行い、方法論を強化するととも に、法規制を含む業界の最新情報 に合わせてブランドや小売業者の 透明性を高めるよう働きかけてい ます。 今年は、特に生活賃金と気候 に焦点を当て、指数にいくつかの変 更を加えました。 2022年7月、 ファッ ションレボリューションは、世界のフ ァッション サプライチェーンに私た ちの要求に沿った生活賃金の報告 書を要求する初のグローバル・キャ ンペーンを開始しました:

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ライセンス

今年のインデックスは どう変化したか

7


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 8

主な調査結果 世界のファッション 業界での透明性は 未だに前進がみら れない 7年連続でこの指数を発表してきま したが、2023年に初めて2つのブラ ンドが80%以上のスコアを獲得し た。 イタリアブランドのOVSが83% で今年も最高得点、次いでGucci が80%、 そしてKmart Australia とTarget Australiaが76%でし た。 OVSのスコアは昨年から5ポ イント上昇、Gucciは21ポイント上 昇、KmartとTarget Australiaのス コアは2ポイントわずかに低下しま した。

今回もまた、世界のファッションの 透明性に関する全体的な進歩は遅 々として進まず、 ブランドのパフォー マンスも大きく異なっています。 世 界最大のファッション・ブランドの平 均スコアは2ポイント上昇したもの の、わずか26%でした。 この平均値 は、0%から83%までの幅広いスコ アから算出されています。 今年は、 過去最高を記録したブランドと並ん で、18の主要ブランドが0%の評価 を得ており、昨年の17ブランドから 増加しています:ANTA、Belle、Big Bazaar、Bosideng、Fashion Nova、K-Way、KOOVs、Max

Mara、Metersbonwe、Mexx、New Yorker、Heilan Home、Savage x Fenty、Semir、Splash、Tom Ford、Van Heusen、Youngor。 全体 では、250ブランド中70ブランド (28 %)が0〜10%の範囲に入りまし た。 これは昨年の32%からわずか に改善されています。

初めて2ブランドが80% 以上のスコアを獲得

できません。 ブランドの人権や環境 への取り組みが具体的に与える影 響について、 より透明性を高める必 要があります。 これらの問題に関す る透明性は、 ファッション業界が社 会に対して、 その影響に対する説明 責任を果たすために不可欠です。

が最終的にファッションを支配し、 所有しているのかという疑問を投 げかけます。 なぜファッション業界 の多くは、 これほど少数の企業によ ってコントロールされているのでし ょうか?

世界最大のファッション ブランドの平均スコア は2ポイント上昇したも のの、26%にとどまる

今年も大手ファッションブランドは、 今年は、 昨年の62%から1%減少 人権や環境に関するポリシー、 コミ し、 61%の主要ファッションブランド ットメント、 プロセスについてこれま がアンケートへ参加しました。 でよりも多くの情報を開示していま すが、 その努力への結果、 成果、 影 特筆すべきは、 昨年このインデ 響の公開度は著しく少なくなってい ックスに参加した4つのブランド ます。 ポリシーセクションの平均得 (Reebok, Billabong, Roxy and 点は53%で、 常に最高得点です。 最 Quiksilver)が今年は参加しなかっ もスコアが低いのは、 重点課題のセ たことです。 この4ブランドはすべて クションで、 平均スコアはわずか18 オーセンティック ブランズ グルー %と昨年と変わりません。 指数の最 プに買収され、 現在はインデックス 高得点ブランドでさえ、 社会監査、 に含まれる9つの非参加ブランド ( 生活賃金、 購買慣行、 労働組合の結 私たちがレビューするブランド全体 成、 ジェンダーと人種の平等、 生産 の4%)の親会社となっています。 オ 量と廃棄物量、 循環性、 化学物質の ーセンティック ブランズ グループの 使用、 サプライチェーンにおける森 ような不透明な経営会社に買収さ 林破壊と炭素排出などの問題につ れ、 ブランドと親会社のウェブサイト いての情報開示が不足しています。 間のリンクが確立されていないこと これらの問題について透明性を高 で、 透明性スコアが55ポイントも低 めなければ、 ブランドがグローバル 下したブランドもあり、 今回のよう な不平等や気候変動危機に有意義 に透明性が低下するパターンを目 に取り組んでいると確信することは の当たりにしました。 このことは、 誰

S


私たちがこの活動を開始したばか りの2017年には、100ブランド中32 ブランド (32%)が自社の衣料品が 製造されている第一次サプライヤ ーのリストを開示していましたが、 現在では250ブランド中129ブランド (52%)が開示していることを考え ると、 これは大きな前進です。

これまでラグジュアリーブランドは 透明性確保の足を引っ張ってきま したが、今年最も躍進した5ブラン ドはすべてラグジュアリーブランド で全250ブランド中、今年最も上昇 したのはGucci(2022年以降+21 %ポイント)、Armani(2022年以降 +19%ポイント)、Jill Sander(2022 年以降+17%ポイント)、Miu Miu(2022年以降+17%ポイント) 、Prada(2022年以降+17%ポイン ト) でした。 Jill Sanderは、 これまで 一貫して0%でしたが、何年も経過 したのち、 スコアを向上させたこと は頼もしいことです。 これは、意欲さ えあれば透明性において大きな前

一次サプライヤーのリストを開示 しているブランドが52%に達したこ とは称賛に値しますが、社会的・環 境的に意味のあるデューディリジェ ンスは、 サプライチェーンのトレー

FASHION REVOLUTION

ラグジュアリーブランドのトップ企 業の大半は、 サプライヤーリストを 開示することでスコアを伸ばしてい ます。 何年か前から、 このようなトレ ーサビリティは、 ハイストリートウェ アやスポーツウェアを含む他の市 場セグメントでは一般的でした。 ラ グジュアリーブランドがようやく追い ついたことは、歓迎すべきことです。 ファッションレボリューションのキャ ンペーンは、 サステナブルマーケッ トのタスクフォースなどのイニシア ティブと並んで、 ようやくこの変化に 貢献したのかもしれません。

OURCE: FAIR WEAR FOUNDATION

サビリティの充実によって支えられ ています。 トレーサビリティ・セクシ ョンの全体平均スコアは23%です が、半数近く (45%)のブランドはほ とんど何も開示しておらず、 このセ クションの全体スコアは0〜1%に とどまっています。 もしブランドが、 自社の衣料品が製造されている施 設をサプライチェーン全体にわたっ て把握していなかったり、開示して いない場合、人権や環境への影響 について責任を負うことはできませ ん。 目に見えないものを修正するこ とはできないからです。 そして、 サプ ライチェーンのトレーサビリティは 最終目標ではありませんが、ジェン ダー不平等、強制労働、環境破壊、 低賃金など、私たちが解決しようと しているファッションにおけるすべ ての問題に取り組むための出発点 なのです。 気候変動危機が深刻化 し、透明性を重視する法案が相次 いで提出されているにもかかわら ず、主要ファッションブランドの半数 近くが透明性を欠き続けていること は、現状を維持するための意図的 な戦術のように感じられます。

EXECUTIVE SUMMARY

初めて、 大手ブランド の半数以上(52%)が 第一次サプライヤーリ ストを開示したが、 サ プライチェーン全体に おける衣料品の生産 地の透明性について は、 さらなる取り組み が必要である。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ラグジュアリー部門は 進が達成可能であることを示して います。 ラグジュアリーブランドの参 秘密主義で有名であ 加によって、私たちの衣服をどこで 誰が作っているかということに関し る。 今年、 最大の伸び て、透明性が大きく変化していくこ を示したのはラグジュ とを示しています。 アリー部門だが、 この 市場は透明性におい て、 これまでハイストリ ラグジュアリーブランドが ートウェアやスポーツ 初めて総合平均得点80 ウェアに遅れをとって %のトップブランド入り きた。

9


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 10

従来、 ファッションブランドのコンプ か4%で、 サプライヤーに60日以内 大手ファッションブラン ライアンスへの取り組みは、 人権や に支払う方針を開示しているブラン ドは、業界内の不平等 環境に対する直接的な責任をサプ ドはわずか11%です。 を助長する税金や購買 ライヤーに負わせ、サプライヤーは ブランドのビジネスを確保するため 慣行などの責任を回避 のコストとしてこれを負担するとい 購買行動規範を し続けている。 ファッシ うものでした。この現状は、(1)ブラ 公表しているブランドは ンドがサプライチェーンの問題から ョン業界のCEOと縫製 距離を置き、不正行為があった場合 わずか12% 労働者の賃金格差は に責任を回避すること、(2)ブランド 拡大し続けており、一方 自身がサプライチェーンの不正行 為を助長する直接的な役割を担っ 更に悪化している点は、 ブランドは でサステナビリティ目 ていることを隠してしまっています。 洋服の発注方法にD2C(ダイレク 標に関連する役員報酬 新型コロナウィルス感染症の大流 ト・トゥ・コンシューマー)のオンデ 行以来、搾取的なブランド購買慣行 マンドモデルを採用することが増え の割合を開示している (注文のキャンセルや支払い拒否、 ている事です。 このような購買方法 ブランドはわずか18% 遡及的な値引き要求など)が前例 は、売れ残りを減らすことができる かもしれませんが、 サプライヤーを のないレベルとなりました。 これは に過ぎない。 リスクにさらし、労働者を大きなプ

税金の抜け穴やタックスヘイブンを 利用して利益を最大化し、 さらに溜 め込み、事業を行っている地域社会 への貢献を回避することは、大手フ ァッションブランドではよくあること です。 このことは、 これらの服を作っ ている人々が自分自身とその家族 を養うために奮闘していること、 そ して世界中の消費者と市民が生活 費の危機に直面していることを考 えると、特に顕著です。 自社の税務 戦略を公表しているブランドは半 数以下(45%) であり、各国政府が 現在の税の抜け穴に対処するため の税制を導入し、多国籍企業が事 業を行っている国において、各国間 および各国内で拡大する不平等に 対処するために、 その分担金を支 払うことを保証することは極めて 労働者の苦難を招き、 ブランドに対 レッシャーにさらすことになります。 重要です。 し、自分たちが引き起こしている影 突然の予測不能な注文量の急増と これと並行して、 響に対する責任を取るよう、 より大 ファッション業界 厳しい納期は、 サプライヤーが計画 のCEOの給与は急騰しており、CEO きなスポットライトが当てられてき を立てることすら困難にします。 予 ました。 大手ファッションブランドが と私たちの服を作る人々との間の 測不能なオーダーは、 過剰な残業 サプライヤーに対して不安定で虐 賃金格差は、宇宙まで届く勢いで を招き、生産目標を達成するための す。 待的な行為を行っているという証 ファッションブランドの経営者た 労働者のストレスや不安にもつな 拠が増え続ける中、我々の調査結 ちは、地球上で最も裕福な人々の がります。 D2Cモデルはまた、顧客 果も同様に、公正な条件のもとで 一人であり、 ブランドの人権や環境 を小売業者ではなく輸入業者にし サプライヤーと協働している証拠を への影響に対して責任を負うべき ます。 中国から消費者に直送するこ です。 開示している大手ファッションブラ にもかかわらず、役員報酬が とで、 ブランドは税制上の優遇措置 ンドがほとんどないことを表してい 人権や環境への影響と連動してい を享受することができます。 米国で ます。 責任ある購買行動規範を公 るかどうかを開示しているブランド は、 関税を最小限に抑えるルールに 表しているブランドはわずか12% は26%である一方、役員賞与や報 で、1ブランドのみです。 Zeemanは、 より、中国の生産者は800ドル以下 酬のうち、 これらのターゲットと連 標準的な注文・支払条件を定めた、 の製品を消費者に直送し、米国の 動している割合を開示しているブラ 関税、税金、監督を回避することが デューディリジェンスに沿ったサプ ンドは18%にすぎません。 サステナ できます。 つまり、D2Cモデルを展開 ビリティターゲットは、役員賞与に ライヤー契約のテンプレートを公表 するブランドは、税金を回避し、強 しています。 また、以前に合意した 占める割合が低い傾向にあり、 この 制労働規制のレーダーをくぐり抜け ことは、役員賞与がすでに高額で 支払条件を遡及的に変更する注文 の数を共有しているブランドはわず ることができるのです。 ある場合、役員はサステナビリティ

ターゲットを達成するインセンティ ブを本当に得られているのだろう か、 という疑問を投げかけることに なります。


今年初めて、私たちはブランドが 「 脱成長」へのコミットメントを開示 しているかどうかを見ています。 こ のコンセプトは、新しい衣服の生産 量と消費量の両方を計画的に削減 することで、経済と地球環境のバラ ンスを取ろうという野心から生ま れたものです。 もし私たちがこれら の境界線を押し広げ続ければ、海 面上昇や気温上昇といった不可逆 的な環境変化を引き起こすリスク が高まります。 過剰生産と過剰消費 の問題を根本から解決しない限り、 引き取り制度やレンタル、 その他の 新しいビジネスモデルは、絆創膏 でダムを塞ぐのと同じような効果し かありません。 私たちの調査によれ ば、99%のブランドが、新たに生産 するアイテムの数を減らすというコ ミットメントを開示していません。 こ れまでの方法では、気候危機から 逃れるのは不可能であることは明 らかであるにもかかわらず、業界は

大手ブランドがグローバルサプラ イチェーンの脱炭素化に取り組ん でいる一方で、気候変動への影響 を削減するために不可欠な過剰生 産・過剰消費に取り組まなければ、 二酸化炭素削減に意味のある影響 を与えることはできません。 ファッ ションのビジネスは、単純に大きく なりすぎました。 ArmaniとUnited colours of Benettonは、脱成長 へのコミットメントを公表している 250ブランド中唯一の2ブランドで あり、Armaniは「SKUの大幅削減」 (18ページ)、United colours of Benettonは「衣服量の増加と会社 の経済的パフォーマンスの切り離 し」を約束しています。 OR財団によ れば、5年間で少なくとも40%の新 品の衣料品の削減目標を達成する ことです。 もう時間がないのですか ら、業界はスピードを落とし、規模 を縮小する必要があります。

FASHION REVOLUTION

小規模なものから大規模なものま で、 ファッションの過剰生産と過剰 消費の問題は、今や宇宙からでも

ファッションブランドの 99%は、新品の生産数 を減らすというコミットメ ントを公表していない。

科学を無視し、利益を優先させ、驚 異的な成長を続けています。

EXECUTIVE SUMMARY

驚くことに、何千トンもの衣料廃棄 物が世界的に見つかっています。 海 の底で、 アメリカからガーナまでの 汚染されたビーチの海岸で、他の 廃棄物に絡まったりねじれたりし ながら、側溝に集められ、 コレラや マラリアのリスクを高め、砂漠に積 み上げられています。 ファッション から排出されるマイクロプラスチッ ク粒子は、洗濯や着用によって大気 や水路に入り込み、人間の胎盤か らもプラスチック粒子が検出され ています。

見えます。 衣料品の廃棄物が生活 のあらゆる場面に及んでいること は紛れもない事実であるにもかか わらず、88%のブランドはいまだに 年間生産量を公表しておらず、過剰 生産の規模と真実が見えにくくなっ ています。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SOURCE: FAIR WEAR FOUNDATION

ファッションの無駄 を軽減するための 法律が制定されよう としているにもかか わらず、ほとんどの 主要ブランドが年間 生産量を公表せず、 新しいアイテムの生 産数を減らすことす ら約束していないた め、 過剰生産の証拠 は依然として実態が つかめない。

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 12

ての情報を開示しておらず、 まった 循環性経済について く何もしていないか、少なくとも公 の議論は高まっている には語っていないことを示唆して います。 が、ほとんどのブラン ド (95%)は、 どのよう これらのリスクを交差させながら、 に循環性経済への正 ビジネス フォー ソーシャル リサーチ (BSR)の調査は、 より循環的なシ しい移行できるかとい ステムで拡大する可能性の高いバ う点において透明性を リューチェーン分野(例えばリサイ クルやロジスティクス)に多く存在 欠いており、 労働者の する、 社会から疎外され権利を奪 声やニーズがどのよう われたグループが、サーキュラーフ ァッションへの移行によって不均衡 に対処されるのかが な影響を受けることを明らかにしま 不明確である。 した。 これらの労働者は、 サーキュ ラーファッション経済への移行にお いて、彼らのニーズが中心となって 協議されない限り、低賃金、過度な 残業、 ハラスメントを特徴とする不 サーキュラー(循環型)ファッション 安定な雇用が永続する危険性があ 経済への移行は、気候危機の深刻 ります。 世界および各国の経済的要 化にともなう経済的不平等の拡大 と不安定さを背景に進んでいます。 因は、特にリスクの高いグループに とって、 こうしたリスクをさらに悪化 ジャストトランジション (公正な移 させます。 同様に、 ファストファッシ 行)センターによれば、公正な移行 ョンブランドの急速な栄枯盛衰は、 とは、低炭素経済への移行におい この業界の不安定さを浮き彫りに て労働者とそのコミュニティの未 ファッションブランドは私 来と生活を保障するものです。 それ しており、 たちの服を作る人々の生活を将来 は、労働者とその労働組合、使用 者、政府間の社会的対話、地域社会 にわたって支える必要があります。 私たちの服を作る人々、特にリスク や市民社会との協議に基づいてい ます。 公正な移行のための計画は、 のある労働者が、循環型ファッショ フ 地球温暖化および気候変動政策の ンの移行に取り残されないよう、 ァッションブランドがサプライチェー 影響を受けるすべての労働者に対 ン労働者のスキルアップに早急に し、 より良い仕事、社会的保護、 よ 投資することは、道徳的にも経済的 り多くの訓練機会、 より大きな雇用 保障を提供し、保証するものです。 にも急務です。 残念ながら、95%のブランドは、公 正な移行に向けてどのように労働 力をスキルアップしているかについ

世界的に生物多様性 の損失が加速している 主要ファッションブラン にもかかわらず、 森林 ドのうち、今年、森林破 伐採ゼロへのコミット 壊ゼロに向けた期限付 メントを発表している きで測定可能なコミッ 大手ファッションブラ トメントを発表したの ンドはほとんどない。 はわずか12%で、昨年

より3%減少している。

コットン、 ビスコース、 レザーなど、 衣料品に使用される素材は森林破 壊と関連しています。 例えば、世界 第2位の綿花輸出国であるブラジ ルは、2022年には20,000㎢以上の 森林が伐採され、2021年から22% 増加するという記録的な森林減少 に達しています。 ブラジルで最も綿 花農場が集中しているセラード地 域は、50年にわたり領土紛争と森 林伐採に苦しんでおり、過去10年間 で50,000㎢の原生植生が失われま した。 さらに、 ブラジルの牧畜産業 は、牛肉と皮革を調達するためにア マゾン熱帯雨林の森林破壊を推進 しています。 調査によると、 ファッシ ョン業界はアマゾンの熱帯雨林を、 不可逆的な生態系崩壊の転換点に 近づけています。 何百ものファッシ ョンブランドが、森林伐採に関する 明確な方針を掲げているにもかか わらず、実際は、 ブラジルの皮革輸 出業者とサプライチェーンでつなが っています。

ファッション産業が世界の森林破 壊を助長していることを考えると、 目標に関する透明性が欠如してい ることは憂慮すべきことです。 今年、 森林破壊をゼロにするという期限 付きで測定可能なコミットメントを 発表したブランドは、わずか12% であった。 これは昨年より3%少な くなっています。 さらに、森林破壊 ゼロの達成に向けた測定可能な 進捗状況を公表しているブランド はわずか7%に過ぎません。 また、 ビスコース、 モダール、 レーヨンな どのセルロース系人工繊維に限っ て進捗状況を公表しているブラン ドもあります。 この分野におけるグ ローバルブランドの透明性の欠如 は、 この分野におけるブラジルのロ ーカルファッションブランドの不作 為を反映するものであり、Fashion Transparency Index Brazil 2022によれば、森林破壊ゼロへの 期限付きコミットメントを開示して いるブランドは皆無です。 森林の損

失と損害に対処することなしに気 候危機を緩和することはできない ため、 ブランドは自社の生産が森林 を脅かしていないことを確認する 必要があります。 この問題に関する 適切で包括的な透明性のデータが ないため、私たちは衣料品にかか る本当の環境コストについて闇の 中に取り残され、 この重要な生態 系を破壊した大手ブランドの責任 を問うことができません。


FASHION REVOLUTION

脱石炭には多大なコストがかかり、 薄利多売の工場にとっては法外な 金額となるかもしれません。 ブラン ドは、 そのコストをサプライヤーに 転嫁するのではなく、 サプライチェ ーンの脱炭素化に共同で資金を提 供すべきです。 そのため、今年初め て、脱炭素化への投資に関する新 たな指標を追加し、 ブランドがサプ ライヤーのグリーン移行を積極的 に支援するためにどのような行動

EXECUTIVE SUMMARY

気候危機を緩和するためには、石 炭からよりクリーンなエネルギー への全面的な転換が急務です。 私 たちは今年、主要ブランドの石炭へ の依存度を把握するための新しい 指標を追加しました。 にもかかわら ず、自社のサプライチェーンに占め る石炭の割合や、化石燃料に依存 している地域を開示しているブラン ドはほとんどありません (6%)。 サ プライチェーンにおける化石燃料 への依存度を可視化することは、 ブ ランドがサプライヤーのグリーン転 換を支援するための適切な対策を 講じ、調達先の国の政府に対して、 風力や太陽光のような高品質の再 生可能エネルギーへのアクセスを 増やすよう提唱するために極めて 重要な事です。

目指す企業を集めた世界的な再生 可能エネルギーイニシアティブで す。 FTIに含まれる31のブランドが RE100にコミットしており、 バーバリ ーのように2022年までに事業全体 の電力を100%再生可能資源で賄 うことをコミットしているブランドも ありますが、大半は自社製品の製 造工場ではなく、例えば店舗やオフ ィスなど、自社の事業のみに焦点を 当てています。 クリーンエネルギー への取り組みが、純粋に生産に与 える影響全体に対応し、中途半端 なものにならないよう、 ブランドは サプライチェーンでの生産もコミッ トメントやアクションに組み込む必 要があります。

をとっているかを把握することにし ました。 例えば、研究開発への投 資、 サプライヤーがグリーン転換に 必要な費用を賄うための資金調達 の支援、持続可能性に連動した融 資、自然エネルギーや再生可能農 業への投資といったサプライチェー ンへの還元などがあります。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

気候危機は深刻化し、 250ブランド中、脱成 緊急性を増している 長へのコミットメン が、 94%のブランドは トを共有しているの 衣料品の製造にどの はわずか2ブランド ような燃料が使用され ているかを公表してい RE100とは、再生可能エネルギー による電力を100%利用することを ない。

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 14

年間何兆ドルもの収 益を上げているファッ ション産業は衣料品 労働者の過酷な労働 によって成り立ってい るにもかかわらず、 私 たちの衣服を作ってい る人々の生活賃金を 確保できていない。

低賃金の要因は、 ファッション業界 にとって組織的なものであり、 それ は透明性と説明責任の欠如によっ て常態化してしまっています。 世界 で最も裕福な人々の何人かは、 ハ イストリートファッションからラグジ ュアリーまで、 ファッション小売業で 億万長者の富を築いてきました。 し かし、 それらの服を作る何百万人も の人々 (主に有色人種の若い女性) は、 基本的なニーズを満たすのに十 分な賃金を得られていません。 世界 的にインフレと生活費が高騰してい る今、 私たちの服を作っている人々 がきちんとした生活を送り、 自分自 身とその家族を養うことができるよ うにすることは、 これまでにない緊 急の課題です。

99%の大手ファッション ブランドは、サプライチ ェーンで生活賃金が支 払われている労働者の 数を公開していない 今年、 サプライチェーンで生活賃金 (基本的な生活必需品を賄い、 あ る程度の自由裁量所得を確保する のに十分な賃金)を支払っている労 働者の数を開示している大手ブラ ンドは、わずか1%です。

サプライチェーンに生活賃金を導 入するためのブランドの自主的な 努力は、 この深刻な不公正に対処 するには不十分であることは明ら かです。 ファッションレボリューショ ンは、同盟団体とともに、世界中の 衣料品労働者のための生活賃金 に関する画期的な法律をEUレベル で制定するためのキャンペーンを 行っています。 何十万人ものEU市 民がこのキャンペーンを支援する ために署名しています。 2023年7月 19日までに、EU市民(居住地に関 係なくEUパスポート保持者)から 100万人の署名が必要です。 署名は goodclothefairpay.euまで。 EU市民 でない方は、EU市民の友人に送っ たり、 ソーシャルメディアで私たちの 投稿をシェアしたりして、 このキャン ペーンを広めてください。

大手ファッションブラ ンドは、労働者の団結 権や交渉権に対してリ ップサービスを続けて いる。ほとんどのブラ ンド(85%)が結社の 自由に関する方針を 公表しているにもか かわらず、現地の法律 で義務づけられてい る以上の賃金を提供 する団体協約の数を 公表しているブランド はわずか1%にすぎな い。 低賃金と結社の自由の制限が、労 働者の声を抑圧しています。 労働者 が労働組合を結成し、 より大きな権 利を求めて交渉することが不可能 や困難であったり、安全でなかった りする国々から大手ブランドが衣料 品生産の多くを調達し続けている のは、偶然ではなく意図的なもの です。 しかし大半のブランドは、 サプ ライチェーンレベルでの結社の自 由、団結権、団体交渉へのコミット

メントを概説する方針を発表してお り (85%)、 これらの権利を実現する ための維持に向けたコミットメント を積極的に伝えています。

独立して民主的に選出 された労働組合がある サプライヤー施設の数ま たは割合を開示している ブランドはわずか15% また、独立した民主的に選出され た労働組合を有するサプライヤー 施設の数または割合を開示してい るブランドはわずか15%です。 この ことは、250ブランド中わずか3ブラ ンド (1%) しか、 サプライチェーンで 働く労働者に現地の法律で義務づ けられている以上の賃金を提供す る団体協約の数を開示していない という事実からも明らかです。 重要 なことは、法律で義務づけられてい る以上の賃金は生活賃金に相当し ないということです。 団体交渉協定 は衣料品労働者が国内労働法で定 められた以上の条件と賃金を獲得 するために不可欠な手段ですが、 こ れはますます稀になり、実現が難し くなっています。 団体交渉は依然と して、労働者が条件と賃金を改善す るための第一の、 そしてしばしば唯 一の手段です。

新型コロナウィルス感染症の大流 行は、多くの生産現場で広範な組 合崩壊を招きました。 パンデミック に端を発した経済破綻は、世界的 な生活費の高騰が続く中、外国投 資を呼び込むために多くの生産国 政府を労働規制緩和に追い込み、 私たちの服を最も多く作っている人 々を苦しめています。 ブランドは、自 らのコミットメントが誠実であり、精 査に耐えうるものであることを確認 し、立ち上がるべきです。


さらに、衣料品生産地の多くは、水 ファッション業界が水に依存し、 ファ の利用可能性、洪水、汚染、水規制 ッションサプライチェーンにおける や計画におけるギャップなど、重大 水ストレス (真水に対する人間や生 な水リスクにさらされています。 衣 態系の需要を満たす能力、 または 料品産業はより多くの衣服を生産 その欠如と定義され、水質、利用可 し続け、水への依存度はますます高 能性、 アクセス可能性を含む)に対 まっています。 水に関するリスクは、 処する必要があることを考えると、 ウェット加工や綿や麻のような繊維 の栽培を通じて最も大きな影響が

FASHION REVOLUTION

ファッションの製造工程では、8,000 種類以上の合成化学物質が使用さ れており、私たちが身につけるもの

気候変動の危機に直面して増加す 発生する場所ほど、 ファッションブラ る可能性が高く、必然的に業界に ンドがウォーターフットプリントに関 影響を与えるでしょう。 例えば、世界 する情報を開示していないことが 銀行の最近の調査によると、 パキス 気になります。 例えば、32%のブラ タン、 インド、中国といった主要アパ ンドが自社事業内でのウォーターフ レル生産地域の成長は、水関連の ットプリントを公表しています (昨 影響により、2050年までに最大6% 年と同じ)。 一方で、製造レベルでの 減少すると予測されています。 2050 ウォーターフットプリントの公表は 年までに、 アパレル、繊維産業のサ わずか24%、原材料レベルでの繊 プライヤー4社のうち3社が、高い水 維での公表はさらに少なくなります 質リスクに直面する可能性がある (3%)。 さらに、業界の大半が少数 といいます。 の大規模クラスターに集中してお り、 これらの大規模クラスターの多 くが物理的な水リスクに大きくさら されているという調査結果が出て 有害な化学物質が衣服 いるにもかかわらず、水関連のリス から検出される可能性 ク評価を実施するプロセスを開示 しているブランドはわずか23%しか があるという研究結果 ありません。 衣料品の生産が水不 があるにもかかわらず、 足地域に与える影響は議論の余地 がありません。 水と有害化学物質に 主要ファッションブラン 関する大手ファッションブランドの ドのわずか7%しか、サ 情報開示がこれほど低いことは容 認し難いことです。 実際、生命に不 プライヤーの排水検査 可欠な資源の使用に関する透明性 結果を公表していない。 は最低限必要なことです。

EXECUTIVE SUMMARY

水はファッション産業にとって極め て重要な資源であり、繊維が作られ る農場から、繊維の加工、染色、製 品の仕上げなどのサプライ・チェー ン、 そして顧客が洗濯に水を使用す る最終段階まで、衣服のあらゆる段 階で使用されています。 ファッション は世界中の水質汚染の主な原因で あり、最も水を大量に消費する産業 のひとつです。

に含まれる可能性があります。 フタ ル酸エステルのようにホルモンを乱 すものもあります。 PFCやホルムア ルデヒドのような発がん性物質も 少量含まれています。 畑での農薬か ら、繊維の生産、洗濯、輸送、染色、 仕上げ(静電気防止、防皺加工な ど)、 さらには中古品の保管処理に 至るまで、繊維製造のすべての段階 で化学物質が使用されています。 有 害物質の影響は、 サプライチェーン で働く労働者から衣服を購入する 消費者に至るまで、 サプライチェー ン全体に及びますが、 それだけにと どまらず、繊維廃棄物は環境や埋 立地周辺に住む人々にも悪影響を 及ぼします。 有害化学物質が人と 地球に与える世界的な影響を考え ると、主要ファッションブランドのわ ずか7%しかサプライヤーの排水検 査結果を公表していないことは問 題です。 ブランドは説明責任を果た し、 サプライチェーン全体を追跡し て、水質汚染が縫製労働者や地域 社会、周辺の自然環境に与える長 期的な社会的、環境的影響に対処 しなければなりません。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

私たちの衣服は、水の 乏しい地域で水を大 量に消費し、何千もの 有害化学物質を使用 して生産されている。 しかし、 こうしたリス クを特定するための 方法を開示している のは、大手ブランドや 小売業者のわずか23 %に過ぎない。

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 16

EUが主導するデュー デリジェンスの法制 化が目前に迫り、 ファ ッションブランドは社 会的、環境的デューデ リジェンスに関する情 報開示を増やしてい る。 気候危機は人道危機です。 大手ブラ ンドは、 サプライチェーン全体の人 権リスクと環境リスクの両方を特定 するために、 しっかりとしたデュー デリジェンスを実施することが重要 です。 今年、 ブランドの68%が人権 デューデリジェンス、49%が環境デ ューデリジェンスを実施するための アプローチを開示しました。 世界最大の衣料品輸入地域である EUに販売する大手ファッションブラ ンドは、 デューデリジェンス手続き の開示を法的に義務付けられる準 備を進めています。 人権および環境 デューディリジェンスのすべての指 標におけるパフォーマンスは、昨年 と比較して上昇しています。

主要ファッションブラン ドの49%が、環境デュ ーデリジェンス実施へ のアプローチを開示 これまで以上に多くのブランドが、 人権と環境のデューデリジェンス において、 デューデリジェンスへの アプローチ、影響を受けるステー クホルダーへのコンサルテーショ ンの方法、特定された顕著なリス ク、 これらのリ スクに対処するた めに取られた措置とその結果など を開示しています。 EUレベルでの CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)や CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)を含むデュー デリジェンスに関する今後の法整 備は、日本、 ドイツ、米国などでの同 様の取り組みと同様、 このような高 揚に寄与しています。 人権デューデ ィリジェンスでは、 ブランドが影響 を受けるステークホルダーとどの ように協議しているかを開示するこ とが最も顕著に増加しました(昨年 の26%から37%に増加)。 環境デュ ーデリジェンスでは、特定された顕 著な環境リスク、影響、違反の開示 が最も増加しています (2022年の 26%から37%に増加)。

しかし、良いニュースばかりではあ りません。 大手ファッションブランド は、 デューデリジェンスの結果や影 響よりも、社会的、環境的に特定さ れたリスクについて説明すること に、 まずはより真摯に取り組むべき です。 デューデリジェンスのプロセ スの透明性は基礎となるものですl が、 ブランドはその影響と結果も開 示することが不可欠です。 しかし、 多 くのブランドは、法的に義務づけら れるまで、 つまり、今後予定されて いる法律で義務づけられるまでは、 現状の対応へは消極的です。

主要ファッションブラン ドの68%が人権デュ ーデリジェンス実施へ のアプローチを開示

主要ブランドの半数 以上(51%)がサステ ナブルな素材に関す る目標を公表してい るが、サステナブルな 素材の構成要素に関 する情報を提供して いるのは44%に過ぎ ない 世界各国政府は、自社製品の環境 認証に関する企業の誤解を招くよ うな主張への対処のため、 ようやく 規制を導入しつつあります。 ファッシ ョン業界を規制する法律の波が押 し寄せているにもかかわらず、 サス テナブルな素材に関する目標を公 表しているファッションブランドは わずか51%に過ぎず、何がサステナ ブルな素材であるかを開示してい るブランドはさらに少なくなってい ます (44%)。 また、 これらの目標に 対する進捗状況を開示しているの は、わずか42%です。 この産業が環 境に与える最大の影響は、 エネル ギーを大量に消費する原材料の生 産、準備、加工に起因するものであ るため、 これは懸念すべきことです。

年間調達繊維の内訳 を開示しているブラ ンドはわずか29% そして、 各素材の実際の環境影響に 関するデータは常に不足しており、 その影響は素材がどこでどのよう に作られるかによっても異なります。 さらに、 年間調達繊維の内訳を開示 しているブランドは29%に過ぎず、 フ ァッション業界の繊維ミックスとそ の総体的な環境負荷の全体像を把 握するには至っていません。


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果概要

平均スコア

26% EXECUTIVE SUMMARY

2023年にレビューされた 250ブランドの総合平均スコア

セクション別 ポリシーと公約

36%

トレーサビリティ

把握・開示・改善

23%

25%

重点課題

18%

FASHION REVOLUTION

53%

ガバナンス

17


100

35 34

average score (%)

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

36

平均スコアの向上

36

34

2017年以降に参加したブランド 2018年以降に参加したブランド

34

2019年以降に参加したブランド 2020年以降に参加したブランド

33

2021年以降に参加したブランド

32

32

32

2022年以降に参加したブランド

31 30

30

30

EXECUTIVE SUMMARY

29

29

29

29

28

28 27 26

26

26

26

27 27

27

27

27

26 26 25

25 24

24

24

23

FASHION REVOLUTION 18

22

22

21

22

21

20

year 2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023


83%

高得点ブランド

80%

OVS

Gucci

73%

71% 66%

66%

PUMA

The North Face

Timberland

Vans

76%

Kmart Australia

Target Australia

United Colors of Benetton

H&M

EXECUTIVE SUMMARY

65%

66%

68%

76%

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果概要

C&A

低得点ブランド

ANTA

0% Belle

Youngor

0%

Tom Ford

0% Semir

<1%

New Yorker

<1%

Bosideng

0%

0% Van Heusen

Savage X Fenty

0%

Mexx

<1%

<1%

0% Metersbonwe

<1% Splash

Fashion Nova

Max Mara

KOOVS

0%

0%

K-Way

0% Heilan Home

0%

FASHION REVOLUTION

<1%

<1%

Big Bazaar – ffb 19


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

平均スコア

2022年以降のポイント上昇率

2017年から横ばい

-46% +21%

+19%

Armani Jil Sander Miu Miu Prada

+16%

Kate Spade s.Oliver

EXECUTIVE SUMMARY

COACH Abercrombie & Fitch Hollister Co.

+15%

+14%

-1%

-12%

Wrangler

0%

-11%

Esprit

<1%

-9%

Clarks Gildan

1%

-8%

Calvin Klein The Warehouse

2%

-7%

Tommy Hilfiger

-6%

Bosideng

-5%

Marks & Spencer ANTA Amazon Lidl Prisma

Sandro

+13%

Chloé Valentino

+12%

Diesel Marni

+11%

Levi Strauss & Co

FASHION REVOLUTION

Kaufland Ermenegildo Zegna Fruit of the Loom Russell Athletic Chanel Zalando TOPVALU COLLECTION boohoo PrettyLittleThing Kiabi Patagonia Converse Jordan Nike Pimkie

-4%

Champion Hanes Fjällräven Versace Michael Kors United Colors of Benetton

+10%

2022

Reebok

Gucci

+17%

20

2022年以降のポイント減少率

2023

2022

2023

2017

Triumph

Heilan Home Max Mara Walmart Banana Republic

2%

Gap

2%

Old Navy

2%

Express 2023


100

% of brands

一次製造業者

加工工程施設

52

原料サプライヤー

50 47

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

サプライヤーリストを公表している ブランドの割合

48

45 40 37

36

35

35

EXECUTIVE SUMMARY

40

32

32 30 27 24

25

20

15

18

19

14 11

12

2022 250 BRANDS

2023 250 BRANDS

10 7 5

5

0

0 2017 100 BRANDS

1 2018 150 BRANDS

year 2019 200 BRANDS

2020 250 BRANDS

2021 250 BRANDS

FASHION REVOLUTION

12

21


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果概要

重点課題

購買慣行および生活賃金

5% EXECUTIVE SUMMARY FASHION REVOLUTION 22

働きがいのある人間らしい仕事

41%

のブランドがサプライチ ェーンにおける人材紹介 料への取り組みを開示

6%

のブランドが、人材紹 介料または関連費用 の支払いによって影 響を受けたサプライ チェーン内の労働者 数を開示している

23%

のブランドが、現代奴 隷関連の違反の蔓延 とリスク要因に関する データを開示している

のブランドが、価格交 渉において人件費が 削られないようにする 方法を開示している

ジェンダーと人種の平等

36%

のブランドが自社事業 の男女賃金格差を開示

4%

のブランドが自社事 業における民族間賃 金格差データを開示

7%

のブランドは、サプラ イヤー施設における 人種的・民族的平等の 促進に焦点を当てた 行動を公表している

2%

のブランドは、人件費 が価格交渉によって 削られないよう確保 した上で発注した注 文数を開示している

28%

のブランドがサプラ イチェーン労働者の 生活賃金への取り組 みを公表している

1%

のブランドが、生活賃 金を支払っているサプ ライチェーン労働者 の数を開示している


12%

のブランドが、期限 付きで測定可能な サステナブル素材戦 略を発表している

のブランドが、製品修 理を提供している

44%

のブランドが「サステ ナブル」素材の定義に ついて説明している

気候変動と生物多様性

12%

64%

のブランドが、自社事 業(本社、小売店な ど)の年間カーボンフ ットプリントを開示

のブランドが、バリュー チェーン/スコープ3の カーボンフットプリント を毎年公表している

12%

のブランドが、森林破 壊ゼロに向けた期限 付きで測定可能な公 約を発表している

51%

水と化学製品

9%

6%

のブランドが、脱炭素化 への投資を表明している

のブランドが、生産 に占める石炭の割 合を公表している

1%

のブランドが、脱成長へ の公約を発表している

5%

のブランドが、循環経済 への公正な移行への取 り組みを開示している

3%

30%

のブランドが、原材 料レベルの年間ウォ ーターフットプリン トを公表している

のブランドが、有害 化学物質の使用 廃止に向けた公約 を発表している

FASHION REVOLUTION

43%

のブランドが、ScienceBased Target Initiative によって検証された、短 期および長期の脱炭素 化目標を公表している

EXECUTIVE SUMMARY

のブランドが、年間生産量 のデータを開示している

51%

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

過剰消費とビジネスモデル

サステイナブルな素材調達

23


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

ABOUT THIS INDEX 24

このインデックスについて


グローバルファッション業界の システム的な見直し

ファッションレボリューションでは、 環 境保全や回復、 成長や利益よりも人々 を大切にするグローバルなファッショ ン産業の実現を目指し、 キャンペーン を展開しています

Fashion Transparency Indexは、 このビジョンを達成するためのひと つのツールであり、私たちのマニフ ェスト8へ続きます。

マニフェスト #8

システムの 「中」 で働くということ は、持続不可能で、搾取的で、不公 正なシステムに深く関与するという ことですが、同意できないシステム の中で働くからといってそれを容認 することとは異なります。 それは、 不正と搾取を支える構造を根本的 に解決しようとする試みなのです。 これには不透明なサプライチェー ンが含まれ、人権侵害や環境侵害 が隠蔽されたままである一方で、効 果的な救済を確保する責任を誰が 負っているのかが不明瞭になって います。

私たちが不公正なファッションシス テムに関与するのは、 そうすること で変化を促すのに効果的だからで す。 私たちは、業界全体の透明性と 説明責任がバリューチェーン全体 に深く浸透するよう取り組んでいま す。 これは、本指標で検証されたブ ランドのような業界最大手の関与 によってのみ達成できるものです。 なぜなら、 ブランドの行動には悪影 響があり、 ブランドが蔓延させてい る問題に自身で取り組む責任があ るからです。 本指標でレビューする ブランドや小売業者の選定方法、 お よび小規模ブランドをレビューしな い理由について詳しくは、 こちらの Q&Aをご覧ください。

ファッションレボリューションは同 時に、市民の教育や 参加を促し、政 府や法律における政策変更を提唱 するために、 システムの 「外」 でも活 動している。 大まかに言えば、業界 の変革はシステムの 「中」 の仕事で あり、文化や政策の変革はシステム の 「外」 の仕事である。

FASHION REVOLUTION

ファッションは透明であり、説明責 任を果たす。 ファッションは明瞭で あることを受け入れ、複雑さの陰 に隠れたり、企業秘密に頼って価 値を引き出したりしない。誰でも、 どこでも、自分の服がどのように、 どこで、誰によって、どのような条件 で作られているかを知ることがで きる。

ファッションレボリューションは、 フ ァッション業界の「中」 と 「外」の両 方においてユニークな立場にありま す。 私たちは、政策の変化、文化の変 容、業界の変革という3つの主要な 方法で変化を達成するために活動 しています。

ABOUT THIS INDEX

私たちは、 バリューチェーン全体に わたって透明性と説明責任を果た す業界全体の文化、 すなわち、 ブラ ンドがその社会的・環境的に責任 を持つことが当たり前となり、特定 のサプライチェーンに対する責任を 「証明」 する必要のないグローバル ファッション産業を目指しています。

業界内外での果たすべき役割

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

私たちが見たい変化

25


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 ABOUT THIS INDEX FASHION REVOLUTION 26

ファッションシステムの「外」での活動

政策の変化

文化の変容

ポリシー変更の提唱とキャンペーンを行い、法律 の施行と業界の規制においてより積極的な役割 を果たすよう政府に影響を与える

世界のファッション産業が直面する社会的・環境的課題に ついて、人々の意識を高め、教育する。 世界中の人々を結 びつけ、集団行動を起こす。

具体例

具体例

世界中の繊維・衣料品労働者の生活賃金の実現を支援する 画期的なEU法を要求するため、同盟諸国と連携して 「Good Clothes Fair Pay」 キャンペーンを主導。

コーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令 (CSDDD)に関するJustice is Everybody’s Businessキャンペ ーン (JIEB)のコンサルティングやキャンペーン活動、企業持続可 能性報告指令(CSRD)に関するワークショップへの参加、EU繊 維戦略に関する連合への参加など。 coalition on the EU textile strategy

政策変更は長期戦であり、時間をかけた戦略的なロ ビー活動やキャンペーンが必要です。 そのためには、 舞台裏での長年にわたるたゆまぬ粘り強い活動が必 要です。 私たちの政策活動は、文化活動や産業活動に 比べると目立たないかもしれませんが、私たちの任務 の重要な部分を占めています。

「WhoMadeMyClothes」 「WhoMadeMyFabric」 「WhatsInMyClothes」のようなキャンペーンを展開し、衣 服が与える影響について世界的な議論を促進する。

ブランドへのEメールツールのように、人々が自分の声を使 って変革のために総動員するためのツールを作成する。

FutureLearnで 「ファッションの未来」 や 「サステナブルな開 発目標」など、 ファッションの社会的・環境的影響を探求する 無料オンラインコースを実施。

文化の変革は、 その性質上、 より目に見えやすいもので す。 それは、市民を巻き込み、一緒に行動を起こさせる ものです。 その目的は、消費者と生産者の間の障壁を取 り除き、消費量を減らし、品質を重視し、衣服をより大切 にし、変化をもたらすために自分達の声を届けるよう人 々をインスパイアすることです。


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ファッションシステムの「中」での活動

業界の変革

グローバルなファッション業界の社会的・環境的影響に光を当て、 ブラン ドの競争力を活用することで、 より迅速な変革を推進するための調査を 実施。

ABOUT THIS INDEX

具体例

透明性を奨励し、 サプライチェーン全体の説明責任を促進するため に、Fashion Transparency IndexとOut of Sightレポートを作成する。 業界の動きが遅すぎる箇所を指摘し、 より迅速な変化を促す。 市民の力によってブランドや小売業者に変化をもたらす。

Fahion Open Studio Initiativeを通じ、小規模で革新的なブランドやデザイ ナーを紹介、支持する。

Small But Perfect(スモール・バット・パーフェクト) プログラムを通じて、中 小ファッション企業が循環型かつ持続可能なモデルへの移行を加速させる。

詳しくはこちらを ご参照下さい。

FASHION REVOLUTION

業界の変革は、現在の不公正なシステムを変革することから始まりま す。 Fashion Transparency Indexを通して、私たちは世界最大級のファ ッションブランド、 つまり最も大きな責任を負い、 やるべきことが最も多 いブランドと直接関わり、 より早い前進を求めます。 私たちはまた、小規 模で責任感のあるブランドも支持しています。

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

変化を実現するための透明性の役割 透明性は、 ファッションレボリュー ションが目指すすべての変化(ポリ シー、 文化、 業界)を達成するため の基礎となるものです。

ABOUT THIS INDEX

ファッションのサプライチェーン、 ビ ジネス慣行、労働者、地域社会、環 境への影響について、信頼でき、包 括的で、比較可能な情報を公開す ることは、体系的な変革を推進する 上で極めて重要です。 透明性を確保 することで、投資家、議員、ジャーナ リスト、NGO、労働組合、労働者とそ の代表者は、 ブランドと小売業者の 説明責任を果たすことができます: •

• • FASHION REVOLUTION 28

人権問題や環境保護に取り組 んでいるという企業の説明を 精査する。

ブランドや小売業者に対し、 そ の方針や慣行について説明責 任を果たす。 特に、 ラナ・プラザ が崩壊したときの様な事態が 発生した時。 環境および人権侵害の停止、 緩和、防止、救済のための協 力。

これらの問題に関する戦略と ベストプラクティスを共有する ために協力。

透明性は変革のためのツールであ り、最終目標ではありません。 透明 性はベースラインであり、 それなし には世界のファッション産業におけ る説明責任とポジティブな影響に 向けて有意義に前進することはで きません。

透明性は、世界のファッション産業 が抱える複雑で深くシステマティッ クな問題をすべて解決する特効薬 ではありません。 しかし、透明性は 私たちの衣服が作られている場所 や状況を知る窓を提供し、私たちが より迅速かつ協力的に問題に対処 することを可能にしてくれます。 行 動を可能にする透明性の役割につ いて、影響を受けたステークホルダ ーや専門家の意見を69, 84, 92-93, 96, 97, 99-100, 102-103, 113, 121-122, 127, 136-140ページで お聞きください。 透明性は持続可能性と混同される ものではありませんが、透明性がな ければ、持続可能で説明責任を果 たし、公正なファッション産業を実 現することは不可能です。

透明性を求めるのは私たちだけで はありません。 私たちは、NGOやサ プライチェーン労働者を代表する 労働組合など、市民社会全体にわ たる多くの声のひとつです。 2021年4 月に発表され、Fashion Revolution を含む33のNGOが署名した、衣料 品セクターにおけるサプライチェー ンの完全な透明性を求めるこの書 簡をお読みください。

透明性 精査 説明責任 変革

今こそサプライチェーンの完全な透 明性が必要である。 市民社会組織と して、私たちはすべての衣料品ブラン ドと小売業者に対し、 そのサプライチ ェーンにおけるすべての施設を開示 するよう求める。 我々は、 すでにサプ ライチェーンの一部を開示している 企業による措置を歓迎し、完全な透 明化に向けた進捗を加速させるよう 奨励する。 私たちは規制当局に対し、 このような情報公開のための調和の とれた法律を制定し、 すべての衣料品 ブランドが同レベルの透明性にコミッ トすることを保証することで、公平な 競争の場を提供することを求める。


私たちは、 ファッション業界の変化の スピードの遅さに苛立ちを感じている コミュニティの多くの人々から話を聞 いてきました。 気候変動による緊急事 態や、 ファッション業界における人権 侵害の根強さを考えると、 多くの人々 が今、 緊急かつ体系的な変革を求めて います。 私たちは彼らの声を聞き、 不満 を共有します。

世界のファッション産業が直面する 社会的・環境的課題について、人々 の意識を高め、教育するための継 続的な取り組みを形成し、 この調査 を人々の活動主義に役立て、総力 を結集する。

世界最大かつ最も影響力のあるフ ァッションブランドや小売業者の人 権や環境問題に対する透明性の 傾向を分析し、 そのレベルを比較 する。

世界最大のブランドがどのような データや情報を開示しているかを、 幅広いステークホルダーがよりよく 理解し、 その結果を今後のアクショ ンに役立てるためのツールを作成 する。

FASHION REVOLUTION

Fashion Transparency Indexの目的 は、透明性そのものではありません。 その目的は、個人、活動家、専門家、 労働者代表、環境保護団体、政策立案 者、投資家、 さらにはブランド自身が、 大企業が行っていることを精査し、責 任を追及し、優れた事例を紹介し、変 革を現実のものとするために利用でき る情報の開示を奨励することです。 透 明性は終着点ではなく、 キャパシティビ ルディングへの入り口なのです。

主要なブランドや小売企業が、 その 競争傾向を活用することで、 より詳 細で比較可能なレベルのデータや 情報を毎年開示するよう促す。

ABOUT THIS INDEX

当面、世界のファッション業界の多く が不透明なままであり、実情が目に 見えないままである中、透明性を推 進することが必要であり、Fashion Transparency Indexが極めて重要な 役割を果たすと信じています。 私たち は、近い将来、業界が透明性だけでな く、他の重要な行動へと移行すること で、透明性を求めるキャンペーンが必 要なくなることを願っています。

FASHION TRANSPARENCY INDEXは 以下の目的で作成されました。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION TRANSPARENCY INDEXの 役割と目的

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 ABOUT THIS INDEX FASHION REVOLUTION 30

FASHION TRANSPARENCY INDEXが どのように変化を促すか FASHION TRANSPARENCY INDEX は、世界最大のブランドや小売業 者に社会的・環境的取り組みを公 表するインセンティブを与え、業界 内の透明性を正常化することで変 化を促してきました。2017年以降、 毎年レビューを受けたブランドは、 そのスコアが漸進的に上昇してい ることを証明しています。 私たちがこの調査を始めた2016 年当時、工場リストを公開して いるブランドはほとんどありま せんでした(40ブランド中5ブラ ンド、12.5%、そして現在、世界 最大手ブランドの250ブランド 中129ブランド(52%)が、製造 の第一段階でサプライヤーリス トを開示しています)。私たち は、 Transparency Pledge Coalition や Open Supply Hubなど、志を同じくする盟友と 連携して透明性の向上を強く推し 進めることで、この重要な業界の 転換を実現しました。

例えば、WikiRateとのパートナー シップにより、私たちが収集したブ ランドに関するデータに自由にア クセスでき、容易に比較可能で、機 械可読性があり、そして極めて重 要なことは、行動を起こすことが できるということです。これは、こ の透明性データを活用する投資家 や、衣料品労働者を代表する労働 組合を含む市民社会組織にとって 貴重なものです。31-32ページのケ ーススタディで、透明性データがど のように環境侵害に対処し、ブラ ンドに説明責任を果たすために利 用できるかをご覧ください。

2017年以降、前年比で レビューされたブランド は、 スコアが漸増した。 このインデックスの調査結果 は、Business & Human Rights Resource Centreのブランド・ダ ッシュボードと企業年金プラットフ ォームMatterに統合されています。 両プラットフォームは、投資先企業 のESGスコアリングにFTIデータを 組み込む投資家によって利用され るようになっています。FTIの方法 論と調査の一部は、倫理観の高い 消費者が使用するGood On Youア プリや、生活賃金に関する企業の 主張を労働者の賃金明細書と比較 するFashionChecker.orgに統合 されています。 さらに、数十億の資産を運用する 世界最大の投資会社の多くが、ポ ートフォリオ全体の日常的なリスク 管理やベンチマークの一環として Fashion Transparency Index の データを活用しています。

分析会社がどのようにFTIを 活用するか

金融関係者がFTIを 「FASHION TRANSPARENCY INDEX (FTI)は、 FTIは、 かつては周 活用する方法 粘り強さを証明するものです。 辺的な概念であったサプライヤーリストの開示を

「ファンド・マネージャーとして、 私たちは、環境および社会的リ スクの管理でそのセクターをリ ードしている企業や、 マイナスの 影響の削減で前進している企業 を特定することに関心がありま す。FTIは、非常に貴重で詳細な 洞察を提供し、多数の企業のパ フォーマンスを比較し、優れたデ ータ機能を備え、セクターの主 要リスクを理解しています。ファ ッション業界は、グリーンウォッ シュの常習犯であり、FTIのよう なデータは、投資家やその他の 主要なステークホルダーに対す る透明性と説明責任の強化に役 立ちます。」 2000億ポンド以上の資産を運用する 大手投資会社のファンドマネージャー

主流化し、 そうすることで業界の認識を変えまし た。 以前は商業上の機密事項とみなされていた この透明性は、現在ではグッドプラクティスとし て広く受け入れられています。 この指標はまた、 現代的奴隷制を支えている原動力にレーザーを 当て続けてきました。 例えば、迅速な支払条件、 団体交渉の適用範囲、人材紹介料の特定などで す。 また同時に、持続可能性報告書の情報過多 を問題視しています。 モーニングスター・サステ ナリティクスは、 アパレル・セクター(並行して建 設セクターも)に焦点を当てた、現代奴隷制に関 する共同投資家エンゲージメントを主導してい ます。 この指標は、 ファッションが倫理的で責任 あるサステナブルな企業として賞賛されるため に、 このセクターが取り組むべき構造的要因に 焦点を当て、 それについて開示しています。 前途 は険しいと感じることも多いでしょうが、FTIのよ うなイニシアティブがファッションのこのビジョン を現実のものにしてくれると確信しています。 」 アニタ・ナガラジャン

アソシエイト・ディレクター

モーニングスター・サステナリティクス


SOURCE: PATRICK SCHNEIDER ON UNSPLASH

アパレル・繊維クラスターにおける 水のリスクと機会 透明性はファッション業界におい て極めて重要な役割を担ってお り、利害関係者が十分な情報を得 た上で意思決定を下し、信頼を育 み、倫理的慣行を促進する。

て重要です。 水に関連する影響は、 社会、経済、環境に深刻な影響を及 ぼす可能性があるため、水リスクを 理解し、協力して対処することは、 業界の長期的な持続可能性と回復 力にとって極めて重要です。

ここでのリスクと機会の特定によっ て、WWFは次の報告書で提示する 予定のウォーター・スチュワードシ ップ戦略を可視化することができ ました。 この作業は、正確で最新の 情報にアクセスすることで、利害関 係者が十分な情報を得た上で意思 決定を行い、潜在的なリスクに対 処し、倫理的な慣行を守ることがで きることを例証しています。 透明性 を確保することで、業界は信頼を築 き、説明責任を果たし、関係者全員 にとってサステナブルで公正な未 来を目指すことができます。

ABOUT THIS INDEX FASHION REVOLUTION

2022年、世界自然保護基金 その一例が、Open Supply Hub (WWF)は、 アパレル・繊維産業が の利用である。 このハブでは、生産 水リスクにさらされていることを調 施設に固有のID番号が割り当てら 査した報告書を発表し、 クラスター れ、事業体間の情報伝達・共有方 が水問題に対処するために集団的 法の標準化を促進するのに役立っ 行動を起こしている場所を共有す ています。 これは、多くの新しい法 ることで、 クラスター間の学習と協 案で情報の開示が求められている 力の機会を強調しました。 空間分析 中、非常に重要な取り組みとなって であるWWFウォーター・リスク・フ きています。今年、我々の調査結果 ィルターとOpen Supply Hubのデ によると、52%のブランドが一次製 ータを組み合わせることで、 アパレ 造業者のリストを公表している一方 ル・繊維産業クラスターは、国全体 で、Open Supply Hubでサプライ に広がっているのではなく、工業化 ヤーリストを公表しているのはわず の歴史がある主要都市部を中心と か25%でした。 このような透明性の した小さな地域に集中しているこ 欠如は、不確実性の余地を残し、社 とが明らかになりました。 最も緊急 会・環境問題に対する業界の説明 性の高い水リスクに基づいてクラス 責任に疑問を投げかけています。 ターを組織化することで、環境保護 団体は、 これらのリスクに対処する 最も差し迫った問題のひとつは、水 のような天然資源の過剰消費です。 ための最も効果的な解決策に関す る知識を交換することができます。 水はすべての生命にとって不可欠 な資源であり、共有されなければな 例えば、WWFはOpen Supply Hub りませんが、 その希少性、分布、気 を通じて、 ホーチミン市のクラス 候変動や生物多様性といったさま ターから調達しているブランド ざまな問題との相互関連性から、 を特定することができ、Adidas、 複雑な課題を突きつけています。 フ Anonymous、Columbia、Gap ァッション産業は、河川水系や湿地 Inc、ファーストリテイリングが、 この 帯、 デルタ地帯など、水と結びつい リスクを助長している可能性を示し た地域で生まれ、 その後、世界最大 ました。 この場合、 アパレル・繊維産 の都市へと発展してきました。 バリ 業と情報通信技術(ICT)産業は、立 ューチェーン全体を視野に入れる 地が共通しているだけでなく、 サプ ことは、特に原材料や加工段階に おいて、水問題に取り組む上で極め

ライチェーン・マネジメントや、共通 のサプライヤーとの協働作業から 得られる知見にも共通点がありま す。 取り組みをクラブ化することで、 リソースを共有することができ、 より 迅速に問題に対処し、 より広範囲に 影響を及ぼすことが期待されます。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

CASE STUDY

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 ABOUT THIS INDEX FASHION REVOLUTION 32

CASE STUDY

なぜ皮革産業に透明性が必要なのか 分娩牛の農場からブランドや小売 店の棚に並ぶまで、 皮革のサプラ イチェーンは長く複雑です。 その最 大の課題のいくつかは、 透明性の 欠如と森林破壊との関連であり、 こ の問題は特にブラジルで憂慮され ています。 牧畜業はアマゾン熱帯雨林の森林 破壊の最大の要因であり、2021年 には、牧草専用地域がこの地域の 森林破壊の約90%を占めると推定 されています。 ブラジルの皮革産業 は約11億米ドルの収益を上げてお り、 その80%が約80カ国に輸出さ れています。 たとえば、皮革製品で 知られるイタリアは、 ブラジルの牧 場から部分的に加工された皮を輸 入する第2位の国です。 また、 ブラジ ルにおける森林伐採のほとんどが 違法に行われていることを示す証 拠もあります。 Stand.earth調査グル ープは、各国の企業とアマゾン熱帯 雨林の森林伐採とのサプライチェ ーン上のつながりを調査するため、 複数の情報源から入手した約50万 行の税関データを分析し、 相互参照 しました。 これまでの調査で、企業( ブラジルの皮革なめし工場、各国の 皮革加工業者、製品メーカー、世界 中の靴/ファッションブランド)とア マゾンの森林伐採との間に400の 個別のつながりがあることが判明 し、 これらのつながりは100以上の ブランドに関係しています。 個々の つながりは、 それらのブランドが森 林伐採革を使用しているという絶

対的な証拠にはなりませんが、多く のブランドが熱帯雨林の破壊に貢 献する危険性が非常に高いことを 示しています。

透明性とトレーサビリティの欠如 が、特定のハンドバッグや靴、衣料 品に使われている革が実際にアマ ゾン産なのかどうかを確認するこ とを困難にしています。 アマゾン環 境研究所(IPAM)が欧州連合の支 援を受けて行った調査によると、革 のサプライチェーンのトレーサビリ ティをめぐる主な課題のひとつは 透明性です。 例えば、公的データベ ースは、 トレーサビリティの取り決 めを効率的に行うための透明性、 標準化、文書の統合に欠けていま す。 また、透明性フォーラムやイニシ アティブへの生産部門の参加はま だ限られており、皮革生産チェーン のすべての施設間の情報の統合は 弱いのです。

透明性とトレーサビリティは森林破 壊を抑制するための基本であり、 こ れがなければ、 いかなる企業もそ のサプライチェーンに森林破壊が ないことを保証することはできませ ん。 原材料サプライヤーの全リスト をマッピングし、公開する能力は、 環境と人権に関するデューデリジェ ンスを実施する上で極めて重要で す。 透明性の確保には集団行動が 必要であり、大手ブランドや小売企 業が環境・社会・品質リスクを低減 するための説明責任を果たすとと もに、社会全体とのコミュニケーシ

SOURCE: PAT WHELEN ON UNSPLASH

ョンを強化するツールとしての役割 を果たします。 サプライチェーンが 透明であれば、森林破壊が隠れる 場所はどこにもありません。


FASHION REVOLUTION 33

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査の方法と範囲


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ブランド参加

ブランド参加とは

ブランドと小売業者の選定基準

FASHION TRANSPARENCY INDEXは世界的に主流な250のフ ァッションブランドと小売業者を調 査しランク付けしたものです。 ブラ ンドの選定には次のような基準を 用いました。 年間売上規模が4億USドル (約590億円)以上である*

ハイストリート、 ラグジュアリ ー、 スポーツウェア、 アクセサ リー、 フットウェア、 デニムを 含む幅広い市場セグメント を代表している ヨーロッパ、北アメリカ、南 アメリカ、 アジア、 アフリカな どグローバルな地理的広が りがある *注:非上場企業の場合は、 ブランド に関する公開情報に基づいて売上 高を推定しています。

このインデックスで評価を受けたブ ランドは、 アパレル産業において大 規模かつ影響力がある消費者ブラ ンドです。 人権や環境に対するマイ ナスの影響も大きく、 その改革を推 進していく責任がある存在と言えま す。 彼らは他の産業と比較しても非 常に規模が大きく、世界的に裕福な オーナーやCEOをトップに据え、高 い収益性を上げるブランドです。 経 営者たちは透明性を高めるだけで なく、人権の向上や環境へのインパ クトについても取り組み、 ビジネス モデルの中核に据えた行動を起こ すべきです。 私たちが多国籍企業を 対象としている理由についての詳 細はQ&Aをご覧ください。

企業名の表記に際し、親会社 の名前やグループ会社を用い ず敢えてブランド名を使用した のは、 その方が一般的に馴染 みがありよく知られているから です。 しかしながら、H&Mグルー プ、Inditex、PVH、Hudson’s Bay Companyなど大きなグループ会社 の傘下にあるブランドについては、 本インデックスで名前が表記されて いるかにかかわらず、 グループ企業 の全てのブランドがスコアに反映 されていることにご注意ください。 ( ただし、同じグループ内でもブラン ドによって開示内容が異なる場合 は、 ブランド別にスコアを集計して います。 )

今年は、調査対象となったブラン ドと小売業者の61%がアンケート に回答し、昨年の62%から減少し ました。 とりわけ、昨年インデック スに参加した4ブランド (Reebok, Billabong, Roxy and Quiksilver) が、 インデックスに含まれる9ブラン ドの親会社の(我々がレビューす るブランド全体の4%)Authentic Brands Groupに買収されまし た。 Authentic Brands Groupのよ うな不透明な管理会社に買収さ れ、 ブランドと親会社とのウェブサイ トの繋がりが確立されていないた めに、透明性のスコアが55ポイント も低下したブランドもあります。 この ことは、誰が最終的にファッション を支配し、責任を果たしているのか という疑問を投げかけます。 なぜフ ァッション業界の多くは、 これほど 少数の企業によってコントロールさ れているのでしょうか? 参加表明がない場合もそのブラン ドをインデックスに掲載し、 どのブ ランドも一様に公正に扱っていま す。 とはいえ、回答を済ませたブラン ドが高いスコアを得る傾向にある のは、調査員が見落とした関連情 報を彼ら自身が補足することがで きるからでしょう。

Fashion Revolutionは、毎年 FASHION TRANSPARENCY INDEX の調査サイクルの開始時、通常11 月に全250ブランドと連絡を取りま す。 この段階で、私たちは調査方法 のアップデートを伝え、参加を呼び かけ、興味がある、もしくは辞退す る旨を返信してもらいます。

参加することで、 ブランドは事 前に入力したアンケートを見直 し、Fashion Revolutionのリサー チチームが最初のレビューで見落 としたかもしれないギャップを埋 めることができるのです。 FASHION TRANSPARENCY INDEX の調査 員は、 アンケート用紙にコメント を残し、 ブランドに対して、開示内 容の更新や特定の開示が何を意 味するのかを明確にするなどの質 問をします。 このプロセスは、 ブラ ンドにとって改善するチャンスとな るものです。ブランドからアンケー トに沿ったフィードバックやさらな る情報が提供されると、FASHION

今年の 参加ブランド数

TRANSPARENCY INDEX の調査 員は、私たちの方法論に沿った開 示が受け入れられる理由や受け 入れられない理由をブランドへフ ィードバックしています。 これが、 参加による付加価値です。 一般的 に、FASHION TRANSPARENCY INDEX 調査チームが、業界のベス トプラクティスに沿ってより多くの 情報を開示するよう働きかけるこ とができるため、参加したブランド は年々高いスコアを獲得すること ができるのです。 今年は、12ブラン ドが初めてインデックスに参加し ましたが、全体の参加率は62%か ら61%へと減少しました。 ブランド が毎年参加している他のインデッ クスやレポートの数が多いにもか かわらず、 インデックスの参加率は 前年比で増加しており、FASHION TRANSPARENCY INDEX が優先的 にカレンダーに記される年次レポ ートであることを示唆しています。

38% 回答なし

61%

全ての質問に

回答

1%

参加を辞退


Heilan Home Helly Hansen (Canadian Tire Corporation)  HEMA  Hermès Hollister Co. (Abercrombie & Fitch)  Hudson's Bay (Hudson's Bay Company) Hugo Boss  Intimissimi (Calzedonia Group)  Ito-Yokado (Seven & i Holdings Co) Jack & Jones (BESTSELLER)  Jack Wolfskin (Calloway Golf Company)  JD Sports Jil Sander (Onward Holdings)  Jockey Joe Fresh (Loblaw Companies Limited)  John Lewis  Jordan (Nike, Inc.)  K-Way Kate Spade (Tapestry, Inc.)  Kathmandu  Kaufland Kiabi KiK  Kmart (Sear Holdings) Kmart Australia (Westfarmers)  Kohl's KOOVS La Redoute (Galeries Lafayette Group)  Lacoste (Maus Frères)  Lands' End  LC Waikiki Levi Strauss & Co  Li-Ning Lidl  Lindex (Stockmann Group)  LL Bean Longchamp Louis Vuitton (LVMH)  Lululemon  Macy's (Macy's Inc.) Mammut (Telemos Capital Limited)  Mango  Marc Jacobs (LVMH)  Marks & Spencer  Marni (OTB Group)  Massimo Dutti (Inditex)  Matalan  Max (Landmark Group) Max Mara Merrell (Wolverine World Wide, Inc.)

Metersbonwe Mexx Michael Kors (Capri Holdings)  Miu Miu (Prada Group)  Mizuno  Moncler Monoprix (Groupe Casino) Morrisons (Nutmeg)  MRP Muji (Ryohin Keikaku Co.)  New Balance  New Look  New Yorker Next  Nike (Nike, Inc.) Nine West (Authentic Brands Group LLC) Nordstrom  Old Navy (Gap Inc.)  Otto (Otto Group) OVS  Paris (Cencosud)  Patagonia  Pepe Jeans Pimkie Prada (Prada Group)  PrettyLittleThing (boohoo group plc)  Primark (Associated British Foods plc)  Prisma (S Group) Pull&Bear (Inditex)  Puma  Quiksilver (Boardriders) Ralph Lauren  Reebok (Authentic Brands Group LLC) REI  Reliance Trends (Reliance Retail) Reserved (LPP)  REVOLVE River Island  Romwe (Shenzen Globalegrow E-Commerce Co., Ltd.) Ross Dress for Less Roxy (Boardriders) Russell Athletic (Fruit of the Loom) s.Oliver  Sainsbury's (Tu Clothing)  SAINT LAURENT (Kering)  Saks Fifth Avenue (Hudson's Bay Company) Salvatore Ferragamo  Sandro (SMCP)  Savage X Fenty  Semir (Semir Group)

SHEIN  Shimamura (Shimamura Co., Ltd.) Skechers Speedo (Pentland Group)  Splash (Landmark Group) Sports Direct (Frasers Group) Steve Madden Stradivarius (Inditex)  Superdry  Takko Target  Target Australia (Westfarmers)  Tchibo  Ted Baker  Tesco (F&F Clothing)  Tezenis (Calzedonia Group)  The Children's Place The North Face (VF Corporation)  The Warehouse Timberland (VF Corporation)  TJ Maxx (TJX) Tod's Tom Ford Tom Tailor  Tommy Bahama (Oxford Industries, Inc.) Tommy Hilfiger (PVH)  TOPVALU COLLECTION (AEON) Tory Burch Triumph  Truworths UGG (Deckers Brands)  Under Armour Uniqlo (Fast Retailing)  United Arrows  United Colors of Benetton  Urban Outfitters (URBN)  Valentino  Van Heusen (Authentic Brands Group LLC) Vans (VF Corporation)  Vero Moda (BESTSELLER)  Versace (Capri Holdings)  Very (The Very Group)  Victoria's Secret (L Brands) Walmart (Walmart Inc.) Woolworths South Africa (Woolworths Holdings Limited)  Wrangler (Kontoor)  Youngor Zalando  Zara (Inditex)  Zeeman 

FASHION REVOLUTION

Chloé (Richemont)  Clarks COACH (Tapestry, Inc.)  Columbia Sportswear  Converse (Nike, Inc.)  Cortefiel (Tendam)  Costco Cotton On (Cotton On Group) Decathlon (Association Familiale Mulliez)  Deichmann Desigual  Dick's Sporting Goods Diesel (OTB Group)  Dillard's Dior (LVMH)  Disney (The Walt Disney Company) DKNY (G-III Apparel Group) Dolce & Gabbana Dr. Martens (Permira)  Dressmann (VARNER)  DSW (Designer Brands) Eddie Bauer (Authentic Brands Group LLC) El Corte Inglés  Ermenegildo Zegna  Esprit  Express Fabletics  Falabella Famous Footwear (Caleres) Fanatics (Kynetic)  Fashion Nova Fendi (LVMH)  Fila  Fjällräven (Fenix Outdoor)  Foot Locker Foschini (TFG)  Fossil (Fossil Group, Inc.)  Free People (URBN)  Fruit of the Loom (Fruit of the Loom) Furla G-Star RAW  Gap (Gap Inc.)  Gerry Weber Gildan  GU (Fast Retailing)  Gucci (Kering)  GUESS  Gymshark  H&M (H&M Group)  Hanes (HanesBrands Inc.) 

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

Abercrombie & Fitch (Ambercrombie & Fitch)  Adidas (Adidas AG)  Aeropostale (Authentic Brands Group LLC) AJIO (Reliance Retail) ALDI Nord (ALDI Einkauf GmbH & Co. oHG)  ALDI SOUTH (ALDI Einkauf GmbH & Co. oHG)  ALDO (The Aldo Group Inc.)  Amazon (Amazon.com, Inc.)  American Eagle  ANTA Anthropologie (URBN)  Aritzia  Armani (Giorgio Armani S.p.A)  Asda (George.) (TDR Capital)  ASICS  ASOS  Balenciaga (Kering)  Bally (JAB Holding Company)  Banana Republic (Gap Inc.)  BCBGMAXAZRIA (Marquee Brands) Beanpole (Samsung C&T) Belle Bershka (Inditex)  Big Bazaar – ffb (Future Group) Big W (Woolworths Group)  Billabong (Boardriders) Bloomingdale's (Macy's Inc.) Bonprix (Otto Group)  boohoo (boohoo group plc)  Bosideng Bottega Veneta (Kering)  Brooks Sports (Berkshire Hathaway)  Brunello Cucinelli Buckle Burberry  Burlington  C&A  Calvin Klein (PVH)  Calzedonia (Calzedonia Group)  Canada Goose  Carhartt Carolina Herrera (Puig)  CAROLL (Vivarte) Carrefour Carter's (Carter's Inc)  CELINE (LVMH)  celio Champion (HanesBrands Inc.)  Chanel Chico's

 participated in brand questionarire

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ブランド一覧(アルファベット順)

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH FASHION REVOLUTION 36

調査範囲 我々は、開示による透明性という点 に敢えてフォーカスしました。 もし ブランドの開示する情報やデータ が詳細かつ具体的であればどうで しょう。 労働組合や環境団体、投資 家、消費者やブランドそのものを含 む多くのステークホルダーは、人権 や環境問題にポジティブな変化を もたらすためにこれらを利用するこ とができます。 これこそ我々が求め るところであり、 このインデックスは 主要ブランドに圧力をかけ、鼓舞す ることを目的としています。

限られて閉ざされた開示は、変革 の範囲を狭めます。 情報を広く世の 中に伝えることで、社会的な説明責 任を果たすことができます。 よってこ のインデックスでは、 ブランドや小 売業者が、公開はしていないが社 内やサプライチェーンの裏側で行っ ていると主張していることは、敢え て除外しています。 開示リスクがさ ほど高くないブランドポリシー、手 順、ガバナンスといった情報開示も 求めますが、 それよりも活動の結果 や過程、成果、もたらされる影響と いった、意味のある情報公開を我々 が追求するのもそれが理由です。

測定の対象となるもの Fashion Transparency Indexは、ブランドが自らの企 業活動のもたらす人権問題や環境問題へのインパクト をどのように把握し、またそれを開示 しているのかを 測定します。

信用に足るとみなすのは、バリューチェーン全体の人権 と環境問題に関する主要ブランドのポリシー、手順、パ フォーマンス、進捗状況の公開情報・データのみです。 ポイント付与の対象となったのは、ブランドやその親会 社のウェブサイトに掲載された公開情報についてのみ です。

情報やデータは以下のところから入手できなけれ ばいけません。 ブランドや親会社のウェブサイト

メインのブランドまたは親会社のウェブサイトから直接 リンクされているサステナビリティ/CRマイクロサイト

ブランドまたは親会社のウェブサイトで公表される年 次報告書または年次サステナビリティ報告書(2021年1 月以降の日付のもののみカウント); ブランドまたは親会社のウェブサイトから自由にダウン ロードでき、一般に公開されているその他の文書 ブランドまたは親会社のウェブサイトからア クセスできるウェブリンクがある第三者のウ ェブサイト(例:Bangladesh Accord、Better Work、CDP、FLA、ETI、BSCI/Amforiのウェブサイト) ただし、特定の開示が見られる場合に限る。

測定の対象とならないもの

我々は以下を情報源としません

Fashion Transparency Indexはインパクトの測定はし ません。あくまで測定の対象は公開されている情報で す。

商品に付属しているラベルまたはタグ

ブランドや小売業者による主張について、それらを 検証 することはこの調査の範囲外ですが、ステークホルダー が私たちの調査結果を用いてブランドにその主張をし っかりと遂行させることを推奨します。 Fashion Transparency Indexは倫理性やサステナビリ ティの測定はしません。インデックス内のブランドを支 持したり、ランキングに基づいた特定のブランドでの買 い物を消費者に提案したりすることはありません。これ はショッピングガイドではありません。

情報源:

店内またはその他の場所で取得しうる情報 スマートフォンアプリ

ソーシャルメディアチャンネル

ブランドサイトからのリンクがない、第三者のウェブサイ トまたは資料(プレス記事を含む) ブランドのウェブサイト上でリンクのないダウンロード 可能なドキュメント


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査プロセス AUGUST

SEPTEMBER

OCTOBER

NOVEMBER

手法のアップデートを行う

産業調査とステークホルダーとの協議を重ねた上で、新しい重 点課題の選定と、指標の考案、 そのほかの細かい調整を行いま した。 ブランドに依頼するアンケートの準備を進め、同時に、2020 年から2021年の間に年間売り上げ額が基準値に届かなかった 又は撤退したブランドに代わり、新たに調査すべき4つのブランド を追加しました。

JANUARY

12月-1月

選定したブランドと小売業者 を調査する

調査チームはそれぞれのブラ ンドを調査し、公開されエビデ ンスのあるものについて事前 にアンケートに入力をし、暫定 的に採点しました。 この段階 で、 ブランドには今年のインデ ックスに含まれていることを伝 達し、参加を打診しました。

FEBRUARY

MARCH

2月上旬

データのクオリティ を確認する

APRIL

3月下旬

ブランドが回答したア ンケートを返却する

最低2名以上の調査 リーダーにより、全 250ブランドにおけ る各指標のアンケー トについて、内容の 正確さと一貫性をチ ェックしました。

参加を取り決めたブ ランドは、記入済みア ンケートを返却。 調査 チームは回答を確認 し、十分な情報開示 がなされている部分 に関して追加スコア の採点をしました。

2月下旬

3月下旬〜4月

ブランドがアンケー トを受け取り、完成 させる

JUNE

5月初旬〜6月下旬

データ集計、分析、 レポートの 作成

各ブランドのアンケート内容 を順番に並べ、1つの大きな 完全データにまとめました。 このデータは、最終結果の分 析、前年比の進展の判断、 ま た注目すべき内容を抽出する ために用いました。 最終得点 は、公開直前にブランドに通 知しました。

調査チームは設問と スコアの最終決定を する前に、数回に渡り 査読をし、情報の精度 を確認しました。 FASHION REVOLUTION

ブランドには約1ヶ 月間で、調査員が見 逃した情報を確認 し、 アンケート内容 の不足を補ってもら いました。

回答内容の評価とデ ータの精度チェック

MAY

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

8月-11月

DECEMBER

2023

2022

スケジュール

37


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査方法について Fashion Transparency Indexは、 人権や環境問題に関する情報開示 について、以下の5つの主要分野の 基準に従って評価します。

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

1. ポリシーと公約 2. ガバナンス

3. サプライチェーンのトレーサビリティ 4. 把握・開示・改善 5. 今年の重要課題 •

ジェンダーや人権の平等性

サステナブルな調達と材料

水と化学物質

FASHION REVOLUTION 38

働きがいのある人間らしい仕事:強 制労働、生活賃金、購買慣行、労働 組合と団体交渉

過剰消費、ビジネスモデル、廃棄と 循環性 気候変動、化石燃料と生物多様性

調査方法に関する 諮問委員会 GRI、 オープンデータ・スタンダー ド、国連指導原則、SDGs、OECD の適正評価手続き、国際労働条約 などの既存の国際基準やフレー ムワーク、ACT、CHRB、Know The Chain、Transparency Pledgeなど の基準やイニシアティブと可能な 限り整合させるよう努めています。 また、 オープン・リサーチ・プラット フォームであるWikirateとのパー トナーシップを通じて、他の基準で も調査を実施しています。 今年は、 昨年と比較して14の指標を追加し ました。 また、ベストプラクティスに 沿うよう、 いくつかの指標の表現を わかりやすく更新しました。 アンケ ートのテンプレートをダウンロード すると、 これらの変更点が赤字で 表示されます。 赤字で表示されて いる指標は、 まったく新しい指標で あることを示しています。 スコアの ウェイトは、詳細できめ細かな情報 公開を奨励するように設計されて います。 その意図は、結果、成果、影 響、 そして外部のステークホルダー がブランドの説明責任を果たすた めに使用できる最も実用的なデー タに最も重点を置くことです。

この調査方法は2017年、様々な業 界の専 門 家やステークホルダー( 研究職、貿易運動団体、市民社会 組織、社会的責任投資、 ビジネスコ ンサルティング、ジャーナリズムな ど)と共に、4ヶ月の歳月をかけ協 議をしたのちデザインされました。 今年は、20名以上の専門家や組織 を含むプロボノチームの手により、 重 要 なアップデートを行っていま す。 チームは右の通りです。


ペンシルバニア州立大学 国際労働者権 利センター センター長・博士

Neil Brown

GIB 評価マネジメント部長

Gary Cook

Stand.earth 地球気候運動ディレクター

Ellen MacArthur Foundation Make Fashion Circular 指揮

Joe Sutcliffe Dignified Work CARE International シニアアドバイザー Urksa Trunk

Fiona Gooch

Changing Markets キャンペーンディレ クター

Christina Hajagos-Clausen

Changing Markets キャンペーンマネ ージャー

The Fairtrade Foundation コットン・ 繊維部門長 Traidcraft Exchange シニア個人部門ポ リシーアドバイザー

Nusa Urbanic

George Harding-Rolls

Global Fashion Agenda

Alessandra Mezzadri SOAS 開発学 上級講師

Rohan Preece

Traidcraft India ージャー

ビジネスと人権マネ

Kratika Choubey

Traidcraft India ビジネスと人権アソ シエートマネージャー

Hidden Homeworkers Project Louise Nicholls

Suseco Limited マネージングディレ クター

IndustriALL Global Union 繊維・衣服 産業ディレクター

サプライチェーンコンサルタント

Good On You 評価部門長

ZDHC エグゼクティブディレクター

European Climate Foundation プロ グラムマネージャー、クリーンエネルギー 需要マネージャー

ZDHC推進ディレクター

コンサルタント

Kristian Hardiman David Hachfeld

Public Eye Clean Clothes Campaign 専門家

Aruna Kashyap

Human RIghts Watch アソシエートディ レクター(コーポレートアカウンタビリテ ィ)経済的公正と権利部門

Kate Larsen

ビジネス・人権コンサルタント

Hester Le Roux

Policy & Advocacy CARE International 経済シニアアドバイザー

Emily MacIntosh

Maya Rommwatt

Stand.earth ファッション気候活動家

Francois Souchet

Frank Michel

Klaas Nuttbohm

Olivia Windham Stewart

ビジネス・人権スペシャリスト

Katie Shaw

Open Apparel Registry プログラム最 高責任者

Kaarina Kolle

Joseph Zacune

Pauline Op De Beeck

Apparel Sector Lead ヨーロッパ営業 部長

Laura Balmond

Ellen Macarthur Foundation Make Fashion Circular リード

Anna Bryher

Labour Behind the Label 提唱ディレ クター

Chloe Rollscane

Canopy Global リサーチャー

FASHION REVOLUTION

European Environmental Bureau 繊 維部門ポリシー担当者

Ben Vanpeperstraete

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

Subindu Garkhel

Changing Markets キャンペーンアドバ イザー

Holly Syrett

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

Dr Mark Anner

39


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH FASHION REVOLUTION 40

調査の限界

調査結果の算出方法

データは2023年4月11日時点のも のです これ以降にブランドが情報開示また は撤回、 その他エビデンスへのリンク が機能しなくなったなど、状況が変わ る可能性もあります。

このレポート内での代表値 全てのスコアは小数点以下2桁ま (average)は、平均値(mean)を指 で計算された後、最終的に四捨五 します。 入してパーセンテージに置き換え られています (本報告書に記載され 全250ブランドの総合平均スコアは、 ています)。 全ブランドの個別最終スコアの平均 を取ることで算出されます。 それぞれのブランドのトータルスコ アを算出するために、5つの異なる 特に明記されていない限り、前年比 セクションに分けて点数配分を行 との差は変化率ではなく、実際の変 いました。 それぞれのセクションの 化量をパーセンテージとして表記し ウェイトは異なっており、必ずしも ています。 均等ではありません。 : 例えば、 ある年に30%のスコアだっ • セクション1: 33/250ポイント たブランドが翌年45%となった場 合、50%の増加(45/30=1.5) ではな • セクション2: 11/250ポイント く、15%の増加(45-30=15)としてい • セクション3: 74/250ポイント ます。 • セクション4: 42/250ポイント

2023年に調査方法を変更したこと で、対前年との比較をしたとき結果に 何らかの影響が及ぼされる可能性が あります。 そのことを念頭におきなが ら年度別の比較をしてください。 主に机上にて行われる調査は人の手 によってなされており、調査チームの 人為的ミスも起こり得ます。

ブランドが公開している主張自体を 検証するところは、 この調査の範疇で はありません。 実態とブランドの主張 があまりに相容れない場合、現場の 権利所有者と専門家のみがブランド に責任を追求することができます。 我々は、主要ブランドの実用的な情 報の公開に関して、 この調査方法は 包括的で強固なものであると自信 を持っています。 調査チームは、250 のブランドすべてにわたって可能な 限り、徹底的に慎重に、客観的かつ 一貫性のあるものになるよう最善 を尽くしてきました。 とはいえ、 この 調査をさらに良いものにするため、 皆様からの貴重なご意見やフィード バックは以下のEメールアドレスに ご連絡ください。 transparency@fashionrevolution.org

ブランドへのアンケート内容

セクション5: 90/250ポイント

258 指標 250 ブランド 64,500 データポイント

このリンクからブランドへの2023年 のアンケート内容、 フルデータとプ ログレスレポートををダウンロード できます。

前回の調査段階で四捨五入された 数値が使われている場合、次の調査 では四捨五入前の正確な数値ではな く、四捨五入後の数値を用いて前年 度比との差を計算しています For 前 回の調査段階で四捨五入された数値 が使われている場合、次の調査では 四捨五入前の正確な数値ではなく、 四捨五入後の数値を用いて前年度比 との差を計算しています。 例えば、 あ るセクションで平均の数値が17.74% だったとする と、18%に切り上げま す。 前年度の同じセクションの平均ス コアが12.41%とすると、 それは12% に切り捨てられているため、前年度 比の違いは、厳密に言えば5.33%で すが、四捨五入された後の数値で算 出するため、6%となります。


36% 重要課題

16.8% 把握・開示・改善

このセクションでは、従業員とサプライチェーン労働者に関する社会・環境ポリシーにおいて、 ど のように取り組んでいるか、関連する目標やターゲットを設定しているか、 またターゲットに対す る年間の進捗を報告しているかどうかを調査します。 2021年は結果や影響の部分に重きを置く ためこのセクションの配点は半減することにしました。 今年は、指標に変更はないものの、 どのよ うな開示が許容されるかについて、 より厳しいガイダンスを作成したため、昨年と比較して一部 のブランドのスコアが低くなっている可能性があります。 例えば、同一報酬については、同一機会 に関する一般的な記述よりも、特に報酬に言及した開示のみを受け入れています。 私たちは、最 低賃金を上回る割合の開示を求めます。 さらに、 セクション1.2において、 ブランドの方針がサプラ イヤーに何かを 「奨励」 または「示唆」 している場合はポイントとして認めていません。 言葉があい まいな場合、責任を回避するために使われることがあり、私たちの目的は、使用されている言葉 をより詳細に精査することでした。

4.4%

ガバナンス

ここでは、社会や環境に関する取り組みについて、取締役会の誰が責任を 負い、 どのように実行しているか、 そこで改善された内容が従業員・CEO・サ プライヤーにどのように関連しているか、担当部署は一般から問い合わせ がしやすいかどうかを確認します。 また、 ブランドが責任ある税務戦略を公 表しているかどうか、及び、取締役会に労働者の代表が含まれているかど うかも調べました。 さらに、 サプライヤーに対する持続可能性のインセンテ ィブに関するガイダンスを強化し、 ブランドからの受注拡大や監査回数の削 減などの具体例を示しました。

29.6% トレーサビリティ

このセクションでは、 ブランドが3つのレベルにおけるサプライヤー・リストを公表すること を求めています。 製造施設と工場、原材料の3つのレベルでサプライヤーリストを公表する こと、 さらに最新版のサプライヤーの住所、労働者数、男女別内訳、移民労働者数、労働組 合のような詳細も求めます。 また、労働組合やNGOが情報を利用しやすいようにするため にブランドのリストが一般に公開され、 アパレル部門のオープン標準に準拠しているかどう かも確認します。 さらに各ブランドがOpen Supply Hubに積極的に参加しているかどうか も確認しました。 影響力を持つステークホルダーがデータに効率的にアクセスできるよう にするためです。 今年初めて、 ティア1および加工レベルにおけるエネルギーと水の消費量 に関する指標を追加しました。

FASHION REVOLUTION

ここでは、 ブランドがデューディリジェンスのプロセスについてどのような情報を 開示しているのか、ポリシーに対してサプライヤーをどう評価するか、監査と評 価の結果はどのようなものか、問題が発見された場合の対処方法、労働者の苦 情申し立て方法、 その際の対応についてチェックします。 またデューディリジェン スの開示における潜在的なギャップを明らかにするために、人権と環境デュー デリジェンスを異なるサブセクションに分けました。

ポリシーと公約

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

2021年には、重点課題を2020年の19.6%から大幅に比重をア ップさせました。 これは、業界が直面している最も緊急かつ困 難な問題についての情報開示をより強力に推し進めるための 取り組みの一環です。 2023年版では、環境問題へより大きな影 響を及ぼすためにこのセクションの比重を再び大きくしました。 このセクションでは、強制労働、生活賃金、購買習慣、組合結 成、人種・男女平等、過剰生産、廃棄物と循環型社会、 サステナ ブルな素材、水と化学物質、気候、森林破壊など、多くの問題に 関してブランドがどのように開示しているかを見ています。

13.2%

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

得点の重み付け

41


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH FASHION REVOLUTION 42

最終スコアの見方

250点満点でカウントし、最終的なスコアは パーセンテージに直され、小数点以下を四 捨五入して表示します。 ブランドの個別の 得点ではなく、 ブランドの得点範囲に焦点 をあててください。 そうすることで、業界全 体の透明性の傾向をより正確に把握するこ とができます。

0から5%のスコアを獲得 したブランドは、全く何も 開示していないか、非常に 限られた情報のみ公開し ています。 その限られた情 報とは、 ブランドの雇用慣 習や地域社会と関わる活 動に関連していることが 多いです。 情報開示のレベ ルが非常に低い場合、公 表される情報は、法律で 義務付けられているもの であることが多くなります (例えば、現 代 奴 隷 制 度 に関する声明や男女間賃 金格差報告書など)。 透明 性を義務付ける法律は、 他の方法では自主的に情 報を開示しないブランド を動かす効果的なツール となり得ます。 0 – 5%

6から10%のスコアを獲得 したブランドは、従業員と サプライヤーのための何 らかのポリシーを公開し ていることが多いです。 ス コアが10%に近いブラン ドは、基本的なサプライヤ ーの行動規範、手続きに 関する情報、サプライヤー の評価プロセスについて 限定的に開示する傾向に あります。

11から20%のスコアを獲 得したブランドは、従業員 とサプライヤーのための ポリシーを多く公開してお り、サプライヤーに関する 評価と改善の手続きに関 する幾つかの情報も見ら れます。 しかし、 これらのブ ランドはほとんどの場合 サプライヤーのリストを公 開しておらず、我々が重点 課題と位置付ける以下の 情報を例え公開していた としても、多くの情報は得 られません。 (働きがいの ある人間らしい仕事&購 買慣行、ジェンダー&人種 の公平性、 サステナブルな 調達&材料、過剰消費、廃 棄&循環性、気候変動&生 物多様性)

21から30%のスコアを獲 得したブランドは、ポリシ ー、手順、ガバナンス、社 会的・環境的目標、サプラ イヤーの評価や改善の手 続きについて、 より詳細な 情報を公開していること が多くなります。工場名や 住所などメーカーの基本 情報はありますが、サプラ イヤーの評価結果や苦情 処理ルートに関する情報 は共有していないと思わ れます。 すべての重点課題 に関して情報を開示して いるわけではありません が、いくつかの課題には触 れている事があります。

31から40%のスコアを獲 得したブランドは通常、一 次製造業者や、ポリシー、 手 順、社 会 的・環 境 的 目 標、ガバナンス、サプライ ヤーの評価や改善の手続 きについての詳細な情報 を開示しています。我々が 重点課題と位置付ける情 報のうち、 炭素排出、ジェ ンダー平等、サステナブル な調達と素材、エネルギ ー使用などに関しても部 分的に公開されている可 能性が高いです。

6 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

41から50%のスコアを獲 得したブランドは、より詳 細なサプライヤーリストを 公開しており、その多くは メーカーだけでなく加工 施設も公にしています。加 えてポリシー、手順、社会 的・環境的目標、ガバナン ス、サプライヤー評価・改 善手続き・サプライヤー評 価の報告についても詳細 な情報が確認できました。 ジェンダー平等、サステナ ブルな方法と素材、エネ ルギー使用、廃棄&循環 性、脱炭素化、水と化学物 質などの重点課題に取り 組んでいる可能性が高い です。 41 – 50%


51 – 60%

61 – 70%

71 – 80%

81-100%を獲得したブランドは、 すでに説明したすべての 情報を開示するとともに、特定の施設におけるサプライヤ ーの評価と改善方法の詳細な情報を公開しています。 これ らのブランドは、製造・加工レベルの施設の全サプライヤ ーの少なくとも95%について詳細なサプライヤーリストを 共有し、広範な原料サプライヤーリストも共有しています。 これらのブランドは、社会的・環境的影響について透明性 を保ち、 サステナブルな素材の使用に関する包括的なデー タを開示しており、自社及びサプライチェーンにおける職 務内容とジェンダーの関係についても提供しています。企 業の購買慣行、企業のアプローチ、サプライチェーンにお ける労働者の生活賃金に向けた進捗状況について詳細な 情報も開示しています。80%以上のスコアを獲得したブラ ンドは、自社およびサプライチェーン全体からの二酸化炭 素排出量、再生可能エネルギーの使用量、水の使用量を 開示しています。 スコアが100%がどのような状態を意味 するのかについては、Q&Aにある11番目の質問をご覧くだ さい。 81 – 90%

91 – 100%

Score range

FASHION REVOLUTION

61から70%のスコアを獲 得したブランドは、他の範 囲ですでに記載されてい る全ての情報を公開し、 さ らにメーカー、縫製工場、 コットン、 ウール、 ビスコー スなどの原材料サプライ ヤーの詳細リストも公開 しています。 ここにランク 付けされたブランドは、 こ れより下のランク内で既 に説明された重点課題以 外にも、人種の平等、強制 労働、過剰消費、森林破壊 と再生、購買慣行、労働組 合化と団体交渉について も取り組んでいくでしょう。

71から80%のスコアを獲 得したブランドは、他の範 囲で既に記載されている 全ての情報を公開し、 さら にコットン、 ウール、 ビスコ ースなどの原材料の製造 業者、加工施設、サプライ ヤーの詳細リストも公開 しています。それに加えて デューデリジェンスにおけ るプロセスやその結果、 サ プライヤーの評価や改善 方法に関しても公にして います。 ここでランク付け されたブランドは、重点課 題に関してのインデックス においてかなり包括的で 詳細な情報やデータを提 示していますが、成果とそ のインパクトに関しての重 要な開示はまだ欠如して います。

METHODOLOGY & SCOPE OF THE RESEARCH

51から60%のスコアを獲 得したブランドは、他の範 囲ですでに記載されてい る全ての情報を公開し、 さ らに詳細なサプライヤー リストも掲載があります。 ここにランク付けされた ブランドは、殆どの人権や 環境政策、手順、社会的・ 環境的目標、ガバナンスと デューディリジェンスのプ ロセスに関する情報も公 開しています。 また、 サプラ イヤーに関する評価の結 果に関してもある程度情 報開示しています。 炭素排 出、ジェンダー平等、サス テナブルな調達と素材、 エ ネルギー使用、廃棄&循環 性 、脱炭素化、水と化学 物質、生活賃金、循環性な どの重点課題に取り組ん でいます。

報告書全体を通して、 データは年 をまたいで比較され、他の指標と の関連も示されています。 一例とし て、2023年には、 レビューされたブ ランドの37%が、年間を通した常 設の洋服の回収を行っていること を開示しているのに対し、洋服の回 収プログラムを通じて回収された 衣類がどうなっているかを開示して いるブランドは28%と少ないです。 つまり、引き取り制度があることを 公表しているブランドよりも、引き 取り制度を通じて回収された衣類 がどうなっているかを公表している ブランドの方が少ないということで す。 引き取り制度を持っている37% のブランドのうち、28%が回収され た衣服がどうなったかを公表して いるという意味ではありません。 調 査結果に関連して共有されたすべ てのパーセンテージは、特に明記 されていない限り、調査対象となっ た250ブランドのうちで認識された ものです。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

データを どう理解するか

43


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS 44

結果と分析


Reliance Trends

10

Costco

10

Tommy Bahama

10

Saks Fifth Avenue

9

Foot Locker

9

Famous Footwear

9

Tod’s

9

Li-Ning

60

55

50

45

35

30

25

20

15

5

9

LL Bean

8

Gerry Weber

8

Merrell

8

AJIO

8

Carhartt

7

Truworths

7

Triumph

7

Takko

7

Sports Direct

7

DSW

7

Beanpole

7

Bloomingdale’s

7

Macy’s

7

SHEIN

7

Skechers

7

Kmart

6

Billabong

6

Quiksilver

6

Roxy

6

Helly Hansen

Ross Dress for Less

6

CELINE

30

Express

6

JD Sports

29

Furla

5

Reserved

20

Matalan

29

Eddie Bauer

5

Otto

20

Woolworths South Africa 29

CAROLL

5

Diesel

19

Dior

29

Buckle

4

Victoria’s Secret

19

Kathmandu

29

Shimamura

4

Pimkie

18

Louis Vuitton

29

LC Waikiki

4

Foschini

18

Morrisons

29

Dillard’s

3

Mizuno

18

Marc Jacobs

28

Aeropostale

3

Joe Fresh

18

Muji

28

Romwe

3

Fanatics

18

Asda

28

Longchamp

2

Jil Sander

18

Hermès

28

Fjällräven

40

Pepe Jeans

2

Monoprix

18

Under Armour

28

Zalando

Deichmann

2

Valentino

18

Dick’s Sporting Goods

27

Jockey

2

The Warehouse

17

Very

Dolce & Gabbana

2

Clarks

17

Gymshark

REVOLVE

2

Marni

17

Moncler

27

Fabletics

2

The Children’s Place

17

Nordstrom

26

BCBGMAXAZRIA

1

Kohl’s

17

Decathlon

Reebok

1

KiK

17

Max

1

United Arrows

celio

1

DKNY

1

Nine West

1

Tory Burch Splash Fashion Nova Max Mara New Yorker

0

Tom Ford

0

ANTA

30

Tom Tailor

50

ASOS

50

Converse

50

40

Jordan

50

Patagonia

40

Nike

50

27

Primark

40

Bershka

50

27

Big W

39

GU

50

Armani

38

Uniqlo

50

Burberry

38

Massimo Dutti

50

26

Marks & Spencer

38

Pull&Bear

50

Ted Baker

26

Champion

38

Stradivarius

50

17

Amazon

26

Lacoste

38

Zara

50

Kiabi

16

Lidl

25

Hanes

38

Tommy Hilfiger

50

Fossil

16

Paris

25

Bonprix

37

G-Star RAW

49

Carolina Herrera

16

Desigual

25

Target

37

Mango

49

1

Canada Goose

16

Jack Wolfskin

25

Columbia Sportswear

37

Superdry

49

0

Fila

15

Carter’s

25

Next

36

Banana Republic

48

0

Burlington

14

boohoo

24

Brooks Sport

36

Gap

48

0

ALDO

14

PrettyLittleThing

24

Dr. Martens

35

Old Navy

48

Brunello Cucinelli

14

Salvatore Ferragamo

24

Mammut

35

Calvin Klein

48

Chico’s

14

El Corte Inglés

24

ALDI SOUTH

34

Tesco

48

0

TOPVALU COLLECTION

13

HEMA

24

Miu Miu

34

Speedo

47

Levi Strauss & Co

60

Bosideng

0

TJ Maxx

13

Carrefour

24

Prada

34

New Balance

46

Fendi

58

Heilan Home

0

Anthropologie

13

Versace

24

Fruit of the Loom

34

ASICS

45

UGG

57

Belle

0

Free People

13

Michael Kors

23

Russell Athletic

34

Esprit

45

Adidas

56

Big Bazaar – ffb

0

Urban Outfitters

13

Walmart

23

Abercrombie & Fitch

33

Lindex

44

Hugo Boss

55

C&A

68

Semir

0

Steve Madden

13

Prisma

22

Hollister Co.

33

Chloé

43

Ralph Lauren

54

Puma

66

Van Heusen

0

La Redoute

13

Disney

22

Bally

33

Tchibo

43

Zeeman

54

The North Face

66

K-Way

0

Lands’ End

12

Cotton On

22

Wrangler

33

s.Oliver

43

Gildan

54

Timberland

66

KOOVS

0

Kaufland

12

Aritzia

22

Ermenegildo Zegna

33

New Look

42

Lululemon

52

Vans

65

Gucci

80

Metersbonwe

0

Ito-Yokado

11

Sandro

22

John Lewis

32

COACH

42

Sainsbury’s

51

Dressmann

65

Kmart Australia

76

Mexx

0

MRP

11

REI

22

River Island

32

Jack & Jones

41

Balenciaga

51

Calzedonia

63

Target Australia

76

Savage X Fenty

0

Falabella

11

American Eagle

21

ALDI Nord

31

Vero Moda

41

Bottega Veneta

51

Intimissimi

63

United Colors of Benetton 73

Youngor

0

Chanel

11

Cortefiel

21

GUESS

31

Kate Spade

41

SAINT LAURENT

51

Tezenis

63

H&M

0 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

* Brands ranked in numerical order by score out of 250, but shown as rounded-up percentage.

41 – 50%

51 – 60%

61 – 70%

71

71 – 80%

OVS

83

81 – 90%

91 – 100%

スコア範囲

FASHION REVOLUTION

10

9

Hudson’s Bay

FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS

40

最終スコア

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

65

ブランド数

70

45


65

60

55

50

45 FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS

40

35

30

25

20

15

FASHION REVOLUTION 46

10

5

ブランド数

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

70

Reliance Trends

10

Costco

10

Tommy Bahama

10

Saks Fifth Avenue

9

Foot Locker

9

Famous Footwear

9

Tod’s

9

Li-Ning

9

Hudson’s Bay

9

LL Bean

8

Gerry Weber

8

Merrell

8

AJIO

8

Carhartt

7

Truworths

7

Triumph

7

Takko

7

Sports Direct

7

DSW

7

Beanpole

7

Bloomingdale’s

7

Macy’s

7

SHEIN

7

最終スコア

今年は18のブランドの スコアが0%でした。

調査結果概要

平均スコアは 26%でした。

Skechers

7

Kmart

6

Billabong

6

Quiksilver

6

Roxy

6

Helly Hansen

Ross Dress for Less

6

CELINE

30

Express

6

JD Sports

29

Furla

5

Reserved

20

Matalan

29

Eddie Bauer

5

Otto

20

Woolworths South Africa 29

CAROLL

5

Diesel

19

Dior

29

Buckle

4

Victoria’s Secret

19

Kathmandu

29

Shimamura

4

Pimkie

18

Louis Vuitton

29

LC Waikiki

4

Foschini

18

Morrisons

29

Dillard’s

3

Mizuno

18

Marc Jacobs

28

Aeropostale

3

Joe Fresh

18

Muji

28

Romwe

3

Fanatics

18

Asda

28

Longchamp

2

Jil Sander

18

Hermès

28

Fjällräven

40

Pepe Jeans

2

Monoprix

18

Under Armour

28

Zalando

Deichmann

2

Valentino

18

Dick’s Sporting Goods

27

Patagonia

Jockey

2

The Warehouse

17

Very

27

Dolce & Gabbana

2

Clarks

17

Gymshark

27

REVOLVE

2

Marni

17

Moncler

27

Fabletics

2

The Children’s Place

17

Nordstrom

26

BCBGMAXAZRIA

1

Kohl’s

17

Decathlon

Reebok

1

KiK

17

Max

1

United Arrows

celio

1

DKNY

1

Nine West

1

Tory Burch Splash Fashion Nova

全体の84% のブランドは 有効なポイントの半分以下 しか獲得していません。

30

70%台のスコアを 獲得したブランド は4つでした。

Tom Tailor

50

ASOS

50

Converse

50

40

Jordan

50

40

Nike

50

Primark

40

Bershka

50

Big W

39

GU

50

Armani

38

Uniqlo

50

Burberry

38

Massimo Dutti

50

26

Marks & Spencer

38

Pull&Bear

50

Ted Baker

26

Champion

38

Stradivarius

50

17

Amazon

26

Lacoste

38

Zara

50

Kiabi

16

Lidl

25

Hanes

38

Tommy Hilfiger

50

Fossil

16

Paris

25

Bonprix

37

G-Star RAW

49

Carolina Herrera

16

Desigual

25

Target

37

Mango

49

1

Canada Goose

16

Jack Wolfskin

25

Columbia Sportswear

37

Superdry

49

0

Fila

15

Carter’s

25

Next

36

Banana Republic

48

0

Burlington

14

boohoo

24

Brooks Sport

36

Gap

48

Max Mara

0

ALDO

14

PrettyLittleThing

24

Dr. Martens

35

Old Navy

48

New Yorker

0

Brunello Cucinelli

14

Salvatore Ferragamo

24

Mammut

35

Calvin Klein

48

Tom Ford

0

Chico’s

14

El Corte Inglés

24

ALDI SOUTH

34

Tesco

48

ANTA

0

TOPVALU COLLECTION

13

HEMA

24

Miu Miu

34

Speedo

47

Levi Strauss & Co

60

Bosideng

0

TJ Maxx

13

Carrefour

24

Prada

34

New Balance

46

Fendi

58

Heilan Home

0

Anthropologie

13

Versace

24

Fruit of the Loom

34

ASICS

45

UGG

57

Belle

0

Free People

13

Michael Kors

23

Russell Athletic

34

Esprit

45

Adidas

56

Big Bazaar – ffb

0

Urban Outfitters

13

Walmart

23

Abercrombie & Fitch

33

Lindex

44

Hugo Boss

55

C&A

68

Semir

0

Steve Madden

13

Prisma

22

Hollister Co.

33

Chloé

43

Ralph Lauren

54

Puma

66

Van Heusen

0

La Redoute

13

Disney

22

Bally

33

Tchibo

43

Zeeman

54

The North Face

66

K-Way

0

Lands’ End

12

Cotton On

22

Wrangler

33

s.Oliver

43

Gildan

54

Timberland

66

KOOVS

0

Kaufland

12

Aritzia

22

Ermenegildo Zegna

33

New Look

42

Lululemon

52

Vans

65

Gucci

80

Metersbonwe

0

Ito-Yokado

11

Sandro

22

John Lewis

32

COACH

42

Sainsbury’s

51

Dressmann

65

Kmart Australia

76

Mexx

0

MRP

11

REI

22

River Island

32

Jack & Jones

41

Balenciaga

51

Calzedonia

63

Target Australia

76

Savage X Fenty

0

Falabella

11

American Eagle

21

ALDI Nord

31

Vero Moda

41

Bottega Veneta

51

Intimissimi

63

United Colors of Benetton 73

Youngor

0

Chanel

11

Cortefiel

21

GUESS

31

Kate Spade

41

SAINT LAURENT

51

Tezenis

63

H&M

0 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

* Brands ranked in numerical order by score out of 250, but shown as rounded-up percentage.

41 – 50%

51 – 60%

80%以上のスコア を獲得したブラン ドは2つでした。

61 – 70%

71

71 – 80%

OVS

83

81 – 90%

91 – 100%

スコア範囲


ポリシーと公約

53%

36%

トレーサビリティー

把握・開示・改善

23%

25%

これまで以上に多くのブランド Balenciaga、Bottega Venetta、 (52%)が、一次製造業者を公開 H&M along with Puma、Hugo しています。 今年は6つのブランド Boss、Adidasの各ブランドは、 この が90%台のスコアを獲得し、最も セクションで100%と最も高い評価 高いスコア(96%)を獲得したのは を得ています。 大半のブランドはサ Gucci、 その次に93%だったのが ステナビリティ部門の連絡先を開 Calzedonia Group (Calzedonia、 示し、人権や環境問題に対する取 Intimissimi,、Tezenis)、OVSと続 締役会の説明責任についても言及 きます。 これらのブランドは、一次 しています。 従業員が取締役会に 製造先以降の詳細な製造元リスト 参加していることを開示したり、 サ と、加工施設と原材料のサプライヤ ステナビリティの取り組みへの財 ーを公開しています。 また、全体の 務投資の詳細を公表しているブラ ほぼ半分(250ブランド中113)を占 ンドはほとんどありません。 0%の スコアを獲得した41のブランドは、 める大多数のブランドが0-1%の得 点にとどまり、 サプライヤーについ 全く開示をしていません。 て全く公開していません。 私たちは 近々法制化される法案が、 このよう なブランドの透明化の背中を押す ことを望んでいます。

18%

今年は、OVSが昨年の67%から74 %に上昇し、 このセクションで最 も高いスコアを獲得したブランド となりました。 注目すべきは、今年 は75%以上のスコアを獲得したブ ランドがいないことです。 Gucciは 68%で2位、H&Mは64%、United Colors of Benettonは60%で続い ています。 結果として、233ブランド (93%)がこのセクションで50% 未満のスコアを獲得しました。 つま り、大多数の主要ブランドが、働き がいのある人間らしい仕事、購買 慣行、生活賃金、労働組合化と団 体交渉、ジェンダーや人種の公平 性、 サステナブルな調達と材料の 使用、廃棄と循環性、水と化学物 質、気候変動と生物多様性など極 めて重要かつ緊急性を増す課題に 対して、広く透明性を欠く状態にあ ることを意味します。

FASHION REVOLUTION

このセクションでは、 ブランドがサ プライチェーンにおいて自社の方 針(セクション1の方針)が守られ ているかどうか、 また、 その取り組 みが労働条件の改善や責任ある 環境活動につながっていることを どのように証明しているかを示し ています。 注目すべきは、 このセク ションでもっともスコアが高いブラ ンドは、Kmart AustraliaとTarget Australiaで88%であるのに対 し、85ブランド(34%)が0-10%の範 囲にあり、 これは、 サプライチェー ンのデューデリジェンスや、工場で 問題が発見されたり、労働者自身 によって報告された場に、 その問題 を解決するための努力について、 何も開示していないか、ほとんど開 示していないことを意味します。 全 体として、 このセクションで獲得で きる得点の50%未満にとどまって いるブランドが全体の86%を占め ています。

重点課題

FULL RESULTS & DETAILED ANALYSIS

ポリシーと公約は、今年も最も 高い透明性を示すセクション でした。Balenciaga、Bottega Veneta、Gucci、Saint Laurentはこ のセクションでスコア98%の最高 得点をマークしました。 19ブランド が90%台、38ブランドが80%台、25 ブランドが70%と続いています。 こ の結果から、 これらのブランドは社 会や環境に対するポリシーの全て もしくは大部分が公開されている ということが分かります。 同時に、 人権や環境インパクトに関する大 部分のポリシーがどのように具体 的な方策や目標に落とし込めてい るかどうかも見て取れます。 0-10% を獲得した30ブランドは、関連す るポリシーを殆ど公開していませ ん。 2021年に、結果や成果、 インパ クトの部分のウェイトを大きくした ため、 このセクションの有効ポイン トは半減されています。 しかし、 こ のセクションは引き続き、平均して 最も高いスコアを獲得しています。

ガバナンス

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

各分野ごとの平均スコア

47


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

POLICIES & COMMITMENTS 48

ポリシーと公約


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

アプローチ

主要なブランドや小売業者は、 どのような人権および環境に関する方針と手続きを公開しているのか? 私たちは以下の問題を取り上げます: •

動物福祉

在宅労働

贈収賄、汚職、及び事実に反す る情報の提示

製造に関して制限された物質 のリスト (MRSL)

• • • • • • •

• • • • •

生物多様性及び保護 児童労働

地域社会とのかかわり

契約における賃金の雇用条件 差別

多様性と包括

エネルギーや二酸化炭素の排 出量 同一報酬

強制労働、拘束労働

外国人や移民の労働

結社の自由、組織する権利、団 体交渉

ハラスメントや暴力 健康・安全

• • • • • • • • • • • •

生活条件・寮

出産の権利、育児休暇の取得

精神的健康とウェルビーイン グ 残業手当

規制化学物質リスト (RSL) 下請け

賃金や福利厚生(生活保護、保 険、年金、ボーナス) 廃棄物、 リサイクル(パッケー ジ、 オフィス、小売)

廃棄物、 リサイクル(製品と繊 維) 排水と処理 水の消費

労働時間、休憩

FASHION REVOLUTION

年次休暇と祝日

POLICIES & COMMITMENTS

ために、 ブランドがどのような取り このセクションでは、 企業レベル( 組みを行っているかという、運営手 企業が経営する本社、 店舗、 倉庫と 段の開示も評価の対象としていま 所有する生産施設) とサプライヤー 社会監査だけではマネジメント レベル(行動規範とサプライヤーの す。 ブ 指針書)の双方において公開してい システムとはみなされないため、 るポリシーや手順を確認している。 ランドは社会監査以上のことを開 示しなければポイントを獲得でき ません。 ガイダンスノートは、 アンケートに 答えるブランドに対して、私たちが 人権と及び環境に関する目標 どのような情報を受け入れ、 どの ような情報を受け入れないのかを 理解するためのものです。 今年は、 私たちは、 バリューチェーン全体に 同一報酬、 ハラスメントと暴力、製 渡り、 ブランドが人権・環境的なイン 造に関して制限された物質リスト (MRSL) のガイダンスを更新し、 ブラ パクトを改善するための目標や戦 略を公開しているか確認し、具体的 ンドが明示的かつ明確な方法で開 な目標達成年が2024年以降に設 示した場合にのみポイントが付与 定されている場合にのみ調査に反 されるようにしました。 例えば、同 映しました。 また、目標達成に向け 一報酬については、ガイダンスを更 て毎年の進捗状況を公表している 新し、 「報酬/支払い」 または同等 ブランドには加点しています。 そし の記載がある開示のみを受け入れ ブランドの年次サステナビリティ るとしました。 男女平等の雇用決定 て、 報告書(または年次報告書内の関 や条件について一般的な記述をし 連データ)が、独立した第三者によ ている開示は認めていません。 って監査または検証されているか また、人権や環境に関するポリシー どうかを確認しました。 が確実に守られ、実行に移される

49


ブランドごとのポリシーと公約の総合スコア

ブランド数

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

結果

45

POLICIES & COMMITMENTS

40

35

30

25

20

15

FASHION REVOLUTION 50

10

5

ASOS

90

Levi Strauss & Co

90

Target

90

Gildan

90

H&M

90

Bally

60

Carter’s

70

The North Face

90

Fruit of the Loom

60

Muji

70

Timberland

90

Kohl’s

60

Esprit

70

Vans

90

River Island

60

Walmart

70

Bershka

89

Russell Athletic

60

Carrefour

69

Massimo Dutti

89

American Eagle

59

Paris

69

Pull&Bear

89

Dick’s Sporting Goods

59

The Warehouse

69

Stradivarius

89 89

Longchamp

9

Pepe Jeans

9

Gerry Weber

40

United Arrows

59

Decathlon

68

Zara

Dolce & Gabbana

7

Kiabi

40

Carolina Herrera

58

Lidl

68

Dressmann

Fabletics

6

Reliance Trends

40

Diesel

58

Patagonia

68

Primark

89

Reebok

6

Brunello Cucinelli

39

Jil Sander

58

Kathmandu

67

GU

80

C&A

88

DKNY

5

Famous Footwear

39

Nordstrom

58

Morrisons

67

Uniqlo

80

Converse

87

Nine West

5

Anthropologie

38

Sandro

58

Prisma

67

Zeeman

80

Jordan

87

BCBGMAXAZRIA

4

Bloomingdale’s

38

Very

58

Champion

66

ASICS

80

Lululemon

87

Max

4

Free People

38

Victoria’s Secret

58

Hanes

66

Calvin Klein

80

Nike

87

REVOLVE

4

JD Sports

38

Asda

57

Mizuno

66

ALDI Nord

79

Ralph Lauren

Tory Burch

4

Macy’s

38

Fossil

57

Versace

66

Dior

79

Tesco

87

celio

2

Pimkie

38

Ermenegildo Zegna

56

El Corte Inglés

65

Marc Jacobs

79

Fjällräven

85

Fashion Nova

2

Urban Outfitters

38

Matalan

56

Michael Kors

65

New Balance

78

Hugo Boss

85

Max Mara

2

Costco

37

Fila

55

Reserved

65

Amazon

77

Kmart Australia

New Yorker

2

HEMA

37

Marni

55

Abercrombie & Fitch

64

Marks & Spencer

77

Target Australia

85

Tom Ford

2

Kmart

30

Merrell

37

Desigual

50

Otto

55

Brooks Sport

64

Wrangler

77

Armani

84

ANTA

1

Chanel

29

Tod’s

37

Jack Wolfskin

50

The Children’s Place

55

Cortefiel

64

Big W

76

CELINE

83

Bosideng

1

Falabella

29

Tommy Bahama

36

Steve Madden

50

Under Armour

55

Hollister Co.

64

Louis Vuitton

76

Fendi

83

Belle

0

Express

28

Clarks

36

Mammut

49

Foschini

54

Jack & Jones

64

Tchibo

76

s.Oliver

83

Big Bazaar – ffb

0

SHEIN

20

Gymshark

27

Valentino

36

Burlington

48

REI

54

John Lewis

64

G-Star RAW

74

Tom Tailor

83

Balenciaga

98

Heilan Home

0

Ross Dress for Less

19

Kaufland

27

Joe Fresh

35

Disney

48

TOPVALU COLLECTION

54

Monoprix

64

Next

74

United Colors of Benetton 83

Bottega Veneta

98

K-Way

0

Shimamura

18

Takko

27

Skechers

34

Fanatics

46

KiK

53

Vero Moda

64

Woolworths South Africa 74

Calzedonia

83

Gucci

98

KOOVS

0

Triumph

18

Sports Direct

26

AJIO

33

boohoo

45

La Redoute

53

COACH

63

Bonprix

73

Intimissimi

83

SAINT LAURENT

98

Metersbonwe

0

Aeropostale

17

Truworths

26

Foot Locker

33

Cotton On

45

Chico’s

52

Columbia Sportswear

63

Chloé

73

Tezenis

83

OVS

95

Mexx

0

Deichmann

17

Beanpole

24

Billabong

33

PrettyLittleThing

45

GUESS

52

Hermès

63

Dr. Martens

73

ALDI SOUTH

82

Superdry

95

Savage X Fenty

0

Dillard’s

16

Furla

23

Quiksilver

33

Li-Ning

44

Ito-Yokado

52

Kate Spade

63

Salvatore Ferragamo

73

Mango

82

Adidas

94

Semir

0

Buckle

15

Carhartt

23

Roxy

33

Miu Miu

44

Lands’ End

52

Zalando

63

Lacoste

72

New Look

82

Puma

94

Splash

0

CAROLL

14

Eddie Bauer

23

Hudson’s Bay

32

Prada

44

ALDO

51

Moncler

62

Lindex

72

Burberry

81

Banana Republic

92

Van Heusen

0

Romwe

14

LC Waikiki

21

Saks Fifth Avenue

32

Helly Hansen

42

Canada Goose

51

Ted Baker

62

UGG

72

Speedo

81

Gap

92

Youngor

0

Jockey

12

LL Bean

21

DSW

31

MRP

42

TJ Maxx

51

Aritzia

61

Sainsbury’s

71

Tommy Hilfiger

81

Old Navy

92

0 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

ブランドはこのセクションで有効な33点満点中のスコアでランク付けされていますが、四捨五入された数値で示しています。

41 – 50%

51 – 60%

61 – 70%

71 – 80%

81 – 90%

89

87

85

91 – 100%

スコア範囲


225

75

75

36

25

112 111 113

153

150

57

49 48

50

POLICIES & COMMITMENTS

87

54 56 59

88 89 84

98 92

97 99 100

122 122 116

145 159 157

162 166

102 103 106

100

175

137

132 132 130 128

172 177

174 169

189 176

213 210

137

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ブランド数 250

143 144 144 143

142

128

147 148

128 126 124

125

手段

189 178 173

いくつのブランドが 有効なポリシーを公表したか

サプライヤーのポリシー

197 199 200

192 192

192

175

222 219 217

212 210 210 205

200

調査結果 会社のポリシー

65

23

FASHION REVOLUTION

労働時間・休憩

水の消費量

排水と処理

(製品、繊維)

廃棄物、 リサイクル

(パッケージ、事務所、小売

廃棄物、 リサイクル

(例:ボーナス、保険、生活保護、年金)

賃金や福利厚生

下請け

規制化学物質リスト (RSL)

残業手当

精神的な健康やウェルビーイング

出産の権利、育児休暇の取得

製造制限物質リスト (MRSL)

生活環境・寮

在宅労働

健康・安全

ハラスメントや暴力

結社の自由・組織する権利、 団体交渉

外国人や移民の労働

強制労働・拘束労働

同一報酬

エネルギーや温室効果ガスの排出

多様性と包括

差別

(通知までの期間、解雇や懲戒処分を含む)

契約と雇用条件

地域社会との関わり

児童労働

生物多様性及び保護

に反する情報の提示

贈収賄、汚職、 および事実

年次休暇と祝日

動物福祉

課題

51


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果

ポリシーの実行 児童労働

強制労働・拘束労働

動物福祉

POLICIES & COMMITMENTS

89%

サプライヤーの ポリシーを公開している

88%

サプライヤーの ポリシーを公開している

30%

サプライヤーの ポリシーを公開している

58%

会社のポリシーを 公開している

45%

ポリシーの実行方法 を公開している

63%

ポリシーの実行方法 を公開している

9%

ポリシーの実行方法 を公開している

57%

ポリシーの実行方法 を公開している

同一報酬

FASHION REVOLUTION 52

在宅労働

生活環境・寮

労働時間・休憩

生物多様性及び保護

53%

会社のポリシーを 公開している

82%

サプライヤーの ポリシーを公開している

66%

サプライヤーの ポリシーを公開している

55%

会社のポリシーを 公開している

41%

ポリシーの実行方法 を公開している

35%

ポリシーの実行方法 を公開している

14%

ポリシーの実行方法 を公開している

49%

このトピックをサプライヤー のポリシーに含めている


50%

排水と処理 会社のポリシーを 公開している

サプライヤーのポリシー を公開している

制限物質リスト

51%

51%

サプライヤーのポリシー を公開している

ポリシーの実行方法 を公開している

製品と繊維に関する廃棄物 規制化学物質リスト を開示している

製造時制限物質リスト (MRSL)を開示している

40%

会社のポリシー を公開している

19%

サプライヤーのポリシー を公開している

FASHION REVOLUTION

35%

57%

POLICIES & COMMITMENTS

50%

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

水の消費量

53


年間進捗状況

100

90

POLICIES & COMMITMENTS

80

従業員の賃金や福利厚生

公開しているブランドの割合

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果 信頼できる国際基準に基づくサプライヤーポリシー

外国人や移民の労働に関するサプライヤーのポリシー

ハラスメントや暴力に関する手順

繊維品の廃棄物とリサイクルのサプライヤーのポリシー

74 72

70

75

69 70

69

60 55 50

50

51

44

47

49

40

30 24 FASHION REVOLUTION 54

20

20

19

10

0

2021

246 ブランド

2022

250 ブランド

2023

250 ブランド


主要ブランドは、 成果 やインパクトよりも、 ポリシーやコミットメ ントについて、 より透 明性を高め続けてい る。

セクション1のポリシーと公約はこ のインデックスにおいて依然として 最も高いスコアを獲得しています。 ブランドは、ガバナンス情報、 サプ ライチェーンのトレーサビリティ、成 果・影響データよりも、自社のポリ シーや公約についてより透明性が 高い傾向にあります。 ポリシーと公 約の透明性は基本ですが、 ブランド がその影響と結果について意味の ある透明性を取り入れることは極 めて重要です。

今年は本インデックスで同一報酬 ポリシーに関するガイダンスが更 新され、得点を得ることがより厳し くなったにも関わらず、同一報酬の ポリシーを開示しているブランドは 昨年(51%)より増加しました(53%) 。 サプライチェーンにおいて、最も透 明性が低いのは、製品と繊維の廃 棄とリサイクル(19%)、 コミュニテ ィへの参画(26%)、在宅勤務(30 %) です。

人権目標よりも環境目 主要ブランドの3分の1 標を開示するブランド 以上が、 持続可能性の が増加 主張について第三者に よる検証を開示してい る。 今年は、72%のブランドが環境への 影響の改善に向けて測定可能で期 限付きの長期目標を公表している のに対し、人権に関する目標を公表 しているのは47%です。 いずれも着 実に増加しています。 これらの目標 に対しての達成状況を公開してい るブランド数も昨年に比べて着実 に増加しています。 企業の人権目標 達成に向けた最新の進捗状況を毎 年開示しているブランドは40%で、 環境目標については61%が開示し ています。

3分の1を超えるブランド (38%)が、 自社の持続可能性情報、例えば二 酸化炭素排出量について、独立し た第三者による監査や検証を受け ていることを開示しており、 これは 昨年の31%から増加してます。 残り の62%のブランドは、検証を受けて いるかどうかを開示していないた め、 サステナビリティの説明に裏付 けがあるかどうかは不明です。

環境と人権への影響に関する目標 を公表しながら、 その達成に向けて 進んでいるかどうかをステークホル ダーに伝えないブランドの落差は、 精査されるべきです。 特にブランド が目標を達成しなかった場合、目標 とその進捗状況の開示が説明責任 を裏付けます。 FASHION REVOLUTION

ブランドは、人権や環境に関するポ リシーを確実に実行に移すための 管理手順を開示する以上に、ポリ シーや公約を開示しています。 最も 透明性が高いのは、地域社会との 関わり (85%)、包装材や自社事業 大手ブランドの大半は、自社の従 における廃棄物やリサイクル(77% 業員に適用される会社のポリシー )、 エネルギーと温室効果ガス排出 を、次のテーマについて開示して (77%)の管理手順についてです。 います:差別(80%)、多様性と包括 透明性が最も低いのは、 サプライ (80%)、贈収賄、汚職(79%)。 サプラ チェーンの在宅勤務管理(9%)、生 イチェーンにおいて、ほとんどのブ 活環境と寮(14%)、年次休暇(20 ランドは児童労働について(89%)、 %) です。

また、ポリシーとマネジメント手段 の間には矛盾が見られます。 例え ば、89%のブランドはサプライチェ ーンにおける児童労働のポリシー を開示していますが、 しかしどのよ うに積極的にこのポリシーを守っ ているのかを共有しているのはた った45%のブランドです。 昨年と同 様、強制労働や拘束労働の格差は 小さく、88%のブランドがサプライ ヤーのポリシーを公表し、63%がポ リシーの実施方法を開示していま す。 法律(イギリスやオーストラリア の現代版奴隷法、 カリフォルニア州 のサプライチェーンの透明性に関す る法律など) で対応が義務付けら れているトピックや、 エネルギーや 温室効果ガスの排出など、今後制 定される法律で取り上げられる可 能性のあるトピックに関する情報 開示が最も多いのは当然であると いえます。

POLICIES & COMMITMENTS

今年は、 セクション1の全体平均ス コア (53%)は、昨年(51%) よりわ ずかに高くなっています。

健康と安全性(87%)、強制労働及 び拘束労働(88%)についてのポリ シーを公表しています。 過半数のブ ランドが、自社のサプライチェーン のポリシーは信頼できる国際基準 に基づいており(75%)、 これらの方 針はサプライヤーとの購買契約に おいて拘束力がある(71%)と回答 しています。 3分の1以上のブランド (38%)が、 サプライヤー・ポリシー の翻訳を生産国の現地語で公表し ています。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

分析

55


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

GOVERNANCE 56

ガバナンス


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

アプローチ

社会的、環境的影響の責任は社内の誰にあるのか?

このセクションでは、 社会的・環境 的パフォーマンスとその影響につい て、 社内の誰が説明責任を負うの かを理解しようとしています。 初め に、 ブランドがサステナビリティチ ームや企業責任チームなど関連部 門の連絡先を公開しているかどう か確認をしました。

• •

責任ある税制戦略の開示

環境に連動した役員報酬に占 める割合

ブランドが業績評価またはボーナ スを通じて、 サステナビリティチー ムの枠を超えた従業員(デザイナ ー、 バイヤー、 ソーシングマネージャ ーなど)らに対し、社会的および環 境的影響の改善を達成させる動機

最後に、 サプライヤーのインセンテ ィブが人権への影響と環境管理の 改善に関連しているかどうかも調 べました。 インセンティブの種類と しては、 ブランドによる長期契約の 締結、注文数の増加、価格のプレミ アム化、監査回数の削減などが挙 げられました。

透明性 フェアトレード ウェルビーイング エンパワーメント

GOVERNANCE

また、社会的及び環境的問題を担 当する取締役の名前と、 その監督が どのように実施されているのかを 調べました。 昨年は、企業の取締役 会に労働者(従業員)代表が参加て いるかどうかに関する指標も追加 しました。 昨年は、 この2つの指標を 新しく追加しました:

づけができているか、 またそれを開 示しているかどうかを調べました。 さらに私たちは、CEOや役員レベル の報酬においても社会的・環境的 影響との結び付きがあるかどうか 調査をしました。

良好な労働条件 ビジネス・アカウンタビリティ 男女平等 サステナブルな生活 環境の持続可能性

そして公正なファッション業界 安全、 清潔、

FASHION REVOLUTION

生活賃金

57


65

60

55

50

45

40 GOVERNANCE

35

30

25

20

15

FASHION REVOLUTION 58

10

5

ブランドの数

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

70

結果

Billabong

9

Brooks Sport

9

Buckle

9

Carhartt

9

Desigual

9

Dillard’s

9

DSW

9

Falabella

9

Famous Footwear

9

Fossil

9

Furla

9

G-Star RAW

9

Helly Hansen

9

HEMA

9

Jack Wolfskin

9

KiK

9

La Redoute

9

Longchamp

9

Patagonia

9

Quiksilver

9

Romwe

9

Ross Dress for Less

9

Roxy

9

SHEIN

9

Shimamura

9

Ted Baker

9

Tod’s

9

TOPVALU COLLECTION

9

Triumph

9

Kaufland

9

Aeropostale

0

ANTA

0

BCBGMAXAZRIA

0

Belle

0

Big Bazaar – ffb

0

Bloomingdale’s

0

Bosideng

0

CAROLL

0

celio

0

Deichmann

0

DKNY

0

Eddie Bauer

0

Abercrombie & Fitch

45

Fabletics

0

AJIO

27

ALDI Nord

45

Fanatics

0

Amazon

27

American Eagle

45

Fashion Nova

0

Asda

27

boohoo

45

Gerry Weber

0

Beanpole

27

Anthropologie

36

Calzedonia

45

Heilan Home

0

Burlington

27

Armani

36

Champion

45

Hudson’s Bay

0

Carter’s

27

Bally

36

Columbia Sportswear

45

Jockey

0

Chanel

27

Big W

36

Dick’s Sporting Goods

45

K-Way

0

Cortefiel

27

Brunello Cucinelli

36

Fjällräven

45

KOOVS

0

Costco

27

Carolina Herrera

36

Fruit of the Loom

45

LC Waikiki

0

ALDO

18

Ermenegildo Zegna

27

Converse

36

Hanes

45

ALDI SOUTH

55

LL Bean

0

Chico’s

18

Esprit

27

Disney

36

Hollister Co.

45

Aritzia

55

Adidas

100

Macy’s

0

Clarks

18

GUESS

27

El Corte Inglés

36

Intimissimi

45

ASICS

55

Carrefour

64

Balenciaga

100

Max

0

Cotton On

18

Kathmandu

27

Foot Locker

36

JD Sports

45

ASOS

55

CELINE

64

Bottega Veneta

100

Max Mara

0

Decathlon

18

Kmart

27

Free People

36

John Lewis

45

Banana Republic

55

Dior

64

H&M

100

Metersbonwe

0

Diesel

18

Kohl’s

27

GU

36

Kiabi

45

Calvin Klein

55

Dressmann

64

Hugo Boss

100

Mexx

0

Dolce & Gabbana

18

Matalan

27

Jack & Jones

36

Lands’ End

45

Canada Goose

55

Louis Vuitton

64

Puma

100

New Yorker

0

Express

18

Mizuno

27

Jordan

36

Lidl

45

Foschini

55

Marc Jacobs

64

Bershka

91

Nine West

0

Fila

18

Morrisons

27

Lindex

36

Mammut

45

Gap

55

Michael Kors

64

Fendi

91

Pepe Jeans

0

Gymshark

18

Next

27

Marks & Spencer

36

Miu Miu

45

Joe Fresh

55

Moncler

64

Gildan

91

Reebok

0

Ito-Yokado

18

Nordstrom

27

New Balance

36

Otto

45

Lacoste

55

Muji

64

Gucci

91

Saks Fifth Avenue

0

Jil Sander

18

Paris

27

Nike

36

Prada

45

Lululemon

55

New Look

64

Burberry

82

Kmart Australia

91

Savage X Fenty

0

Li-Ning

18

Reliance Trends

27

Pimkie

36

PrettyLittleThing

45

Mango

55

Primark

64

Bonprix

73

COACH

82

Massimo Dutti

91

Semir

0

Marni

18

Reserved

27

REI

36

Prisma

45

Monoprix

55

Speedo

64

C&A

73

Dr. Martens

82

OVS

91

Splash

0

Merrell

18

The Children’s Place

27

River Island

36

Russell Athletic

45

Old Navy

55

Tesco

64

Chloé

73

Kate Spade

82

Pull&Bear

91

Takko

0

MRP

18

TJ Maxx

27

Sports Direct

36

s.Oliver

45

Target

55

The North Face

64

Hermès

73

Levi Strauss & Co

82

SAINT LAURENT

91

Tom Ford

0

REVOLVE

18

Tommy Bahama

27

Uniqlo

36

Tezenis

45

Tchibo

55

Timberland

64

Salvatore Ferragamo

73

Ralph Lauren

82

Stradivarius

91

Tory Burch

0

Skechers

18

United Arrows

27

Urban Outfitters

36

The Warehouse

45

Tom Tailor

55

Vans

64

Sandro

73

Sainsbury’s

82

Superdry

91

Van Heusen

0

Steve Madden

18

Victoria’s Secret

27

Vero Moda

36

Truworths

45

Tommy Hilfiger

55

Versace

64

UGG

73

Wrangler

82

Target Australia

91

Youngor

0

Valentino

18

Walmart

27

Very

36

United Colors of Benetton 45

Under Armour

55

Zalando

64

Woolworths South Africa 73

Zeeman

82

Zara

91

0 – 10%

ブランド別総合ガバナンス・スコア

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

41 – 50%

51 – 60%

ブランドは11点満点中のスコアでランク付けされているが、四捨五入した数値で表示されている。 同じ点数のブランドがある場合は、 アルファベット順に表示されている。

61 – 70%

71 – 80%

81 – 90%

91 – 100%

スコアの範囲


インセンティブは環境と人権の 進展に結びついているのか

17%

58%

66%

71%

サステナビリティを 担当する部署の 連絡先情報を 公開している

どのように税金は管理されているのか

45%

責任ある税金対策 を公開している

10%

取締役会の責任説明 がどのように実施され ているか公開している

取締役会において労働者 の代表が含まれている

26%

人権と環境への影響に 関連する役員報酬/ ボーナスを開示している

18%

環境・社会的目標に 連動する役員賞与 または報酬の割合を 開示している

31%

労働条件と環境への 影響に関連する サプライヤーの インセンティブを 開示している

FASHION REVOLUTION

サステナビリティの問題について、容易 にブランドとコンタクトをとることはで きるか

人権や環境の問題に ついて役員レベルの 責任者を公開している

人権と環境への影響に 関連する従業員の インセンティブを 開示している GOVERNANCE

取締役会の説明責任について

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果

59


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 GOVERNANCE FASHION REVOLUTION 60

分析 人権や環境問題に対 する企業の説明責任 を確保するための法 律が近々制定される にもかかわらず、 取締 役会の説明責任開示 はほとんど進んでいな い。 投資家、労働組合、消費者を含む 複数のステークホルダーが、人権 や環境への影響に関して、大手ファ ッションブランドに対して取締役会 での透明性と説明責任の向上を求 めているにもかかわらず、全体とし て、ガバナンスのセクションにはほ とんど進展が見られませんでした。 例えば、人権や環境問題を担当す る役員の氏名や連絡先を開示し ているブランドは、昨年の53%か ら58%に増えています。 また、 その 役員が社内でどのように説明責任 を果たしているかについては、昨 年の61%から66%になったことは 心強いことです。 大手ファッション ブランドの71%が、 サステナビリテ ィチームの直接の連絡先を開示し

ており、 これは昨年と同じです。 .

取締役会の説明責任は、人権お よび環境リスクが最高意思決定 レベルで対処されることを保証す るために極めて重要です。 関連部 署の直接の連絡先を公開するこ とで、消費者や利害関係者は、主 要ブランドや小売業者に説明責 任を果たし、主張を裏付ける証拠 の開示を求めるために、 より多く の情報を求めることができます。

“世界最大のファッションブランドすべてが税金逃 れをせず、公正な負担をすることが不可欠です。 我々は、重要な第一歩として責任ある税務戦略 を開示したブランドを称賛し、 そうしていないすべ てのブランドに対し、速やかにそうするよう求め ます。市民社会は、企業の税逃れの問題を強く認 識しています。 それは、学校や病院を含む地域社 会への資金提供がないことを意味するため、自 分たちが利用しているブランドが税金逃れではな く、納税していることを知ることが不可欠です。” Max Lawson Oxfam International 不平等政策担当


ファッション界の経営者 たちは、地球上で最も裕 福な人々の一人であり、 ブランドが人権や環境に 与える影響について責 任を負うべきである これと並行して、CEOの給与は急 騰しており、 ファッション界のCEO と私たちの服を作る人々との賃金 格差は宇宙まで届く勢いです。 フ ァッション界の経営者たちは、地 球上で最も裕福な個人であり、 ブ ランドの人権や環境への影響に 対して責任を負うべきにもかかわ らず、26%のブランドが役員報酬 を人権や環境目標と結びつけて いるかどうかを開示している一方 で、役員賞与や報酬のうちこれら の目標と結びつけている割合を開 示しているブランドはわずか18% しかいません。 サステナビリティ目 標が役員賞与に占める割合は低 い傾向にあるため、 この情報は重 要です。 つまり、基本報酬がすでに 非常に大きいのに、 サステナビリ

ティターゲットを達成するインセン ティブが役員に本当にあるのだろ うか、 という疑問が生じてきます。

FASHION REVOLUTION

世界中の消費者と市民が生活費の 危機に直面しています。 その一方で、 私たちの服を作っている人々は、 自分自身や家族のために奮闘して いる間に大手ブランドや小売業者 は、税の抜け穴やタックスヘイブン ( 租税回避地、低課税地域)を利用し てさらなる利益を追求しています。 例えば、 ブランドがオンデマンド・モ デルを服の注文方法に採用する傾 向が見られます。 D2C(ダイレクト・ トゥ・コンシューマー)のオンデマン ド・モデルとは、 ブランドがごく少量 の注文を先行し、売れ行きが良け れば注文を増やすというもの。 D2C モデルはまた、小売業者ではなく、 顧客を輸入業者にします。 中国か ら消費者に直接出荷することで、 大手ブランドや小売業者は税制上 のメリットを享受することができま す。 アメリカでは、関税の最低額規 制により、中国の生産者は800ドル 以下の製品を消費者に直接出荷し、 アメリカの関税、税金、監視を回避す ることができます。 責任ある税務戦 略を公表しているブランドは半数 以下(45%) です。 だからこそ、各国

政府が現在の抜け穴に対処する 税制を導入し、多国籍企業が事業 を行っている国で応分の負担をす るようにすることは、各国間および 各国内で拡大する不平等に対処 するために極めて重要なのです。

GOVERNANCE

金銭的インセンティブを含む従業 員のサステナビリティインセンテ ィブは、企業の包括的な人権・環 境目標が真剣に取り組まれてい るかどうかを確認するための鍵と なります。 しかし、今回の調査結果 では、多くのブランドがこの面で、 自社よりもサプライヤーに高い基 準を課していることが明らかにな りました。 31%のブランドは、 サプ ライヤーのインセンティブ (長期 的な購入確約、契約期間の延長、 監査回数の減少など)が、労働条 件や環境への影響の改善にどの ように結びついているかを開示し ている一方で、大手ブランドの17 %のみが、同じ問題に関して会社 のパフォーマンスを向上させるこ

ていることを意味する可能性が あります。 EUでは、EU28カ国の うち18カ国が、監督・管理委員 会への労働者の参加の権利を 有しています。 しかしイギリスで は、FTSE All-Share (FTSE100 種総合株式指数)に上場している 585社のうち、従業員代表がいる のはわずか6社にすぎません。

大手ファッションブラ ンドは、 業界内外の不 平等を助長する税金 や購買慣行などの責 任を回避し続けている

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

とを目的とした従業員インセンテ 大手ファッションブラン ィ ブがあることを開示しています。 ドは、 従業員のインセン サプライヤーのインセンティブに 重点が置かれていることは、 ブラ ティブよりもサプライヤ ンドが重要な問題に関してサプラ ーのインセンティブの イヤーに「責任転嫁」していること 開示を重視しており、 こ を示しているのかもしれません。 れはファッションブラン これと並行して、取締役会に従 業員代表がいることを開示して ドからサプライヤーへ いる大手ブランドは、わずか10 の責任転嫁を示してい %に過ぎません。これは、大手ブ ランドが取締役会で従業員の声 る可能性がある を把握し、行動する機会を逃し

61


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY 62

サプライチェーン トレーサビリティ


大手ブランドや小売業者はサプライチェーンを開示しているか、 またその情報はどの程度詳細なのか? 提供される詳細情報のレベ ルはどの程度か?公表デー タのチェック項目の例:

工場、 加工施設、 原料サ

おおよその労働者数

サプライヤーリストを3つのレ ベルに分けて調査しました:

移民・契約労働者の割合

プライヤーの公表 1.

2.

3.

ブランドは服を製造する一 次製造業者、 つまり、直接ブ ランドが関係性を持ち、裁 断、縫製、最終の仕上げを行 う施設を公開しているか?

ブランドはサプライチェーン の上流にある加工施設(編 み物、織り、紡績、湿式加工、 刺繡、印刷と仕上げ、染色、 皮なめし、洗い上げに至る まで)を公開しているか? ブランドは、繊維、皮革、 ゴ ム、化学薬品、金属などの 原料の主要材料のサプライ ヤーを公開しているか?

親会社名

商品/サービス

• • • •

• • •

• •

施設の所在地

労働者の性別内訳

施設に労働組合があるか、更 に労働組合の名前があるか 施設に独立した労働 者委員会があるか

施設が保有する認証があるか リストにサプライチェーンの 95%以上が含まれているか リストが機械可読形式 (csv、json、xls)か

過去6ヶ月以内にリス トが更新されたか

エントリーレベル労働者 の週手取り賃金は、時間 外労働を除く週労働時間 48時間以内の標準労働 時間に基づいているか

サプライヤーとの協働時間 の開示がされているか

施設のエネルギー消費量の開 示がされているか

施設の水消費量を開示が されているか

今年は、新たに3つの指標を加え、1 つの指標の文言を更新しました。 ( 施設に労働組合が存在するかど うかだけでなく、労働組合名も尋 ねるようになりました)EUでの生 活賃金デューディリジェンスの義 務化を求めるGood Clothes, Fair Pay キャンペーンを踏まえ、私たち の法的提案に盛り込まれた、 エン トリーレベル労働者の週の手取り 賃金をブランドが開示しているか どうかの指標を盛り込みました。 このようなデータの透明性の欠如 は、生活賃金の進展を妨げます。 ま た、施設でのこのデータの透明性 の欠如は、衣料品製造の真の影響 を不明瞭にし、 グローバルサプラ イチェーン全体におけるブランド の環境影響(炭素ミッションなど) の削減を意図した、十分な情報に 基づいた強固な行動を遅らせるこ とを理解した上で、 ブランドが施設 ごとのエネルギーと水の消費に関 する情報を開示しているか、 また は開示するよう働きかけることが できるかどうかも確認したいと考 えました。 私たちは、一次製造業 者と加工施設で上記のことを求 めましたが、原材料については、新 たな指標を追加しませんでした。 また、 ブランドのサプライヤー リストがOpen Supply Hub (OS Hub - オープン・サプライ・ハブ) に提供されているかどうかも見

ています。 OS Hubとは、中立的 で自由に利用できるツールで、世 界中の縫製施設に固有の識別番 号を割り当て、施設名と住所を標 準化するものです。 .

OS Hubは、今年もこのインデック スのためにブランドがアンケートを 返送する期限に合わせて、 プラット フォーム上で サプライヤーリストを 開示するブランドの数が増加して いることに気づきました。 これは、 私たちの手法がOS Hubでの情報 開示を促進するのに引き続き役立 っていることを示唆しています。 重 要なことは、 ブランドは、OS Hub への積極的な貢献者(OS Hubが 公開リストをアップロードするの ではなく、 ブランド自身がリストを 管理すること) であり、 ブランドが 自社のウェブサイトからOS Hub へのリンクを開示する場合にの み、 この指標のポイントを受け取 ることができるということです。 2022年に我々はまず、 ブランドが データをcsv、json、Excelのいず れかの形式で開示しているかどう かを尋ねる指標の文言を更新し、 アパレル業界のためのオープン・ データ・スタンダード(ODSAS)- 第 一段階および第一段階以降にも 適用 - との整合を求めていること を明示しました。 これもまた、情 報をより使いやすく、 より実用的 にするためのものです。 2022年に は、31%のブランドがODSASに沿 った情報を開示していたが、2023

年には37%と健全に増加し昨年 よりも16ブランド多く開示しまし た。 このような情報開示の増加 は、透明性に関する要求事項の 増加によるものと思われます。

FASHION REVOLUTION

更に私たちは、 ブランドがビス コース、 コットン、 ウールまたは 革などの原料のうち、少なくと も一つはサプライチェーンの追 跡ができており、 その情報を公 表しているかも確認しました。

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

このセクションでは、 ブランドが製 造施設から原料サプライヤーのリ ストを公表しているかどうか、 ま た、 ブランドがこれらのサプライヤ ーについてどの程度詳細に開示し ているかに焦点を当てています。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

アプローチ

63


ブランド別総合サプライチェーン・トレーサビリティ・スコア

65

60

55

50

45 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

40

35

30

25

20

15

10

5

Burlington

0

Balenciaga

9

Carolina Herrera

0

Bottega Veneta

9

CAROLL

0

Carrefour

9

celio

0

Hudson’s Bay

9

Deichmann

0

Joe Fresh

9

Dillard’s

0

SAINT LAURENT

9

DKNY

0

Saks Fifth Avenue

9

Dolce & Gabbana

0

Carhartt

8

DSW

0

Triumph

8

Express

0

ALDO

1

Fabletics

0

American Eagle

1

Falabella

0

Aritzia

1

Fashion Nova

0

Beanpole

1

Foot Locker

0

Billabong

1

Foschini

0

Burberry

1

Free People

0

Canada Goose

1

Furla

0

Carter’s

1

Heilan Home

0

CELINE

1

Jockey

0

Chanel

1

K-Way

0

Chico’s

1

Kiabi

0

Cortefiel

1

Kmart

0

Costco

1

KOOVS

0

Decathlon

1

Li-Ning

0

Diesel

1

Longchamp

0

Dior

1

Macy’s

0

Eddie Bauer

1

Max

0

Famous Footwear

1

Max Mara

0

Fila

1

Metersbonwe

0

Gerry Weber

1

Mexx

0

Ito-Yokado

1

ASICS

50

Monoprix

0

Jil Sander

1

ASOS

50

MRP

0

Kohl’s

1

Bally

50

New Yorker

0

La Redoute

1

Brooks Sport

50

Nine West

0

Lands’ End

1

Patagonia

50

Pepe Jeans

0

LC Waikiki

1

Ermenegildo Zegna

49

Reebok

0

Louis Vuitton

1

John Lewis

20

Fruit of the Loom

47

Reliance Trends

0

Marc Jacobs

1

Pimkie

20

Lindex

47

REVOLVE

0

Marni

1

REI

20

Russell Athletic

47

Romwe

0

Merrell

1

Under Armour

20

Zalando

47

Ross Dress for Less

0

Michael Kors

1

Victoria’s Secret

20

Big W

46

19

Sandro

0

Moncler

1

Amazon

Tchibo

46

Savage X Fenty

0

Prisma

1

Kaufland

19

Wrangler

46

Semir

0

Quiksilver

1

boohoo

18

Asda

45

Columbia Sportswear

58

SHEIN

0

Reserved

1

Clarks

18

Mammut

30

Bonprix

45

s.Oliver

58

Shimamura

0

Roxy

1

PrettyLittleThing

18

Marks & Spencer

30

New Balance

45

Zeeman

58

Skechers

0

Salvatore Ferragamo

1

Mizuno

16

Target

30

Armani

43

Adidas

Sports Direct

0

Splash

1

Muji

16

COACH

27

Calvin Klein

43

Speedo

57

Steve Madden

0

Takko

1

Hermès

15

Kate Spade

27

New Look

43

Ralph Lauren

55

The Children’s Place

0

Tommy Bahama

1

LL Bean

15

Ted Baker

27

Tommy Hilfiger

43

Converse

54

The Warehouse

0

Versace

1

Primark

15

Superdry

26

Matalan

42

Helly Hansen

54

TJ Maxx

0

Aeropostale

0

Otto

14

Valentino

26

Champion

42

Jordan

54

Tod’s

0

AJIO

0

El Corte Inglés

12

Morrisons

24

Dick’s Sporting Goods

42

Mango

54

Tom Ford

0

ANTA

0

Fossil

12

Disney

24

GU

42

Nike

54

TOPVALU COLLECTION

0

Anthropologie

0

KiK

12

ALDI Nord

23

Gymshark

39

Hanes

42

Jack & Jones

53

Tory Burch

0

BCBGMAXAZRIA

0

Lidl

12

Dr. Martens

23

Next

39

Kathmandu

42

Vero Moda

53

Fendi

78

Truworths

0

Belle

0

Woolworths South Africa 12

Fanatics

23

JD Sports

38

Miu Miu

42

Lululemon

53

Sainsbury’s

64

Levi Strauss & Co

76

Kmart Australia

88

Gucci

96

United Arrows

0

Big Bazaar – ffb

0

Bershka

11

Nordstrom

23

Banana Republic

36

Prada

42

Abercrombie & Fitch

52

Chloé

64

C&A

74

Target Australia

88

Calzedonia

93

Urban Outfitters

0

Bloomingdale’s

0

Massimo Dutti

11

Fjällräven

22

Desigual

36

Uniqlo

42

HEMA

52

Tom Tailor

64

H&M

74

Dressmann

85

Intimissimi

93

Van Heusen

0

Bosideng

0

Pull&Bear

11

ALDI SOUTH

22

Gap

36

GUESS

41

Hollister Co.

52

Tesco

62

UGG

74

The North Face

85

OVS

93

Walmart

0

Brunello Cucinelli

0

Stradivarius

11

Cotton On

22

Old Navy

36

Jack Wolfskin

41

Hugo Boss

52

Gildan

61

Esprit

72

Timberland

85

Tezenis

93

Youngor

0

Buckle

0

Zara

11

Paris

22

River Island

35

Very

41

Lacoste

52

Puma

61

G-Star RAW

72

Vans

85

United Colors of Benetton 93

0 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

41 – 50%

* ブランドは74点満点中のスコアでランク付けされているが、四捨五入した数値で表示されている。 同じ点数のブランドがある場合は、 アルファベット順に表示されている。

51 – 60%

57

61 – 70%

71 – 80%

81 – 90%

91 – 100%

スコアの範囲

FASHION REVOLUTION 64

結果

ブランドの数

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

70


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果 一次製造業者の公表について

52%

親会社名が含まれている

2%

4%

エントリーレベル 労働者の週手取り 賃金が含まれている

施設に労働組合と 労働組合の名前が あるかが含まれている

施設とどのくらいの期間 仕事をしているのかを 公開している

34%

製造業者の95%以上 を開示している

44%

過去6ヶ月以内に リストが更新されたかを 公開している

37%

アパレル業界のための オープン・データ・ スタンダード (ODSAS) に添ったリストを 公開している

0%

施設のエネルギー 消費量を公開している

0%

施設の水消費量を 公開している

8%

13%

施設がどのような認証を 保有しているか 公開している

43%

提供している商品/ サービスの種類が 含まれている

30%

労働者の性別内訳が 含まれている

25%

Open Supply Hub (OS Hub)にサプライヤー リストを公開している

44%

おおよその労働者数 が含まれている

16%

移民・契約労働者の 割合が含まれている

34%

開示の対象となる取引量の総計と、 公表されたサプライヤー工場の 総数に対する割合を公開している

51%

FASHION REVOLUTION

11%

施設に独立した 労働者委員会が 含まれている

施設の所在地が 含まれている

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

35%

一次製造業者の リストを公開している

65


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

加工施設について

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

36%

一次製造業者の先の 加工施設の情報を 公開している

25%

親会社名が含まれている

35%

FASHION REVOLUTION 66

施設の所在地が 含まれている

32%

提供している商品/ サービスの種類が 含まれている

29%

おおよその労働者数 が含まれている

2%

施設に労働組合と 労働組合の名前が あるかが含まれている

30%

アパレル業界のための オープン・データ・ スタンダード (ODSAS)に 添ったリストを 公開している

7%

施設に独立した労働者 委員会が含まれている

19%

にサプライヤーリスト

18%

労働者の性別内訳 が含まれている

18%

開示の対象となる取引量 の総計と、公表された サプライヤー工場の総数 に対する割合公開している

10%

移民・契約労働者の 割合が含まれている

12%

製造業者の95%以上 を開示している

11%

施設がどのような 認証を保有している か公開している

32%

過去6ヶ月以内にリストが 更新されたかを 公開している

Open Supply Hub

を公開している

0%

施設のエネルギー 消費量を公開している

0%

施設の水消費量を 公開している


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

原料サプライヤー

厳選された原料 サプライヤーの情報を 公開している

5%

労働者の性別内訳 が含まれている

10%

過去12ヶ月以内に リストが更新されたかを 公開している

6%

特定の施設名や農場名 を公開している

2%

移民・契約労働者の 割合が含まれている

61%

会社が1つまたは複数の 特定の原料を追跡しているか どうかを公開している

8%

アパレル業界のための オープン・データ・ スタンダード (ODSAS)に 添ったリストを 公開している

8%

11%

特定の原料繊維、商品/ サービスを公開している

おおよその労働者数 が含まれている

8%

5%

原料サプライヤーの 割合を公開している

複数の原料の種類を 網羅しているリストを 公開している

FASHION REVOLUTION

6%

施設の所在地が 含まれている

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

12%

67


以前のFashion Transparency Indexにおいて、Industrial Global Union 事務総長補佐のJenny Holdcroftがこのように話している:

% of brands

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

分析

100

サプライチェーン・トレーサビリティー: 年度別にみる平均スコアの推移

公に開示されたサプライヤーリスト は、主要ブランドや小売業者のサプ ライチェーンの中で労働者が抱え る問題について、労働組合や環境 活動家、労働者の権利団体に訴え かけ、是正するための手助けとなり ます。 詳細は、p.31〜32にて、 グルー プが透明性情報をどのように使用 しているかのケーススタディをご覧 ください。

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

「工場から仕入れる主 な販売業者名を認知す ることで、労働者や組合 は強い影響力を手にす サプライヤーリストの公表は、 ブラ ることができます。 その ンド自身にとってもメリットがあり 情報は組合の認知を拒 ます。サプライチェーンの透明性に より、 ブランドは労働者の代表者や 否したり、権利を要求し 環境グループからタイムリーで信頼 たための不法解雇など できる情報を受け取ることができ、 不正な下請けなどの労働・人権・環 の対立を解決するため 境リスクを軽減するのに役立ちま に重要となります。 また、 す。サプライチェーンの透明性は、同 じ施設を利用する他の企業と協力 労働者と顧客を繋げ、 して問題を解決することも可能で す。 また、 ブランドに対する投資家と さらには労働者の抱え 消費者の信頼を高めることもでき る問題を、 メディアに取 ます。 また、製品がどこで作られて いるのかをオープンにし、 サプライ り上げさせる可能性を チェーンで起こることについて責任 も秘めているのです。 」 を負う意思があることをステークホ ルダーに示すこともできます。

24

23

22

21

20

19

18

16

16

14

12

12

11

10

FASHION REVOLUTION 68

8

8

6

year 2017 92 BRANDS

2018 139 BRANDS

2019 188 BRANDS

2020 239 BRANDS

2021 246 BRANDS

2022 250 BRANDS

2023 250 BRANDS


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

一次製造業者の公開

一次製造業者とは、生産の最終段 階で衣服の裁断、縫製、仕上げを行 うサプライヤーを意味します。 これ らのサプライヤーは、 その後、店頭 や私たちのワードローブに並ぶ製 品を倉庫に出荷します。

サプライヤーはしばしば似たような 会社名を持っていたり、同じ施設で 複数のサプライヤーが操業してい ることもあります。 そのため、混乱や 不完全または不正確なサプライヤ ー情報につながるため、工場の住 所を公表することは重要です。

トレーサビリティの項目で見られる 進歩は、法制化(提案されたもの、 これから提案されるもの)の増加 の結果であり、自主的なメカニズム だけでは必要な変化を推進するに は不十分であり、法制化が進歩を 推進する最も効果的な方法である ことを証明していると考えられま す。 CSDDDはまだ実施されていま せんが、 トレーサビリティの項目で ブランドによる情報開示が増加して いることは、 これらの法制化案や提 案された法制化案をブランドが期 待していることを示しています。

“サプライチェーンのデューデリジェンスと報告に 関する法律が世界的に制定される波が高まり続 ける中、Open Supply Hub (OS Hub)でサプライ ヤーデータを共有することを選択するアパレルブ ランドや小売業者の数が増加していることは注目 に値します。 この法律が、単なるチェックボックスで はなく、 その目的(グローバルサプライチェーンの 状況改善)を達成しようとするならば、サプライチ ェーンデータはオープンに共有され、組織が実用 的かつ効率的に作業できる形式(機械読み取り可 能で、エクセルやCSVファイルとしてダウンロード 可能)で提供されなければなりません。 その結果、 グローバルな生産拠点で共有されているつながり を迅速に特定できるようになり、 コラボレーション の機会が加速します。私たちは、 それを実現するた めに先手を打ったブランドに拍手を送ります。” Natalie Grillon Executive Director Open Supply Hub 事務局長

FASHION REVOLUTION

35%のブランドが工場の親会社名 を公表し、43%が提供される製品 またはサービスの種類を公表して います。 また、各工場で働くおおよそ の労働者数を公表しているブランド は44%で、昨年の40%から増加し ています。 ステークホルダーが問題 のサプライチェーンをよりよく理解 し、必要に応じて労働、人権、環境

かつてファッション業界では不 透明さが常態化していましたが、 今では世界各国の現行法、次期 法、法案の多くに透明性が謳わ れていることは心強いです。例え ば、EUのCorporate Sustainable Reporting Directive (コーポ レート・サステイナビリティ・デュ ーデリジェンスに関する指令案) 、The French Corporate Duty of Vigilance Law (フランスの企業デ ューデリジェンス法)、Dutch Child Labour Due Diligence Law ( オランダの児童労働注意義務法) 、Lieferkettengesetz(ドイツのサ プライチェーン法)、Fashion Act Bill (ニューヨークのファッション法 法案)、 そして日本のビジネスを行 うための新しい企業ガイドラインの 一部などがあります。

さらに最近では、2023年6月に欧州 議会がCorporate Sustainability Due Diligence Directive(CSDDD - コーポレート・サステイナビリテ ィ・デューデリジェンスに関する指 令案)に賛成票を投じ、企業の説 明責任を強く支持する声明を発表 しました。 これにより、一定規模の 企業はサプライチェーンを調査し、 人々や地球に対するリスクを特定 する法的義務を負うことになり、地 域社会や労働組合は、 このプロセ スの一環として協議されます。 この 法律は、企業が世界各地で引き起 こした弊害に対する責任を問うも のです。

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

リスクに対処するための最善の行 私たちは2014年からサプライチェ 動を優先するのに役立つため、 これ ーンの透明性を求めるキャンペー らは有益な情報となります。 ンを展開し、2017年に第1版のイン デックスを発表しました。 ほぼ10年 にわたり、私たちはトレーサビリテ ィと透明性の向上を推進する最前 トレーサビリティの項目 線に立ってきました。 苦闘の末、 つ いに世界最大のブランドと小売業 で見られる進歩は、法制 者の半数以上(52%)が一次製造業 化(提案されたもの、 こ 者の名前を開示し、51%が住所を 開示するようになりました。 これは、 れから提案されるもの) 過去数回のインデックスの前年比 での進歩が遅々として進まなかっ の増加の結果である た後、2022年と比較して4ポイント 増加したことになります。

69


100

公開しているブランドの%

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

60

一次製造業者の公開

サプライヤー名 施設の所在地

施設の親会社名

事業所で生産している商品/サービス

おおよその労働者数

施設に労働組合があるか、更に労働組合の名前があるか*

52

50 47

48 46

44

労働者の性別内訳

51

移民・契約労働者の割合

施設が保有する認証があるか

44 44

過去6ヶ月以内にリストが更新されたか

43

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

37

39

36 33

36

31 30

リストが機械可読形式(csv、json、xls)か

40

40

28

37 35

31 29

30

26

21 20 16

11 11 FASHION REVOLUTION 70

10

7 7

*注:今年は以下の指標を更新

10

4

5

0

13

year 2021 246 BRANDS

2022 250 BRANDS

2023 250 BRANDS

“施設に労働組合がある”の指標 を更新し、 ”労働組合の名前”を含 めるようにしました。 組合名を含む 情報開示のみを受理したため、 情 報開示が減少しました。


2019年、Open Supply Hub(OS Hub)の手法の基本であるアパレル 業界のためのオープン・データ・ス タンダード(ODSAS)に沿って、 サプ ライヤーリストを機械可読形式で 開示しているブランドは、250社のう ちわずか10%に過ぎませんでした。 現在、250社のうち37%がそうして おり、ベストプラクティスとしてへ 進んでいることを示しています。 ま た、我々のデータでは、主要ブラン ドの52%が一次工場リストを公表 しているものの、 これらのリストを OS Hubに提供し、積極的にデータ を管理しているのは、主要ブランド の25%に過ぎないことが明らかに なりました。 FTIの調査プロセスに おいて、何百ものブランドの情報開 示を検討した結果、 サプライチェー ン情報開示の共通最低基準である Transparency Pledge(透明性の誓

特筆すべきは、Calzedonia Group (Calzedonia, Tezenis, Intimissimi) が、施設ごとのエネ ルギーと水の消費量の開示を求め る私たちの新しい指標に対して開 示した唯一のブランドのひとつであ ったこと。 Calzedonia Groupがサ プライヤーリストでこの情報を開 示し、業界のベストプラクティスを 押し進めたことに拍手を送りたい と思います。 私たちは、Calzedonia Groupに続くブランドが現れること を期待しています。

34%のブランドは、 サプライチェー ンの一次工場の95%以上を開示し ており (昨年の31%から増加)、44 %のブランドは、 サプライヤーリスト が過去6ヶ月間に更新されたかどう かを開示しています。 主要ブランド はサプライヤーとの取引を頻繁に 開始したり停止したりするため、 サ プライヤーリストはすぐに古くなり、 サプライチェーンの継続的な可視 性が失われる可能性があります。 そ のため、 ステークホルダーが必要な 最新の情報に確実にアクセスでき るようにするためには、少なくとも 年に2回の定期的な更新が不可欠 です。 私たちは、 ブランドがサプライ ヤーリストを開示することを評価す る一方で、 それが定期的に更新さ れ、公に開示されない限り、公正と 是正を求める際にそれを頼りにす る市民社会組織にとって、 リストは 効果的とは言えません。 昨年のインデックスでレビュー された250ブランドのうち9ブラ ンドが、 その後初めて一次製造 業者を公表したのが、 Armani、 COACH、KateSpade、KiK、 Muji、Superdry、Triumph と Valentino。 2023年に初めてレビュ ーした新ブランド、 Gymsharkもこの 情報を開示しています。 ラグジュアリ ー、 スポーツウェア、 フットウェア、 ア クセサリーなど、 さまざまな市場セ グメントと地域で進展が見られるの は心強いです。

FASHION REVOLUTION

昨年、私たちはブランドに対して、 施設がどのような認証を取得して

OS Hub IDを含むサプラ イヤーリストを開示する ブランドが増えていること も、歓迎すべきことである

約)に基づく方法論に沿って、 これ まで以上に多くのブランドがサプラ イヤーリストを開示していることが わかり、勇気づけられました。 さら に、OS Hub IDを含むサプライヤー リストを開示するブランド (Kmart Australia と Target Australia)が増 えていることも喜ばしいことです。 ステークホルダーがOS Hubのサプ ライヤー情報をどのように活用して いるかについては、31ページのケー ススタディをご覧ください。

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

各工場の労働者の性別内訳を開示 しているブランドは30%、移民・契 約労働者の数を開示しているブラ ンドは16%で、昨年の11%から増 加しています。 サプライチェーンの 下層に行くほど可視性は低下する ため、私たちの服を作っている人々 に関する重要な情報に関して、第1 層の段階ですでにこれほど低い開 示しかなされていないことは落胆 すべきことです。 例えば、施設内の 女性労働者の割合を知ることで、女 性労働者の実態やニーズに基づい たジェンダー対応(女性が生理中 の衛生管理をしっかり行えるように し、生理中のトイレや休憩を許可す る、など)のデューディリジェンスが 可能になります。

いるかを尋ねる新しい指標を発表 しました。 2022年には、 この情報を 開示しているブランドはわずか10 %でしたが、今年は若干多い13% がこの情報を開示しました。 施設で の認証の公開は、組合や市民がそ の施設におけるデューディリジェン スの性質と強固さを理解するのに 役立ちます。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

労働組合がある施設かどうかを開 示しているブランドは4%で、昨年の 11%から減少しています。 施設に独 立した労働者委員会があるかどう かを開示しているのは11%です。 ほ とんどのブランドはこの情報を開示 していませんが、労働者委員会と労 働組合は、労働者がより良い労働 条件を達成するために利用できる 重要な手段であるため、 その重要 性を過小評価することはできませ ん。 この情報の公開は、懸念が生じ たときに労働者代表やブランド自 身がサプライヤーとどのように関わ るのが最善かを特定するのに役立 ちます。 ここでの透明性は、労働組 合が組織化努力の優先順位をどこ に置くべきかを理解するのにも役 立ちます。

71


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

加工施設の公開

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

加工施設とは、綿繰、紡績、編み・ 織り加工、染色・湿式加工、皮革な めし、刺繍・加飾、生地仕上げ、染 色・プリント・洗濯など、幅広い加 工を含みます。 今年は、36%のブ ランドが一部の加工施設名を公 表しており、4ポイント上昇してい ます。 2021年には、加工施設の一 部を公表している主要ブランドや 小売業者は27%に過ぎず、2020 年の24%からわずかな上昇にと どまっていました。 しかし私たち は、#WhoMadeMyFabric?キャン ペーンと連動して2021年に更新を したOut of Sightレポートを発表 することを含め、 ブランドに対して さらなる前進を求め続けていきま す。 この情報の公開に消極的な姿 勢は、何かを隠そうとしているの か?という疑問を抱かせます。

さらに、今回の調査結果では、各ブ ランドがサプライヤー施設について 開示している詳細がわずかに上昇 していることが示されました。 次ペ ージのグラフをご覧ください。 そして、昨年のインデックスでレ ビューした13の主要ブランドが、 今回初めて加工施設の一部を

FASHION REVOLUTION 72

開示したことに注目したいと思 います - Abercrombie & Fitch、 Armani、Brooks Sport、Chloé、 Desigual、Gucci、Hollister Co. Kathmandu、Miu Miu、Prada、 River Island, s.Oliver と Veryな ど。 今年新たにインデックスに加わ ったブランド、Gymsharkもこの情 報を開示しています。

SHARIFA FROM FASHION REVOLUTION BELGIUM


公開しているブランドの%

60

加工施設の公開

サプライヤー名 施設の所在地

施設の親会社名

事業所で生産している商品/サービス

おおよその労働者数

施設に労働組合があるか、更に労働組合の名前があるか* 労働者の性別内訳

50

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

100

移民・契約労働者の割合

施設が保有する認証があるか

過去6ヶ月以内にリストが更新されたか

リストが機械可読形式(csv、json、xls)か

40

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

36

30 27 26

32

35 32

30

30

26 26

29

32

25

23 21 20

20

18 17

24 24 19

14 11

11 10 6 6

4

6

2021 246 BRANDS

2 2022 250 BRANDS

*注:今年は以下の指標を更新

10

2023 250 BRANDS

“施設に労働組合がある”の指標を 更新し、”労働組合の名前”を含める ようにしました。 組合名を含む情報 開示のみを受理したため、情報開 示が減少しました。

FASHION REVOLUTION

6

2 0

18

73


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 SUPPLY CHAIN TRACEABILITY FASHION REVOLUTION 74

原料サプライヤーの公開 原料サプライヤーとは、繊維(コット ン、 ウール、 ビスコース、ポリエステ ル、 ナイロンなど)、皮革、 ゴム、染 料、化学物質、金属などの素材をブ ランドとそのメーカーに提供する業 者を指します。 サプライチェーンに おける原材料は、一般的にブランド にとって最も可視性が低く、 それゆ え、多くの人権侵害や環境侵害が 目に見えないまま進行しているこ とが多くあります。

サプライチェーンのトレーサビリテ ィはこれまでで最も重要性を増し ています。 パンデミックがサプライチ ェーンで働く人々に与えた犠牲や、 中国綿花産業やタミルナドゥ州繊 維産業におけるよく知られた事例 をはじめとする、世界的に現在進行 中の強制労働の問題、 さらには激 化する気候危機といった問題にこ のことが表れています。 気候危機と その地域社会への影響に対処する ために、なぜより一層の透明性が 必要なのかについては、31-32ペー ジのケーススタディをご覧ください。 さらに、政府や市民社会がCOP28 に向けて準備を進めている今、私 たちは気候変動の危機の新たな局 面を迎えています。 調査によると、私 たちの衣服や靴に使われるいくつ かの原材料の生産に森林伐採が関 係しており、重要な炭素隔離源にダ メージを与えていることが明らかに なっています。 本インデックスに含まれる250ブラ ンドのうち、12%が原料サプライヤ ーの少なくとも一部を開示している

ことは心強いことではありますが、 これは2021年から1%増加しただ けで、2022年からは変化していませ ん。 さらに、公表している原料サプラ イヤーの割合を開示しているブラン ドはわずか8%です (昨年から2ポイ ント増加)。 言い換えれば、大半のブ ランドは原料サプライヤーを開示し ておらず、主要ブランドにおいて原 材料サプライチェーンの可視性が 極めて低いことを示唆しています。 このことは、原材料が生産されて いる特定の施設や農場名を開示し ているブランドがわずか6%しかな く、 リストが複数の種類の原材料を カバーしているかどうかを開示して いるブランドがわずか5%しかない という事実からも明らかです。 2022 年には、原材料、製品、 サービスの 種類に関するブランドの開示につ いて、 「特定の原材料繊維を開示す る」 という表現に若干更新し、2022 年の9%から現在は11%となって います。

昨年のインデックスでレビューさ れた250の主要ブランドのうち7ブ ランドが、 初めて原料サプライヤー の一部を開示しました:Inditex( Bershka、Massimo Dutti、 Pull&Bear、Stradivarius、Zara) と Mangoです。 しかし、 原料サプラ イヤーの開示を辞めてしまったか、 共有したリストが6ヶ月以上であっ たため、 今年ポイントを獲得できな かったブランドもいます。 重要なの は、 ブランドが原料サプライヤーリ ストの一部として構成部品(ボタン、 ファスナー、 アクセサリー用金属な ど)を含む必要があることに気づい たこと。 私たちがブランドの原材料 リストを確認し、 特定の施設や農場 名を開示しているか否かを確認す る際には、 原材料の原産地である 個々の工場、 農場、 または場所を意 味します。

ポリエステルに関しては、 バージ ン・ポリエステルの場合、 石油採掘場 (石油が採掘される場所)および・ 現在、大多数のブランド (61%)が、 または精製された石油の供給者の コットンやレザーなど少なくとも1 名前を求めています。 再生ポリエ つの特定の原材料のサプライチェ ステルについては、ポリエステルが ーンを追跡した証拠を開示してい 製造されたリサイクル施設(すなわ て、2020年の50%から増加してい ち、既存のプラスチックを溶融し、新 ます。 このトレースとマッピングを行 しいポリエステル繊維に紡糸する うために主要ブランドが使用する 施設)を求めています。 ブランドによ ツールには、認証システム(Better る情報開示のばらつきは、 ファッシ Cotton Initiativeのようなシステム ョン業界全体の標準化と調整の必 を使用するものを除く)、 ブロックチ 要性を示唆しています。 ェーン、DNAトレース、 その他の類 本インデックスでレビューした主要 似技術が含まれます。 ブランドや小売業者の間で、 サプラ イチェーンのトレーサビリティが着

実に改善されているのは心強いこ とではありますが、進展はまだ遅す ぎます。 このことは、企業にサプラ イチェーンのマッピングと公開を義 務付ける政府規制が切実に必要と されている理由を物語っています。 これは、労働者やその代表者、投資 家、規制当局、消費者、 そしてブラン ド自身にとっても有益です。 気候危 機の影響をますます受ける世界に おいて、 ブランドのサプライチェーン のトレーサビリティと、 ブランドが事 業を展開する地域社会への影響に 関する説明責任は、 これまで以上 に重要になってきます。

サプライチェーンのトレー サビリティは、 パンデミッ クが世界中のサプライチ ェーンで働く人々に与え た犠牲を考慮すると、 こ れまで以上に重要である ブランドは今、 さまざまな地域で重 複する新法に準拠する必要に迫ら れています。 ありがたいことに、 これ らの法律案は、 より強固なトレーサ ビリティを要求しています。 私たち は、2024年までに55%以上のブラ ンドが一次製造業者リストを開示

し、 サプライチェーンに関する情報 を開示しないまま、 トレーサビリテ ィの項目で全体のわずか0~1%の スコアしか獲得していない45%の ブランドにも大きな前進がもたらさ れることを願っています。 私たちは、 人権と環境に多大な影響を及ぼす 気候変動の危機に直面しており、責 任の連鎖を追うことに時間を費や す余裕はありません。


原料サプライヤーの公開

サプライヤー名

61 60

公開しているブランドの%

50

所在地

農場または施設名公表

58 57

施設で生産している原材料繊維、商品/サービス

おおよその労働者数

原料サプライヤーの公表の割合の公表 労働者の性別内訳

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

100

移民・契約労働者の割合

1つ以上の特定の原材料の出所/供給者を 追跡しているかどうかを公表 過去6ヶ月以内にリストが更新されたか

30

SUPPLY CHAIN TRACEABILITY

リストが機械可読形式(csv、json、xls)か

40

20

12 10

11

3 2 0

2021 246 BRANDS

9

3

12 11 10 888 66 5 2

2022 250 BRANDS

2023 250 BRANDS

FASHION REVOLUTION

99 8 7 6 55

11 10 9 8 7 6 5

75


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

FASHION REVOLUTION

KNOW, SHOW & FIX 76

把握・開示・改善


主要なブランドや小売業者は、人権や環境に関するデューデリジェンス についてどのようなメッセージを伝えているか?

私たちの手法は、 ビジネスと人権 に関する国連指導原則17に沿った もので、 この原則は企業が実際の および潜在的な悪影響を特定し、 防止、緩和、是正することを求めて います。 尚、監査だけでは強固な人 権デューデリジェンスプロセスとは 言えないため、監査を超える開示 のみを受け入れています。

開示 ここでは、 ブランドが工場で見つか った問題の概要として施設毎の評 価結果を、 またはより詳細なレベル (例えば、個々の工場、加工施設、 農場毎) で開示しているかどうかを 調べました。

FIX ブランドが、 サプライチェーン内で 発生した人権侵害や環境侵害をど のように是正しているかについて、 どのような公表をしているかを調 べました。 また、 ブランドが、直接雇 用の従業員とサプライチェーンの 労働者の両方に対して、匿名での また、 このセクションは、生産開始 苦情対応のプロセスを公表してい 前に新たな施設を受け入れる基準 るかどうかも測定しています。 報告 に関する開示も把握することがで された違反や苦情に会社がどのよ きます。 環境監査の範囲、 プロセス、 うに対応するか、労働者がどのよ 認定の透明性も測定し、 ブランドが うに苦情対応メカニズムについて サプライヤーが環境基準を満たし 知らされているか、報告された違 ているかどうかをどのように評価し 反の結果データをブランドが開示 ているかについての開示を求めて しているかどうかも調査の対象と います。 しました。

把握・開示・改善のセクションでは、 ブラン ドが以下のような情報を開示している場 合にポイントを付与しました。 例えば: •

• • • •

影響を受けるステークホルダー(労働 者、 組合、 女性の権利団体を含む)がデ ューデリジェンスプロセスにどのよう に関与しているか ブランドの方針に対してサプライヤー がどのように評価されるか

新しいサプライヤーと取引を開始する プロセス 責任を持って、 既存のサプライヤーと 取引を終了するプロセス

ブランドは1次サプライヤーより先(2 次、 3次サプライヤー)の評価を行って いるかどうか、 行っている場合はその 施設を開示しているどうか

サプライヤーの評価に労働組合の代 表者が参加し、 労働者への職場外での インタビューが含まれているかどうか 施設レベルのアセスメント (工場、 加 工施設、 農場など)から得られた知 見

FASHION REVOLUTION

ブランドがサプライチェーンにおける 人権と環境のリスク、 影響、 違反の両 方を特定し、 対処するためにどのよう に取り組んでいるか

KNOW, SHOW & FIX

把握 ここでは、人権と環境へのリスクの 両方に関するデューディリジェンス のプロセスを調べています。 私たち は、 ブランドがサプライチェーンに おける人権と環境のリスク、影響、 違反を特定するためにどのような ステップを踏んでいるかを理解す るために、人権と環境のデューディ リジェンスに関する情報開示を測 定しています。 また、影響を受ける ステークホルダー(労働者、労働組 合、女性の権利団体など)がブラン ドのデューデリジェンスのプロセス にどのように関与しているかにつ いての情報も調べています。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

アプローチ

77


ブランド別総合把握・開示・改善スコア

ブランドの数

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

結果

50

45

KNOW, SHOW & FIX

40

35

30

25

20

15

FASHION REVOLUTION 78

10

5

Reebok

2

Chanel

2

MRP

10

Famous Footwear

2

Pimkie

10

Cortefiel

29

Jockey

2

Victoria’s Secret

10

Matalan

29

Max

2

Hudson’s Bay

10

Tom Tailor

29

Eddie Bauer

2

Ito-Yokado

10

ALDO

29

Gymshark

40

Foot Locker

2

Saks Fifth Avenue

10

Columbia Sportswear

29

Tchibo

40

LC Waikiki

2

American Eagle

10

Lacoste

29

Tesco

40

REVOLVE

2

Asda

10

Under Armour

29

ALDI SOUTH

40

Sports Direct

2

Buckle

10

JD Sports

29

Carrefour

40

celio

2

Carolina Herrera

10

Brooks Sport

29

Converse

40

Romwe

2

Fruit of the Loom

10

Carter’s

29

Jordan

40

SHEIN

2

La Redoute

10

Champion

19

Jil Sander

29

Nike

40

Fabletics

0

Russell Athletic

10

Hanes

19

Cotton On

26

Fendi

40

Savage X Fenty

0

Triumph

10

Very

19

Monoprix

26

Sainsbury’s

40

Bosideng

0

Desigual

10

Dick’s Sporting Goods

19

Disney

26

ASICS

38

19

ANTA

0

Canada Goose

10

Fila

Nordstrom

26

Lidl

38

Bloomingdale’s

0

Tommy Bahama

10

GUESS

17

Michael Kors

26

New Look

38

Macy’s

0

Ross Dress for Less

7

TOPVALU COLLECTION

17

Versace

26

Walmart

38

Beanpole

0

Billabong

7

The Warehouse

17

Sandro

26

ALDI Nord

38

Belle

0

DSW

7

Paris

17

El Corte Inglés

24

COACH

38

Big Bazaar – ffb

0

Fossil

7

Falabella

17

Next

24

Kate Spade

38

14

Salvatore Ferragamo

24

Superdry

Deichmann

0

Furla

7

Wrangler

36

Adidas

50

DKNY

0

Gerry Weber

7

River Island

14

Brunello Cucinelli

24

Prisma

36

Mango

50

Dolce & Gabbana

0

Kaufland

7

CAROLL

14

KiK

24

Dr. Martens

33

Gildan

50

Balenciaga

60

Fashion Nova

0

Kmart

7

Lands’ End

14

Clarks

24

Morrisons

33

Hugo Boss

50

Bottega Veneta

60

Heilan Home

0

Pepe Jeans

7

Steve Madden

14

Chico’s

24

Decathlon

33

UGG

50

Gucci

60

K-Way

0

Quiksilver

7

HEMA

14

Diesel

24

Mammut

33

Burberry

48

SAINT LAURENT

60

14

Zalando

21

Moncler

33

Patagonia

48

Bershka

60

KOOVS

0

Roxy

7

Kohl’s

LL Bean

0

REI

7

Jack Wolfskin

14

Target

21

Miu Miu

33

Lululemon

48

Massimo Dutti

60

Longchamp

0

Reserved

7

Valentino

14

Amazon

21

Prada

33

Marks & Spencer

45

Pull&Bear

60

Max Mara

0

The Children’s Place

7

Ted Baker

14

boohoo

21

CELINE

31

Big W

45

Stradivarius

60

Metersbonwe

0

Merrell

7

Chloé

14

Burlington

21

Dior

31

Jack & Jones

45

Zara

60

Zeeman

67

Mexx

0

Mizuno

5

Ermenegildo Zegna

12

Joe Fresh

21

John Lewis

31

Vero Moda

45

ASOS

57

Puma

64

12

PrettyLittleThing

21

Louis Vuitton

31

Calzedonia

45

H&M

57

United Colors of Benetton64

New Yorker

0

Dillard’s

5

Takko

Nine West

0

Carhartt

5

TJ Maxx

12

Kiabi

21

Marc Jacobs

31

Intimissimi

45

Banana Republic

55

Dressmann

64

Semir

0

Li-Ning

5

Tod’s

12

Muji

21

Otto

31

Tezenis

45

Gap

55

The North Face

62

Shimamura

0

Aeropostale

5

Anthropologie

12

Abercrombie & Fitch

21

Armani

31

Esprit

43

Old Navy

55

Timberland

62

Splash

0

BCBGMAXAZRIA

5

Bally

12

Hollister Co.

21

Hermès

31

Bonprix

43

Primark

55

Vans

62

Tom Ford

0

Express

5

Costco

12

Kathmandu

21

Aritzia

31

Ralph Lauren

43

Calvin Klein

52

Fjällräven

62

12

Fanatics

21

Helly Hansen

31

Speedo

43

Tommy Hilfiger

52

GU

62

Tory Burch

0

Reliance Trends

5

Free People

Van Heusen

0

Skechers

5

Urban Outfitters

12

United Arrows

21

Foschini

31

Levi Strauss & Co

43

G-Star RAW

52

Uniqlo

62

C&A

71

Kmart Australia

88

Youngor

0

Truworths

5

AJIO

12

Marni

21

Woolworths South Africa

31

Lindex

43

New Balance

52

s.Oliver

62

OVS

71

Target Australia

88

0 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

41 – 50%

* ブランドは42点満点中のスコアでランク付けされているが、四捨五入した数値で表示されている。 同じ点数のブランドがある場合は、 アルファベット順に表示されている。

51 – 60%

61 – 70%

71 – 80%

81 – 90%

スコアの範囲

91 – 100%


把握

人権デューディリジェンス

環境デューデリジェンス

サプライヤーアセスメント

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果 開示

施設評価結果の公開

環境デューディリジ ェンスのプロセス を説明している

44%

環境監査の範囲、 プロセスおよび認定 について説明している

48%

1次サプライヤー の評価結果の概要 を公開している

37%

影響を受けるステ ークホルダーがどの ように関与している かを公開している

22%

関連するステーク ホルダーがどのよ うに関与している かを公開している

4%

監査の一環として事業 所外で面談した労働者 の数を公開している

6%

原材料レベルでのサプ ライヤー評価結果の 概要を公開している

20%

違反に対処するため に講じた措置の結 果を公開している

22%

違反に対処するために とった措置の結果を 公開している

4%

労働組合代表を含む監 査の数を公開している

1%

原材料レベルで、 指定された施設ごとに 評価結果を公表している

61%

サプライチェーンで働く 人々のための秘密厳守 の苦情対応メカニズム を公開している

26%

サプライチェーンにおける 苦情の申し立て、対応、 解決の件数に関する データを公開している

人権デューディリジ ェンスのプロセス を説明している

KNOW, SHOW & FIX

49%

68%

改善

56%

改善プロセスの開示

FASHION REVOLUTION

問題の是正

79


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

把握

環境と人権へのリスクは本質的に 結びついています。 気候危機は人 道的危機です。 従って、 ブランドは、 サプライチェーン全体における人 権リスクと環境リスクの両方を特 定するために、 しっかりとしたデュ ーデリジェンスを実施することが不 可欠です。

EUが主導するデュー デリジェンスの法制化 が目前に迫り、 ファッ ションブランドは社会 的・環境的デューデリ ジェンスに関する情報 開示を増やしている。

とCorporate Sustainability Reporting Directive( CSRD)が、 この法整備を後押ししています。 6 月に行われた画期的な投票で は、Members of the European Parliament(MEP - 欧州議会議員) が厳格なCSDDDに賛成票を投じ、 政治的スペクトル (異なった政治的 立場の分布をモデル化した方法の 一つ)を超えて企業の説明責任を支 持する明確なメッセージを発信しま した。 大手ファッションブランドが、 デューデリジェンス手順の開示を 法的に要求されることに備え、 それ を見越して自主的に開示を始めて いることは明らかです。 EUにとどま らず、日本、 ドイツ、 アメリカなどで もデューデリジェンスを実施するた めの取り組みが活発化しています。

FASHION REVOLUTION

人権デューディリジェンスにおい て、昨年と比較して最も顕著に増加 人権および環境デューデリジェン したのは、 ブランドが影響を受ける スにおける指標のパフォーマンス ステークホルダーとどのように協議 は、昨年と比較して上昇していま しているかを開示すること (2022年 す。 これまで以上に多くのブランド の26%から37%増加)と、特定され が、人権と環境のデューデリジェン た顕著な人権リスクを開示すること スプロセスにおいて、 アプローチ、 (2022年の42%から52%増加) で 影響を受けるステークホルダーへ した。 環境デューディリジェンスで のコンサルテーションの方法、特定 は、特定された顕著な環境リスク、 された顕著なリスク、 これらのリス 影響、違反の開示(2022年の26% クに対処するために取られた手段 から37%)、環境デューディリジェン とその結果などを開示しています。 スを実施するためのアプローチの 世界最大の衣料品輸入地域であ 開示(2022年の39%から49%)が るEUでは、 デューデリジェンスに関 最も大きく増加していました する法整備が進められており、特 にCorporate Sustainability Due 人権と環境のデューディリジェン Diligence Directive( CSDDD) スを比較する

ブランドは、 デューデリジェンスの 結果や影響を開示することよりも、 デューデリジェンスのプロセスや 特定されたリスクについて説明す ることの方が、依然としてはるかに 得意であり、 これは人権デューデリ ジェンスと環境デューデリジェンス の両方に言えることです。 成果を除 けば、人権デューデリジェンスの透 明性は環境デューデリジェンスより も高い。

人権侵害は性別と 無関係ではない。

従って、 デュー・ディリジ ェンスもジェンダーを考 慮しなければならない。 人権の影響と成果は、環境影響よ りも測定と開示が難しい場合があ り、 これがこの格差の一因となって いる可能性が高いです。 ジェンダー に基づく暴力の事例が10%減少し たり、ジェンダーに基づく暴力を報 告する自信がついたと10%の労働 者が自己申告していることによって 裏付けられています。 100人の労働 者がジェンダーに基づく暴力に関 する研修セッションを受けた、 また は10枚のジェンダーに基づく暴力 に関するポスターが工場に掲示さ れたなどのアウトプットデータは、

講じられた措置に関する指標では 認められますが、人権デューディリ ジェンスの成果として認められませ ん。 これは、環境面での成果(22%) と人権面での成果(20%)に対する ブランドの透明性の格差の一因と なっています。

ジェンダーレンズ (ジェンダーを意 識したレンズ・めがねをかけて世界 を見ようという考え方)は深く埋め 込まれ、有意義なデューディリジェ ンス・プロセスのあらゆる段階に適 用されるべきですが、現在、人権デ ューディリジェンス・プロセスにお いて女性(女性組織やジェンダー 専門家を含む)に相談していると 開示しているブランドはわずか14% (2022年の12%から増加)に過ぎ ません。 人権侵害に 男女の性差は ないので、 デューデリジェンスも男 女の性差はあってはならない。

44%のブランドが環境監査の範 囲、 プロセス、認定を開示していま す(2022年の38%から増加)。 環境 監査の手法が厳格であるかどうか を精査し、 サプライチェーン全体で 収集されたデータが信頼できるも のであり、 グリーンウォッシュに使 用されないことを保証するために、 この情報が公に開示されることが 重要です。

人権

環境権

デューデリジェンス実施 へのアプローチ 100

% of brands

KNOW, SHOW & FIX 80

分析

90

80

70

61

+7

68

60

50

40

39

+10

49

30

20

10

year

2022

2023


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

顕著なリスク、影響、違反の特定

100

90

90

90

90

80

80

80

80

70

70

70

70

60

60

60

60

50

50

50

50

37

40

30

16

40

+11 30

+6

42

22

10

26

+11

37

30

2023

34 23

+1 +8

40

35

30

31

20

20

20

18

10

10

10

15

year

2022

40

year

2022

2023

+4 +5

22 20

year

2022

2023

year

2022

2023

FASHION REVOLUTION

20

26

+10

52

% of brands

100

特定されたリスクに対処する ために取られた措置の結果

KNOW, SHOW & FIX

特定されたリスクに対処する ために取られた措置 % of brands

100

% of brands

100

% of brands

影響を受けるステークホルダーが デューデリジェンスにどのように 関与しているか

81


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

開示

今年もまた、 サプライチェーンの第 一階層以降の労働条件の透明性が 広範に欠如していることが明らか になりました。 この階層では、労働 者の姿が見えにくく、不安定で非正 規雇用の傾向が強く、搾取のリスク が高くなっています。 これには、 サプ ライチェーンにおける在宅労働者 も含まれます。 評価結果の開示は、 一次階層以降では著しく減少しま す。 そこでは、 ブランドの可視性が低 く、社会監査のような施設評価を実 施している可能性が低いからです。

今年の結果は、サプライ チェーンの第一階層以外( (労働者の目に触れにく い階層)の労働条件につ いて、透明性が広く欠如し ていることを示している

FASHION REVOLUTION

表が示すように、主要ブランドの 48%が、個々の施設名を挙げずに 評価結果の要約を共有しています (2022年の44%から上昇)。 多く のブランドは、社会監査が発見し やすい安全衛生の不適合を挙げて います。

従来の社会監査では、 (協会の自由 やジェンダーに基づく暴力に関連 するような)他の緊急かつ風土特有 の問題は発見されにくいため、 こう

した評価は必ずしも全体像を描き 出せていません。 これは、 トルクメニ スタンやウイグル地域における国 家による強制労働など、社会監査 では表面化できない最悪の形態の 現代奴隷制度にも当てはまります。 国家による強制労働のケースにお いて、 トレーサビリティがどのように 意味のあるデューディリジェンスを 可能にするかについては、93ペー ジをご覧ください。 特定の施設にリンクしていない要 約された調査結果は、衣料品労働 者を代表する労働組合のような、影 響を受ける利害関係者にとって行 動しにくいものであります。 調査結 果が施設ごとに特定されていない 場合、適切な期間内に問題を改善 することを含め、 ブランドに対して 責任を追及するために情報を利用 することが難しくなります。

主要ブランドによる施設レベルの評価結果の開示 1次サプライヤー

100

1次サプライヤー以上(加工施設、繊維工場)

% of brands

KNOW, SHOW & FIX 82

分析

50

原料レベル

48

40

30

23

20

20

14

10 6 4

3

2

2 >1

監査結果の概要 - 施設名を伏せて

施設毎の評価 (施設名を記載)

監査結果の抜粋 (施設名を記載)

>1

>1

施設名を記載した 監査報告書全文


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

分析 改善

社会的・環境的リスクの特定は、 ビ ジネスと人権に関する国連指導原 則17やOECDの 「責任ある企業行 動に関するデューディリジェンス・ ガイダンス」に沿って、 ブランドがこ れらのリスクを停止、予防、緩和す るための具体的な行動をとる場合 にのみ価値があります。 これはま さに、 ヨーロッパ内外のバリューチ ェーンを含め、企業が自らの行動 による悪影響に対処することを保 証するための企業説明責任であ り、CSDDDがEU法に導入すること を提案しているものです。

プロセスについて説明しています。 これには通常、是正措置計画や業 務停止通告が含まれ、あまり一般 的ではないですが、補足的な研修 や方針の改定も含まれます。 残念 ながら、影響を受けるステークホル ダー(労働者、生産者、農家、労働 組合など)がどのように改善プロセ スに関与しているかを開示してい るブランドは22%に過ぎません。 こ れは低すぎます。 影響を受けるステ ークホルダーへの相談は、是正に おいて常に重要です、 それは労働 者が、是正し改善するための、貴重 な生きた経験を持つユニークな立 場にあるからです。

出典: FAIR WEAR FOUNDATION

機密の内部通報制度に関する透明 性は、着実に高まり続けています。 独立した秘密保持が保証された苦 情申し立て制度は、効果的なデュ ーディリジェンス・プロセスの重要 なテコでもあります。 労働者は、問 題の一部である可能性のある上司 との問題を含め、報復を恐れること なく発言する権限を与えられなけ ればなりません。 67%のブランドが 従業員に対して、 また61%がサプラ イチェーンで働く労働者に対して、 機密の苦情申し立て制度を公表し ています (それぞれ昨年の64%、56 %から上昇)。 30%のブランドは、労 働者が苦情申し立て制度について どのように知らされているかを説明 し、38%はサプライヤー行動規範 の中で自社の苦情申し立て制度へ のアクセス方法を公表しています。

苦情申し立ての結果を開示するこ とは、 セクター全体にとって貴重な 学習となりえますが、労働者の苦情 についてデータを開示しているブラ ンドは、26%に過ぎません。 これは、 結果やインパクトのデータ開示にブ ランドがより慎重であるという、本 インデックスで見られる一般的な傾 向と一致しています。

FASHION REVOLUTION

大手ファッションブランドは、 デュー デリジェンスへのアプローチについ ブランド てかなり透明性を高めていますが、 Fashion Revolutionは、 は業界のベストプラクティスに沿っ デューデリジェンスの結果の開示 て、立ち去るのではなく、問題を解 は遅れています。 現在、人権デュー 決するために留まる道義的責任が ディリジェンスの結果を開示してい あると信じています。 私たちはこれ るブランドは20%ありますが、68% らの責任を、非正規・準正規労働者 は人権デューディリジェンスのプロ セスについて説明しています。 同様 (在宅労働者や下請け工場で働く 労働者など)を含む、短期的・非正 に、環境デューデリジェンスの結果 を開示しているブランドは22%にす 規的パートナーにまで拡大させま す。 サプライヤーから撤退する際、 ぎず、49%がそのプロセスを説明し 責任ある撤退戦略を開示している ているのとは対照的であります。 ブランドはわずか24%です。 私たち ブランドは、自社の衣服が製造され は、 ブランドがサプライチェーンで ている施設で確認されたコンプラ 問題に直面した際に”cut-and-run” イアンス違反を是正する責任を負 つまり”大急ぎで逃げ出す”ことをし わなければなりません。 適切な是 ないことを保証する方針のみを信 正措置は、発見された問題とその 用します。 これには、 サプライヤーに 重大性によって異なります。 大手フ 関係解消の意向を合理的に通知す ァッションブランドの半数以上(56 ること、潜在的な人権への悪影響 %)は、 サプライヤー施設で問題が について評価を実施することなど 発見された場合に実施される改善 が含まれます。

83


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 KNOW, SHOW & FIX FASHION REVOLUTION 84

“ファッション業界は、 「害悪を及ぼし てはならない 」という監視の目を向 けられている。世界最大の排出業界 として、 ファッション業界は、 その工 場とサプライチェーンに対する有害 な人的、環境的、気候的影響を防止 し、特定し、対処するために、相応の 積極的な措置を講じる責任がある。 のような大きな責任があるにも こ かかわらず、今年のインデックスの 調査結果によると、環境デューデリ ジェンスの一環として特定された 環境問題に対処するために講じた 措置の結果を開示しているブラン ドはわずか22%で、人権デューデ リジェンスの結果を開示している ブランドはさらに少ない(20%)。

多くのファッションブランドが製造 の大部分をオフショア化している 場所が、グローバルサウス(経済 的、政治的に開発途上であると見 なされる国や地域)にある資源不 足の地域であることは偶然では ない。 そこでは人権や環境保護が 十分に実施されていないことが多 く、企業は製品や利益を安価に西 側諸国に輸出することができる。 フ ァッションブランドがより多くの商

品と迅速な納品を要求する一方で、 人権や労働虐待に対処せず、汚染や 消費、廃棄物を増大させていること は、 それ自体が有害な行為である。

法的措置は、欧州や北米における新 たな規制と相まって、業界関係者がす べての生産レベルで責任ある行動を とったことを証明できることの重要性 を示している。Fashion Revolution のTransparency Indexは貴重な 業界ベンチマークである。 このイン デックスは、企業が適切な措置を講 じ、関連する法律や国際基準を遵守 していることを示すために利用する ことができる。 その見返りとして、非 難から彼らを守ることができる。”

Seema Joshi ファッション&ITキャンペーンディレクター STAND.EARTH


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

重点課題

FASHION REVOLUTION 85

SPOTLIGHT ISSUES


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

アプローチ 毎年、 私たちはいくつかの重要な 課題について詳細に掘り下げてい ます。 2023年のテーマは、 持続可能 な開発目標(SDGs) と調和し、 2030 年までに人々と地球のためにより 良い世界を築くための緊急の行動 を支援するためのものです。 毎年、 業界の専門家や関係者と協議して、 スポットライト課題のトピックを選 定し、 指標を策定しています。

SPOTLIGHT ISSUES

働きがいのある人間らしい仕事と 調達慣行

大手ブランドや小売業者は、自社 内およびサプライチェーン内の労 働者の状況を改善するためにどの ような取り組みを行っているので しょうか? 具体的には、以下の項目に焦点を 当てています: • •

FASHION REVOLUTION 86

強制労働

生活賃金とサプライチェーン 内の賃金データ

ブランドの調達慣行

労働組合化と団体交渉

水と化学物質

ジェンダーと人種の平等

主要なブランドや小売業者は、有 害な化学物質の使用を削減し、水 の使用量を最小限に抑えるために どのような取り組みを行っている のでしょうか?

ジェンダーと人種の平等に関する大手ブ ランドや小売業者の取り組みはどのよう なものでしょうか?

以下では、次の項目を考慮に入れて、 いく つかの企業がどのような対策や取り組み を行っているかを説明します: •

企業内およびサプライチェーン内で のジェンダーによる不平等 ジェンダーによる賃金格差

人種の平等に関するデータと、 ブラン ドがその問題に対処するために行っ ていること 持続可能な調達と素材

主要なブランドや小売業者は、持 続可能な素材の使用を増やし、新 たなプラスチックとマイクロファイ バーの放出を減少させるためにど のような取り組みを行っているの でしょうか? 具体的には、以下の項目に焦点を 当てています: • • •

‘持続可能’な素材を定義する ためのツールとプロセス

より持続可能な素材への切り 替えに関する戦略と進捗状況

ブランド全体の繊維ミックス

パッケージや衣類での新たな プラスチックの使用削減に関 する戦略と進捗状況 マイクロファイバーの影響を 最小化するためのブランドの 取り組み

過剰消費、 廃棄物、 循環経済への 取り組み

主要なブランドや小売業者は、過 剰生産への対処、廃棄物の最小 化、循環経済への移行を進めるた めにどのような取り組みを行って いるのでしょうか? 以下では、具体的に以下の点に焦 点を当てています: • • • • • • •

報告期間中に生産されたアイ テム数 脱成長へのコミットメント

以下では、具体的に以下の点に焦 点を当てています: • • •

有害な化学物質の使用削減 に関する戦略と進捗状況

直接の運用およびサプライチ ェーン内での水の使用量 水リスク評価

気候変動と生物多様性

主要なファッションブランドは、気候 危機と環境への影響を軽減するた めにどのような取り組みを行ってい るのでしょうか?

生み出されたテキスタイル廃 棄物の量と、破棄またはリサイ クルされた量

以下では、 ブランドが以下の点を 公表しているかどうかを検証しま した:

商品の長寿命化と回収プログ ラムの戦略

製造前の廃棄物の削減と、消 費後の廃棄物のリサイクルに 関する戦略と進捗状況

テキスタイルからテキスタイ ルへの循環リサイクルへの投 資

公正な移行(ジャストトランジ ション)のための労働力のスキ ルアップへの投資

• • • •

期限付きで測定可能な、 科学的 根拠に基づく目標に対する脱炭 素化の進捗状況

違法伐採ゼロへのコミットメン トと進捗状況

自社施設およびサプライチェー ン内での炭素フットプリント 絶対的なエネルギー削減

自社施設およびサプライチェー ン内での再生可能エネルギー の使用 サプライチェーン内での石炭へ の依存度


ブランドの数

各ブランドの総合的な重点課題のスコア

50

45

35

30

25

20

15

5

2

Express

2

Fabletics

2

HEMA

Falabella

10

2

Matalan

10

Kaufland

2

Brunello Cucinelli

9

Lands’ End

2

Burlington

9

Longchamp

2

Fila

9

Merrell

2

Foschini

9

Michael Kors

20

Saks Fifth Avenue

2

Fossil

9

The Children’s Place

20

AJIO

1

Helly Hansen

9

Under Armour

20

CAROLL

1

Jack Wolfskin

9

Versace

20

Skechers

1

La Redoute

9

Bally

19

Triumph

1

SHEIN

9

Hermès

19

Aeropostale

0

Steve Madden

9

Salvatore Ferragamo

19

ANTA

0

The Warehouse

9

Ted Baker

19

BCBGMAXAZRIA

0

TJ Maxx

9

JD Sports

18

Belle

0

Wrangler

9

Sandro

18

CELINE

30

Big Bazaar – ffb

0

Famous Footwear

8

Big W

17

Dior

29

Billabong

0

Foot Locker

8

Diesel

17

John Lewis

29

Bosideng

0

Kathmandu

8

El Corte Inglés

17

Louis Vuitton

29

Buckle

0

MRP

8

Esprit

17

Target

29

celio

0

Reliance Trends

8

Morrisons

17

Decathlon

28

Deichmann

0

TOPVALU COLLECTION

8

Nordstrom

17

Fjällräven

28

Dillard’s

0

Clarks

7

Walmart

17

Marks & Spencer

28

DKNY

0

Disney

7

ALDI Nord

16

Tchibo

28

Calzedonia

40

Dolce & Gabbana

0

Mizuno

7

Aritzia

16

American Eagle

27

Intimissimi

40

Fashion Nova

0

Monoprix

7

Cortefiel

16

Dr. Martens

27

Kate Spade

40

16

Furla

0

Very

7

Lacoste

Marc Jacobs

27

Lululemon

Heilan Home

0

Victoria’s Secret

7

REI

16

Moncler

27

Tezenis

40

Hudson’s Bay

0

Beanpole

6

Amazon

14

Next

27

Adidas

39

Jockey

0

Carrefour

6

Desigual

14

Speedo

27

Converse

39

K-Way

0

Dick’s Sporting Goods

6

Kiabi

14

River Island

26

Dressmann

39

Kmart

0

Ross Dress for Less

6

Paris

14

New Look

26

Jordan

14

Carter’s

24

Nike

39

40

39

KOOVS

0

s.Oliver

6

Prisma

LC Waikiki

0

Valentino

6

Carolina Herrera

13

Chloé

24

Banana Republic

38

Max

0

ALDO

4

Chanel

13

G-Star RAW

24

Calvin Klein

38

Max Mara

0

Bloomingdale’s

4

Kohl’s

13

Miu Miu

23

Gap

38

Metersbonwe

0

Chico’s

4

Marni

13

Prada

23

Old Navy

38

Mexx

0

KiK

4

Anthropologie

12

Reserved

23

UGG

38

12

Tesco

23

Fendi

37

New Yorker

0

Macy’s

4

Asda

Nine West

0

Sports Direct

4

Canada Goose

12

ALDI SOUTH

22

Tom Tailor

37

United Colors of Benetton 60

Pepe Jeans

0

Tod’s

4

Columbia Sportswear

12

Fruit of the Loom

22

Sainsbury’s

33

Bershka

58

Quiksilver

0

Tommy Bahama

4

Cotton On

12

GUESS

22

Mammut

32

Massimo Dutti

58

Reebok

0

Costco

3

Free People

12

Russell Athletic

22

New Balance

32

Burberry

43

Pull&Bear

58

REVOLVE

0

DSW

3

Joe Fresh

12

Armani

21

Primark

32

Hugo Boss

43

Puma

58

12

boohoo

21

ASICS

31

COACH

42

SAINT LAURENT

58

Romwe

0

Fanatics

3

Urban Outfitters

Roxy

0

Gerry Weber

3

Abercrombie & Fitch

11

Brooks Sport

21

ASOS

31

Levi Strauss & Co

42

Stradivarius

58

Savage X Fenty

0

Ito-Yokado

3

Bonprix

11

Ermenegildo Zegna

21

Champion

31

Ralph Lauren

42

Zara

58

Semir

0

Li-Ning

3

Gymshark

11

Jack & Jones

21

Gildan

31

The North Face

42

Balenciaga

57

Splash

0

LL Bean

3

Hollister Co.

11

Muji

21

Hanes

31

Timberland

42

Bottega Veneta

57

Tom Ford

0

Otto

3

Jil Sander

11

Patagonia

21

Lindex

31

GU

41

Kmart Australia

11

PrettyLittleThing

21

Mango

31

Tommy Hilfiger

41

Target Australia

57

57

Tory Burch

0

Shimamura

3

Lidl

Van Heusen

0

Takko

3

Pimkie

11

Vero Moda

21

Zalando

31

Uniqlo

41

C&A

52

Gucci

68

Youngor

0

Truworths

3

United Arrows

11

Woolworths South Africa 21

Zeeman

31

Vans

41

Superdry

51

H&M

64

0 – 10%

11 – 20%

21 – 30%

31 – 40%

41 – 50%

* ブランドは42点満点中のスコアでランク付けされているが、四捨五入した数値で表示されている。 同じ点数のブランドがある場合は、 アルファベット順に表示されている。

51 – 60%

61 – 70%

OVS

74

71 – 80%

81 – 90%

スコアの範囲 91 – 100%

FASHION REVOLUTION

10

2

Eddie Bauer

SPOTLIGHT ISSUES

40

Carhartt

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

結果

87


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SPOTLIGHT ISSUES

働きがいがあり人間らしい仕事と調達慣行 FASHION REVOLUTION

88

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES


調達慣行

11%

サプライヤーへの支払 いを受注後60日以内 に行う方針を公表する

8%

注文品を受け取った 後、 サプライヤーへ の支払いまでの平 均日数を公開する

12%

責任ある調達の ための行動規範を 公表する

6%

採用手数料や 関連コストの支払いを 受けている供給チェーン 内の労働者数を公開する

23%

現代奴隷労働に関連す る違反やリスク要因(過 度な強制労働、自由な移 動の制限、労働者のパス ポートや身分/個人文書 の保持、賃金の差し押さ え、債務束縛、採用プロ セスに関連する苦情な ど)のデータを公表する

労働組合化

15%

労働組合を持つ サプライヤー施設の 数を公開する

12%

28%

サプライチェーン上の 労働者への生活賃金 達成へのアプローチを 公開する

2%

出来高払いの労働者の 数を公開する

2%

生活賃金の支払いへ の年間進捗状況を 公表する

2%

出来高払いと日給払い の労働者が少なくとも 最低賃金を支払われて いるかどうかを公開する

1%

生活賃金を受けている 労働者の数を公開する

5%

最低賃金以上を支払 われている工場労働者 の割合を報告する

団体交渉協定でカバーされる 労働者の数を公開する サプライチェーンの労働者に 対して法定最低賃を上回る 賃金を提供する団体交渉協定 の数を公開する

1%

サプライチェーンの労働者 に対して法定最低賃金を 上回る賃金を提供する団体 交渉協定の数を公開する

FASHION REVOLUTION

>1%

標準の、 デューディリ ジェンスに合った供 給業者との契約テン プレートを公開し、 典型的な注文や支払 い条件を明示する

41%

サプライチェーン内での 採用手数料に対する アプローチを公開し、 ブランドが雇用者支払い 原則を採用しているか、 労働者が採用プロセス中 に負担したコストを補償 しているかを明示する

生活賃金

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

5%

価格交渉において 労働者のコストを 分離して確保する 方法を公開する

強制労働

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果

89


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 90

分析

モダン・スレイバリー(現代奴隷労働) 今年、88%のブランドが強制労働に 関する方針を公表し、63%が強制 労働を特定し排除する手続きを公 表しています。 このパフォーマンス は、2022年の86%のブランドが強 制労働に関する方針を公表し、62 %が強制労働や奴隷労働を特定し 排除するためのパートナーシップや プログラムに関する情報を公開し たときよりもわずかに悪化していま す。 ここで求められるのはつまり、 イ ギリス現代奴隷法やカリフォルニア 透明性サプライチェーン法の声明 に含まれる情報です。

ブランドのサプライチ ェーンは公衆の審査 に耐えられるもので ある必要があります

2022年6月、 アメリカ合衆国でウ イグル強制労働予防法(UFLPA) が施行され、新疆ウイグル自治区 (XUAR、東トルキスタンとも呼ば れる)からのすべての商品を禁止し ました。 この法律は、中国が100万 人以上のウイグル人を強制的に拘 束し、 グローバルブランドや小売業 者のために生産しているシステム 的な抑圧に対するものです。 世界の 綿の20%はXUARから出ており、 つ まり5つの製品のうち1つはXUARの 綿を含んでいます。 UFLPAは、強制 労働の条件下で製造された商品が

米国市場に入るのを防ぐための前 進です。 また、EUレベルで強制労働 規制の提案を行うきっかけともな りました。

UFLPAでは、 ブランドは端から端ま でのデューディリジェンスの証拠を 提供し、 その商品が強制労働の条 件下で作られた可能性のある要素 を含まないことを保証する必要が あります。 エンド・ウイグル・フォース ト・レイバー・コアリションは、彼ら のグローバルなサプライチェーン全 体で単一の世界的な綿の基準を求 めており、 これはUFLPAの要件に一 致するものです。 コアリションの公 開レターをこちらから読むことがで きます。 彼らは、 グローバルなブラ ンドと小売業者に、拘束品を他の 市場に再輸出して販売しないよう に求めています。 これは、 ウイグル 強制労働で作られた商品を他の市 場に投棄地として使用するために ブランドがサプライチェーンを2つ に分けるリスクを防ぐためです。 よ り大きな透明性とトレーサビリティ は、強制労働のリスクを浮かび上が らせるための堅牢なデューディリジ ェンスプロセスを可能にするため に重要であり、 ブランドのサプライ チェーンは公衆の審査に耐える必 要があります。 これまで、UFLPAによって合衆国税 関で14億ドル相当の商品と4000 以上の出荷が拘束されました。 こ れは素晴らしいスタートですが、 そ れでも依然としてウイグル人やその

他のトルコ系やムスリム多数派の 人々によって作られた商品の国際 貿易の少数派です。 アメリカ合衆国 (および他の地域でも、 このメカニ ズムは地域限定ではありません) の非課税基準額(少額の輸入に対 する免税)によってUFLPAが損なわ れている懸念が高まっています。 非 課税基準額は、関税と検査を回避 するために一人が輸入できる金額 の上限です。 アメリカ合衆国の文脈 では、非課税基準額の閾値は800ド ル(2015年に200ドルから増額) で す。 比較のために、 イギリス非課税 基準額も800ドル(625ポンド) であ り、中国は8ドルです。 この税金政策 は商取引を促進するためのツール として使用されることを意図してい たものではありませんでした。 元々 は関税職員が 「些細なアイテム」を 調査するのに時間を費やさないよ うにするための時間節約の仕組み として導入されました。 しかし、主 要なファッションブランドと小売業 者はこれを自分たちの利益に利用 しています。 アメリカ合衆国上院議 員マルコ・ルビオは、非課税基準額 の使用を輸入税を逃れるメカニズ ムとして非難し、 「非課税のダイレ クト・トゥ・コンシューマ (D2C) アプ ローチは、UFLPAの審査を妨げ、税 関収入をごまかし、規則に従うアメ リカの競合他社の足を引っ張る」 と 述べています。 非課税基準額は最 終的にはUFLPAを逆転させます。 な ぜなら、輸入された商品が強制労 働を含まないことを証明するため

の堅牢な方法がないため、 この抜 け道を利用している主要なファッシ ョンブランドと小売業者は、強制労 働で作られた可能性のある商品の 取引の持続に対して責任を負って いないからです。 関連するキャンペ ーンが立ち上がっており、欧州議会 議員の支援を受けています。 過去に もこの抜け道を抑制しようとする試 みが行われており、2022年以前か らアメリカ合衆国下院と上院の指 導者によって非課税基準額を10ド ルを10ドルに引き下げるよう呼び かけられています。 政府はこの搾取 的な慣行を防ぐために今すぐ行動 を起こす必要があります。 ファッショ ンは、服を作り、消費する人々を保 護するために進められた政策進展 を弱体化させることのないよう、抜 け道を利用してはなりません。 ブランドのサプライヤーへの支払 いは、 サプライヤーが雇用主支払 い原則のもと支払うコストをカバ ーするべきである

採用や斡旋に関する手数料の問題 に対する企業の典型的なアプロー チは、 サプライチェーンの中で、労 働者が、自分が雇ってもらうための 料金や関連コストを支払わないと いう方針を設定することです。 しか し、Transparentumによると、世界 最大のブランドや小売業者の間で 広まったこの 「労働者が手数料を負 担しない」ポリシーが普及したこと が、逆に、労働者が違法に料金を支

払って雇用を得た場合、 その事例を 隠してしまう動機となっています

移民のガーメント労働者の増加は、 一般的な産業の傾向である常勤・ 定期雇用から一時的な契約や季節 労働への集中的なシフトから分離 することはできません。 ブランドと 小売業者は、低価格、短いリードタ イム、 および自身のブランドにとっ て一般的に有利な購買ポリシーを 開発し続ける一方で、 サプライヤー との関係がますます不安定で一時 的になっています。 これは、雇用の 不安定さと劣悪な労働条件の増加 につながります。

ベストプラクティスではブランドが 「 雇用主支払い原則」に従っているこ とを公表しています。 この原則は、 労働者が雇用のために料金を支払 うことはなく、採用の費用は雇用主 が負担することを要求しています。 費用の支払いはサプライヤーへの 支払いに組み込まれるべきです ( ビザ費用、健康診断、旅費など)。 労 働者に対する採用手数料の後払い は、債務束縛を撲滅するために極 めて重要です。 主要なブランドと小 売業者は、調達施設での結社の自 由と労働者組織化を確保し、職場 改善を可能にし、倫理的な採用の 高い基準を実施するための措置を 講じるべきです。 さらに、適切なデ ューディリジェンスが実施されたこ と、必要に応じて後払いが行われ たことを証明する責任は、被害者


パンデミックによって多くの労働者 が解雇され、未払いのまま残され たことから、#PayUpキャンペーン の取り組みによって何百万人もの 労働者が返金を受けることがあり ました。 しかし、最初は給与未払い に影響を受ける労働者の範囲に対 する可視性の欠如が、解雇された 後も多くの衣料労働者が厳しい採 用手数料を返済することを求めら れるという事実によってさらに悪化 しました。 これは労働者が賃金の 不足を克服しようとする過程で強 制労働や追加の債務に対して脆弱 になることを意味します。 国際労働 機関(ILO)によれば、強制労働のリ スクをスクリーニングするためには 採用手数料のチェックが必要で、多 くのブランドはこの情報を追跡して いるようですが、 それを開示しない か、 または十分なデューディリジェ ンスのアプローチでこれを浮かび

FASHION REVOLUTION

2022年、 ブランドのわずか1/3(35 %) しか採用手数料へのアプロー チを開示していませんでした。 2023 年には、 その数は増加し、41%のブ ランドがこれを開示しています。 ま た、94%の大多数のブランドは、 サ プライチェーン内でこれらの料金 の支払いに影響を受ける労働者の 数を開示していません。 これは、債 務束縛などの強制労働のリスクを スクリーニングする際に重要です。 債務束縛とは、労働者が債務を返 済するまで強制的に働かされる状 態のことを指します。 要するに、実 際に影響を受ける労働者の数より も、 ブランドは採用手数料へのアプ ローチに関する情報をより多く開 示していると言えます。

る障壁、労働者が時間的・経済的 に余裕がないこと、 また家族や支援 ネットワークから離れていることな ど)。 正義を得るまで数年かかる可 能性があり、労働者が収入の不足 を補うために債務束縛のリスクが さらに増加する可能性があります。 しかし、 ミャンマーからの移民労働 者がタイで訴訟に勝利したように、 一部、困難な状況でも勝ち取った 成功例もあります。

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

採用手数料についての情報の透明 性が低い:強制労働リスクが不明 瞭な状況

めに賃金や労働条件の改善を交渉 これがどのように起こるかを理解 することがほとんどありません。 こ するためには、 サプライヤーと主要 れによって搾取が続いています。 労 なブランド・小売業者の間で、世界 働者が徴募手数料の返済に異議 的なサプライチェーン全体での採 用ニーズを満たすために、第三者の を唱えても、大部分は現金で手数 料を支払うため、領収書がありませ 採用エージェンシーが協力してい ん。 証明責任は被害者に課されて ることを認識する必要があります。 おり、彼らが採用手数料を支払った これらの採用エージェンシーはし ことを示す必要があります。 雇用主 ばしば非公式に運営され、労働者 に法的に強制執行可能な契約や賃 (サプライヤー)やブランドが採用 手数料が請求されていないことを 金、福利厚生、労働条件に関する合 意を提供しません。 採用手数料は、 確認し、もしそのような場合があれ ば労働者に後払いされていること 労働者にとって馴染みのない言語 を証明する必要があるのです。 これ で書かれた契約内の搾取的な条項 が、なぜ証明責任の逆転が重要な を隠すなど、隠密に課されることが のか、 それが公正な企業の責任体 あります。 これにより、労働者は採 制の中でなぜ重要なのか、市民社 用手数料を支払う必要があり、債 会の組織がCSDDDで証明責任の 務束縛の罠に陥る可能性がありま 逆転を求めるキャンペーンを続け す。 これは多くの国で違法な行為で あるにも関わらず、労働者が自分た ている理由です。 ちを搾取する人々に債務を返済す ることが珍しくありません。 衣料労 債務を負った労働者 働者の賃金が低く、債務が高額な は、既に被害を受けて ため、手数料の返済はしばしば非 常に長い時間がかかります。 2021 搾取されているため、 よ 年、Transparentemは、 バングラ デシュ、 ネパール、 インドネシアから り良い賃金や労働条件 の45人の移民労働者が、 マレーシ を交渉して自身の権利 アのガーメント工場で雇用を得る を主張することが非常 ために1人あたり5,294ドルもの手 数料を支払ったことを明らかにしま に難しい状況にある した。 これは最低賃金の給与相当 額である20ヶ月分に相当します。 これは多くのレベルでロジスティッ ク的に困難です (言語の壁、制約さ 重要なことは、債務を負った労働 れた結社の自由、法制度を理解す 者は自分たちの権利を主張するた

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

が司法救済を求めることではなく、 ファッションブランド (およびそのサ プライヤー)にあるべきです。 関連 して、労働条件の改善を確保する ためには、長期的で意義のあるサ プライヤーとの関係に投資する必 要があります。 最後に、投資家や銀 行などのパワーブローカーは、 バイ ヤーやサプライヤーとの関係を活 用して倫理的な採用の実践を奨励 し、 サプライヤーに対して進捗報告 を義務付けることでサポートする べきです。

91


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 92

リスク要因(過剰で強制的な残業、 自由な移動の制限、労働者のパス ポートを雇用主などが保管するこ 現代奴隷リスク要因の普及 となど)の普及率を開示していませ ん。 重要なのは、各強制労働指標は 世界のファッションサプライチェー ンにおける堅牢なデューディリジェ 個別に監視されるべきであるとい うことです。 つまり、ほぼ4分の1のブ ンスは、 これまで以上に重要なも ランド (23%)が現代奴隷の違反の のとなっています。 これにはサプラ 普及率を開示している一方、 どの違 イチェーンのトレーサビリティと透 反がより頻繁に報告されているか、 明性が含まれ、 これらは現代奴隷 どのリスクが検出されず、報告され ビジネスリスク、国家による強制労 ず、対処されていないかは不明で 働のリスクなどを浮き彫りにする す。 これは、多くのブランドが部門で 上で基本的な要素です。 ウォーク・ フリー財団の新しい研究によれば、 一般的な現代奴隷リスクに取り組 んでいない可能性があり、取り組ん 世界中で5000万人が現代奴隷の でいる場合でも、 その情報を開示し 状況に閉じ込められており (残念 ていない可能性があることを示唆 ながら、 これは2018年以来1000万 しています。 人増加しています)、 これは一部は 新型コロナウィルス感染症の壊滅 数十年にわたる児童労働の撲滅に 的な影響に帰せられるかもしれま 向けた進展の後、UNICEFは世界中 せん。 新型コロナウィルス感染症の の衣料品および履物供給チェーン 影響は世界的なファッションサプラ で1億人以上の子供が影響を受け イチェーンに波及し続けており、気 ていると推定しています。 児童労働 候や生活費の危機とも重なり合っ は依然として重要な懸念事項です ています。 が、子供たちは労働者の子供である こと (しばしば単親家庭であり、母 G20諸国は合計で現代奴隷のリス 子保護と育児支援が弱い場合が多 クがある商品を4680億ドル分輸 い)、 また関連する社会的および環 入し、 そのうち衣料品の輸入額は 境的な課題に影響を受ける農場や 1479億ドルです。 つまり、 ファッショ 工場のコミュニティメンバーである ン産業は現代奴隷のリスクがある ことでも影響を受けています。 貧困 商品の約3分の1(32%)に責任を 対策は現代奴隷の根本原因に対処 負っており、 この産業が現代奴隷の 児童労 原動力であることを示しています。 するために絶対に重要です。 働の場合、親に生計を立てるため しかし、我々の調査によれば、わず の適正な賃金を支払うことが最も か23%のブランドしかサプライチ 効果的な解決策です。 ェーン内の現代奴隷関連の違反と 上がらせることができていない可 能性があります。

「多くのグローバルファッションブランドは、依然として全 体的に労働者に対する労働条件と人権を保護する政策の 立案と実施において不十分な取り組みをしており、実際に そのような政策がある場合でも、世界中のファッションサプ ライチェーンでの現代奴隷のリスクに効果的に対処するた めの努力が不足しています。 ファッション産業は世界中で 数百万人の人々が服を作るために働いています。 その大多 数は過労で、低賃金の状況にあります。 これに加えて、多く の労働者は性別、人種、カーストなどに関連するリスクに 直面し、労働虐待のリスクが高まっています。 さらに、多くの 労働者は移民労働者であり、非倫理的な採用と過大な採 用関連の手数料やコストの支払いによる借金の束縛から、 特に強制労働と現代奴隷のリスクが高まっています。 これ ら重要な問題への真剣な対応と、 リスクのある移民労働 者の労働を防止し、是正するために必要な大きな努力をす るためのコミットメントは、依然として不足しています。 」 Andy Hall 独立した移民労働者の権利と強制労働の専門家


トルクメニスタンの綿花収穫における国家に よる強制労働:供給チェーンの透明性の必要性

RUSLAN MYATIEV

編集者 Turkmen.News

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

ROCIO DOMINGO RAMOS

トルクメニスタンの綿花産業は、 国 家が支援する強制労働システムに よって支えられている 政府は毎年、 教師や医師などの公 務員を含む数十万人の労働者に綿 花を摘ませます。 その結果労働者は 賄賂を支払ったり、 代わりの労働者 を雇ったり、 賃金の喪失や雇用終了 の脅威に直面したりします。 多くの 場合、 子供たちも両親と一緒に綿 花を摘みます。 農民は罰金の脅威 の下で公式の生産ノルマを達成せ ざるを得ません。 私企業も労働者や サービス (たとえば強制労働者の輸 送車両)を提供するよう強制されて います。

トルクメニスタンは世界で10番目に大 縦割り統合 きな綿花生産国であり、

された綿花産業を持っています。 ト ルクメニスタンの綿花は、生産のあ らゆる段階からサプライチェーン に入り込む可能性があります。 UN Comtradeのデータによれば、2022 年にはトルクメニスタンは綿花お よび綿製品を約3億ドルで世界 中のいくつかの国に輸出していま す。 Cotton Campaignのメンバー による商業取引と価値連鎖のデー タベースに基づく調査によれば、 ト ルクメニスタン綿花は次の2つの主

なルートを通じて世界市場に入っ ています:

1.

2.

トルクメニスタンで生産され た仕上がった製品は、直接の 貿易路を通じて輸出されたり、 カザフスタン、 ロシア、ベラルー シ、 イタリア、 アメリカ、 カナダな どに輸送されたりします。 トルクメニスタン綿花、糸、生 地を使用して織物を生産する 国々、特にトルコ、中国、 パキス タン、ポルトガルなどのサプラ イヤーを介してサプライチェー ンに入っています。 例えば、 トル クメニスタンはトルコの織物輸 入の最大の供給源であり、 ウズ ベキスタンに次ぐ糸の第2の供 給源でもあります。

トルクメニスタンにおける抑圧的な 国家による強制労働のシステムは、 企業が現地で信頼性のある適正な デューディリジェンスを実施して強 制労働を防止または是正すること を不可能にしています。 そのため、

企業は綿花、糸、生地のすべてをト ルクメニスタン原産であるものか ら排除するために、生産の原料レ ベルまで含めてテキスタイル供給 チェーン全体をマッピングし、供給 チェーンにたどり着く中間ルートを 特定する必要があります。 特に 綿花農場のような原材料レベルで の透明性が低いファッションのサプ ライチェーン全体で、透明性は不 足しており、大手ファッションブラン ドのうちわずか12%しか綿花農場 のような原材料の供給元を公表し ていません。 透明性は企業自身の 知識とデューディリジェンスを支援 し、市民社会がすべての企業を同 じレベルに引き上げるための手助 けとなります。 しかし、今年のファッ ショントランスペアレンシー指数で も見られるように、 この透明性のレ ベルは最小限にとどまっています。

FASHION REVOLUTION

トルクメニスタン政府は産業への 改革に抵抗し、 セクター内の虐待を 報告する者に対して厳しい措置を取 っています。 政府が綿花生産を完全 に支配しているため、 トルクメニスタ ンから綿花や綿製品を直接調達す る企業にとって、 その製品には強制

労働の痕跡があります。 しかし、 トル クメニスタン綿花、 糸、 生地を使用 する国々から調達する企業にもリス クが存在します。 アメリカの企業に とっては、 トルクメニスタンの綿花に 関する関税および国境保護局の拘 留命令(Withhold Release Order) により、 これらの製品を違法に輸入 していることになります。 このリスク を評価し軽減するためには、 サプラ イチェーンの完全なマッピングと透 明性が重要です。

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

ビジネスと人権の政策・研究担当、 アンチ・スレイバリー・インターナショナル

93


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 94

ブランドの購買慣行 不公正な購買慣行はファッション業 界における搾取の根幹である 従来のファッションブランドのコン プライアンスの取り組みは、人権と 環境への直接的な責任をサプライ ヤーに押し付け、 サプライヤーはこ れをブランドのビジネスを確保する ためのコストとして受け入れてきま した。 主要なファッションブランドと サプライヤーとの間の購買慣行は、 しばしば不安定で虐待的なもので す。 これらの慣行は、注文のキャン セルや遅延、注文の支払いを拒否、 過去の注文に対してのディスカウ ントの要求、注文数量の急激な変 更、注文の支払いの遅れなどを含 むことがあります。 時には、大手ブ ランドが工場に支払いをする前に 顧客が衣料を着用していることも あります。

新型コロナウイルス感染症以降、 ブ ランドの搾取的な購買慣行(キャン セルや注文の支払いを拒否したり、 過去の注文に対するディスカウント の要求など)が労働者の困難な状 況を引き起こしたことから、 ブラン ドは自分たちが引き起こしている 影響に責任を持つ必要性が強調さ れています。 しかし、主要なファッションブランド がサプライヤーに対して不安定で 虐待的なプラクティスを行っている

労働条件に影響を及ぼす可能性のある ブランドの購買慣行 という証拠が次第に積み重なる中、 私たちの調査結果も同様に、少数の 主要なファッションブランドが公正な 条件でサプライヤーと協力している 証拠を開示していることを示してい ます。 持続可能性に関するブランドの 取り組みが虚偽であるとするなら、 フ ァッションブランドは私たちの衣服を 作る人々に労働者の虐待をもたらす これらの不公正な購買慣行を継続 していることになります。 衣料品労働 者は職を失い、貧困賃金を受けとり、 過剰だったり強制的な残業に従事し ています。 ブランドの注文計画と予測 の不安定さにより、工場は通常の労 働時間と残業労働時間を計画するこ とができず、 「柔軟に」雇うことを余 儀なくされています。 これにより、私 たちの衣服を作る人々に不安定で 非公式な労働環境が生まれます。

発注、支払い条件、計画、予測、 コス トなどの購買慣行が、労働者の賃金 や安全環境などの重要な領域に影 響を与えることが証明されています。 以下の表をご参照ください。

計画と予測

コストとコスト交渉

支払いと条件

ブランドの購買慣行

ブランドの購買慣行

ブランドの購買慣行

サプライヤーの対応

サプライヤーの対応

注文数量の急激な変化

注文仕様や承認の遅延;直前の変更 短期のリードタイム

不安定で予測困難な発注、需要に応じ ての発注 サプライヤーの対応

労働者の通常勤務と残業の計画がで きない 侮辱的で屈辱的な言葉の暴力や、労 働者を急いで作業させること

トイレ、水分、食事休憩の制限

不安定な発注に対応するために 「柔 軟な労働者」を雇う 日雇い労働者を含む 労働者への影響

過剰な残業、生産性の低下、 ミスが増 えて事故や怪我につながる可能性;家 庭生活の混乱;孤立と疾病に対する脆 弱性の増加

ストレス、不安、生産性の低下

疲労とその他の健康問題;月経中に追 加の休息が必要な女性労働者にとって の性別に関連した影響 安定した労働契約や有給休暇などの 社会保護のない不安定な労働環境

価格を下げる交渉をする か、 ディスカウントを求める

小規模で低コストのユニッ トに外部委託/下請けする 労働者への影響

外部や下請けなどの施設で は過酷な労働条件が蔓延 し、労働者は主要企業への アクセスが難しいため、是 正措置や補償へのアクセス が限られる可能性がある 労働者は歩合制の賃金を 受け取る可能性がある

価格を下げる交渉をする か、 ディスカウントを求める

価格圧力のため、消防や 建物の安全改善に投資 できない 労働者への影響

安全でない労働環境は、労 働者が怪我をしたり死亡の 危険に晒される原因となる 可能性がある


調達プロセスの管理 ブランドの調達慣行 注文のキャンセル

サプライヤーの対応

既に原材料や労働力など の生産コストを銀行の融 資や信用枠を通じて前払 いしているため、従業員の 賃金を支払えない (債務)

従業員への影響

ストレス、不安、飢餓、食 事、住宅、教育、医療など の基本的なニーズを賄う ために借金をする必要 がある

調達条件や価格を決定するのはブ ランドであり、 しばしばサプライヤ ーや労働者にとって不利な条件で す。 激しい競争の市場環境では、 サ プライヤーは抵抗して注文を失う ことを恐れています。 この競争が激 しい状況では、 ブランドが非常に低 い価格(時には生産コストを下回 ることもある)を支払うため、 サプ ライヤーはコスト削減を促進され、 劣悪な労働条件を持つ隠れた未承 認の工場への下請けに頼ることも あります。

(0.8%) しか、生産が開始される前 に通常サプライヤーに前払いされ る購買注文の割合に関するポリシ ーを開示していません。 サプライヤ ーは通常、必要な原材料、生地、入 力材を購入して生産コストを前払 いすることが期待されています。 そ の後、注文がキャンセルされると、 サプライヤーはこれらの債務を負う ことになります。 特に納品後、支払いまでの長い待 ち時間に関する不安定性は、 サプラ イヤーの運営上、搾取的と言わざ るを得ません。 主要なブランドのう ちわずか8%が、納品後にサプライ ヤーに対して購買注文が完全に支 払われるまでの平均日数を開示し ています。 サプライヤーは支払条件 が60日を超えないようにすべきだ と主張していますが、私たちのデー タによればわずか11%のブランドし かこの基準を満たすポリシーを開 示していません。

FASHION REVOLUTION

ブランドの調達慣行の透明性は極 めて低いです。 この透明性の不足 は、 バイヤーとサプライヤーの関係 のパワーバランスを強化し、 ブラン ドがどのような行動をとって商業 別のトレンドとして、特にウルトラフ 関係を安定化させるか、もしあれ ァストファッションブランドやスポー ばどのような行動をとっているか ツウェアブランドが、衣料品の発注 を示すものです。 私たちのデータに 方法にオンデマンドモデルを採用 よれば、主要なブランドのうちわず していることが見られます。 これら か3%がサプライヤーから受け取っ のダイレクト・トゥ・コンシューマー たフィードバックについて透明性を (D2C)のeコマースモデルでは、 ブ 持っています。 調達慣行に関連する ランドは最初に非常に少量の発注 最も重要な分野の開示はさらに困 を行い、売れ行きが良い場合は発 難になります。 ブランドのうちわず 注を増やします。 このように購買す か4%が、以前に合意した支払条件 ることで在庫を減らすことができる に後から変更があった注文の数を かもしれませんが、 これはサプライ 共有しており、わずか2つのブランド

ヤーにリスクを負わせ、労働者には のブランドがコミットし、公然と公開 する必要があることは明らかです。 膨大なプレッシャーをかけます。 急 激で予測不可能な受注の増加は、 Fashion Revolutionは引き続き、 サプライヤーが計画を立てることを 衣料品を作る人々に労働虐待を引 不可能にし、過度な残業を増加さ き起こす不公正なブランドの調達 せ、労働者が生産目標を満たすた 慣行を禁止するための政府の施策 めにストレスと不安を抱える原因と を提唱しています。 EUレベルでは、 なります。 これらのプレッシャーの 「Good Clothes, Fair Pay」法案 下では事故や怪我が増加し、 また には、第4条に8つの禁止される不 女性労働者は暴力や嫌がらせにあ 公正取引慣行の最小限のリストが うなど、性差に関連するリスクも増 含まれています。 これが可決され 加します。 れば、不公正な取引慣行に従事す D2Cモデルは顧客を輸入業者とし、 るファッションブランドは刑事制裁 や罰金を受けるリスクがあり、 その 小売業者ではなくします。 これによ 金額は年間売上に基づいて計算 り、D2Cモデルを採用するブランド されます。 これは、現在のCSDDD は税金を回避することができ (最小 では禁止するべき不公正取引慣 限の輸入業者のループホールを利 行が何も挙げられていないという 用する)、 また米国のウイグル強制 現状の問題点を補完します。 イギ 労働防止法(UFLPA)を含む強制労 リスでは、Transform Tradeの提 働に関する規制から逃れることが 案する 「Fashion Supply Chain できます。 詳細については、90ペー Adjudicator Bill」に基づいてイギ ジをご覧ください。 リスファッションウォッチドッグの 今年、12%のブランドが責任ある調 設立を求めています。 これに関し 達行動規範を公表しており、250の ては、次の視点の中でTransform ブランドのうち1つ、Zeemanのみが TradeのHilary Marshによる記事を 標準的なデューディリジェンスに準 ご覧いただけます。 拠したサプライヤー契約のテンプレ ートを公開しています。 このテンプ レートには典型的な注文と支払条 件が示されています。 Zeemanのサ プライヤーへのコミットメントは、 責任ある調達行動、人権デューディ リジェンスのサポート、責任ある撤 退などにわたります。 責任ある調達 行動規範の合意に関して、 より多く

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

コスト削減のため、 サプラ イヤーに対して不当なペ ナルティを課す (割引を要 求するなど)

主要なファッションブランドとそのサ プライヤーや労働者との間には、非常 に不平等な権力関係が存在し、 これ らの不公平な慣行を維持している。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

下の表はBetter Buying、Human Rights Watch、Transform Trade、The University of Aberdeen と Transform Tradeが共同 で執筆したこちらのレポートからのデータに基づいています。

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 96

ファッション業界の調達慣行には問題があります: 業界の監視役の必要性

HILARY MARSH

衣料政策アドバイザー Transform Trade

ファッション業界は調達慣行の問 題を抱えています。 今年のレポート のデータは、 ブランドが人権のデュ ーディリジェンスプロセスの透明性 を向上させていることを示していま す (2023年は68%、2020年は34% )。 しかし、納品業者に対して少なく とも60日以内に支払うことを公に 承諾する動きは見られませんでし た。 支払いの遅延は調達慣行の一 部であり、 サプライヤーの運営に直 接影響を及ぼし、 デューディリジェ ンスが緩和しようとする問題を引き 起こす可能性があります。 調達まわ りのプラクティスを改善するための 自主的な取り組みは効果がなく、規 制が必要です。 ファッションのサプラ イチェーンに安定性と一貫性を埋 め込み、競争条件を同一に整える ため、規制が切望されています。

大手ファッションブランドがサプライ ヤーへの支払いを最大でも60日以 内に行う方針を公表するという単 純な行為が、進捗がないことは懸 念材料です。 このような方針を公表 するブランドはわずか11%であり、 昨年から変わっていない状況です。

多くの場合、 ブランドや小売業者に よる開示(例えば、人権デューディ リジェンス (HRDD) レポート)は、 サ プライヤーが提供した情報に基づ いており、 その情報はサプライヤー で雇用されている労働者やサプラ イチェーン内での環境影響に焦点 を当てています。 小売業者自身の 行動に関する情報が提供されてい ないことは、 ブランドの購買慣行が 労働権利の改善を推進するか阻害 するかについての完全な理解を妨 げています。 たとえば、国際労働機 関(ILO)の2017年の報告書は、少 なくとも生産コストを支払うことを 約束することと、賃金が20%上昇す ることの相関関係を示しています。 ブランドがサプライヤーへの支払い を数ヶ月遅らせると、 サプライヤー、 そして最終的にはガーメントワーカ ー(不正な残業代支払い、遅延や不 正確な賃金などの労働権利の低下 を経験している)が、実質的にはフ ァッションブランドの運営を支えて いることになります。 残念ながら、 現在、 ファッションブランドのわずか 4%しか、以前に合意された支払条

件に後から変更がある注文の数に 関する情報を共有していません。

ード違反の経験を報告していまし たが、2021年には29%まで減少し ました。

ただし、 サプライヤーの運営に影響 を及ぼすのは遅延支払いだけでは 早急にファッション業界のための法 ありません。 今年公表されたアバデ 律が必要とされていますが、幸いな ィーン大学の調査では、世界中のブ ことに、 このような動きは広がって ランドと小売業者向けに衣料品を います。 提案されている 「ファッショ 製造するバングラデシュの製造業 ン監視機関(Fashion Watchdog) 者1000人を対象に、50%以上が次 」 (またはイギリスの私有議員法 の4つの不公平な慣行の少なくとも 案で示されている 「ファッション 一つを報告しています。 注文のキャ サプライチェーンコード調停機関 ンセル、価格の削減、出荷済みまた (Fashion Supply Chain Code は製造中の商品への支払い拒否、 Adjusdicator)」 )は、 ファッション および3ヶ月以上の請求書の支払 ブランドの購買慣行を監督し、業界 い遅延です。 ファッションブランドが の行動規範に基づいて不公平な決 衣料品を購入する際に使用される 定を覆すことができる機関です。 これらの手法は、予想外で過度なリ もしあなたがイギリスにいて、 イギ スクとコストをサプライヤーに押し リス市場で販売されているファッシ 付け、公正な取引を行うブランドの ョン小売業者やブランドによる公正 市場を弱体化させます。 こうした慣 な購買慣行を支持している場合、私 行はかつて食品小売業界でも広く たちの 「ファッション監視機関」MP 行われていましたが、行動規範を強 誓約ページにアクセスし、 あなたの 制するスーパーマーケット監視機 議員に連絡して、 この重要な提案を 関の設立によって禁止されました。 支持するようお願いしてください。 その導入により、 これらの慣行は大 幅に減少しました。 調査対象のサプ ライヤーのうち79%が2014年にコ


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

「人々と地球の有限な資源を両方とも搾取するファ ストファッションモデルは終わらせなければなりませ ん。人々と地球の福祉は、繊維産業の利益追求よりも 優先されるべきです。人権と環境への影響は国境を 越え、私たちの責任はグローバルなものです。多くの 企業による自主的な対策や取り組みは、正しい方向 に向けた重要な一歩を踏み出しましたが、現実はこ れらが十分でないことを示しています。私たちEUは模 範となり、店で販売される衣類が高い環境および人権 基準をクリアしていることを保証しなければなりませ ん。 これを実現するためには、拘束力のある法律が必 要です。だからこそ、私は環境委員会で持続可能な繊 維に関する報告者として、 これに取り組んでいます!」 Delara Burkhardt 欧州議会議員 The Progressive Alliance of Socialists and Democrats

FASHION REVOLUTION 97


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 98

生活賃金 ファッションは地球上で最も不平 等な産業の一つです。 世界で最も 裕福な人々の中には、 ファストファ ッションから高級ブランドまで、 フ ァッション小売業で莫大な富を築 いた人々がいます。 しかし、 それら の服を作っている数百万人の労働 者、 特に有色人種の若い女性たち は、 基本的な生活必需品を賄うた めの十分な賃金を受けとっていな い状況が続いています。 ファッション業界における貧困賃金 は避けられないものではありませ ん。 この産業は年間1700億ドルも の売上を上げています。 むしろ、 ファ ッション業界での貧困賃金は、莫大 な欲望と搾取の結果です。 オックス ファムが発表した論文によれば、 ト ップファッションCEOがわずか4日 間で得る収入は、 バングラデシュの ガーメント労働者がその一生で稼ぐ であろう収入と同じです。 このインデックスに含まれる大手フ ァッションブランドを含む多くのブラ ンドは、ガーメント労働者の過小評 価された労働によって利益を得て います。 私たちの服を作る人々は、 まともな生活を送り、自分自身と 家族を支える権利を持っています。 食品やエネルギーのコストが急騰 し、世界的にインフレが増加してい る現在、 これはますます切実な問 題です。

トップファッションCEO がわずか4日間で得る 収入は、 バングラデシ ュのガーメント労働者 がその一生で稼ぐで あろう収入と同じ。

の賃金と生活賃金のギャップを埋 めるため、拘束力のある法律が必 要です。ブランドは法的な最低賃金 に基づいて合法的に安い労働力か ら利益を得ながら、私たちの服を作 る人々が公平な報酬を受け取るた めに、自主的な措置だけに頼るこ とはできません。 ブランドはしばしば 「競争力のある賃金」 や 「最低賃金 を上回る賃金」を支払っていること しかし、 この切迫した状況にもかか わらず、生活賃金の透明性に関して を公開し、環境への配慮を示すこと があります。 しかし、最低賃金を上 は依然として極めて遅々とした進 回る 「競争力のある」賃金は、ほと 展しか見られません。 ほとんどのブ んど常に生活賃金とは言えない貧 ランドの、 サプライチェーンの労働 困賃金です。 最低賃金と生活賃金 者に生活賃金を支払うことを保証 の差を示す当団体のインタラクティ する取り組みにはほとんど進展が ブな生活賃金マップも確認してみて みられず、 これは基本的な必要経 法律があれば、評判に敏 費をカバーし、余裕のある収入を得 ください。 感な企業だけでなく、 すべての企業 るためには不十分です。 サプライチ に行動を促すことができます。 ェーンの労働者に生活賃金を支払 うためのアプローチを開示するブラ 生活賃金を実現するための透明性 ンドはわずか28%であり、過去3年 の不足は、 この問題に対するコミッ 間にわたってほとんど進展していま トメントの欠如を示しています。 こ せん。 生活賃金への年次進展を公 れは、 ブランドの孤立した自主的な 表しているブランドはわずか2%で、 努力が、 この重大な不正義に対処 サプライチェーン内で生活賃金を するのに不十分であることを明確 受け取っている労働者の数を公表 に示しています。 さらに、多くの衣 しているブランドはわずか1%です。 料品生産国での結社の自由の制約 自主的な対策が不十分であり、遅 は、労働者が団体交渉を通じて労 すぎるのは明らかです。 実際、 オース 働条件を改善するために抵抗する トラリアの25のブランドに関する研 ことを難しくしています。 究によれば、現在のペースで生活 賃金を支払うためには75年かかる と推定されています。 私たちは現在

何十万人ものEU市民が キャンペーンを支持する ために署名をしました。 この研究が公開される時点では、 私たちはGood Clothes, Fair Pay という欧州市民イニシアティブキャ ンペーンの最終段階に入っている でしょう。 このキャンペーンは2023 年7月19日に終了し、衣料品、 テキ スタイル、 および履物部門全体にお ける画期的な生活賃金の法律を要 求しています。 私たちの提案は、 ブ ランドに対して生活賃金、結社の自 由、 および団体交渉の権利に関す る負の効果を特定し、予防し、緩和 することを求めています。 不公正な 取引慣行を禁止し、実際の賃金と 生活賃金の差を埋めるための期限 付きおよび目標付き計画の透明性 を義務付けています。

何十万人ものEU市民がキャンペー ンを支持するために署名をしまし た。 あなたも賛同していただけます か?私たちはEU市民(EUパスポー ト保持者、居住地に関係なく)から 100万人の署名を必要としていま す。 goodclothefairpay.euにアク

セスして、2023年7月19日までに署 名をしてください。 EU市民でない場 合は、友人に送ったり、 ソーシャル メディアで私たちの投稿を共有し て、広める手伝いをしていただける と幸いです。


次の世代の衣料品製造業者が貧困賃金に依存することを 許してはいけません

生活賃金コーディネーター Clean Clothes Campaign

FASHION TRANSPARENCY INDEXと透明度の誓約は、 過去数 年間にわたり、 サプライヤーリスト ( 詳細度は高低があるものの)を公開 するブランドの大幅な増加を率い てきました。 これはClean Clothes Campaignネットワークや他の労働 権団体の活動にとって非常に重要な ことでした。

これは難しい問題です。 なぜなら、 ますます多くのブランドがサプライ チェーン内の労働者に生活賃金を 支払うという大胆な主張や有望な コミットメントをしているからです。

この調査によると、数十年にわたる 企業の社会的責任や自発的なステ ークホルダーのイニシアティブにも かかわらず、わずか3つのブランド しか、一部の労働者に生活賃金を 支払っているという証拠を提供で きていません。 残念ながら、 これは これらのブランドのサプライチェー ンのほとんどの労働者がまだ貧困 賃金、最低賃金(最低賃金法のある 場合)または出来高制で支払われ ていることを意味します。 最低賃金 は、衣料品生産国において生活賃 金よりもはるかに低い水準です。 バングラデシュの最低賃金は5年 間見直されておらず、実質的には過

去5年間でインフレや生活費の上昇 により労働者の購買力が低下して いると言えます。 他の国々でも同様 の状況が見られます。 労働者の賃 金はインフレほど速く上昇しないた め、賃金と生活賃金の差は拡大し ており、一部のファッションブランド の良い意図にもかかわらず、労働者 たちの待遇改善が遅々として進ま ないことが明らかです。 労働者はブ ランドが自力で問題を解決するの を待つことはできません。 この危機 を解決するためには、法律や他の 拘束的なメカニズムによる迅速な 行動が必要です。

そのため、 クリーン・クローズ・キャ ンペーンは、Good Clothes Fair Payキャンペーンにおいて重要な パートナーとして活動しており、欧 州連合に対して、企業がサプライチ ェーンにおいて生活賃金のデュー ディリジェンスを実施することを義 務付ける具体的な法律を制定する よう呼びかけています。 私たちは、 別の世代の衣料品製造者が貧困賃 金に依存することを許してはいけ ません。

FASHION REVOLUTION

もし、 どのブランドがどこで製造し ているかが分からなければ、 サプラ イチェーンでの違反をブランドに対 して追求することは不可能です。 し かし、 このレベルの透明性だけでは 不十分です。 ブランドのウェブサイト やOpen Supply Hubに工場のリス トがあるだけでは、消費者にその服 がどのような条件で作られ、製造者 がいくら支払われたかがわからな いのです。

この調査でカバーされているブラン ドの約28%が該当します。 これは生 活賃金に向けた第一歩であり、最 低基準となります。 それがより具体 的になるにつれて (コミットメントか らアクションプランへ、 そしてそのア クションプランの実施へ進むにつれ て)、 それに対する証拠や詳細を提 供できるブランドはますます少なく なります。

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

ANNE BIENIAS

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

99


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

借金と衣料品産業:グローバルサウスにおける 衣料品労働者の搾取手段としての借金

FAROOQ TARIQ

Pakistan Kissan Rabita Committee

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 100

グローバルサウス全般にわたって、 多くの国々や労働者は収入を得る ために衣料品産業に依存していま す。 しかし、 労働者にとっては条件 がしばしば深刻な搾取と危険を伴 い、 利益は一般的に大手多国籍企 業が享受しています。 これらの不平 等の多くは、 直接的に借金と関連し ています。 何世紀にもわたり、借金はグローバ ルサウスの国々とコミュニティに対 して武器として使用され、 グローバ ルノースのエリートに利益をもたら してきました。 グローバルノースの政府、機関、企 業は、借金を通じて巨額の富を抽 出し (1970年以来2.5兆ドルの利息 支払いが行われています)、国々が 市民のニーズを満たすための資源 を縮小させるだけでなく、借金を通 じて国々に何をするかを指示し、貸 付条件として過酷な緊縮改革を実 施させます。 グローバルノースの政府や主導的 な機関(世界銀行や国際通貨基金

TESS WOOLFENDEN Debt Justice, UK

など)は、公共支出の削減、労働市 場の規制緩和、経済の自由化など の改革を通じて経済成長を実現 し、国々が借金を返済し、開発を資 金調達できると主張しています。 し かし、数十年後、 これらの結果は実 現していません。 その代わりに、 グ ローバルサウスの経済は停滞し、貧 困と不平等率が急増し、外国人投 資家は好条件でグローバルサウス 市場への新たなアクセスを享受し ています。

グローバルサウス全域のガーメント 労働者にとって、 これらの改革は賃 金の窃盗、劣悪で安全でない労働 条件、労働組合結成の機会の制約 とともに、多国籍企業が大量の利 益を上げるための理想的な状況を 作り出しました。 労働者の大部分を 占める女性は特に影響を受けてお り、同時に医療などの重要な公共 支出削減の影響を受けて、家庭内 でこれらのサービスの負担を強い られています。 これらの影響はよく 文書化されていますが、主要なファ ッションブランドのうちわずか14% しか、人権のデューディリジェンス

プロセスにおいてジェンダー専門 家を関与させていません。

し、医療への資金調達や気候危機 への対応が困難となっています。

過去に債務免除が行われたことは 2022年、 パキスタンは気候危機に ありますが、債務負担とそれによる よる壊滅的な洪水に見舞われまし グローバルノースの力が経済改革 た。 復旧と再建には少なくとも400 を強制する能力は高いままであり、 億ドルの費用がかかるとされてい その根本的な原因である無責任な ますが、同国は今年180億ドル以上 1 貸し出しとグローバルサウスの植 の債務返済を行う予定です。 洪水 民地主義的な依存が解決されてい はテキスタイル産業に大きな影響 ません。 を及ぼしました。 しかし、債務によ る国内リソースの不足のため、産業 現在、債務危機に直面している国 は完全に回復することができず、多 は54か国あります。 これらの国の多 くの雇用と生計が危機にさらされ くも、 パキスタンやスリランカのよう ています。 に、衣料品産業に依存しています。 しかし、世界中で影響を受けたコ 例えば、 パキスタンでは、債務危機 ミュニティは、不正な債務と強制的 の結果として急騰するインフレーシ な緊縮政策の影響に対抗していま ョンが食料などの必需品の価格を す。 パキスタンでは、Kissan Rabita 急上昇させ、 それに加えてテキスタ CommitteeとAPMDD Pakistan イル産業での貧弱で予測不可能な が、不正な債務を終わらせ、政府に 賃金の影響により、多くの労働者が 対して債務返済を停止し、 グローバ 十分な食事をとることや生活必需 ルノースの債権者には債務を免除 品の支払いができない状況となっ するよう求めており、 すべての労働 ています。 者に生活賃金を求めています。 パキスタンの高い債務負担は、政 1 Debt JusticeによってWorld Bank 府が市民のニーズを満たすための International Debt Statistics データベー リソースを持っていないことを意味 スから計算されました。

グローバルサウス諸国は、経済的条 件に縛られることなく、市民の権利 と福祉を保護するためのリソースと 政策の余地を持つために、緊急に 債務免除を必要としています。

透明性の欠如にも対処することが 重要です。 私たちは、実際に何が、 どんな規模で起こっているか知ら ない場合、企業や政府、機関に適切 に責任を追求することはできませ ん。 ファッション産業では、大手ブラ ンドが自社の運営に関する情報を 公に開示することが求められます。 債務に関しては、債権者と借入国 が借款に関するアクセス可能な情 報を共有し、市民が政府や債権者 に対して責任を追求できるようにす ることが重要です。


パンデミックと並行して、衣料品輸

出国の政府は、 いくつかの生産現 大手ブランドは、本当の 場において、民主主義と真の労働 意味で労働者の声が届く 者代表に対するより広範な弾圧と システムを確立するため 抑圧を行いました。特に、2021年2 の環境整備を進めている 月に軍事クーデターが起きたミャ ンマーでは、縫製工場、特に組合リ べきだが、 その姿勢は消 ーダーに対する国家主導の弾圧が 極的であり続けています。 後を絶ちません。軍事クーデターか らの2年間で、結社の自由を抑圧す

るための大々的な動きにより、300 の開示との間には明確な差があり 人以上の組合員や活動家が逮捕 ます。 サプライチェーンで労働協約 されました。 いくつかのブランドは、 の対象となっている労働者の数を こうした違反行為に加担しないよ 開示しているブランドはわずか12% う、 ミャンマーからの調達を中止し (2022年から微増)、 サプライチェ ています。 ミャンマー政府に対する ーン上で働く労働者に現地法で定 世論の否定的な見方に対抗するた められた以上の賃金を提供する労 め、軍事政権は一部の労働者の組 働協約の数を開示しているブランド 織を労働組合として登録していま はわずか1%(250ブランド中わずか す。 この動きはMADE in Myanmar プログラムによってサポートされて いますが、現地の独立系労働団体 からは広く非難されているもので す。 この動きは、実際には労働者が 自らの代表者を自由に選ぶことが できないにもかかわらず、 そのよう に見せかけた偽の労働者組織の創 設を合法化するものと見られてい ます。 2023年6月に1日0.38ドルの 賃上げを要求したために労働組合 リーダーが逮捕されるなどしたた め、多くの労働者権利団体は、 ブラ ンドに、責任を持った形でミャンマ ーから撤退するよう求めています。 しかし、本インデックスに含まれる いくつかの大手ファッションブラン ドは、 ミャンマーでの調達を続けて います。 このような背景から、 ファッション セクターの労働者の労働条件と賃 金を現地の労働法で定められたも のよりもより良いものとする団体交 渉の合意はますます稀になり、実現 が難しくなっています。 繰り返しに なりますが、団体交渉に関するブラ ンドのコミットメントと実際の成果

FASHION REVOLUTION

大手ブランドは、本当の意味で労働 者の声が届くシステムを確立するた めの環境整備を進めているべきで すが、 その姿勢は消極的であり続け ています。 このことは、公に表明さ れたブランド方針と、労働者レベル で実際にとられた行動及び結果の 開示との間に違いがあることから

ビジネスと人権リソースセンターは 2022年の報告書で、 バングラデシ ュ、 カンボジア、 インド、 インドネシ ア、 スリランカの労働組合指導者24 人にインタビューを行い、 組合活動 家や労働者の権利の擁護者124人 を対象に調査を実施しました。 調査 回答者のほぼ3分の2(61%)が、 パ ンデミック以降、 縫製労働者の結社 の自由と団体交渉の状況が 「悪化 した」 と報告しています。 回答者の ほぼ半数(48%)が、 労働組合員に 対する差別、 脅迫、 脅し、 嫌がらせが 増加していることを明らかにしまし た。 Labour Behind the Labelによ る2023年の報告書では、 LGBTQI+ の権利と労働者の権利が互いに関 係し合うストーリーが紹介されてい ます。 インドネシアのある女性縫製 労働者は、 「本当は反抗したいので すが、 面倒を見なければならない娘 がいるので働かなければならない のです」 と語りました。 これは、 貧困 賃金と結社の自由の制限が、 いか に労働者の声を抑圧するものであ るかを示しています。

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

も明らかです。 主要ブランドの85% が、 サプライチェーンレベルでの結 社の自由、団結権、団体交渉へのコ ミットメントを概説する方針を公表 している一方で、 これらの方針をど のように行動に移しているかを開 示しているブランドはわずか39%に すぎません。 さらに、独立した、民主 労働者は自らの最良の擁護者であ 的に選出された労働組合を有する り、 より良い労働条件を実現するた サプライヤー施設の数または割合 めには、 労働者が団結して雇用主 に意見を述べたり交渉したりするこ を開示しているブランドは2022年 からわずかに増加しているものの、 とが、 依然としてメインの手段とな ります。 独立した労働組合は、 賃金、 わずか15%にとどまっています。 社会保障給付、 残業時間、 妊娠・出 世界保健機関(WHO)は2023年5 産に関わる権利、 職場差別など、 労 月、世界的な保健上の緊急事態と 働者が最も懸念する問題に取り組 しての新型コロナウイルスの終息 むことができ、 職場での事故の減少 を発表しましたが、 この危機の影響 にもつながります。 ファッションセク は今なお色濃く残っています。 新型 ターの組合組織率に関するデータ コロナウイルスは、多くの衣料品生 は世界に存在しませんが、 バングラ 産国で組合に加入した労働者を解 デシュの推定によれば、 同国の縫製 雇する理由として頻繁に使用され 工場のうち組合が存在するのはわ ており、組合のリーダーは、 パンデミ ずか3.5~4%であり、 依然として低 ックのために雇用主との交渉や新 い水準にあります。 歴史上、 そして現 規組合員の勧誘が困難になったと 在も、 労働者の組織化が最も厳しく 述べています。 制限され、 深刻で頻繁な労働虐待 が常態化している地域から大量の 服が調達され続けています。 自己の利益を守るために労働組合 を結成し加入する権利などの 「結 社の自由」は、 多くの国際協定や国 内法に謳われている、 民主主義の 基礎となるものです。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

労働組合と団体交渉

101


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES FASHION REVOLUTION 102

3ブランド) であり、2022年から変化 はありません。

ロシュ・C・クルヴィラは次のように 述べています:

「どれだけの調達戦略 サプライヤー工場がブランドの行 動規範を守っていることを示すた が、独立した組合や有意 め、 実質的よりもむしろ象徴的な遵 守を行っている間に、 実際には労働 義な団体交渉の有無で 者の組織化・交渉能力は弱体化し フィルターをかけたり、 てしまっていることを裏付ける証拠 それに重要な価値を与 があります。 生活賃金を実現するた めにはブランド自体がコストを負担 えたりしているでしょう して優れた購買慣習を実現するこ か?非常に少ない数で とが重要であるにもかかわらず、 多 す。 これがなければ変 くの大手ブランドは、 生活賃金を達 成するための唯一の手段は、 労働 化はなく、本質的な労働 者の団体交渉の努力を支援するこ 基準の違反は続くでしょ としかないと述べています。 団体協約の対象となる労働者数に 関する透明性の向上は、 労働者が 基本的権利をよりよく行使し、 ブラ ンドが説明責任を果たすようにす るための重要な出発点です。 コー ネル大学のNew Conversations Projectのジェイソン・ジャッドとサ

う。 」

“ ブランドは、結社の自由に関しては、ポリシーとしてコミットすることを超え、真 の労働者の参画を実現するために、サプライチェーンに沿って労働組合や労働 者代表とどのように積極的に関与する計画を立てているかを具体的に示す必要 があります。重要なことは、結社の自由と工場レベルでの代表的労働組合の育 成に資する環境を確保するために、サプライヤーとどのように協力するのかを含 めることです。 これは、複数の衣料品供給国で労働組合の権利が後退し、代替的 な「労働者の声」 メカニズムが台頭し続けている中、 より重要な点となっていま す。団体交渉に対する労働組合の権利をしばしば弱体化させる、 より伝統的な労 働者委員会構造や、単純に対話と交渉の助けにならない「労働者の声」ツール の使用が増加しています。 このセクターが経済の乱高下の影響を受け続ける中、 労働者がより安全な職場と適正な生活を求めて団体交渉できるようにすること は、継続的な不安定性の代償をサプライチェーンで最も賃金の低い労働者が支 払うことのないようにするため、 これまで以上に重要となります。 そして、 より多く のアパレルブランドがデューデリジェンス法の対象となる今こそ、 バイヤーがサ プライチェーンに沿ってステークホルダー・マッピングを実施し、労働者、 そして 女性や移民労働者などの重要な権利グループが労働組合に加入・結成し、参加 型デューデリジェンス・プロセスに関与することを確実に支援する時なのです。” Natalie Swan 労働者権利プログラムマネージャー Business and Human Rights Resource Centre


スリランカ縫製セクターの労働組合をみて

FTZ 組合

また、労働組合に加入している労 働者を標的にし、解雇する工場が見 られるなど、労働法違反がますます

増えています。 パンデミック以前で さえ、労働組合の加入率は低く、全 セクターでわずか15%、 アパレル・ セクターではわずか5%でした。 悲 しいことに、危機的な状況にあって も、 この産業の労働者は、最も基本 的な権利を行使する際にさえ抵抗 に直面しているのです。

FTZ&GSEUは他の労働組合ととも に、 EUのGSPモニタリング・ミッショ ンに以下の提言を行いました:ILO は、 スリランカ投資委員会(BOI)が 結社の自由に関する国際法的基準 に違反する危険性が高いと判断し ました。 結社の自由は幻想のままで あり、 また、 使用者と労働者の関係 は通常従業員協議会によって管理 されており、 輸出加工区(EPZ)にお いて最も厳しい状況にあります。 ス リランカでは、 反組合的差別に関す る訴訟を裁判所に提起できるのは 労働省だけであるため、 労働者は 反組合的報復の場合に救済を受け ることができません。 1.

スリランカ投資委員会(BOI)の 労働基準・雇用関係マニュアル

2.

3.

4.

5.

すが、現在、労働協約は1つ(NEXT ManufacturingとFTZ&GSEUが締 現在、交渉代理人として承認さ 結したもの)、覚書(MoU)も1つの みとなっています (FTZと他の2つの れるためには、組合員の40% 組合NUSSとSLNSSが、 ジョイント・ の賛同を得ることが必要だが、 アパレル ・ アソシエーション ・フォー この規定は強制すべきではな ラム (JAAF) と締結したもの) 。 い。 この規定は、ILO条約勧告 適用専門家委員会(CEACR)が 述べているように、正当な根拠 がない。 を、結社の自由に関する国際 的な法基準と一致させる。

労働法を改正してILO第98号 条約と一致させ、特に、反組合 差別に関する事案は労働省の みが裁判所に提訴できるとい う制限を撤廃する。

CEARCは、労働組合代表の EPZへの立ち入りが制限され ていることも明らかにした。 こ れは正当化できず、立ち入る権 利を認めるべきである。

EPZに関する政策を適応させ、 特に従業員代表委員会の推進 を中止し、労働組合がその代 わ りを務めることを認める。

スリランカには約400の縫製工場が あります。 閉鎖される工場もありま

FASHION REVOLUTION

自由貿易区・一般サービス従業員 組合(FTZ&GSEU)は1982年に設 立され、 自由貿易区内およびスリラ ンカ全土の労働者、 特に縫製産業 の女性の労働権を保護することを 目的としています。 FTZ&GSEUは、 正規・非正規両方の組合員からな る衣料品労働者の広大なネットワ ークと、 スリランカの労働権に関す る専門知識を活用し、 衣料品工場 の経営者やオーナーと対話する際 にその学びを取り入れています。

スリランカのアパレル産業は、経済 発展において重要な役割を果たし ています。 何十年もの間、 この産業 は農村地域、特に女性に経済的機 会を提供してきました。 その結果、 この産業で働く従業員の85%以上 は女性であり、 その大半は経済的バ ックグラウンドが弱く、労働力が過 小評価されています。 この産業の経 済力にもかかわらず、多くの女性労 働者は広範な労働法違反にさらさ れており、雇用主、監督者、下宿の オーナー、 その他縫製工場周辺に 住み働く男性から、ジェンダーに基 づく暴力(GBV)を非常に受けやす い立場にいます。 これには、性的、身 体的、言葉によるハラスメント、昇進 のための性的賄賂の授受、勤務時 間中のトイレの利用制限などが含 まれます。 故郷から遠く離れ、家族 とも離ればなれになっている労働 者は、雇用主からの報復を恐れて、 懸念を口にしたがらないことが多 いのです。

DECENT WORK & PURCHASING PRACTICES

AYOMI JAYANTHY WICKREMASEKARA

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SPOTLIGHT ISSUES

ジェンダー&人種間平等 FASHION REVOLUTION

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GENDER & RACIAL EQUALITY


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果 ジェンダー平等 社内の職務別男女 別内訳を公表

36%

社内のジェンダー間 賃金格差を公表

GENDER & RACIAL EQUALITY

60%

人種間平等 サプライヤー施設に おける、ジェンダーに 基づく違反データを公表

7%

サプライヤー施設における 人種間平等の推進に焦点を 当てた行動を開示

30%

サプライヤー施設に おけるジェンダー平等 の推進に焦点を当てた 行動を開示

4%

社内の民族間賃金格差を公表

FASHION REVOLUTION

8%

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ジェンダーと人種間平等 私たちの調査結果によると、 自社の 事業における年間人種間賃金格差 を自主的に開示しているブランド はわずか4%しかありません。 この 重要な問題が曖昧であることが、 現 実にある不平等を覆い隠していま す。

GENDER & RACIAL EQUALITY

例えば、 ファッション業界の専門家 1,000人を対象とした41社と3つの フォーカス・グループによる調査で は、黒人の従業員の37%が収入を 補うために副業をする必要がある と回答したのに対し、白人の従業員 はわずか23%でした。 このことは、 第一に、重要な社会問題の透明性 を高めるという法律の価値につい て、第二に、 イギリス内外の法律に おいて、男女平等と並んで人種平等 を優先する必要性がある理由とな っています。

人種間不平等を測定 できなければ、改善す ることもできません。 FASHION REVOLUTION 106

フランスの法律は、人種、民族、宗 教に基づくデータを収集することを 禁じています。 したがって、本インデ ックスで評価されているフランスの ブランドはこれらのポイントを得る ことができませんでした。 民族・人 種データの欠如は、 フランス、 そして 同様の法律を持つ他の国々の人

種・民族平等達成の足かせとなりま す。 人種的不平等を測定できなけ れば、改善することもできません。 米国ファッションデザイナー協議会 による2021年の調査では、多様性 の欠如が黒人従業員を組織に 「属 していない」 かのように感じさせて おり、黒人従業員の3人に2人(63% )が常日頃から 「部屋で唯一の」黒 人であると感じていると報告してい ます。 バリュー・チェーン全体、 つま り、ヘッド・オペレーションからビジ ネス全体を通じて多様な人種を擁 することが不可欠です。

サプライチェーンに目を向けると、 サプライチェーンにおける人種・民 族の平等に関する行動を公表して いるのはわずか7%で、昨年の8% から減少しています。 移民、 カース ト、民族間問題が労働虐待や搾取 の原因となっている地域で大量の 衣服の生産が行われていることを 考えると、 これは特に問題です。

たとえば、 インド、 バングラデシュ、 パキスタン、 ネパール、 スリランカ は、 カーストや民族に基づく複雑な 差別の影響を受けている衣料品生 産国です。 この問題は、 サプライチェ ーンの奥に行くほど深刻になりま す。 例えばインドでは、在宅の衣料 品労働者は、歴史的に抑圧された 民族共同体出身の女性と女児がほ とんどで、搾取が多発しており、 ダリ ット労働者や下位カースト共同体 に属する労働者は、出稼ぎ衣料品 労働者のリクルーターに狙われて います。

生産現場のトップ層はほ とんどが男性です。 つま り、女性労働者の職場条 件を設定し、出産に関す る権利や賃金など、女性 労働者に影響する問題 を決定するのは、ほとん どが男性のマネージャー や工場経営者なのです。 私たちの調査によると、今年も大手 ブランドにおいては、ジェンダー平 等の問題について、人種問題よりも かなり透明性が高いことがわかり ました。 サプライヤー施設における ジェンダー平等の推進に焦点を当 てた行動を開示しているブランドは 3分の1以下(30%)ほどであるのに 対し、人種・民族の平等については わずか7%です。 企業レベルでの賃 金格差報告も、同様のことを物語っ ています。 250人以上を雇用するイ ギリス企業では、ジェンダー賃金格 差報告は法的要件であるのに対 し、民族賃金格差報告は法的要件 ではありません。 36%1のブランドが 1 イギリスだけでなく、全世界の世界最大級のフ ァッション・ブランドおよび小売業者250社を対象 としたサンプル。 サンプルについての詳細は、FAQ をご覧ください: 「ブランドや小売業者はどのよう に選ばれているのですか?」www.fashionrevolution.org/ about/transparency

男女間賃金格差を公表していますが (昨年より2ポイント上昇)、民族間 賃金格差を公表しているブランドは わずか4%です。 . ファッション・サプライチェーンで働 く労働者の大多数が女性であると いう事実は、世界的によく知られて います。 しかし我々の調査結果によ ると、主要ブランドによるジェンダ ー問題に関する情報開示は全体的 に期待外れとなりました。 サプライ ヤー施設における職務の男女別分 布を公表しているブランドはわずか 4%で、2022年の8%から減少して います。 また、生産現場のトップ層 はほとんどが男性です。 つまり、女 性労働者の職場条件を設定し、出 産に関する権利や賃金など、女性 労働者に影響する問題を決定する のは、ほとんどが男性のマネージャ ーや工場経営者なのです。 この男女 間の力の不均衡は、 この業界で最 も有害な影響のいくつかを引き起 こしています。 ジェンダーと暴力、 い じめ、虐待、もっと早く働かせるた めのハラスメントとの関連は、多く の生産現場における長年の問題と なっています。

ジェンダーへの視点は、有意義なデ ュー・ディリジェンス・プロセスのあ らゆる段階に適用されるべきです が、現在、人権デュー・ディリジェン ス・プロセスにおいて女性(女性組 織やジェンダー専門家を含む)に相 談していると開示しているブランド はわずか14%(2021年の10%から

増加) です。 複数の地域にまたがる 何千万人もの女性たちによって支 えられているこの業界において、自 分たちの意見が考慮されず、意思 決定の役割に女性が不在であるこ とは、重大な結果をもたらします。 私たちの服を支える大勢の女性の 重要性にもかかわらず、 ファッショ ン業界では性的暴力とハラスメン トが蔓延し続けています。 本インデ ックスで評価されたブランドの84% が、 サプライヤー行動規範に暴力と ハラスメントに対するポリシーを盛 り込んでいる一方で、 より多くのブ ランド (92%)がサプライチェーンに おけるジェンダーに基づく違反の 蔓延を開示していません。 この分野 での開示の低さは、 ブランドのコミ ットメントが中途半端で、真の野心 に欠けていることを示しています。 ジェンダーに基づく違反に関する 透明性の欠如が続いていることは、 この問題への取り組みが進まない 一因となっています。


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

私たちの服を支える大 勢の女性の重要性に もかかわらず、 ファッシ ョン業界では性的暴 力とハラスメントが蔓 延し続けています。 気候変動危機が深刻化するにつ れ、 平等、 多様性、 そしてジェンダー や人種の代表性はますます重要に なり、 歴史はこれらの問題が十分に 対処されていないことを示していま す。 ジェンダーと人種の平等は、 ジャ スト・トランジション (公正な移行) への道を開くものであり、 経済が持 続可能な生産へと移行する際に、 労 働者の権利と生活を確保するため に必要な様々な社会的介入を包含 する運動です。 今日のファッション産 業は、 多くの抑圧と差別システムの 上に築かれた植民地的発展の結果 です。 したがって、 より公正で持続的 なファッション産業と地球を実現す るために、 あらゆる種類の不平等と 人種的不公正に同時に取り組む必 要性があるのです。

“ ダイバーシティは、政治的に正 しくあるための単なる飾りではあ りません。 ダイバーシティをマーケ ティング戦術に限定するのではな く、体系的な不平等を解決するき っかけとするために、 その取り組 みを拡大する必要があります。”

GENDER & RACIAL EQUALITY

Aditi Mayer サステナブルファッションコンテンツクリエイター フォトジャーナリスト 労働権利活動家 環境正義スピーカー FASHION REVOLUTION

これは、 バングラデシュのAwaj Foundationなどの労働組合や市 民社会団体が、 このセクター内での ジェンダーに基づく暴力に対する 対策の欠如について繰り返し懸念 を表明してきたことを考えると、特 に注目すべきことです。 2019年、国 際労働機関(ILO)は、暴力やハラス メントのない職場で働く人々の権 利を成文化しようと、暴力とハラス メントに関する条約C190を採択し ました。 暴力とハラスメントは例外 ではなくルールであるにもかかわら ず、 この条約を批准しているのはわ ずか31カ国にすぎません。 特筆すべ きは、主要な衣料品生産国の多く がまだ条約C190に署名していない ことです。 COVID-19の大流行によ り、工場の生産ラインにおける暴力 やセクシュアル・ハラスメントの増 加や、壊滅的な経済的不安から女 性労働者が虐待行為を容認した り、通報を控えるようになったこと を記録した報告書がいくつか発表 され、ジェンダーに基づく暴力 (GBV)に大きなスポットライトが当 たるようになりました。 その上、女性 の収入減は家庭内での交渉力の低 下を意味します。 実際、 カンボジア の200人の女性縫製労働者を対象 とした2年間にわたるCOVID-19の 影響に関する調査で明らかになっ たように、 この産業は「より悪い方 向に進んでいる」 のです。

107


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SPOTLIGHT ISSUES

SUSTAINABLE SOURCING & MATERIALS

FASHION REVOLUTION

サステナブルな調達と素材 108


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果

44%

いわゆる「サステナブル な」素材の定義を 説明している

29%

毎年調達する繊維の 種類に関するデータ を開示している

42%

サステナブル素材の 使用目標達成に向けた 年次進捗状況を 公表している

33%

ヴァージン化石燃料由来の 繊維製品の使用を削減する 目標を公表している

27%

バージン化石燃料由来の 繊維製品の削減に関する 年次進捗を公表している

46%

ヴァージン・プラスチックに 由来する包装資材の使用を 削減する目標を公表している

35%

パッケージング(付属品、 ハンガー、パッケージを 含む)用のバージンプラ スチックの削減に関する 年次進捗を公表している

22%

マイクロファイバーを 最小限に抑えるために ブランドが行っていることを 説明している

FASHION REVOLUTION

51%

期限付きで測定可能 なサステナブル素材 戦略を公表している

プラスチック

SUSTAINABLE SOURCING & MATERIALS

サステナブル素材の使用

109


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 SUSTAINABLE SOURCING & MATERIALS FASHION REVOLUTION 110

サステナブルな調達と素材 庁(NCA)は、誤解を招く環境に関 主要ブランドの半数 する主張をめぐって法を犯してい 以上(51%)がサステ る衣料品小売業者に対し、制裁の 警告を発しました。 具体的な事例 ナブルな素材に関す を挙げれば、NCAはヒグ・マテリア る目標を公表してい ル・サステナビリティ・インデックス るが、 なにをもって 「 (Higg MSI)を、 ブランドの商品上 サステナブルな素材」 の環境主張を裏付けるツールとし て違法と判断しました。 イギリスで と呼ぶのかに関する は、競争市場庁(CMA)が、 ファッシ 情報を提供している ョンブランドのマーケティングにお ける 「環境に良いという主張」につ のは44%にとどまっ いて調査を開始し、消費者が惑わ ています。 環境に関する主張を評価するツー ルが標準化されていないことや、 「 サステナブルな繊維」に関する誤っ たマーケティング主張が蔓延して いることを考えると、私たちの衣服 に使用されている素材に関する透 明性は極めて重要です。 現在、 ブラ ンドはその 「環境的な観点から優 れている」 ということを証明するこ となく、 さまざまな主張をしていま す。 ブランドはまた、1つの側面にし か焦点を当てていないにもかかわ らず、製品上のラベル表示によって 自社の繊維が 「サステナブル」 であ ると主張することもあります。 しか し、各国政府はようやくグリーンウ ォッシングを取り締まろうとしてい ます。 例えば、 ノルウェーの消費者

されていないかどうかを調査しま した。 その結果、 ファッションブラン ドは、誤解を招くような主張を削除 しようと躍起になりました。 同様に オランダでは、 オランダ広告コード 委員会が広告看板におけるファッ ションのグリーンウォッシュの主張 を調査した結果、 いくつかの看板が オランダ広告コード (CDR)の規則 を破り、不公正な商行為に関するオ ランダ民法に違反したとされてい ます。 これらのケースから、 ファッシ ョン業界では、何かを主張する際に は確固たる証拠に裏打ちする必要 があるという考えが、遅れを取りな がらもやっと理解されてきたと考え られます。 EUはファッション業界を規制し、大 手ブランドや小売業者が自社の衣 服の社会的・環境的影響に対して

責任を負うようにするための法整 備をようやく強化しつつあります。 こ のような様々な法規制が現在議論 されているということは、大手ブラ ンドや小売業者が遵守しなければ ならない要件に関する可視性と理 解が不足しているということでもあ ります。 とはいえ、現在のところ、企 業レベルではなく、製品レベルでの 情報開示に焦点が当てられている ことには注目するべきです。 多くの ブランドが同じ工場を共有して服 を作っているため、製品の影響を評 価するには、企業レベルでのサプラ イヤーリストの透明性のある開示 から始めるべきであり、 これはファ ッション業界にとって極めて生産的 でない可能性があります。 ファッション業界を規制する法律が 相次いで制定されているにもかか わらず、 サステナブルな素材に関す る目標を公表しているブランドはわ ずか51%に過ぎず、 サステナブル素 材とは何かを公表しているブランド はさらに少なくなります (44%)。 ま た、 これらの目標に対する進捗状 況を開示しているのは、わずか42 %です。 この産業が環境に与える最 大の影響は、 エネルギーを大量に 消費する原材料の生産、準備、加工 の段階に起因しているため、 これは 憂慮すべきことです。 しかし、各素材 の実際の環境への影響に関するデ

ータは常に不足しており、 また、 こ れらの素材がどこでどのように作ら れるかによっても異なります。 加え て、年間調達繊維の内訳を開示し ているブランドは29%に過ぎず、 フ ァッション業界の繊維ミックスとそ の環境負荷の全体像を把握できて いません。

免責事項

この表は、 ファッション業界に影響 を与える、EUレベルで現在議論さ れている主な政策提言の概要です。 この情報は2023年6月30日現在の ものですが、 すべての提言は法制化 される前に交渉、変更される可能 性があります。


概要

レポーティング指令

このEU法は、大企業および上場企業に対し、社会・環境問題に関する戦略、進捗状況、目標を公 に報告することを義務付けるものである。 これにより、投資家、市民団体、消費者、 その他の利害 関係者は、欧州グリーン・ディールの一環として、企業の持続可能性パフォーマンスを評価するこ とができる。

グリーン主張指令

EUは、企業が製品やサービスの環境面でのメリットについて誤解を招くような主張をするのを防 ぎ、 グリーンウォッシュに対処するための新たな基準を策定している。 これにより、環境ラベルや主 張が信頼に足るものであることが保証されるとともに、消費者はより良い情報に基づいた購買決 定を行うことができるようになる。 また、製品や活動の環境持続可能性を高めようと努力する企 業の競争力を高めることにもなる。

グリーン・トランジション指令の ための消費者支援

この指令(ディレクティブ)は、企業に対し、 「製品やサービスの環境フットプリントを定量化するた めの標準的な方法を用いて、 その主張を立証する」 ことを義務付けるもので、 これによりEU全域 で主張の信頼性、比較可能性、検証可能性を高めることになる。

廃棄物枠組み指令

廃棄物枠組み指令は、 廃棄物、 リサイクル、 回収の定義など、 廃棄物管理に関する基本的な概念と 定義を定めている。 EUは、 持続可能で循環型の繊維製品および廃棄物枠組み指令のためのEU戦 略において、 拡大生産者責任制度を導入している。 これは、 現在のように自治体、 ひいては市民が 負担するのではなく、 ブランドや小売業者が製品の使用後の管理に関連するコストを負担するも のである。 この仕組みは、 欧州連合機能条約第191条2項に謳われている 「汚染者負担原則」 を実 施するための重要な鍵となる。

サステナブル製品のためのエコデ ザイン指令

持続可能な製品のためのエコデザインに関する新規則の提案は、 より環境的にサステナブルな 循環型製品に向けた欧州委員会のアプローチの基礎となるものである。 この提案は、現在エネル ギー関連製品のみを対象としている既存のエコデザイン指令に基づいている。

サステナブル繊維製品戦略

EU域内で販売される繊維製品を、 より耐久性があり、 再利用、 修理、 リサイクルが容易なものにするこ とを求める政策計画。

(CSDDD)

(Reporting Directive, CSRD)

(Green claims directive)

(Waste framework directive)

(Ecodesign for sustainable products directive)

(Strategy for sustainable textiles)

2023年6月、欧州議会はCSDDD を賛成多数で可決した。 ファッシ ョン業界にとってこの法律は、大 手ブランドがグローバル・サプラ イチェーン全体を通じて児童労 働、環境汚染、危険な労働条件な どの有害な影響を緩和する法的 義務を負うことを意味します。 (上 記の通り、 この欧州議会の見解は 交渉の対象となります。 現在、3つ の異なるバージョンがあり、 この 提案が法制化される前に、 さらな る三者協議が予定されています) 。 CSDDD を支持する EU 議会の 地滑り的な投票と、持続可能で循 環可能な繊維製品のための EU 戦略に賛成する欧州議会議員の 多数は、人権と環境をより尊重す るためにファッ ション・繊維産業 を規制しようとする欧州の強い政 治的意志を示しています。 これに は、根拠のない誤解を招くような グリーン主張や、 その他あらゆる 形態のグリーンウォッシングの廃 止も含まれます。 この画期的な勝 利と我々の調査結果について、 デ ララ・ブルクハルト欧州議会議員 から話を聞いた内容は本レポート 97ページをご覧ください。

FASHION REVOLUTION

大手ブランドや小売業者は、 サプライチェーンを調査し、人々や地球に対するリスクを特定しなけ ればならなくなる。 このプロセスの一環として労働者、地域社会、労働組合などとの協議が含まれ る。 この法律により、もしも問題があれば企業責任が世界的に問われることになる。 この法案で 重要なのは、影響を受けた利害関係者が司法にアクセスしやすくなることである。

SUSTAINABLE SOURCING & MATERIALS

コーポレート・サステナビリティ・デ ュー・ディリジェンス指令

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

現在議論されているEU法案

111


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 SUSTAINABLE SOURCING & MATERIALS FASHION REVOLUTION 112

気候危機の観点から 化石燃料の使用をや めるよう世界的に呼び かけられているにもか かわらず、 主要ブラン ドのうち、 バージン化 石燃料を使用した繊 維製品の削減目標を 開示しているのは、わ ずか3分の1(33%)に すぎません。

危機を緩和するためには、 化石燃 料からの脱却が不可欠であること は知られていますが、 ブランドは化 石燃料を原料とする繊維の環境面 での性能について、 大胆な主張を続 けています。Changing Marketsの 調査では、 多くのブランドがポリエ ステルやその他の合成繊維のサプ ライヤーについて不透明であるに もかかわらず、 これらの繊維がコレ クションの大半を占め、 気候や廃棄 物に大きな影響を与えていること がわかりました。 しかし、 大手ブラン ドや小売業者のうち、 バージン化石 燃料由来の繊維を削減する目標を 開示しているのはわずか33%で、 こ の目標に対する進捗状況を開示し ファッション産業が石油に依存して ている企業はさらに少なくなります いることは、 合成繊維が世界の石 (27%)。 プラスチック包装によるプ 油消費量の1.35%を占め、 スペイン ラスチック汚染に対する認識は高 の年間石油消費量を上回っている まっていますが、 ポリエステル製衣 という事実が証明しています。 ファ 料をプラスチックと認識する消費者 ッション業界がこのままの軌道をた はあまりいません。 そのため、 化石 どれば、 2030年までに繊維製品の 燃料を原料とする繊維で作られた ほぼ4分の3(73%)が化石燃料から 衣服が環境に深刻な脅威をもたら 生産されることになり、 ファッション し、 実質的にリサイクル不可能で、 フ ブランドが好んで使用するポリエス ァッション廃棄物の危機を招くだけ テル繊維は、 その85%を占めること でなく、 プラスチックのマイクロファ になります。 しかし、 使用している繊 イバーで私たちの身体や自然環境 維の内訳を公表しているブランドは を汚染していることに気づいていま 29%にすぎません。 これは、 生産量 せん。 このことは、 より多くの大手ブ の急激な増加とコストの低下、 つま ランドや小売業者(46%)がパッケ り、 より少ないコストでより多くのも ージングにおけるバージン・プラス のを生産することとつながっていま チックの削減目標を開示し、 35%が す。 ポリエステル・ファッションの生 目標に対する進捗状況を公表して 産量の急増は、 使い捨てファッショ いることの説明にもなります。 ンの成長に寄与してきました。 気候

水中や下水汚泥に含まれる化学物 繊維製品は海洋にお 質を吸収する可能性があり、素材の けるマイクロプラスチ 製造段階で添加された化学物質が 含まれている可能性もあります。 ックの最大の発生源 であるにもかかわら ず、 78%のブランドが マイクロファイバーの 天然繊維のマイクロフ ァイバーでさえ、単に 影響を最小限に抑え る方法を開示していま 水路や海で消えていく せん。 わけではありません。 衣服を着用し、洗濯し、廃棄するた びに、私たちはマイクロファイバー を排出しています。 マイクロファイ バーがあらゆる素材から作られた 繊維であるのに対し、 マイクロプラ スチック繊維はプラスチックポリマ ーから作られた繊維のことです。 実 際、ポリエステルやアクリルなどの 合成繊維は、海洋における一次お よび二次マイクロプラスチック (長 さ5mm未満の小さなプラスチック 片)の最大の発生源であり、世界全 体の34.8%を占めると推定されて います。 合成繊維で作られた衣類 の量は驚くべき速さで増え続けて おり、2030年までに衣類の75%近 くが合成繊維で作られると予測さ れています。 マイクロプラスチック 繊維は海洋動物が食べてしまい、 生物種や海洋生態系全体に壊滅的 な影響を及ぼす可能性があります。 また、 マイクロプラスチック繊維は、

天然素材由来の繊維を積極的に使 用しているファッションブランドも 多くありますが、 これらの繊維は有 毒化学物質を含む製造工程を経て いる可能性があり、繊維自体は「天 然」 であっても、 その工程は「天然」 ではなく、自然界に存在しない細胞 構造を持つ繊維になってしまう可 能性があります。 製造工程の一環 として、天然繊維も合成繊維も漂 白、染色、撥水剤、難燃剤、柔軟剤、 抗菌剤の塗布などの化学処理を経 ていることがあります。 そうなると、 天然繊維のマイクロファイバーで さえ、単に水路や海で消えていくわ けではありません。 事実、淡水、海 水、動物、大気から採取されたサン プルに含まれる繊維全体の70%以 上、場合によっては80%以上を天 然繊維が占めています。 原料や製品 の製造工程で使用が禁止されてい る物質をサプライヤーに知らせる

MRSL(Manufacturing Restricted Substance List:製造制限物質リス ト)を公表しているブランドは、わず か35%に過ぎません。 MRSLを公表 することは、最終製品が天然繊維と 合成繊維のどちらで作られている か、 あるいは最終的な衣服に化学 物質が含まれているかどうかに関 係なく、有害化学物質の使用を制 限するというブランドのコミットメ ントを示すものです。 最終的に、化 学物質はどこかに行き着くのです。 マイクロファイバーやマイクロプラ スチックの汚染は、合成繊維で作ら れ、有害化学物質で染色された製 品の量を減らすことで根本から対 処する必要がありますが、洗濯機の フィルターを使用することで、 マイク ロファイバーの放出を最大80%削 減できることが研究で示されていま す。 フランスは、 マイクロファイバー 汚染への対応で先陣を切っていま す。 同国は、2025年1月までにすべ ての洗濯機にマイクロファイバーフ ィルターを装備することを義務付け る新法を導入しました。


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

遅々として進まない改善策と、 刻々と迫る変化

キャンペーンマネージャー Changing Markets Foundation

世界中の政府が、 長らく持続不可 能な慣行に悩まされてきたファッシ ョン業界を規制しはじめています。 相次ぐ法整備は、 ファッション業界 にとって、 真の持続可能性を優先す ることはもはやオプションではな く、 必須事項だという警鐘です。 しかし、今年のFASHION TRANSPARENCY INDEXのデータ によると、 ファッション業界はまるで メモを見逃してしまったかのようで す。 透明性と持続可能な慣行に関 する進歩は苛立たしいほど遅く、多 くのブランドが環境に配慮した慣行 に口先だけのサービスを提供して いるだけで、 これでは規制の嵐の余 波であたふたしてしまうでしょう。

51%のブランドがサステナブル素材 戦略、 ロードマップ、 または目標を 開示している一方、化石燃料由来 のバージン繊維への依存を減らす 進捗状況を積極的に報告している ブランドはわずか27%であり、両者 の数字に顕著な格差が浮かび上が ってきます。 バージン合成繊維とリ サイクル合成繊維の両方を削減す る必要性に取り組むことなしに、 サ ステナブル素材戦略は真に存在し うるのでしょうか?

合成繊維とファストファッションの 破壊的モデルとの関連性を都合よ く無視するサステナビリティへのア プローチからは、 グリーンウォッシ ングのにおいがします。 欧州委員会 の持続可能な繊維製品のための EU戦略ではこの関連性を強調して いるにもかかわらず、業界は見て見 ぬふりを続けています。 ショッキング なことに、2022年の我々の調査で は、主要ファッション企業の4分の1 が、気候変動の緊急時に化石燃料 由来の繊維への依存度を高めてい

たことが明らかになりました。さら に、greenwash.comのウェブサイト によれば、 ブランドの主なサステナ ブル素材戦略には、ペットボトルか ら服を作ることが含まれます。 これ は間違えた解決策で、 というのは、 服になったペットボトルは、ペットボ トルとして水平リサイクルされるよ りも埋立地行きとなる可能性が高 いからです。 さらに、 ブランドは過剰生産やマイ クロプラスチック汚染対策にも消極 的です。 年間生産量を公表している ファッション企業はわずか12%で、 前年の15%から減少しました。 最も 残念なのは、 マイクロプラスチック が環境と人体に与える壊滅的な影 響について研究が進む中、 マイクロ ファイバーの影響を最小限に抑え るために何を行っているかを開示し ているブランドは全体の4分の1以 下(22%、 昨年の24%から減少) で あることです。 壮大なサステナビリ ティの謳い文句と、 これらの重要な 問題に対する遅々として進まない 進展との間のこの食い違いは、 グリ

ーンウォッシュの暗い面を露呈して います。

悲劇的なラナ・プラザ事故から10 年、業界の遅々とした進歩には落 胆させられてきました。 しかし、今後 予定されている法整備は、 この状況 を再構築し、衣服の持続可能性を 高め、 ブランドが適切に責任を担う 希望となるでしょう。 それは、陰湿な グリーンウォッシングの手口に打撃 を与え、 サステナビリティの主張に 実質的な証拠を要求するものです。 これによって信頼が回復し、曖昧な 主張や空虚な約束は過去の遺物と なり、消費者に力が与えられ、本物 のサステナビリティの実践が推し進 められるでしょう。

FASHION REVOLUTION

倫理的で責任ある慣行を優先する と主張するこの業界では、 ブランド が使用する繊維の種類をオープン に共有することは当たり前のこと であるはずです。 この透明性は、信 頼を築き、責任ある消費を促進する 土台となります。 しかし、 3分の2以上 (71%)のブランドはいまだにこの

質問を回避し、使用繊維の割合やト ン数を開示していません。

SUSTAINABLE SOURCING & MATERIALS

URSKA TRUNK

113


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SPOTLIGHT ISSUES

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY FASHION REVOLUTION

114

過剰消費、廃棄と循環


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果 ビジネスモデルと消費 消費をスローダウンさせる 新しいビジネスモデル を提供している

廃棄物とリサイクル

37%

不要になった衣類の 引き取り制度(テイク バックスキーム)がある

1%

脱成長へのコミット メントを公開している

12%

年間製造量の総量 を開示している

4%

年間、発生した製造前の 繊維廃棄物量を 公表している

38%

繊維から繊維への リサイクルソリューション の開発にどのように取り組んで いるかを説明している

4%

5%

循環型経済への公正な移行 のため、サプライチェーン上の 従業員へ投資していること を開示している FASHION REVOLUTION

26%

衣類の寿命を延ばす 修理サービスを 提供している

クローズドループまたは 繊維から繊維へのリサイクルを 可能にするよう設計された 製品の割合を開示している

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY

30%

115


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY FASHION REVOLUTION 116

過剰消費、廃棄物、循環 過剰生産、過剰消費、過剰廃棄は、 グローバルなファッション業界の直 線的な 「取って、作って、捨てる」 モ デルによって引き起こされる課題で す。 しかも、 この課題は年々深刻化 しています。 ほとんどの場合リサイ クル不可能な素材が掘削され、製 品化され、最終的にはダウンサイク ルされ、埋立地に送られるか、世界 的な古着取引を通じて輸出される か、使われなくなったら焼却されて います。

1950年代には、 ときおりのイベン トとしての買い物で重視されるの は衣服の耐久性でしたが、衣服の 年間生産量は2000年以来2倍以上 に増加し、2014年には初めて1000 億着を超えました。 ファッションは 驚異的な量で生産され続けており、 毎年2.7%の増加が予測されてい ます。 それにもかかわらず、衣服が 新しい衣服にリサイクルされるの は毎年約1%のみで、 イギリスだけ でも年間30万トンの衣服がチャリ ティに寄付されていますが、 その80 %は焼却されていると推定されて います。

ブランドは中古品引き ーナ(輸入額2億1,400万ドル、2020 年比3,300万ドル増)、 パキスタン 取り制度(テイクバック (1億8,000万ドル)、ウクライナ(1 スキーム)を実施する 億7,700万ドル、2020年比2,300万 際、 実際に衣服が行き ドル増)、アラブ首長国連邦(1億 7,300万ドル)、 ケニア (1億6,900万 着く先の情報をあまり ドル、2020年比4,700万ドル増)で 開示せず、 衣服廃棄の す。ケニアが輸入額で最も増加して います。 一方、以前はトップ5に入っ 責任を誰が負うのか ていなかったパキスタンとアラブ首 を曖昧にしている。 長国連邦が順位を上げていること 引き取り制度とは、 ファッションブラ ンドが自社の衣服を 「引き取る」あ るいは「買い取る」 ことです。 これら の衣服は、 クリーニングされ、修理 された後、 ブランドによって割引価 格で再販されるか、解体され、他の コレクションで再利用されるか、他 の方法でリサイクルされることが 望まれます。 我々の調査によると、 主要なブランドや小売業者の37% が、引き取り制度があることを開示 しており、昨年の33%から増加して いる一方で、引き取られた衣服が 実際にどうなるかを開示しているブ ランドは、昨年の26%から増加して いるものの、28%にとどまっていま す。 大手ブランドの引き取り制度を 通じて寄付された衣服にエアタグ を残したジャーナリストによる最近 の調査は、以前から疑われていたこ とを裏付けました。 回収された衣料 は、多くの場合、 グローバル・サウス の中古市場に送られます。 2021年 のデータでは、最大の輸入国は、ガ

は、衣料品のグローバル・サウスへ の輸出量が波状的に増加している ことを示唆しています。

OR財団の創設者であるリズ・リケッ ツは、 「中古品の過剰供給は、もと もと土地にあった持続可能性の論 理を破壊し、衣類は使い捨てである ことを人々に教えている」 と述べて います。 まさにその理由から、 フィリ ピンのように欧米からの古着の輸 入を禁止している国もあります。 重 要なのは、 ある場所から別の場所 へ衣類を単に移動させることは、 循環をしているとは言えないことで す。 引き取られた服がどうなるのか についてブランドが透明性を持た ない限り、 ファッションの 「不条理な 過剰」に対して誰が責任を負ってい るのかはわからないままです。

大手ブランドや小売業 者は、 自社が開発して いるサーキュラー・ソ リューションに関する 情報を出すばかりで、 実際に排出している廃 棄物の情報はあまり 開示しない。 過剰生産と過剰消費の中、繊維と 衣料品の廃棄に取り組むための極 めて重要な方法は、消費を減速さ せ、衣料品の寿命を延ばす取り組 みに投資することです。 これは環境 に大きな良い影響を与えるでしょ う。 2022年には、主要ファッションブ ランドで多くの新しいレンタル・ビ ジネスモデルが導入されました。 今 年、主要ブランドの30%が、 レンタ ルと再販(2021年の14%から増加) 、26%がリペアサービス (2022年の 20%から増加)といった、顧客が服 をより長く着ることができるような 新しいビジネスモデルを導入して います。 テキスタイルからテキスタイ ルへのリサイクルを可能にする循 環型ソリューションの開発について 説明する大手ブランドは増加してお り、2023年には38%と、2022年の 28%から大きく上昇しています。 し かし、年間繊維構成比を公表してい るブランドは29%と少なく、 また、使 われなくなった衣服を新しい衣服

の原材料に転換するサーキュラリテ ィを可能にするようデザインされた 製品の割合を公表しているブラン ドはわずか4%しかありません。 歴 史的に、大手ブランドがいわゆる 「 サステナブル」 ラインを発表したと してもそれは生産量全体のほんの 一部に過ぎないことを考えると、製 品の量に関するデータが開示され ていないかぎり、真に循環型への移 行に貢献しているとはいえません。 このようなサーキュラー・ソリューシ ョンがファッション廃棄物対策に本 当の意味で貢献するためには、 こ れが業界において特別なことでは なく、 むしろ普通のこととなる必要 があります。 その第一歩として、繊 維ミックスーブランドが何の繊維を 何%使用しているかーに関する透 明性を高めることは、 サーキュラリ ティの課題を解決する上で極めて 重要です。

テキスタイルからテキス タイルへのリサイクルを 可能にする循環型ソリ ューションの開発につ いて説明する大手ブラ ンドは増加している。


ブランドが新しいアイテ ムの数を減らすことを約 束しない限り、”循環の 輪 “は縮小するどころか、 拡大していくばかりだ。

ファッションの無駄を り込み、人間の胎盤からもプラスチ ック粒子が発見されています。 小規 削減するための法律 模なものから大規模なものまで、 フ が制定されようとして ァッションの過剰生産と過剰消費 いるにもかかわらず、 の問題は、今や宇宙からも見ること ができます。 衣料品の廃棄物が生 ほとんどの主要ブラン 活のあらゆる場面に及んでいるこ とは紛れもない事実であるにもか ドが年間生産量を公 かわらず、88%のブランドがいまだ 表せず、 新しいアイテ に年間生産量を公表していません。 ムの生産数を減らすこ これは昨年の85%から残念ながら とを約束していないた 増えています。ブランドは自社の生 め、 過剰生産の問題は 産量を絶対に知っているはずです。 この情報なしに生き残れるビジネ 一向に解決されない。 スはあるでしょうか?透明性の欠如 しかし、 すでに1兆ドル規模に達し ているファッション産業は拡大を 続けており、2030年までに世界の 消費量は63%増加すると予想さ れています。 予想通り成長が続け ば、2050年には衣料品の総売上高 は1億6000万トンに達し、現在の3 倍以上になります。 憂慮すべきは、 何千トンもの衣料廃棄物が世界規 模で見つかっていることです。 海の 底で、 アメリカからガーナまでの汚 染された海岸で、他の廃棄物に絡 まったりねじれたりしながら、側溝 に集められ、 コレラやマラリアのリ スクを高め、砂漠に積み上げられ ています。 ファッションから排出され るマイクロプラスチック粒子は、洗 濯や着用によって大気や水路に入

の裏側に、何が隠されているのでし ょうか?

FASHION REVOLUTION

生産前と後、両方の廃棄物を明確 に理解しなければ、 ブランドの廃棄 物対策プロセスが効果的かどうか を理解することはできません。 あま りにも長い間、 ファッション業界は、 廃棄物を管理する経済的能力を持 たないグローバル・サウスにおける 世界的な古着取引を、事実上の廃

棄物管理戦略として利用してきまし た。 致命的なのは、 ブランドが新た なアイテムの生産数を減らすことを 約束しない限り、 「循環の輪」を小さ くするのではなく拡大するだけであ り、 そもそも循環型イニシアチブの 持続可能性の論理が損なわれてい るということです。 さらに、一部のブ ランドのレンタル制度は、耐久性の ない服を対象としていますが、 これ もまた、衣服の品質やスキーム自 体の背後にある意図が、本当にファ ッションをスローダウンさせようと 考えているのか、疑問を投げかける ものです。

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY

業界がこれらのソリューションの透 明性という点で前進していることは 明らかですが、単純な事実として、 ブランドは実際の廃棄物量よりも、 開発しているサーキュラー・ソリュ ーションに関する情報を開示する ことに積極的であることに変わり はありません。 私たちの調査による と、年間発生する生産前の廃棄物( 端切れ、端材、巻き終わり生地)の 量を開示しているブランドはわずか 4%、年間発生する生産後の廃棄物 (デッドストック、過剰在庫、売れ残 り商品、 サンプル)の量を開示して いるブランドは4%で、 それぞれ昨 年の10%、8%から減少しています。 この情報開示の減少は、調査チー ムがこの情報の開示方法を掘り下 げたことに起因しています。 ブラン ドはこの情報を、廃棄物を焼却した 割合のみで表示することが多いか らです。 それでも、私たちの調査に よると、主要ブランドのわずか12% が年間廃棄量を開示しているにす ぎません。

売れ残り商品の廃棄を禁止するフ ランスの新しい法律やEUの繊維戦 略を受けて、売れ残り商品の焼却 に関する透明性が高まることを期 待していましたが、昨年からの変化 は見られませんでした。 全体として、 大手ブランドがどのように廃棄物を 定義し、 この情報を開示しているか に関しては、標準化が欠けているこ とが明らかになりました。 これは、 生産量に関して大多数のファッショ ン・ブランドが情報開示を行ってい ないことに加え、業界がどれだけの 廃棄物を生産しているかは多少は 把握しているものの、実際の数値は わからないことを意味しています。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

このようなデータを開示している 250ブランド中11ブランドのうち、半 数(バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネ タ、 グッチ、 サンローラン)がケリン グ・マテリアル・サーキュラリティ・イ ンデックスを使用しています。 このこ とは、世界最大のブランドや小売業 者の間で、 このトピックに関する公 開情報が多様性に欠けていること を示唆しています。

117


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ブランド Inditex (Zara, Bershka, Massimo Dutti, Stradivarius)

565,027 トン*

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY

Adidas

4.82億品

Sainsbury’s (Tu Clothing)

1.07億点

Calzedonia Group (Calzedonia, Tezenis, Intimissimi)

270,739,032枚 衣料品のみ。 うちCalzedonia 39% 、Intimissimi 22%、Tezenis 38% 、Falconeri 0.4%)

OVS

約1.7億点

Kmart Australia

2.3億枚(衣料品)

Fendi

約3百万品

VF Corporation (The North Face, Timberland, Vans)

FASHION REVOLUTION 118

年間生産量

United Colors of Benetton

〜4.1億点(衣料品、履き物、 アクセサリー) 5400万枚(衣料品)

*2020年の報告書では、 インディテックスは年次報告期間中に16億アイテムを製造 したと開示していたが、2021年と2022年の報告書ではトン単位で開示している。 アイテムの開示よりもトンを概念化する方が難しいことを考えると、 この変化は興 味深い。 参考までに、平均的な大きさの小型車の重量は1トン強である。

ファッションの過剰生産は「ファスト ファッション」 の問題であると、私た ちは何度も耳にしてきました。 しか し、高級ブランドもまた過剰生産を 行っており、最終的には他のブラン ドがインスピレーションを受け、同 様のスタイルを大量生産するため のトレンドを牽引していることは明 らかです。 長い間、 ファッション業界 は過剰生産と過剰消費の真実を隠 し、無視してきました。 川下への影 響に責任を負うどころか、輸入国が そのツケを払うのを傍観し、 その結 果、人権と環境に深刻な影響を及 ぼしてきました。 OR財団の報告に よると、 カンタマント市場には1週 間に推定1,500万着の衣料品が到 着するそうです!年間生産量に関す る基本的な透明性は、 グローバル なファッション業界の廃棄物問題 を解決するための重要な一歩であ り、 ブランドがするべき最低限の開 示です。 今年初めて、私たちはブランドが 「 脱成長」へのコミットメントを開示 しているかどうかを見ています。 こ のコンセプトは、生産量と消費量の 両方を計画的に削減することで、経 済とプラネタリー・バウンダリー(地 球の限界)のバランスを取ろうとい う野心から生まれたものです。 プラ ネタリー・バウンダリーの概念は、 人類が今後何世代にもわたって発 展し繁栄し続けるために、私たち が超えてはならない9つの境界線 を示しています。 例えば南極の氷が

2030年の夏までに溶けてしまうこ とが予想されているように気候変 動、生物多様性、窒素循環など、 こ れらの重要な境界線はすでに近づ きつつあるか、越えてしまっていま す。 現実問題として、私たちがこれ らの限界に挑み続ければ、海面上 昇や気温上昇といった不可逆的な 環境変化を引き起こすリスクが高 まるのです。

過剰生産と過剰消費の問題を根本 から解決しない限り、中古品引き 取りシステムやレンタル、 その他の 新しいビジネスモデルは、絆創膏 でダムを塞ぐのと同じようなもので す。 ファッションの市場規模が2022 年の1,064億ドルから2023年には 1,229億ドルに拡大するという予測 によって、 ファッションをスローダウ ンさせる緊急性が高まっています。 買い物をすることで気候変動の危 機回避をすることはできないこと は明らかにもかかわらず、 ファッシ ョン業界は科学を無視し、利益を 優先させ、驚異的な成長を続けて いるのが現状です。 大手ブランドが グローバル・サプライチェーンの脱 炭素化に取り組んでいる一方で、気 候変動への影響を削減するために 不可欠な過剰生産・過剰消費に取 り組まなければ、炭素削減に意味 のある影響を与えることはできま せん。 タイムリミットが迫る中、産業 は減速し、規模を縮小する必要が ありますが、99%のブランドは新し い衣服の生産を削減するというコ

ミットメントを開示していません。

過剰生産と過剰消費の 問題を根本から解決しな い限り、中古品引き取り システムやレンタル、 その 他の新しいビジネスモデ ルは、絆創膏でダムを塞 ぐのと同じようなもの。

WRAPの最近の調査によると、 イギ リスの平均的な成人のワードローブ には118着の衣類があり、 そのうち4 分の1(26%-31着)が少なくとも1年 間は着用されていません。 つまり、 イ ギリス内だけで16億点の着用されて いない服がクローゼットの中にあり、 ある調査によれば、世界規模では今 後6世代分が着ることができる衣服 が既に存在していると見積もられて います。 ファッションビジネスは、単純 に大きくなりすぎたのです。 250ブラ ンド中、脱成長へのコミットメントを 公表しているのはArmaniとUnited Colors of Benettonの2ブランドの みであり、Armaniは「SKUの大幅な 削減」 (18ページ)、United Colors of Benettonは「生産量の増加と会 社の経済的パフォーマンスを切り離 すデカップリング」を約束していま す。 OR財団によれば、 このような取り 組みを大規模に行うとすれば、 これ は5年間で少なくとも40%の新品衣


サーキュラー・エコノ ミーへの公正な移行 を可能にするために、 労働者のスキルアップ を図る取り組みについ て情報を開示している ブランドはほとんどな い。

循環型ファッション経済への移行 は、気候危機の深刻化にともなう 経済的不平等の拡大と不安定さを 背景に進行しています。 ジャスト・ト ランジション・センターによれば、ジ ャスト・トランジションとは、低炭素 経済への移行において労働者とそ のコミュニティの未来と生活を保障 するものです。 それは、労働者とそ の労働組合、雇用者、政府間の社 会的な対話、地域社会や市民社会 との協議に基づきます。 公正な移行 に向けた計画は、地球温暖化や気 候変動政策の影響を受けるすべて の労働者に対し、 より良いディーセ ント・ジョブ、社会的保護、 より多く の訓練機会、 より大きな雇用保障 を提供し、保証するものです。 私た ちの調査によると、95%のブランド は、ジャスト・トランジションに向け てどのように従業員をスキルアップ させているかについての情報を開 1 気候危機、循環型社会、ジャスト・トラン ジションの交わる点についての詳細は、昨 年のインデックスに掲載された、労働者のス キルアッププラットフォームであるShimmy Technologiesのサラ・クラスレーとアシュレ ー・ニコルズの見解をご参照ください。

示していません。 私たちが求めてい る情報開示には、女性がソフト・ス キルや技術的コンピテンシーを身 につけ、管理職やその他のリーダ ー的役割を果たせるよう支援する ことで、女性の地位向上を図ること も含まれます。 Business of Social Responsibility(BSR)の2021年版 Keeping Workers in the Loopで も同様に、現在のスキルアップの取 り組みはバリューチェーン全体を通 して不足しており、将来の仕事に備 えるために必要なスキルの幅広い 範囲にわたってギャップがあること が明らかになりました。 Business of Social Responsibility(BSR) の2021年版「Keeping Workers in the Loop」 でも、 バリューチェー ン全体を通じて現在のスキルアッ プの取り組みが不足しており、将来 の仕事に備えるために必要なスキ ルの幅広い範囲にギャップがある ことが示されています。 ヨーロッパ と米国では回答者のうち40%が、 インドでは62%が職場におけるト レーニングを何も受けたことがあ りません。 これらのリスクと交差するよう に、BSRの調査では、 より循環的な システムで拡大する可能性の高い バリューチェーン分野(例えばリサ イクルや物流)に多く存在する、社 会から疎外され権利を奪われたグ ループが、 サーキュラーファッショ ンへの移行によって不均衡な影響

を受けることも明らかになりまし た。 これらの労働者は、 サーキュラ ーファッション経済への移行にお いて、彼らのニーズが中心となって 協議されない限り、低賃金、過度な 残業、 ハラスメントを特徴とする不 安定な雇用が永続する危険性が あります。 世界や各国の経済的要 因は、特にリスクの高いこのグルー プの状況をさらに複雑にしていま す。 例えば、世界最大の衣料品輸 出国のひとつであるバングラデシ ュは、2026年にLDC(後発開発途 上国)の地位を卒業する予定です が、 これは、輸出に対する関税と税 金が20~30%増加することを意味 し、57億3000万ドル相当の輸出が 失われると見積もられています。 こ れによる雇用喪失が予想されます。 労働者(主に低所得層の女性)は、 循環型ファッション産業でも職を得 られるようジャスト・トランジション の一環としてスキルアップを図らな い限り、職を失うリスクがあります。 同様に、大手ファッションブランドの 急速な栄枯盛衰は、 この業界の不 安定さを浮き彫りにしており、 ファ ッションブランドは私たちの服を作 る人々の生活を将来にわたって支 える必要があります。 ファッションブ ランドは、私たちの服を作る人々、 特にリスクのある労働者が取り残 されないように、 サプライチェーン で働く労働者のスキルアップに早

FASHION REVOLUTION

FASHION REVOLUTIONでは、脱成 長は複雑な概念であり、細心の注 意を払って行わなければ、世界的 に破滅的な結果をもたらす可能性 があると理解しています。 例えば、 脱成長を批判する人々は、計画性 がなく、無秩序で社会的に不安定 な不況に例えています。 ジャスト・ト ランジション (公正な移行)は、慎 重な検討、影響を受ける利害関係 者との協議、 そして共創された行 動計画なしには達成できません。 ここが重要な違いなのです。 現在、 価値は主に利益によって定義さ れ、人と地球は優先されていませ ん。 FASHION REVOLUTIONは、 フ ァッションが環境を保全し、回復さ せるようなファッション業界を構想 しており、 そこではファッションは売 上や利益以上のもので成功を測り ます。 従って、循環型経済への転換

は、既存の不透明で断片化された 複雑なサプライチェーンを、 ブラン ドが川下のサプライチェーンに責 任を持つ必要のある新たな活動( 例えば、消費者使用後の廃棄物を 回収し、分別し、新たな繊維原料に リサイクルする必要があるなど)へ と拡大することを含むことになり ます。1

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY

このような脱成長のストーリーは、 際限のない成長を推し進める業界 とはもちろん相容れないものです。 急成長もあれば崩壊もあり、突然 の経営破綻は、何の前触れもなく 起こります。 このような事態が発生 した場合は常に、株主が最初に支 払いを受けることになり、 サプライ ヤーや労働者への支払いは、もし 払われればのことですが、優先順 位はずっと後になります。 脱成長 は、 このような仕組みとは異なるも のです。 脱成長に関するいかなる議 論も、 この力の不均衡に取り組ま なければなりません。 そうすれば、 大手ファッション・ブランドは、なく てはならない存在である、服を実 際に作っている人々の声や懸念に

耳を傾け、彼らの声を中心に据える ことができるようになるでしょう。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

料品の削減をすることになります。

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY FASHION REVOLUTION 120

急に投資することが、道徳的にも経 (EPR)料が含まれ、EPR料は、繊 済的にも理にかなっているのです。 維の種類、仕上げ、構造に基づい て、再利用、 リサイクル、分解の経 拡大生産者責任は、 ステークホル 路に応じて調整されます。 これはエ ダーが廃棄物植民地主義の矢面 コモジュレーションとも呼ばれま に立たされないようにするために す。 EPR料金は、 インフラを構築し、 不可欠なものである。 循環に不可欠なコミュニティを支 援するために不可欠です。 OR財団 の 「ストップ・ウェイスト・コロニアリ ブランドは、汚染した環境を浄化す ズム・レポート」に加え、過剰生産の るためのコストと、 それらがもたら 問題を浮き彫りにするOR財団の一 す健康への悪影響に対して金銭的 連のビデオもぜひご覧ください。 責任を負わなければならなりませ 一部の大手ブランドや小売業者 ん。 その重要な第一歩として、大手 は、廃棄物に対する説明責任を果 ブランドが生産量や引き取られた たし、EPRの原則に従っています 中古品がどうなるかについて透明 が、驚異的な量の衣料品を生産し 性を確保しない限り、業界は責任 続ければ、廃棄物を減らすことに を回避し続けるでしょう。 私たちの そんな 調査結果では、 ブランドは私たちが はほとんどつながりません。 中、EUが 「持続可能で循環的な繊 期待する最低限のことを達成する 維製品のためのEU戦略」 の主要提 ことすら未だ難しいようです。 案のひとつである廃棄物枠組み指 令(WFD)の改正を通じてEPR制度 私たちは、エコデザイ を導入しようとしているのは心強い ことです。 WFDは、現在のように自 ンのレベルに応じて製 治体が費用を負担し、 ひいては市 品価格を調整するエ 民が負担するのではなく、使用済み コ・モジュレーションの 製品の管理に要する費用をブラン ドや小売業者に負担させるという 導入を提唱している。 ものです。 EPRは、生産者にエコデ ザインへのインセンティブを与える 実際の責任とはどのようなものか ことに失敗していると批判されてき というと、 ブランドが衣料品の廃棄 ましたが、私たちはここでエコデザ 物管理のコストを内部化することで インのレベル別に費用負担が決ま す。 これには、実際のコストと消費 るエコ・モジュレーションを提唱し 税の実績に沿った拡大生産者責任

ています。

全体として、大手ファッションブラン ドは、 サーキュラー・ソリューション や、消費を減速させるための新たな ビジネスモデルへの投資について、 より多くの情報を開示し続ける一 方、過剰生産と生産量の開示を拒 み続けています。 これは、問題に対 処することよりも、問題から利益を 得ることにコミットしていることを 示しています。 写真: CHANGING MARKETS FOUNDATION AND CLEAN UP KENYA


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

リサイクルでは過剰生産を解決できない

繊維部門上級政策役員 欧州環境局

欧州議会は最近、 EUの 「繊維戦略」 を採択した。 これは、 ヨーロッパに おける繊維消費が環境や社会に与 える影響を低減するための政策計 画で、 ファッションと衣料品に焦点 を当てている。 この取り組みは善意 から成るものだが、 浪費を抑止する というその重大な行動によって、 汚 染の最大の原因となっている商習 慣を止めることができるかどうかは 未だ不明である。

しかし、回収された繊維製品はどう なるのでしょうか。 寄付された衣類 はすべてヨーロッパで再利用され ていると想像されるかもしれませ んが、実際には、EUでは市場価値

さらに、2025年からヨーロッパでよ り多くの衣料品が回収されること で、世界の古着取引にますます多く の衣料品が流通することになりま す。 だからこそ、EPRの料金を通じ て集められた資金は、 ヨーロッパで の回収・選別活動に使われるだけ でなく、EUからの不要衣料品の輸 出を受け入れるグローバルサウス の地域社会に対する、公正な報酬 の援助にも活用されなければなり ません。

またその料金は、毎年生産される 衣料品の量を削減するために有意 義な影響を与えるよう、設定する必 要があります。 なぜなら、衣料品の 過剰生産こそが、気候や環境、社会 への影響の根本的な原因だからで す。 ブランドが最小限の料金を支払 って汚染を行うことを認めること はできません。 言い換えれば、政策 立案者はEPRの料金を 「エコ調整」

して、十分性、品質、公平性、透明 性に根ざした商慣行に対しては低 額な手数料とし、使い捨てファッシ ョンや搾取、不透明なサプライチェ ーンに基づく商慣行には高額な手 数料でペナルティを科すことができ るのです。

また、現在はわずか12%のブランド しか生産量を明らかにしていない ことから、 その開示をEPRの規則に 組み込み、企業が年間でどれほど の製品を市場に投入しているのか、 またどこで生産しているのか、 とい うデータの開示を義務化する良い 機会でもあります。 なぜなら、過剰生産という課題はリ サイクルでは解決できないからで す。 リサイクルにまつわる誇張され た環境訴求は、 ある事実を隠して います。 それは、増え続ける衣料品 を衣料品に戻すためのインフラや 技術は実際には存在しないという こと、 そして 「エコ」製品に使用され ているというリサイクル繊維は、環 境にほぼ貢献していないというこ とです。

生産量を削減する戦略の一環とし て、 サプライチェーンのあらゆる段 階で労働者に適切な報酬を与える こと。 そうすることによってはじめ て、 ファッションが地球に与えてい る負担を軽減することができるの です。

FASHION REVOLUTION

繊維製品の分別回収を義務付ける EUの新しい規則が2025年に施行 されると、地方自治体による使用済 み衣料品の回収がますます増える ことになります。 この回収に必要な 資金を調達するため、EUは、 いわゆ る拡大生産者責任(EPR)制度を通 じて、廃棄物となった製品の管理コ ストを補う料金をブランドが支払う という計画を進めています。

のない使用済み繊維製品が2020 年だけで140万トンも、ガーナやケ ニアなどの第三国に輸出され、環 境や経済、 そして人権に壊滅的な 影響を与えています。

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY

EMILY MACINTOSH

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

OVERCONSUMPTION, WASTE & CIRCULARITY FASHION REVOLUTION 122

これまで通りのビジネスは通用しない

JOSEPHINE PHILIPS

創業者、CEO SOJO

より多くの主要ファッションブラン ドがリペアサービスを提供するよ うになったのは素晴らしいことであ る。 2022年には20%だったのに対 して、 今年は26%のブランドがこう したサービスを提供している。 これ は、 このような行動に参加したいと いう消費者の願望が高まっている ことを示すだけでなく、 ブランドが 購入後の商品に対してより責任を 持ち、 より循環的な行動を促してい ることも表している。 この動きはファッション業界を正し い方向に向かわせるものである一 方、循環型への転換は廃棄時点だ けでなく、製品ライフサイクルのあ らゆる段階で必要であることに注 意しなければなりません。 例えば、 衣服の寿命やその終わりを念頭に 置いてデザインする場合には、素材 調達や製造方法、使用後のリサイク ルに対して異なるアプローチをと ることになります。 もうひとつの重 要な側面は、私たちが何をどのよう に買うかという物語を変えることで す。 結局のところ、同じ生産量を生 み出し続ける限り、繊維廃棄物の根

本原因である過剰生産と過剰消費 に対処することはできないのです。

テクノロジーを使って仕立てや修 理のプロセスを合理化すること で、SOJOはこうしたサービスを簡 単かつ利用しやすい方法で提供し ています。 オンラインで注文すると、 新たに調整したり修繕された衣服 が自宅に届くのです。 長期的には、 このサービスが消費者の行動を変 える、 つまり、自分の衣服を長く愛 用することで消費量の減少につな がることを望んでいます。

イギリスファッション協会の報告に よると、 オンラインショッピングで購 入した商品の約30%が返品されて おり、返品処理に起因するブランド の年間コストは70億ポンドに上る と推定されています。 顧客が返品す る主な要因としては、 サイズやフィ ット感が挙げられています (93%) 。 ほとんどのブランドは限定的で一 般的なサイズ展開としており、 それ に対応するため私たちのサービス では、顧客の体に合わせて服を独 自に仕立てられるようにしていま

す。 こうした方法で、衣服のケアとカ スタマイズは、衣服の寿命が終わっ たときだけでなく、 ライフサイクル 全体を通して行われます。 そして返 品と逆物流の影響を最小限に抑え ることで、廃棄物の削減につなげて いきます。

SOJOが注力しているこの2つの分 野が示すのは、 ビジネスを成長さ せることと、循環型ファッション産 業を支持することは矛盾しない、 と いうことです。 言い換えれば、地球 と人々にとってより良くあることは、 すなわち悪いビジネスではないと いうことです。 この業界の一員であ ることは非常にワクワクすることで すが、システムの変化を生み出すに は規模が重要です。 だからこそブラ ンドや投資家には、 こうした解決策 の支援のために賭け、 リスクを取っ てもらう必要があります。 究極的に は、 この変化の一部として加わるこ とは彼らにとってのインセンティブ でもあります。 なぜなら、 これまで 通りのビジネスの考え方は、人々や 地球、 そして利益にとっても、通用 しないことは明らかだからです。 122


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 SPOTLIGHT ISSUES

WATER & CHEMICALS 水と化学物質

FASHION REVOLUTION 123


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果 有害化学物質

水の使用

WATER & CHEMICALS FASHION REVOLUTION 124

30%

有害化学物質の使用を廃止 するための期限付きの公約/ ロードマップを開示している (ZDHCやブルーサインなどの 国際基準に対応)

3%

原材料レベルでの 年間のウォーター フットプリントを 公開している

21%

サプライチェーン・パートナーに おける有害化学物質の使用廃止 に向けた測定可能な進捗状況を 開示している(ブルーサインや エコテックスによるSTePなどを 通じて、ZDHC MRSLなどの 国際基準に対応)

24%

製造および/または 加工施設レ ベルでの 年間のウォーター フットプリントを 公開している

23%

水に関するリスク評価の

3%

繊維の製造および/ または原材料レベル での年間のウォーター フットプリントを 公開している

7%

サプライヤーの排水試験結果

32%

自社施設の年間の ウォーターフットプリント を公開している

実施プロセス開示している

を公表している


衣料品の生産が水不 足の地域に与える影響 は明らかであるにもか かわらず、大手ブランド や小売業者によるこの 分野の情報開示が非 常に少ないことは受け 入れ難い事態です。

有害な化学物質が衣 しないことにより、毒素が排出され るのを阻害するのです。 一方、天然 服に含まれている可 繊維であるにもかかわらず、綿花は 能性があるという研究 世界で最も農薬を使用する作物で 結果にもかかわらず、 す。さらに、天然繊維と合成繊維の 両方に対して行う化学的処理は、 サプライヤーの排水検 私たちの体内への有害物質の蓄積 査結果を開示している を助長します。 主要ブランドはわずか 合成繊維は皮膚から 7% ファッションの製造工程では8,000 種類以上の合成化学物質が使用さ れ、 それらが私たちが身につけるも のになります。 その中には、 フタル 酸エステルのようにホルモンを攪 乱するものもあれば、PFCやホルム アルデヒドのように発がん性物質 となるものもあります。 繊維製品の 製造では、 その全ての段階で化学 物質を使用します。 畑での農薬使用 に始まり、繊維の栽培、洗浄、輸送、 染色、仕上げ(帯電防止、防皺加工 など)、 さらには中古品の保管にま で至ります。 有害物質の影響は、衣 服を購入する消費者も含むサプラ イチェーン全体に及びます。 しかし それだけにとどまらず、繊維廃棄物 は環境や埋立地の周辺に住む人々 にまで悪影響を与えます。 合成繊維 は、人間の健康に悲惨な結果をも たらすとされています。 最大の臓器 ともいわれる皮膚から肝臓を通過

の毒素の排出を阻害 し、人間の健康に悲 惨な結果をもたらす ことで知られている

グリーンピース・ドイツの調査によ ると、EUの法律の抜け穴や施行不 足により、EUに輸入される繊維製 品に有害な化学物質が含まれてい る可能性があるということです。 そ の一方でそうした化学物質は、衣 料品が製造される国から使用され る国に至るまで、世界中の水質汚 染の原因となっています。

FASHION REVOLUTION

ファッション業界では水への依存 度が高く、 ファッションサプライチェ ーンにおいては水ストレス (人間や 生態系の真水への需要を満たす能 力、 またはその欠如と定義され、水 質、利用可能性、 アクセス可能性を 含む)に対処することが求められま す。 このことを考えると、 サプライチ ェーンの下層にいけばいくほど、湿 式加工や綿・麻といった繊維の栽培 を通じて甚大な影響が発生するに もかかわらず、 ブランドや小売業者 がウォーターフットプリントについて 情報を開示しないというのは懸念 すべきことです。 例えば、32%(昨年 と同値)のブランドが自社事業にお

けるウォーターフットプリントを公表 しているのに対して、製造レベルで のウォーターフットプリントを公表し ているのはわずか24%であり、原材 料レベルの繊維についての情報公 表はさらに少なくなっています (3% )。 さらに、 ファッション業界のほとん どが少数の大集団に集中しており、 こうした大集団の人々の多くが物 理的な水リスクに激しくさらされて いるという調査結果が出ています。 にもかかわらず、水に関わるリスク 評価の実施プロセスを開示してい るブランドはわずか23%しかありま せん。 衣料品生産が水の乏しい地 域に与える影響は明白であるにも かかわらず、 この分野において大手 ブランドや小売業者からの情報開 示度合いがこれほど低いことは受 け入れ難いことです。 事実、生命に とって不可欠な資源の使用に関す る透明性は最低限にとどまってい ます。 実際、最終的に捨てられてし まうまでにほんの数回しか着られ ないであろう服を作るために、人類 が水を得る権利が明らかにないが しろにされているのです。

WATER & CHEMICALS

水はファッション産業にとって極め て重要な資源であり、繊維を生産 する農場から、繊維の加工、染色、 製品の仕上げなどのサプライチェ ーン全体、 そして顧客が洗濯をする 最終段階まで、衣服のあらゆる段 階で水が使用されています。 ファッ ションは世界中の水質汚染の主要 な原因であり、水を最も大量に消 費する産業のひとつです。 衣料品の 主要生産地の多くは、重大な水リ スクにさらされており、水の利用可 能性、洪水、水質汚染、水規制と計 画とのギャップ、 といった問題が含 まれます。 衣料品産業がより多くの 衣料品を生産し続け、水への依存 度がますます高まる一方で、気候 危機の状況の中で水関連のリスク は増大する可能性が高く、産業へ の影響は避けられません。 例えば 世界銀行の最近の調査によると、 パキスタン、 インド、中国といった主 要なアパレル生産地域の成長は、

水関連の影響により2050年までに 最大6%低下すると予測されてい ます。 2050年までに、 アパレル・繊 維産業のサプライヤーの4社に3社 が、高い水質リスクに直面する可能 性があります。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ほとんどの衣服は水 に関するリスクが高い 地域で生産されてい るが、 これらのリスク を特定する方法を開 示している主要ブラン ド・小売業者はわずか 23%

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 WATER & CHEMICALS

EUでは禁止されているにもかかわ らず、 アゾ染料が衣服に含まれてい る可能性があります。 その理由は、 アゾ染料の合成(1つまたは複数の 化学反応を実施し、反応物または 出発物質を1つまたは複数の生成 物に変換することを目的とするプ ロセス)が公有のものとなり、中国 やインドなどアジアの一部の国で 使用され続けているためです。 これ に加えて、法による強制力も不足し ています。 大量の衣類がヨーロッパ に輸入されるため、全ての衣服を 確認することは不可能です。 これは 衣服の機械的な検査が行われてい ないことを表しており、 さらに国境 は完全に隙のないものではないこ とを示しています。

昨年、本調査では調査手法を 強化し、 ブルーサインやZDHCの 「Roadmap to Zero」 の基準に沿 って有害化学物質の使用を排除す ることを公約したブランドにのみポ イントを与えることとしました。

FASHION REVOLUTION 126

今年、有害化学物質排除の目標を 開示している大手ブランドや小売業 者は3分の1を下回りました(30%) 。 昨年(27%)からわずかな増加で あり、 また、 この目標に対する進捗 状況を開示している企業はさらに 少なくなっています (21%)。

BLUESIGN®

ブルーサイン®システムは、工場や製 造所における化学物質の安全な使 用と責任ある実践を促進し、採択し、 実施するために必要なツールを提供 しています。

ZDHC

「有害化学物質排出ゼロ」 (ZDHC) 運動。 ZDHCは、製造過程において特 定の有害化学物質の使用をやめ、 よ り安全なものに置き換える方法につ いて、企業に明確な指針を示すもの です。 このプログラムでは、何百もの ブランドが世界中に持つ何千もの工 場の排水テストについて分析し、有 害化学物質排出ゼロに向けた公約 の進捗状況を確認しています。

有害化学物質が、縫製労働者や地 域の生物多様性(一部の河川は生 物学的に死滅していると考えられ ています)、地域社会に影響を与え るとする調査結果があるにもかか わらず、多くの縫製生産国は有害化 学物質や廃水処理を管理するしっ かりとした基準を設けていません。 有害化学物質が人と地球に与える 世界的な影響を考えると、主要ブラ ンドや小売業者のわずか7%しか、 サプライヤーの排水検査結果を公 表していないことは懸念すべきこと です。 ブランド各社はサプライチェー ン全体を追跡すべきです。 それによ り、縫製労働者や地域社会、周辺の 自然環境に対して水質汚染が与え る、長期にわたる社会的・環境的影 響に対処しなければなりません。

出典:RIVERBLUEドキュメンタリー


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

衣服に含まれる有毒化学物質の 規制が必要だ

DR. AUDREY MILLET なぜ衣料品ブランドや小売業者は 透明性に欠けるのでしょうか?もし もそれらの企業が生産と製造の過 程で使用されるすべての化学物質 を公表すれば、 その評判は傷つくこ とでしょう。

1. 2. 3. 4. 5.

原材料の採取:栽培、収穫、 保存

繊維の生産:スチーム処理、製 織、漂白、染色、仕上げ

製造:裁断、縫製、仕上げ、 サイ ズ調整 輸送:梱包、保管 販売:梱包、保管

重要な制度ではありますが、 どの機 関においても、 ヨーロッパへ流入す る衣服の量をコントロールすること はできません。 さらに、人間が 「毎日 摂取する10万個のマイクロプラスチ ック」 や、 ファッションの製造工程で 使用される8000種類の合成化学 物質を検査することも不可能なの です。 2020年には、1,250億ユーロ に相当する870万トンの最終繊維 製品がEU加盟国に輸入され、数量 ベースで輸入全体の45%を衣料品 が占めました。

中古販売:グルーピング、保存、 自由競争に対して事実上反対する 輸送 人はいませんが、現在の状態のまま では、国同士の不公平な競争が続 Fashion Transparency Indexによ いてしまいます。 そうした国では、労 ると、製品の製造工程で使用され るすべての化学物質をリスト化した 働者が仕事中に中毒になり、労働 強 製造時制限物質リスト (MRSL)を開 組合の言論が抑圧されています。 い力を持つ世界貿易機関(WTO)に 示している主要ファッションブラン ドは、3分の1(35%)にすぎません。 比べると、世界保健機関(WHO)は 無力に思えます。 もしブランド各社が透明性を高め た場合には、鉛、水銀、 ヒ素、 カドミ 農業食品分野はさらに危険なよう ウム、 バリウム、酸化クロムの使用 です。私たちは靴下を食べることは を公に認めなければならないブラ ありませんが、毎日、危険な化学物 ンドもあるでしょう。 REACH規則は 質が含まれている、 あるいは危険な 6.

化学物質が体内に蓄積されること によって、継続的に私たちを毒する 可能性のある衣服を身に着けてい るのです。これはマイクロプラスチ ックについても当てはまることで、 私の調査では、 マイクロプラスチッ クは、胎児の胎盤や母乳の中にも 存在することがわかりました。 有害 化学物質を含む化学物質の使用に ついて、大手ファッションブランドが 透明性を高めることは、服を作る 人々と着る人々の安全を確保する ために極めて重要なことです。

FASHION REVOLUTION

私は、 ヨーロッパで販売されてい る衣料品に含まれる有害な生成物 の存在についてのレポートを作成 し、2023年1月30日にブリュッセル で発表しました。 結果には議論の余 地がありませんでした。 繊維産地で は、ガン (皮膚、肝臓、甲状腺など) や肺の疾患、子どもの自閉症、不妊 症が増加しています。 衣服にしつこ く残り続ける有害物質によって、中 毒作用はクローゼットの中でも続 きます。 そしてPFOAやPFOSの濃度 はいくつかの点でヨーロッパの基 準値を上回っています。 作り出され てから再利用されるまで、衣類のラ イフサイクル全体が関わっている のです。

毒性、発がん性、変異原性のある生 成物は以下に使用されています:

WATER & CHEMICALS

Marie Curie Research Fellow オスロ大学

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SPOTLIGHT ISSUES

気候変動と生物多様性 FASHION REVOLUTION

128

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY


気候変動と生物多様性 再生可能エネルギー

60%

自社のスコープ1、2、3の 排出に何が含まれるかを 開示している

12%

SBTiが承認した短期 および長期の目標を 公開している

64%

自社施設の年間 カーボンフットプリント を開示している

9%

脱炭素化のための年間 投資額を開示している

37%

原材料レベルでの カーボンフットプリント を開示している

34%

サプライチェーン全体 での脱炭素化への 公約を公開している

森林破壊と再生

12%

森林破壊ゼロへの 公約を公開している

12%

RE100に向けた公約を 開示している

16%

1つまたは複数の 原材料について、 リジェネラティブ農業 の実践の証拠を 示している

6%

生産に占める石炭燃料 の割合を開示している

FASHION REVOLUTION

9%

サプライチェーンに おける再生可能 エネルギー使用量の データを公開している

カーボンフットプリント

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY

47%

自社施設における 再生可能エネルギー 使用量のデータを 公開している

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

調査結果

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY FASHION REVOLUTION 130

気候危機は切迫した 問題であるにもかかわ らず、 脱炭素化目標を 掲げている大手ブラン ドや小売業者はわず か3分の1にすぎず、 サ プライチェーンにおけ る脱炭素化への投資 を支援する方法を開 示している企業はさら に少数(9%) 世界的な気温の上昇が続き、 カナ ダの大火災からパキスタンの大洪 水まで、自然災害の頻度や激しさも 増す中で、温室効果ガスの排出量 削減に向けた世界的な行動が欠如 していると、科学者は警鐘を鳴らし ています。 ファッション産業はその大 きな要因となっている産業であり、 世界の温室効果ガスの2〜8%を占 めると推定されています。 そして世 界中で私たちの服を作る人々は、多 くの場合、環境に害を及ぼしていな い国にいながら、環境への影響を 既に最も大きく感じているのです。

社会正義と気候正義は切っても切 れない関係にあります。 2022年、世 界有数の綿花生産国であるパキス タンでは、洪水によって作物の40% が失われたと推定されており、多く の工場が閉鎖されました。 これによ り、何百万人もの農家や衣料品労 働者が、大手ブランドや小売業者の 支援もなく、自力で生活していかな くてはならない状況におかれまし た。 この例は、次の事実をよく表し ています。 つまり、気候危機がいか に日常的に人々に影響を及ぼして いるかということ、 その一方で大手 ブランドや小売業者は、自社のため に衣服を作る人々へ気候危機がも たらす影響について責任を負って いないということです。 脱炭素化についての目標を掲げる 大手ブランドが増加する中、 カーボ ンニュートラルとネットゼロカーボ ンを区別することが重要です。 これ らの用語はしばしば混同して使用 されており、大きな混乱の元となっ ています。

カーボンニュートラルとネットゼ ロカーボンには、右表に示すよう に、Science-based Targetsイニシ アティブの定義に基づく重要な違い があります:

カーボンニュートラル

ネットゼロカーボン

範囲

カーボンニュートラルではス コープ1、2を対象とする最低 限の要件があり、 スコープ3 は推奨の範囲。

ネットゼロの範囲には、組織 のグローバルなスコープ1、2 、3が含まれる。

野心度

企業に対して、 カーボンニュ ートラルを達成するために 特定の軌道に沿って排出量 を削減するように要求して いない。

ネットゼロを達成するため に、組織はスコープ1、2、3を 通じて、1.5°C目標に向けて 排出量を削減しなければな らない。

限界

カーボンニュートラルを達成 するために、 組織は炭素の 削減、 効率化、 吸収のいずれ かをもたらすカーボンオフセ ットを購入しなければなら ない。

ネットゼロは、組織のバリュ ーチェーン全体に対する責 任を果たして初めて達成し たとみなされる。

目的

カーボンニュートラルを達成す るために、組織は炭素の削減、 効率化、吸収のいずれかをも たらすカーボンオフセットを購 入しなければならない。

ネットゼロカーボンへの公約 とは、排出される量と地球の 大気から取り除かれる排出 とのバランスをとることを目 標に、温室効果ガスの排出量 を削減することである。 企業はネットゼロカーボンを 達成するために、二酸化炭素 の排出量を削減すると同時 に、大気から二酸化炭素を除 去する取り組みに投資する 必要がある。


ファッション業界は自社事業だけ でなく、自社事業とサプライチェー ン全体で、認証を受けたカーボンネ ットゼロ戦略を実行しなければな りません。 環境への影響の大部分

34%のブランドが、自 社事業とサプライチ ェーンを対象とした 脱炭素化目標を公開 し、Science Based Targetsイニシアティブ の認証を受けています 温室効果ガスプロトコルによれば、 スコープ3はさまざまなカテゴリー に分類されます。 購入した商品やサ ービスには、原材料の生産から繊 維の加工、衣服の製造の工程で発 生する全ての排出が関わっていま す。 ブランドが、自社で製造する衣 服のカーボンフットプリントをサプ ライチェーン全体に渡って考慮して いるかを調査することを目的に、企 業のスコープ1、2、3に何が含まれ ているかを把握するための指標を 使用しました。 60%のブランドがこ の情報について公開しており、脱炭 素に関する企業の主張をより詳細 に検証することが可能になってい ます。 特にスコープ1および2のみを

対象としている場合や、購入した商 品やサービスがスコープに含まれ ていない場合に詳しい検証が可能 であり、 こうしたケースでは結局、企 業が環境にもたらす最大の影響に ついて説明責任を果たせていない ことになります。 また、 昨年の開示率 (52%) よりも上昇しているのは喜 ばしいことです。

出量を削減するのではなく、企業全 体での温室効果ガス排出を削減す ることが求められるのです。 原単位 に基づいて排出削減を行うだけで は、 ブランド全体としての排出量が 増加する可能性があります (毎年の 排出量の増加が、売上高の増加よ り少ない場合)。

加えて主要ブランドや小売業者は、 原単位削減ではなく、絶対量での 温室効果ガス排出削減に重点を置 くべきです。 つまり、売上高ごとの排

PHOTO

FASHION REVOLUTION

Science Based Targetsは、 スコー プ1および2(自社事業)、 またはス コープ1、2および3(自社事業とサプ ライチェーン)を対象としています。 今回の調査では、34%のブランド が、自社事業とサプライチェーンを 対象としてScience Based Targets イニシアティブ (スコープ1、2およ び3) で検証された脱炭素目標を公 開しています。 今年はブランドの脱 炭素化計画について知るために新 しい指標を追加し、 どのブランドが 短期および長期のScience Based Targetsを公表しているかを追跡し ましたが、 この情報について開示し ているブランドはわずか12%でし た。 このことは、脱炭素化に向けて ファッション業界が短期的な視点し か持っていないということをよく表 しています。

はサプライチェーンで発生している ことから、 サプライチェーンも含む 戦略を実行することで、大手ブラン ドや小売業者による誤解を招くよう な主張を防ぐことに繋がります。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

2015年のパリ協定では、各国政府 は世界の気温上昇を2°Cより十分 低く抑えること、 そして1.5°C以内に 抑えるように努力するという目標を 掲げました。 企業はこの目標を達成 するために重要な役割を担ってい ます。 Science Based Targetsでは、 企業がパリ協定に沿って温室効果 ガス (GHG)を削減するための明確 な道筋を示しています。

出典: ALEXANDER TSANG ON UNSPLASH

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

SF6 HFCs

CH4

CO2e CO2

PFCs

N20 NF3

リース資産

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY

販売した 製品の加工

購入した製品・ サービス

企業の設備

事業活動で 発生する 廃棄物

出張

フランチャイズ

販売した 製品の廃棄

燃料および エネルギー 関連活動

輸送

雇用者の通勤

FASHION REVOLUTION 132

リース資産

自社での使用 のために購入し た電気、蒸気、 冷暖房

企業の車両

$ 販売した 製品の使用

輸送・配送

投資

下流

製品の使用と使用後の影響

報告対象企業

スコープ1排出

(事業者自らによる直接排出)

スコープ2排出

(購入したエネルギーの使用に伴う間接排出)

資本財

上流

生産による間接排出

スコープ3排出

CO2e CO2 CH4 N20 HFCs PFCs SF6 NF3

(製品の使用による排出)

二酸化炭素換算 二酸化炭素 メタン 一酸化二窒素 ハイドロフルオロカーボン類 パーフルオロカーボン類 六フッ化硫黄 三フッ化窒素


RE100に参加しているブランド

ブランドはそのコスト をサプライヤーに転 嫁するのではなく、サ プライチェーンの脱炭 素化のために共同出 資をするべきである

Asics

脱石炭には多大なコストがかかり、 しかし、昨年(13%)と比較してより 利益率の低い工場にとっては法外 多くのブランド (22%)が、環境への な金額かもしれません。 ブランドは 影響やリスクを財務コストと照らし そのコストをサプライヤーに転嫁す 合わせて評価する方法を開示して るのではなく、 サプライチェーンの いるのは喜ばしいことです。 この手 脱炭素化のために共同出資をすべ 法により、企業とそのパートナーが きです。 こうしたことから今年は初 サプライチェーン全体で環境リス めて、脱炭素化に向けた投資に関 クを軽減するための具体的な方法 する新たな指標を追加し、 サプライ が示されるのです。 例えば、Kering ヤーのグリーンへの移行を積極的 グループ(Balenciaga, Bottega に支援するために、 ブランドがどの Veneta, Gucci, Saint Laurent) ような行動をとっているかを把握す の環境損益計算会計ツールを用 ることとしました。 脱炭素化への投 いることで、企業の事業とサプライ 資に関して開示している主要ファッ チェーンにおける環境フットプリン ションブランドはわずか9%でした。 トのデータを計測し、 このデータを こうした投資には、研究開発への 金銭的価値に置き換えることが可 投資、 サプライヤーがグリーンへの 能です。 移行を行うために必要な費用を賄 うための資金調達支援、 サステナビ リティに関する融資、 そして再生可

American Eagle

Balenciaga Bestseller (Vero Moda, Jack & Jones)

New Balance Nike Ralph Lauren Saint Laurent

Big W

Target Corporation

Bottega Venetta

Tesco

Burberry

The North Face

Calvin Klein

Timberland

Chanel

Tommy Hilfiger

Decathlon

Under Armour

Gucci

Vans

H&M

Versace

Ito-Yokado

Walmart

JD Sports

Woolworth’s South Africa

Michael Kors

Zalando

FASHION REVOLUTION

今年は初めての試みとして、RE100 に参加しているブランドの数を調査 する指標をもうけました。 これは、 再生可能電力100%に取り組む企 業を集めた、再生可能エネルギー に関する国際的なイニシアティブで す。 FTIに含まれる31のブランドが

能エネルギーやリジェネラティブ農 業への投資といったサプライチェー ン内での取り組みが含まれます。

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY

気候危機の緩和を目指すにあたっ ては、石炭からよりクリーンなエネ ルギーへの全面的な転換が急務で す。 本調査では今年、主要ブランド の石炭への依存度を把握するため の新しい指標を追加しました。 にも かかわらず、 サプライチェーンにお ける石炭使用の割合や、化石燃料 に依存している地域を開示してい るブランドはほとんどありませんで した(6%)。 サプライチェーンにおけ る化石燃料への依存を可視化する ことは、 ブランドが適切な行動を取 り、 サプライヤーのグリーンへの移 行を支援するために極めて重要な ことです。 また、風力や太陽光といっ た高品質の再生可能エネルギーの 利用可能性を高めるよう、 ブランド が調達先の国の政府に対して求め ることにもつながります。

RE100に参加しており、Burberryの ように2022年までに事業全体の電 力を100%再生可能資源で賄うこ とを約束しているブランドもありま した。 その一方で大半の企業は、自 社製品の製造工場ではなく、例えば 店舗やオフィスなど、自社の事業の みに焦点を当てていました。 ブラン ド各社によるクリーンエネルギーへ の移行が、生産による全ての影響に 対する真摯な対応となり、空々しい 主張で終わらないようにするため に、自社の公約や行動の中にサプラ イチェーンでの生産を含めて考える ことが求められます。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

気候危機が深刻さを 増す一方で、 94%のブ ランドは衣料品の製 造に使用している燃料 を開示していない

133


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

サプライチェーン全体でのカーボンフットプリント とエネルギーフットプリント 温室効果ガス排出量(GHG)に関 する正確なデータを収集すること は、 ブランドや小売業者が排出量を 削減し、脱炭素化目標を達成する ために極めて重要である。 ほとんどの環境影響が加工と原材 料レベルで発生する中で、43%の ブランドが加工レベルのカーボン フットプリントを公開し (昨年は34 %)、37%が原材料レベルで公開し ている (昨年は22%) ことは心強い ことです。

FASHION REVOLUTION 134

一方、大手ブランドや小売業者の 64%が、自社の事業や設備に関す るカーボンフットプリントを公表し ています。 温室効果ガスの排出に ついての開示が全体的に増加して いる理由としては、投資家や政府 といったステークホルダーからブラ ンドに対して、 データを把握して環 境への影響を軽減するよう働きか けが高まっていることが考えられま す。 大手ブランドは、原材料レベル にまでさかのぼってサプライチェー ンの炭素排出量について調べなけ れば、自社が気候変動に与える影 響について正確に把握することは できません。 さらに、 そうしなけれ ば、排出量を削減する責任をブラン ドに対して明確に求めることもで きないのです。

再生可能エネルギーについても、 こ れと同様の傾向が見られます。 自 社が直接行う事業について再生可 能エネルギーの使用を公開してい るブランドは47%である一方で、 サ プライチェーンにおける再生可能 エネルギーのデータを公開してい るのはわずか9%です。 今年の調査 では、 サプライチェーン全体におけ る絶対的なエネルギー削減量に関 する算出方法を変更しましたが、 こ の指標についてポイントを獲得し たブランドはありませんでした。 ブ ランドは、加工や原材料レベルでの エネルギー使用(カーボンフットプ リントとは異なることに注意)につ いて情報を公開せず、責任を果たし ていません。 そのためどのブランド も、自社の絶対的なエネルギー削 減を主張することはできないので す。 こうした状況の原因は、 サプラ イチェーンをさかのぼって炭素やエ ネルギーに関するデータを把握す ることの難しさにあると考えられま す。 サプライヤーは複数のブランド と同時に取引をしており、個々のブ ランドについてのデータを収集する インフラが整備されていないため、 ブランドは推定値に大きく依存せ ざるを得ない状態にあります。 しか し、施設ごとのエネルギー消費につ いての情報を開示しているブランド も存在します。

出典: MERRIT THOMAS ON UNSPLASH


理由に、協定からの離脱を決定し ているブランドもあります。

最後に、 リジェネラティブ農業のト ピックは、世界のファッション業界 の持続可能性を主張する人々の間 でますます注目を浴びています。 リ ジェネラティブ農業は、次のように 定義することができます。 つまり、 「 生物多様性を高め、土壌を豊かに し、流域環境を改善し、生態系サー ビスを向上させる農法および実践 のシステム」なのです。 中には、原 材料の調達にあたって森林農業や 農業生態学という道を切り開こう としているブランドさえあります。 ほ とんどのファッションブランドが原 材料の調達を農業に依存している のは当然のことですが、 主要ブラン 森林破壊ゼロの公約を公表してい ドのうちわずか16%のみが、 少なく るブランドの半数が、 ファッション協 とも1つの原材料の調達先につい 定(Fashion Pact)に署名している のは注目すべきことです。 ファッショ てリジェネラティブ農業を実践して いることを示しています。 気候危機 ン協定とは、 ファッションおよび繊 の緊急性が高まる中で、 大手ブラ 維業界の企業が参加する世界的な ンドや小売業者に至急求められて イニシアティブであり、地球温暖化 いるのは、 サプライチェーン内の農 の抑止、生物多様性の保全、海洋 家の支援へ移行すること、 そして、 の保護という3つの主要な環境目 気候危機が原材料の生産コストや 標の共通課題に取り組むものです。 サプライチェーンの地域社会の生 ファッション協定の目標のひとつ 活に与える影響について再考する は、2025年までに森林伐採をゼロ ことです。 アグロフォレストリーやア にし、持続可能な森林管理を支援 グロエコロジーについての詳しい することです。 ファッション協定の目 情報は、P138のViewpointをご覧 標の進捗状況は今後注視していく ください。 必要がありますが、参加ブランドの 中には、 その行動レベルの低さを

FASHION REVOLUTION

ファッション業界が世界の森林破 壊に悪影響を与えていることを考

気候危機の緊急性が高 まる中で、大手ブランド や小売業者に至急求め られているのは、サプラ イチェーン内の農家の 支援へ移行すること、 そ して、気候危機が原材料 の生産コストやサプライ チェーンの地域社会の 生活に与える影響につ いて再考することです。

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY

コットン、 ビスコース、 レザーなど、 衣料品に使用される素材は森林 破壊と深い関係にあります。 例えば 世界第2位の綿花輸出国であるブ ラジルでは、現在記録的な森林破 壊に直面しています。 2022年には 20,000km2以上の森林が伐採さ れ、2021年から22%増加していま す。 ブラジルで最も綿花農場が集中 している地域であるセラードは、50 年に渡って領土紛争と森林伐採に 苦しみ、過去10年間で5万平方キロ メートルの原生植生を失いました。 さらにブラジルの家畜産業は、牛肉 とレザーを調達するためにアマゾ ン熱帯雨林の森林伐採を促進して います。 調査によると、何百ものブラ ンドがブラジルのレザー輸出業者 とサプライチェーンでつながってお り、 その中には森林伐採に関する明 確な方針を掲げているブランドもあ るといいます。

えると、森林破壊に関する目標の透 明性が欠如していることは、憂慮す べきことです。 森林破壊ゼロに向け た期限付きかつ測定可能な公約を 公開しているブランドは今年はわ ずか12%であり、昨年より3%減少 しています。 また、森林破壊ゼロの 達成に向けた測定可能な進捗状況 を公開しているブランドは、わずか 7%でした。 ブランドの中には、 ビス コースやモダール、 レーヨンといっ た人工セルロース繊維についての み進捗情報を公開している企業が あることがわかりました。 この分野 における世界的なブランドの透明 性の欠如が映し出すのは、 この分 野におけるブラジルの地元ファッシ ョンブランドの怠慢です。 Fashion Transparency Index Brazil 2022によれば、森林破壊ゼロへの 期限付きの公約を発表したブラン ドはありませんでした。 気候危機を 緩和するためには、森林の喪失や 破壊に対処していくことが不可欠で す。 だからこそブランド各社は、生産 の過程で森林を絶対に脅かさない ことが急務なのです。 この問題に関 して適切で包括的な透明性が欠如 しているために、私たちは衣料品に かかる本当の環境コストについて 知らないままであり、森林という重 要な生態系を破壊した責任を大手 ブランドに対して問うことができず にいます。

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

生物多様性の喪失が 加速しているにもかか わらず、 森林伐採ゼロ を約束した大手ブラン ドや小売業者はほぼ 存在しない

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY FASHION REVOLUTION 136

私たちには変革への意志があり、その準備もできている。 しかし、 サステナブルな経済と環境の未来のために必要な投資とは何だろうか?

ALIA LODHI Director Inter Market Knit有限責任会社取締役

Lahore, Pakistan

私たちはこれまで、 パートナーブラ ンドが私たちを前へと引っ張り、導 いてくれると考えてきました。 長い 間、私たちの責任はブランドのサプ ライヤー行動規範や国連の 「ビジネ スと人権に関する指導原則」に真 摯に従うことであり、 これらはすべ てのステークホルダーにとって最善 の利益につながるものであると強 く信じてきました。 これらのガイドラ インは、 グローバルな視点を持つさ まざまな機関によって策定されまし た。 そして、生産システムの開発か ら持続可能な賃金の支払い、安全 衛生、社会的責任に至る全てを包 含しています。 こうしたシステムのそ れぞれが、私たちのビジネスの利益 にどのような影響を与えるかを計 測してきました。 この方法は大変有 効なものでしたが、新たな責任の定 義、 つまりグリーンへの移行を実現 するためには、 パラダイムシフトを 起こす必要があります。 さらに言え ば、 ビジネスという存在の定義自体 を新たにする必要さえあるかもし れないのです。

小規模の製造業者は、グ リーン・トランジションに 当たって市場主導の価 格に直面し課題を抱え ているが、 こうした課題 について、 パートナー企 業が深く理解してくれる ことを強く願っている。 SDGsによって、現在の世界観に疑 問を投げかける土台が作られ、近 い将来、 グリーン・トランジションに 効果をもたらし得る新たな法律へ の扉が開かれました。 特にヨーロッ パでは、 グローバル・サウスの現場 における現実を理解しようとするブ ランドが増えています。 最初のサク セスストーリーは、 グローバル・サ ウスの小さな製造業者がいかにし て変革のきっかけを作ったか、 とい うものになるでしょうか。 多くの資 源を持つ企業がグリーンへの移行 を実現可能で魅力的なものにする ためには、 どうすれば良いのでしょ

うか。 世界最大のファッションブラン ドや小売業者は、繊維業界の製造 業者がグリーンへの移行において 積極的でより効果的な役割を果た すようにするために、 どのように行 動すれば良いのでしょうか。 私たち には変革への意志があり、 その準 備もできていますが、 サステナブル な経済と環境の未来のために必要 な投資とは一体何でしょうか。 今年 のFashion Transparency Indexで は初めての質問が設けられており、 脱炭素化への年間投資額を開示し ているか、 グリーン・トランジション にかかるコストの資金が含まれて いるかを調査しています。 Fashion Revolutionの調査では、91%のブ ランドがこの情報を開示しておら ず、企業にとってグリーン・トランジ ションに資金をかけることは優先 事項ではないことがわかります。 し かし、 さらなる持続可能性を実現す るために私たちはそれを期待して います。 責任範囲は拡大し、 コンプライアン スの範囲をはるかに超えるように なりました。 私たちはより強力で長

期的なパートナーシップを育み、完 全な透明性を促進したいと考えて います。 私たちのような小規模の製 造業者は、 グリーンへの移行にあ たって市場主導の価格に直面して 課題を抱えていますが、 こうした課 題について、 パートナー企業が深く 理解してくれることを強く願ってい ます。 私たちのビジネスでは、次の ような気づきを与えられるよう努力 しています。 つまり、将来の世代に より良い世界を残すためには、 こう した変革に向けたステップがある 場合とない場合において、自分達 の行動がもたらす影響をはっきり と理解する必要があるということで す。 投資を行い、変革を成功させる 責任を持つことは、 ブランドとサプ ライヤー双方が負うべき行動であ ると信じています。 一方で、私たち 自身のような小さな製造業者は、 自分達の努力を見せることで、将来 的にブランドからの投資を得ること につながります。 このように取り組 みを見せることはお互いにとって 有益であり、繊維業界の未来を再 定義することにつながります。


脱炭素化に向けて、誠意と説明責任、そして行動が求められている

Action Speaks Louder

Apparel Impact Instituteによる と、 ファッションブランドが責任を負 うべき温室効果ガス排出の大部分 はサプライチェーンで発生してお り、特に素材の生産と加工の工程 に集中しているといいます。 今年の インデックスでは、 いくつかのブラン ドがRE100を通じて自社事業にお ける再生可能エネルギーに取り組 んでおり、期待が高まる点ではあり ます。 しかし製造のレベルで、風力 発電や太陽光発電を現地で建設ま たは追加調達する行動を起こさな ければ、 ファッション業界は気候変 動目標を達成できません。

消費の絶対削減量を開示して いるブランドは、ひとつもあり ません。 それでは、公約はもは や重要ではないのでしょうか。 もちろん目標を掲げるだけで は十分ではありません。必要 なのは、目標達成に向けた行 動の透明性と、誤った持続可 能性の主張に説明責任を求め るしっかりとした仕組みです。

本インデックスで検討されている多 くの問題と同様、脱炭素化への挑 戦の根底には、 バイヤーとサプライ ヤーの間に存在する力の不均衡と いう根深い欠陥があります。 気候変 動に関する目標はインパクトレポ ートに載せるだけで、農場や工場、 製造所に事態を収集させる、 とい う対応では不十分です。 そうではな く、脱炭素戦略を成功させるため には、 サプライヤーが最も効果的 なソリューションに投資できるよう な資金調達や技術支援、政策手段

を提供する必要があります。 Asia Garment Hubではこのアプローチ を、 「サプライヤー主導、 ブランド支 援」 と呼んでいます。

気候変動に関する目標は インパクトレポートに載せ るだけで、農場や工場、製 造所に事態を収集させる、 という対応では不十分です 再生可能エネルギー100%への道 のりは100%明確ではないと各ブ ランドは主張します。 しかし、 それは 真実ではありません。 大手ファッシ ョン企業がその購買力を発揮し、 進捗状況について透明性を確保す ることを約束すれば、 クリーンテク ノロジーはすべて商業的に利用可 能なのです。 そうした行動をとって いないにもかかわらず、気候変動 に関する認証を得ていると主張し 続けるブランドは、顧客や幅広い市 民社会からの信頼を失うでしょう。

FASHION REVOLUTION

Action Speaks Louderでは、 この 行動と発言の差を埋めるために、 企業のグリーンウォッシュによって 苦しめられているコミュニティを結 集し、動かしています。 多くの場合ブ ランドのサステナビリティ・チーム は、自社の気候変動目標を達成す るために何が必要かという現実に 目を向けていません。 求められてい るのは、 サプライチェーンに動力を 共有するエネルギーシステムを抜 本的に改革することです。 この流れ を変えるためには、

クリーンで再生可能なエネルギーの サプライチェーンにおけるエネルギ 建設と調達についての大胆かつ公的 ーミックスを開示しているブランド な取り組みが求められています。 は驚くほど少なく、再生可能エネル ギーの調達状況や、自社のスコープ 複数のステークホルダーによ 3排出に含まれる要素についてさえ るイニシアティブやサミット、協 も、開示しているブランドはほぼあ りません。 これにより、企業の気候 定、憲章に関するメディアの注 変動への取り組みや持続可能性に 目は高まっているにもかかわ 関する主張の実現可能性を検証す ることができません。 この危険なほ らず、 ファッション業界の二酸 どの透明性の欠如は、 バイオマス燃 化炭素排出量は増加の一途を 焼やカーボンオフセット、 グリーン たどっています。 その一方で、本 電力証書といった抜け穴や誤った インデックスの中でエネルギー 解決策をゆるし、これまで通りの排 出が続いてしまうのです。

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY

RUTH MACGILP

ファッションキャンペーンマネージャー

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY FASHION REVOLUTION 138

ファッションの共犯性に目を向け、ポジティブな変化 のきっかけとしてサプライチェーンを変革する

BETO BINA

共同創業者 Farfarm

ファッション業界は、 農業や牛の畜 産業、 林業で行われている環境破 壊に加担している。 説明しましょう。 企業が環境に与え る影響の大部分は、 サプライチェー ンからもたらされます。 より正確に は、 (上流および下流への)間接的 な影響は、直接的な影響の11.4倍 であると、CDPは発表しています。 コ ットンを使用しているファッションブ ランドが、繊維の栽培つまり農業に 最も大きな影響を及ぼしているの であれば、 それは農業の一部とみ なされるべきです。 皮革は牛の畜産 業の一部であり、 ビスコースは林業 の一部であり、他にも同じことが言 えます。 しかし、企業はこうした影響 を、外部のものであり重要性は低い と見なすことが多く、 したがって投 資も少なくなっています。

に、 リジェネラティブ農業の実践に ついて公開している大手ファッショ ンブランドは16%であり、昨年から わずか2%しか上昇していません。 しかし、企業がリジェネラティブ農 業に投資をしたとしても、 それは最 終的な解決策にはならないでしょ う。 今この分野では、ものすごい早 さで新しい言葉が生まれ、廃れてい っているのです。 「リジェネラティブ」 という言葉は、 コモディティ化や脆 弱な認証制度により、 その意味を失 い、重要度の低いラベルに格下げ されつつあります。 さらに悪いこと にブラジルでは、遺伝子組み換え作 物や化学薬品を使用し、単一栽培 を行い、違法な森林伐採に関与し ている企業が、 「リジェネラティブ」 として認証されようとしています。 私は、 この地域で従来行われてきた 綿花プランテーションがどのような ものかを撮影しました。

ブラジルが責任ある原材 本インデックスによれば、 「ジャスト・ 私の夢は、 料の世界的な供給国になることで トランジション (公正な移行)」に向 す。 反対に私にとっての悪夢は、無 けてスキルアップの機会を設けた 責任な大規模農家が、小さな有機 り、 サプライチェーンに投資する取 農家やその社会運動に悪影響を及 り組みを開示しているファッション ぼすのを目撃することです。 私は、 ブランドは、わずか5%でした。 さら

小さな農家を代表し、彼らの声を代 弁するために記事を書いています。 本当にリジェネラティブな農家は、 「 リジェネラティブ」 というラベルを自 分達に貼ることを避けています。 ブ ラジルにおいてそうした農家が実 践しているのはアグロエコロジー であり、 それは、人間と自然を一つ にし、景観を再生し、不平等と闘い、 男女平等を推進する動きです。 こうしたことを念頭においた上で 強調すべきなのは、本インデックス が250の大手グローバルファッショ ンブランドを対象にしているという こと、 そしてそうした企業は緊急の 変化を起こすリソースを持っている ということです。 サプライチェーンへ の投資がなされていないという事 実は、明確な根本原因、 つまりビジ ネスとの戦略的な連携が不足して いるということの現れです。 サステ ナブルマテリアルを使用するための 戦略やロードマップ、目標を掲げて いるブランドは、わずか51%です。 責任ある原材料に関する年間の進 捗報告を公開している企業はわず か42%、 そして森林破壊ゼロの達

成に向けて前進している企業はわ ずか7%にすぎません。

大企業の93%が森林破壊ゼロへ の前進を示しておらず、森林破壊を 行う農家が 「リジェネラティブ」 であ ると認証されている状況は、もうひ とつの悪夢のように思えます。 しか し、希望を失うわけにはいきませ ん。 私の夢が実現しようとする兆し も見えています。 ファッションブラン ドがアグロエコロジーを支援し、小 規模農家の地位向上を支え、農業 への取り組みにリソースを当てて いる状況を、 まさに目撃しているの です。 このレポートを読んでいるあ なたも、同じような夢を抱いている かもしれません。 透明性が高くきち んと測定することができ、美しいサ プライチェーンの重要性を認め、 そ れがビジネスの戦略的要素だと考 えているのではないでしょうか。 私 たち皆が世界に対して共通に抱い ている夢を実現するために、 ファッ ションは味方になってくれるという 希望を、私はまだ捨てていません。


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

VIEWPOINT

レポートや目標を掲げるだけでなく、 行動を加速させよう

2030年への道半ばに差し掛かり、 スコープ3についての詳細な開示 や、 短期・長期目標の設定、 それら に対する進捗状況の公開が増加し たことは歓迎すべきことです。 しか し、 こうした指標を報告しているブ ランドは未だ業界内の半分以下で あり、 2030年までの1.5℃目標達 成に必要な数を大きく下回ってい ます。 2025年までにフットプリント と目標を100%達成しなければな りません。

このような進歩を喜ばしく思う一方 で、 まだまだ関心が足りない分野を

重要なステップは、国や施設固有の 状況を考慮しながら、熱エネルギー と電力のための利用可能な代替エ ネルギー源について、共通の理解を 確立することにあります。 財政的・ 技術的な観点から、 すべての代替 案が、等しく実現可能であるとは限 りません。互いの協力や知識の交 換を促進することにより、環境への 影響と実行性とのバランスを取っ

た最適なエネルギーソリューション を見つけ出すことができます。

もうひとつの重要な要素は、衣料品 生産国における政策枠組みの進歩 です。 例えばバングラデシュでは、期 待のもてる取り組みが見られます。 再生可能エネルギーの導入を促進 する規則を策定するために、 ブラン ドが政策立案者と積極的に協力し ているのです。このような取り組み を他の国でも行うことで、施設レベ ルでの導入を加速させ、企業間の 電力購入契約など新たな道を探る ことも可能になります。 目標に対する各ブランドの取り組み は、 グリーン投資の透明性の度合い によって評価することができます。 現状では9%未満の開示にとどまっ ていますが、2025年までにはこの 指標が劇的に上昇していることを 期待します。 目標を掲げる際には、 関連コストの概要を示した確固た るネットゼロへの移行計画を伴う 必要があります。 排出量半減まで残 り6年半しかない今、私たちは行動

を起こし、必要な資本を確保しなけ ればなりません。

FASHION REVOLUTION

改善した指標のうち最も喜ばしい もののひとつは、環境リスクと影響 に関して財務諸表に関連づいた報 告が増加した点です:2022年の13 %から22%に増加しています。 この ことが示すのは、事業の存続可能 性と、 ネットゼロに適合する必要性 との関係を、 より多くのブランドが 理解しているということです。 こうし た理解により、脱炭素化への取り組 みは促進されます。

認識することも重要です。 石炭を燃 料とする生産の割合を開示してい るブランドはごく一部(6%) であり、 サプライチェーンの再生可能エネ ルギーについて報告しているのは わずか9%です。 脱石炭と再生可能 エネルギーの可能性を十分に活用 するために、 ブランドは試験事業の 枠を超えて、大規模な実行に踏み 切らなければなりません。 そのため に求められるのは、 サプライヤーの エネルギー源を特定し、具体的な 目標を設定し、 それを達成するため の包括的な計画を策定することで す。 さらに、私たちは業界として団結 し、共通の課題に取り組まなけれ ばなりません。

CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY

PAULINE OP DE BEECK

環境ポートフォリオリーダー Apparel Impact Institute

139


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 CLIMATE CHANGE & BIODIVERSITY FASHION REVOLUTION 140

「Fashion Transparency Indexでは、次のような事実が示されています。世 界の大手ファッションブランドの内、期限付きで測定可能かつスコープ3を対 象とした脱炭素化目標を開示しているのは、3分の1をわずかに上回る (34% )だけである一方、 これらの目標の達成状況を公開しているのはたったの32 %のみです。透明性は織物産業の進展のために大変重要であり、 とりわけパ キスタンのような新興国では、投資家やバイヤーにとって信用が大きな意味 を持つことから、透明性がさらに求められます。私たちは、ネットゼロパキスタ ン(Pakistan Environment Trustによるイニシアティブ)のもと、信頼できる 炭素排出量の測定と開示を優先することで、透明性を確立し、信頼の欠如に 対処しています。 こうした行動により、貴重なデータの獲得につながる可能性 があります。 それらのデータは、製造国の政府が脱炭素化に向けて必要な政 策変更を特定し、実行するために不可欠なものです。さらに、一貫性と透明性 を兼ね備えたデータは、国際的なバイヤーがサプライヤーと信頼できる関係 を築くための強固な基盤となります。 このような長期的な関係が盛んになる ほど、 バリューチェーンがネットゼロへ移行できるよう、 バイヤーはより積極的 に投資をするようになります。 ネットゼロパキスタン・イニシアティブでは、持 続可能な成長のための要因として、透明性の重要性を強く意識しています。 」 Talha Khan 事務局長 Pakistan Environment Trust


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

最終結論と推奨事項

FASHION REVOLUTION 141

FINAL THOUGHTS & RECOMMENDATIONS


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

透明性に向けた行動 次にすべきこと

どのようにして、 どこで、誰が、 どのよう な 社会的・環境的コストをかけて服 を製造したかということについては、 誰もが知る権利をもっています。 そし てこれを実現するためには、 ファッシ ョンのグローバルバリューチェーン全 体で透明性を高める必要があります。

FINAL THOUGHTS & RECOMMENDADIONS

私たちは一丸となって、企業が透明 性を向上させるように、 そして政府 がブランドに対して透明性を要求 するように、働きかけなければなり ません。

私たちの願いは、 ファッション業界 に透明性と説明責任が深く根付 き、Fashion Transparency Index が必要なくなることです。 しかしそ れを実現するまでは、透明性を向上 させることこそ、世界のファッション 業界で変革を起こすために非常に 大切なことです。

透明性を高めていくことで、最終的 に、環境を保全・修復し、成長や利 益よりも人を大切にするファッショ ン業界を実現することにつながる のです。

FASHION REVOLUTION 142

皆さんへ呼びかけたいこと:

このインデックスをショッピン グガイドにするのではなく、 こ れからの行動に生かしてくださ い。大手ブランドの行動を精査 し、その主張に責任を持たせる ように働きかけていきましょう。

一般市民にできること: ヨーロッパの政策担当者に対して、生活賃金 に関する法整備を行うよう求めること。 Good Clothes, Fair Payキャンペーンでは、EU市 民(EUパスポート保有者)100万人の署名が 必要です。 goodclothesfairpay.euでの署 名にご協力ください。 EU市民でない方は、EU 市民の友人に送ったり、SNSで私たちの投稿 をシェアして、 この言葉を広めてください。 ま た、Instagramでの@goodclothesfairpay のフォロー、 ニュースレターの購読で、最新情 報を入手してください。

大手ブランドや小売業者に対して、Fashion Transparency Index にある問題についての 透明性の向上を求めること。 以下のハッシュ タグで積極的にブランドに問いかけることが できます。 #WhoMadeMyClothes? #WhoMadeMyFabric? and #WhatsInMyClothes? 政策担当者に対して、サプライチェーン全体 の人権や環境への影響について、 ブランド に責任を持たせる法整備を行うよう求める こと。

株主や投資家に対して、大手ブランドの透明 性を高めさせ、地球環境や服を作る人々のた めにより良い活動を行わせるために影響力 を発揮するよう求めること。 そこには、透明性 の有無にもとづいて投資活動を行うことも含 まれます。

労働組合やNGOなどの市民社会に対して、 ブ ランドのポリシーや取り組みが衣服が製造さ れる現場において良い結果につながるよう に保証することを求めること。


自社のサプライチェーン上の権利について、 原材料レベルにまでさかのぼってできるだけ 速やかに公開すること。 また、 オープンデータ の基準に沿って情報を公開し、 リストをOpen Supply Hubにアップロードすること。

世界のファッション業界における環境およ び人権の問題についてのより高い透明性 と企業の説明責任を求める、 より良い法 律や規制、政策を支持すること。

世界のファッション業界に関連する社会・ Fashion Transparency Index に記載される 環境問題について、制裁措置を含む既存 全ての項目について完全な透明性を実現し、 の法律のより良い実行を支援すること。 変化するリスクに対応して公開情報を継続 世界のファッション業界における労働搾取 的に更新すること。 や環境破壊に関する 「危険信号」 やリスク 人権や環境リスクに対する強力なデューデリ に、 より積極的に対応すること。 ジェンスを実行し、自社の取り組みの結果と 労働者やコミュニティ、専門家による 影響を開示すること。 Viewpointを読み、 その声に耳を傾ける 共に働く同僚(特に同じ施設内で働く人々) こと (本レポートの69, 84, 92-93, 96, 97, や、権利者(特に女性や労働組合)と協力して 99-100, 102-103, 113, 121-122, 127, 136デューデリジェンスを実行し、 その取り組み 140ページ参照)。 そして政策立案活動に を公開すること。 役立てること。 世界のファッション業界における環境的、人 権的な問題についてのより高い透明性と企 業の説明責任を求める法律を支持すること。

市民社会、ジャーナリスト、研 究者にできること:

大手ファッションブランドと小売業者に対 し、人権や環境問題について明確なガバナ ンスと説明責任を求めること。

本レポートやWikirate.orgに掲載されてい るデータと調査結果を活用して、 ブランドの 主張を精査・検証し、責任を追求すること。

人権や環境問題について、取締役レベルで の説明責任を求め、役員報酬がこれらの問 題の改善と連動するよう求めること。

取締役会に対して、人権や環境問題の複雑 さと微妙なニュアンスに関して専門的知見 を取り入れるよう求めること。

投資戦略において、意義のある環境・社会・ ガバナンス (ESG)要素を最優先事項とす ること。 世界のファッション業界における環境およ び人権の問題について、透明性と企業の 説明責任を義務付ける法律の制定を求め ること。

ブランドによる主張が実際の事実にそぐわ ない場合には、警告を促すこと。

このデータを利用して、 ステークホルダーや ブランドとともにサプライチェーン内の問題 に対処し、再発を防止すること。 世界のファッション業界における環境およ び人権の問題について、透明性や企業の説 明責任を義務付ける法律の必要性を皆で 求めること。

FINAL THOUGHTS & RECOMMENDADIONS

政策立案者にできること:

投資家とステークホルダー にできること:

FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

ブランドと小売業者に できること:

FASHION REVOLUTION 143


FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 FINAL THOUGHTS & RECOMMENDADIONS FASHION REVOLUTION 144

クレジット The Fashion Transparency Index 2023は、2023年6月に Liv Simpliciano、Ciara Barry、 Delphine Williot、Ysabl Marie Dobles、Isabella Luglioが執筆し ました。 デザインはMolly Porteous が手がけています。 調査は、2022年 11月から2023年5月にかけて、以下 のメンバーが実施しました: •

Liv Simpliciano

Delphine Williot

• • • • • • • •

Ciara Barry

Ysabl Marie Dobles Isabella Luglio Elisa Tupiná

Efraín P. Miranda Julia Handler Lian Sing

Michelle Ying-Chi Lai

本レポートの基礎となる調査に尽 力してくれたフリーランスの調査 チームに心から感謝します。 特に、 私たちと共にデータの品質保証を 行ってくれたYsable Marie Dobles とIsabella Luglioに感謝します。 レポートのレビューおよび編集を 担当したポリシーディレクターの Maeve Galvinにも感謝します。 ま た、Fashion Transparency Index をつくりだした元グローバルポリ シー・キャンペーンディレクターの Sarah Dittyに特別な感謝を捧げ たいと思います。 道を切り開いてく れて、 ありがとうございます。 あなた のレガシーを引き継いで、 ファッシ ョン業界の透明性と説明責任の向

上を追求していくことを光栄に思 います。

今回のプロジェクトにおいて、私た ちのチームを指導してくれたプロボ ノコンサルテーション委員会の皆 様:Dr. Mark Anner, Neil Brown, Maddy Cobbing, Gary Cook, Subindu Garkhel, Fiona Gooch, Christina Hajagos-Clausen, Kristian Hardiman, Aruna Kashyap, Kate Larsen, Hester Le Roux, Emily MacIntosh, Maya Rommwatt, Francois Souchet, Joe Sutcliffe, Urska Trunk, Nusa Urbanic, George Harding-Rolls, Ben Vanpeperstraete, Frank Michel, Klaas Nuttbohm, Olivia Windham Stewart, Katie Shaw, Pauline Op De Beeck, Laura Balmond, Lead, Anna Bryher, Chloe Rollscane, Holly Syrett, Alessandra Mezzadri, Rohan Preece, Kratika Choubey, Louise Nicholls, Kaarina Kolle, Jospeh Zacuneeに最大の感謝を申し上げ ます。 また、本プロジェクトの調査 手法について、非公式にフィードバ ックをしていただいた全ての方々 に感謝します。 今年のレポートにさらなる分析と Viewpointを提供してくださった 以下の専門家の方々に、心から感 謝します:Natalie Grillion, Tess Woolfenden, Annie Biennas, Alia Lodhi, Dr. Audrey Millet, Talha Khan, Urska Trunk, Seema Joshi, Ruth MacGilp, MEP Delara Burkhardt, Natalie Swan, Pauline Op de Beeck, Hilary

Marsh, Farooq Tariq, Emily Macintosh, Josephine Phillips, Beto Bina, Ayomi Jayanthy Wickremasekara, Andy Hall

コミュニケーションとデザインへ の素晴らしいサポートをしてくれ たMel Watt, Lauren Rees, Molly Porteousを筆頭に、Fashion Revolution CICチーム全員に感謝 します。 また、Melanie Hughesの大 きなサポートにも感謝します。

パートナーである、Wikirateの Laureen van BreenおよびAileen Robinson、Good On Youチー ム、Clean Clothes Campaignチー ム、 ビジネス人権リソースセンター のAlysha Khambayにも感謝しま す。 そして、 コラボレーターである Open Supply Hubに感謝します。 フ ァッションのサプライチェーンの透 明性を高める素晴らしい取り組み を行っており、 ファッション業界への 貴重な貢献を果たしています。

(日本語版クレジット)

以下のプロボノメンバーの尽力に よって日本語への翻訳が実現しま した。 皆さんの貴重な時間、 スキル、 使命感と知的好奇心を、 ファッショ ン産業の前進のために活用してく ださったことに感謝申し上げます。 翻訳: ウィルコックス瑞穂 / 木村文 / 張 毓青 / 羽生田律子 / 原澤春菜 / マルティンメンド有加(ファッショ ンレボリューションジャパン) デザイン: 竹村伊央(ファッションレ ボリューションジャパン)

今年のFashion Transparency Indexに参加してくださったブランド や小売業者の代表者の皆さん、 あ りがとうございました。 ブランドに対 しては市民社会やNGOが頻繁に情 報提供を求めており、 その全てに対 応し業務を行っていくのは、 とても 困難であることを理解しています。 皆さんの参加は不可欠なものであ り、感謝いたします。 Fashion Transparency Index は、Laudes Foundationより資金 提供を受けています。 継続的な支 援に感謝申し上げます。

Fashion Revolution Foundation: Registered Charity in England & Wales No. 1173421; Registered Company in England & Wales No. 10494997. Fashion Revolution CIC: Registered Company No. 08988812. Registered Address: Eastcastle House, 27/28 Eastcastle Street, London, England, W1W 8DH


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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023

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FASHION TRANSPARENCY INDEX 2023 FINAL THOUGHTS & RECOMMENDADIONS FASHION REVOLUTION 150

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本レポートの帰属

ライセンス

本レポートはFashion Revolution CIC( 法人番号:8988812)が所有し、Fashion Revolution CICの政策・研究チームの Liv Simpliciano、Ciara Barry、Delphine Williot、Ysabl Marie Dobles、Isabella Luglioが 執筆しました。

Fashion Transparency Indexのライセ ンスはCreative Commons AttributionNonCommercial 4.0 International (CC BY-NC 4.0)です。 フリーカルチャ ー・ライセンスではありません。 詳しく は、creativecommons.org/licenses/by-ncnd/4.0/をご覧ください。

調査は、 ファッション・レボリューションの政策・研 究マネージャーであるLiv Simplicianoと、Ciara Barry、Delphine Williotを含むファッション・レボ リューションCICの政策・研究チームの他の人々 によって主導され、 ファッション・レボリューション の政策ディレクターであるMaeve Galvinの支援 を受けました。 追加調査は2022年11月から2023 年5月にかけて、Ysabl Marie Dobles、Isabella Luglio、Michelle Ying-Chi Lai、Lian Sing、Efraín P. Miranda、Julia Handler、Elisa Tupináによって行われ、Molly Porteousによって ビジュアルデザインが施されました。

Laudes 財団がFashion Revolution CICに 資金を提供し、本インデックスの調査が実現 しました。 Laudes財団は独立した財団であ り、COFRAグループの事業や、Porticus、Good Energies Foundation、Argidius Foundation を含む同ファミリーの他の民間慈善活動と並ん で、Brenninkmeijer ファミリー企業の一部です。 財団はグループから独立しており、C&Aを擁する COFRAグループ企業を含む衣料品業界全体に影 響を与えるために活動しています。 私たちは、Fashion Transparency Indexにおけ るC&Aの評価について、事実の公正な取り扱い と公平なアプローチを強調します。 本調査では、 以下の3つの方法によって利益相反のリスクを軽 減しました。

C&AとLaudes財団を別個の存在として捉え扱う こと、C&Aを我々が分析した250のブランドの中 で他のブランドと同様に扱うこと、 そしてブラジル のテクニカルパートナーであるABC Associadosに よるC&Aの評価やその他の評価において、C&Aを 優遇しないことです。 また、本指標の一部に資金を提供してくれた European Climate財団にも感謝の意を表した いと思います。 特に、私たちの活動を支援し、多大 なサポートをしてくださったKaarina Kolle氏に 感謝します。

私たちが提供する元データファイル(Raw data file)については、私たちがこのインデッ クスを作成するために編集したRaw Dataを 使用するライセンスは付与していません。 イン デックスの使用者は、元データファイルを閲覧 することだけが可能です。

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