Sauna - The Essence of Finland (Japanese)

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ケイヨ・タスキネン

フィンランドのこころ


サウナ-フィンランドのこころ 2011年6月21日 第1刷発行 © Kirjakaari及び制作関係者、2011年

著者:ケイヨ・タスキネン 表紙写真:ケイヨ・ペンッティネン 写真編集:ケイヨ・タスキネン、株式会社ラボラトリー・ユーレオボリ、 訳者:ヨーナス・キリシ、株式会社アプロポス・リングァ 製本・デザイン:株式会社ラボラトリー・ユーレオボリ 発行所:株式会社キリヤカーリ 印刷所:サーリヤルヴィ・オフセット印刷社、サーリヤルヴィ2012年 ISBN:978-952-5969-18-4


目次 サウナとは何か サウナに入る 豊かなサウナ文化 健康と憩いの聖地 サウナの後に サウナに夢中なフィンランド人



フィンランドのサウナから愛を込めて 私たちフィンランド人はサウナを愛しています。サウナはさまざまな感情を呼び起こします。 1人1人にとってサウナは少しずつ違う意味を持ち、何千、何百もの物語が託されています。 サウナに入ることは、フィンランド人のごく普通の日常の一場面である一方で、その最も深い 意味は、口には出さずとも、みんなが心の中で感じています。私たちはサウナに心と体を委ね て、体の緊張をほぐし、気持ちを和ませます。 健康に役立ち、元気を与えるサウナは、人の心と体を清めます。これらすべてのことを、サ ウナに興味を抱いてくれるより多くの方々に伝えたいと考えています。 『SAUNA-フィンラン ドのこころ』では、サウナの多様性、歴史と現在、技術革新、さらには私たち普通のフィンラ ンド人のことが巧みに紹介されていると思います。日ごろのちょっとしたぜいたく、心の安らぎ の聖域、そんなサウナは、この小冊子を通してあなたとも分かち合いたい快楽なのです。どう ぞ、 くつろいでお読みください。

カリタ・ハルユ サウナ・フロム・フィンランド協会



サウナとは何か サウナは遥か昔に発明されました。ロシア最古の歴史書『原書年代記』、バイキングの サーガ、フィンランド国民叙事詩『カレワラ』、これら全てにサウナの記録が載っています。 中世はサウナ文化がもっとも普及していた時代でした。当時は北イタリアからブリテン島 まで、ヨーロッパ中のサウナ・ストーブに薪がくべられていました。 フィンランドはサウナの発祥国ではないにしても、サウナの強大国なのは間違いないので す。石器時代の、土に掘った穴に過ぎなかったサウナは、ずっと消えることなく今のモダン なホームスパに発達してきました。フィンランドはいわばサウナの約束の地なのです。



サウナ小屋の構成要素 伝統的なサウナは、一角にサウナ・ストーブが立つ四角い

れていた壁や屋根も、今は板から作られることが普通です。

木造の小屋です。ストーブの上部には石が盛ってあり、その石

たいていのサウナは小さな窓が付いてますが、現代建築の

を焼いてサウナを暖めます。小屋のドアはストーブ側にあり、

進歩にともなって、一層豪華な照明やインテリアの選択肢が

反対側には、ヨーロッパヤマナラシのベンチが備え付けられ

増えてきました。

ます。現代的なサウナでは、ストーブがベンチに埋め込まれ

それから必要なのはストーブに水をかけるための水桶と

ることもあります。

サウナのインテリアは質素なのが普通です。昔の土間は、 今や板やコンクリートの床に取って代わられ、丸太から作ら

ひしゃくです。それらの他にも、今日では多くのサウナに、サ ウナマット、温度計、そしてストーブにのせる陶器のサウナ小 人の人形のような飾りが置いてあります。

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ロウリュの法則 フィンランドのサウナの最も古い設計図は1699年のものです。そこ では、サウナ室の一角に立つ大きな石盛りストーブ、高い位置にあるベ ンチと低い位置にある小窓、それから奥の壁の換気口といった、現代 サウナ建築にも共通する重要事項が記されています。本当に良いサウ ナを建てるには約150ものさまざまな寸法を把握しなければなりませ んが、ベンチの高さにさえ間違いがなければ一定の水準に達すること ができます。昔ながらのいわゆる「ロウリュの法則」によれば、ベンチは ストーブよりずっと高いところに設置しなければなりません。

伝統的なサウナでは体をサウナ室の中で洗います。お湯は専用の 湯沸し釜かストーブのタンクで沸かします。現代的なサウナにはたいて いシャワールームがあります。サウナの後の快適な時間は、多くのサウ ナには落ち着いたたたずまいの休憩室や暖炉室で、友達と一緒に雰囲 気を楽しみながら過ごせます。 10




サウナのある風景 スモークサウナには常に火災の危険がついてまわりました。そのため、中 世の法律ではすでに、サウナは他の建物から離れた場所に建てるように定め られていました。徐々にサウナは家の近くから離れ、川や湖のほとりに建てら れるようになりました。

サウナが一般的に水の近くに建てられたことには、実用的な理由もありま す。昔は、ストーブにかけたり体を洗う他に、洗濯などの水を必要とする家事 もそこで行われまし、それからもちろん、サウナの後に泳ぐのにも水が要りま す。フィンランドの多くのサマーコテージでは、今でも生活用水は近くの川や 湖から汲んできます。

サウナは、フィンランド人と自然とのきずなです。サウナの窓やパティオか ら広がるすばらしい風景は、サウナでの快適なひとときをより一層完璧なもの にします。だからサウナはたいてい、人目から離れた落ち着いた場所に建てら れるのです。隣にはシラカバの木があります。サウナへといざなう小道も大切 です。きれいな小道をたどるときから、サウナに入る心の準備を始めます。 13



サウナの8世代 人間は暖を好み、学習する民族です。ですから、私たち人 間の先祖たちも、ニホンザルと同様に温泉に入って体を温た ためていたことでしょう。しかし、北半球のほとんどの住民は 温泉と縁がなかったので、火を飼いならして、様々な形の採 暖室の開発を進めていきました。 最初のサウナは、土に掘った穴に動物の皮を被せたもの にすぎず、約1万年前に終わった氷河期の後にフィンランド へ移ってきた狩猟民が使っていました。このシンプルなサウ ナでもやはり、火で焼いた石の上に水をかけて蒸気を上げて いました。現代では、穴サウナはフィンランドから姿を消して いますが、世界では類似したアメリカ・インディアンのスウェ ット・ロッジの伝統が続いています。穴サウナにはテント・サ

ウナというモダンな子孫もあり、穴サウナと同じようにその持 ち運びが簡単です。 石器時代後半に居住が安定すると、サウナも一定の場所 に作られるようになりました。土小屋サウナといわれる、川 辺などの斜面のあるところに簡単に作ることができる第2世 代のサウナが誕生したのです。土小屋サウナを囲む壁の三つ は、川辺の斜面を水平に掘ることでできていて、四つめは木 造りでドアが付いていました。床は土間、屋根は骨組みの上 でいたん

に泥炭を積み上げたものでした。ドア際には簡単なストーブ があり、奥には半分に割った丸太がベンチとして置かれてい ました。下の写真では、モダンな土小屋サウナが準備されて います。ストーブに水をかけて、サウナを温めるときに発生す る一酸化炭素を追い出しているところです。

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発達の次の一歩は革命的でした。サウナは地上の建物に姿 を替えたのです。鉄器時代中期には、丸太建築技術が発展し、 サウナの第3世代が誕生しました。このような器用に木から作っ た「スモークサウナ」は、煙を室内に放出する、煙道のないストー ブが特徴でした。いわば現代サウナの母であるこのスモークサ ウナで、フィンランド人は1500年もの間サウナを楽しんできま した。その証拠に、未だ1930年代の時点で、フィンランド全土の サウナのおよそ半数をスモークサウナが占めていました。30年代 以降、温めるのに時間も薪もたくさん必要なスモークサウナは、 その数が激減しましたが、最近また人気を取り戻しています。サ ウナ愛好者にの柔らかな浴び心地のよさや煙の香りのする雰囲 気が好ましいようです。

中世に煙突が普及すると共に、サウナにもそれが現れました。 サウナの第4世代に当る、最初の煙突付きで事前加熱のサウナ は、西フィンランドの「モルト・サウナ」でした。モルト・サウナは、 人が入る他には、麦芽を作るために発芽させた穀物を乾燥させる ことにも用いられました。スモークサウナのより火災の恐れが少 ない排煙ストーブは、18・19世紀に都会のサウナとして急速に普 及していきました。20世紀には、サウナの一部としてレンガから 造られていたストーブが少なくなっていき、代わりに樽型の板金 ストーブが流行しました。第二次世界大戦後、事前加熱の排煙サ ウナ・ストーブの数は、急激に減少しました。しかし、21世紀にな って、このゆったりした浴び心地の大型ストーブは再びサウナ愛 好者の間で人気を取り戻しているようです。

戦後の物資不足の時代にはサウナの薪も節約しなければな らず、それをきっかけに継続加温なストーブが発明されました。 このストーブが画期的だったには、サウナに入っている間にもず っと薪をくべ続けることが出来る点でした。小さくて軽い新型ス トーブは、たった30分でサウナ室を暖めることが出来る上に、 消費する薪の量も、旧式ストーブのほんの一部で済みました。フ ィンランドのサマーコテージのサウナや屋外サウナの多くが、今 もこのような第5世代のサウナです。 16




第6世代のサウナは、住宅内に移りました。そのことを可 能にしたのは新しい発明品、電気サウナ・ストーブでした。

インテリアや照明にこだわったデザインプロダクトとしての側 面が、より一層重視されてきています。

こうして煙突や火が必要なくなったサウナは、ほぼどこにで も設置可能になりました。電気ストーブは1970年代にフィン

次の見開き

ランドの家庭に定着し、短い間に薪ストーブの席を奪いまし

第8世代のサウナはもはや一箇所に固定されることなく

た。現代ではどんなに小さなワンルームのアパートにでも、 バスルーム付属のサウナが基本装備されています。

進歩の次の段階ではサウナがスマートになりました。モダ ンなサウナには自動換気装置が付いており、スマートな電気 ストーブがプログラムされた時間にサウナを温めます。準備 が整うには何分もかからないので、いつでも好きなときに入 れます。いわゆる普通の自宅サウナは、例えば普通の日と特 別な日それぞれのために違うストーブが備えてあったりする

動き出しました。水を浮く、雪の上を滑る、そしてもちろん道 路の上を走るようになったサウナには、フィンランド国内の どこででも遭遇することができます。例えばサウナバスを使 えば、大自然の懐に抱かれてスノーシューハイキングの汗を 流すことも、大都会の中心で仕事の疲れを洗い流すことも 可能です。サウナバスのような特別なサウナが、様々なパー ティーや企業の福利厚生イベントの開催所として大人気な のはそのためです。

ような自宅サウナ・スパに発展しつつあります。また同時に、 19




サウナのABC フィンランドには300万軒のサウナに対して500万人の自称サウナ専門家がいるので、1人1人正しい サウナの入り方について異なった意見を持っています。各人の趣味や好みについて議論するのは野暮 なことですが、みんなが納得するような良いサウナの特徴をいくつか選び出すことは可能です。

良いサウナは 1.適温(およそ80度)である。温度は好みで多少上下してもかまいませんが、ぬるいのは禁物です。 2.いい匂いがする。木材、やさしい煙や白樺の枝の匂いが望ましいです。 3.換気が十分なされている。 4.ストーブに水をかけられる作りになっている。好みに応じて好きなだけ水をかけても、壊れないス トーブでなければなりません。 5.設備の新旧を問わず、きれいにしてある。 6.立地条件が良い。フィンランド人は都会の中でも、外で体を冷やせるサウナが好みです。 7.何よりも、入ったら気持ちがよくなる。 22




葉っぱをこするとフィン ランド・サウナの本当の 匂いが体験できます。

サウナに入る サウナ文化を生まれつきもつフィンランド人は、サウナに入ることは、まったく普通のことだと思 っています。子供も、小さなころから、知らない人が入っていても恥ずかしがらずに入ります。この ようにして、サウナは全ての人を迎えられるくつろぎの空間として発展してきました。しかしながら、 初めての人にとってサウナの初体験は、その湿度や熱さといい、フィンランド人のサウナでのマナ ーや習慣といい、驚くこともあるかもしれません。予めサウナの持ち主と、サウナではどのタイミン グで何をするのか、また何のためにそれをするのか、相談しておくといいでしょう。何回か入った後 には、必ず夢中になること請け合いですので、サウナは挑戦してみる価値があります。


サウナのマナー フィンランド人は裸でサウナに入るのが普通です。しか し、どうしても裸でないといけないわけではなく、水着を着 たりタオルを巻いたりして入ることも出来ます。フィンランド 人は裸になることは、人々から敬称が取り除かれ、その人

アセルビは、一緒に入浴した男女が、お互いについて「これ っぽっちの興味も」抱いていないことを本当に不思議に思っ た、と後述しています。今でもフィンランドのサウナは古来か

本来の姿になることを意味するので、リラックスできると感

らの伝統にのっとって、純潔な場所となっています。

じます。サウナでは真の民主主義が実現すると考えられて

昔は絶対沈黙の場だったサウナは、現在でもフィンラン

います。

サウナはロマンチックな場ではあり得ますが、フィンラン ドではサウナと性的なことは結びつきません。昔は年齢性 別を問わず一緒に入るものでした。外国人にとってこれは 珍しいことのようです。既に1799年の時点で、フィンランド 26

北部のラップランドを訪れたイタリア人探検家ジュゼッペ・

ド人が何も言わないで居ることが許される場所です。沈黙 の合間に軽い雑談を交わしたり、本音の会話に踏み込んだ りもします。時の経過を忘れていくのもまたサウナの本質の 一部です。相手への気配り、心遣い、日常生活の忙しさを忘 れること、それがサウナのマナーの基本です。




サウナのかなめは「ロウリュ」 サウナに入ったときの心地よさは、室内の湿気と温度の 変動に起因します。その変動を起こすのは「ロウリュ」、フィ ンランドのサウナの最も重要な特色です。ロウリュ という言 葉は、フィン・ウゴル語派に伝わるとても古い言葉で、本来、 ストーブが発する水蒸気の他に、人間に何種類もある魂の 一種をも意味していました。

ストーブで焼いた石の上に水をかけることを、「ロウリュ」 と言い、それによってサウナの湿気と温度を調整します。ロ ウリュ をかけた瞬間に立ちこめる熱い水蒸気は、すぐに掻 き消えてしまいますので、すぐにまたもう一杯かけたくなり ます。特に気持ちのいいロウリュ は、綿毛のようにふわふわ で、天使に抱かれているような心地です。

葉っぱたたきの習慣、ヴィヒタ フィンランドサウナのもう一つの特徴は、シラカバの葉っ ぱが付いた枝を束にして作ったヴィヒタで体を軽くたたく習 慣です。どれほど一生懸命たたくかは、その人の好み次第で すが、好きな人は激しく力を込めてたたくことも珍しくありま せん。サウナ文化にとってヴィヒタの伝統は欠かせないもの であり、昔からの言い伝えによれば、正しい方法は次の通り です。 「頭からたたいて下へと進み、病を足指からあの茂み に、指先からみどりのコケに追い込むべし」

西・東フィンランドの方言では、枝の束でたたくことをそれ ぞれ、ヴィヒタ、ヴァスタと別の言葉で表現しますが、している ことは同じです。冬のための束は真夏の夏至の頃に作られ、 乾燥か冷凍して保存します。こうして保存された束は、使用 直前にしばらく水の中に浸けておくと、そのしなやかさが戻 ってきます。

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温かい屋外スパ サウナの本質は何千年前から変わらないままですが、その方 法は時とともに変化します。例としては、近年急速に普及した屋 外の木製露天風呂が挙げられます。フィンランドの木製露天風呂 は、サウナを出てからシャワーを浴びた後や、湖で泳いだりしてか ら入るもので、サウナのリラックス効果を高めます。冬にはニット帽 をかぶって入ります。暖かい露天風呂に入って、北の星空やオーロ ラを仰ぐのは本当に格別です。

湖へ! 体を冷やすことはサウナ体験の重要な一部分です。気持ちが いいと感じられる間だけ、サウナ室の中にいるようにして、その後 は体を冷やす番です。十分に体が冷えたら、またサウナに入りな おします。サウナを最後に出たあとにも、体をしばらく冷やしてお くといいです。

夏に人気があるサウナ後の体の冷やし方は泳ぐことです。何 千もの湖がある国としても知られるフィンランドでは、子どもたち が何時間も遊び続けられるようなきれいな湖が、数え切れない ほどあります。フィンランド人は短い夏を思う存分満喫し、真夏の 白夜にはいつも、無数のコテージのサウナの明かりが湖面に映 ります。

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冬のフィンランドでサウナ後の体を冷やすのには、氷点下のさ わやかな空気、あるいは雪の上を転がり回るのが最適です。しか しながら、冬だからといって泳ぐことを忘れる必要はありません。 どの村でも少なくとも一カ所、隣接する湖面の氷に穴を開けてあ るサウナが見つかります。毎週そこに通うフィンランド人の数はま すます増えてきています。写真のフィンランド人はマイナス37度の 寒さに負けずに水泳と満月を楽しんでいます。






サウナの入り方 1.時間は十分にとっておきましょう。 2.まずは気軽にサウナ室の中へ。 3.サウナは裸か水着で入ります。メガネははずして おきましょう。中に入ったら、上段のベンチにサウ ナマットを敷いてから座りましょう。 4.心を静めてリラックスしましょう。 5.汗が沢山出ますので、水分の補給が大切です。 休憩のタイミングを計るために、体の調子に耳を 済ませましょう。肌が赤くなるのが普通です。 6.熱くなったら下段のベンチに下がりましょう。外 で休憩をしてもいいでしょう。

7.体が温度に慣れたら、試すように水を少しずつス トーブにかけましょう。 8.休憩も忘れずに。外に出て湖で 泳いだり、雪の 上を転がったりしましょう。 9.白樺の枝の束で手足や体を軽くたたきましょう。 10.好きなだけ何回でも休憩して、入りなおしましょ う。 11.最後にサウナを出る前によく体を洗いましょう。 12.サウナの後も友達や家族と一緒に くつろぎましょう



豊かなサウナ文化

フィンランドほどサウナが人々の生活に重要な国は、世界のどこにもないでしょう。サウナはフィ ンランド人であることの象徴なのです。それはまた、彼らの自然や先祖との根強い結びつきをも意 味します。フィンランド人の祖先たちにとって、サウナはまさしく生存条件でした。サウナ無しでは、 フィンランドは未開の地のままだったかもしれません。サウナがスウェーデン語とロシア語を除く 世界のどの言語でも、フィンランド語の名前で呼ばれていることも、サウナがフィンランドに深く根 ざしたものである証拠と考えることが出来ます。サウナでは人々の生活が営まれ、子が産み落とさ れ、日々の糧の炊事が行われてきたのです。 現代フィンランド人がサウナに入る場面はさまざまです。場面ごとにサウナの性質が変わりま す。毎週土曜日に家族で入る普段のサウナ、国際会議の参加者が一緒に入るサウナの夕べ、スポ ーツチームの祝勝サウナは、それぞれまったく雰囲気を異にします。


フィンランド・サウナ協会 フィンランド人がサウナに託す意味は、人それぞれ の経験から沸きあがりますが、その経験は何千年も前 にさかのぼる、途切れのないサウナ伝統を踏まえてい ます。サウナはフィンランド人と先祖を、そして国の歴 史とも結びつけます。サウナの伝統を保存し、さらに 広げようと努めているのは、1937年に設立されたフィ ンランド・サウナ協会です。この協会はヘルシンキ市 内のヴァスキニエミに、会員やその同伴者が入れるサ ウナを持っています。また協会は、サウナに関する情 報収集・発信活動を国内外に向けて行っています。

データで見るサウナ のフィンランド • フィンランドは世界で第一のサウナ先進国です • フィンランド人はサウナに入る回数が多い(約90% の人は週一回以上入ります) • すべてのフィンランド人が1年間に入るサウナの回 数の合計は5億回以上 • フィンランドのサウナ軒数は約300万軒 • 湖畔にあるサウナは約50万軒 • 湖の数はほぼ19万 • 海岸線の距離は合計8万8千km • フィンランドの河川・湖沼の水質は良好です

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サウナのいろいろな活用方法 サウナは昔からフィンランド人の生活の中心にありました。 リラックスして体を洗うことの他にも、サウナでは時代によっ て、例えば次のような活動が行われてきました。 • • • • • • • • • • • • • • •

住居 出産 葬儀前の遺体の保管 病気の治療 スポーツや戦争で負ったけがの手当て 病や罪の浄化 カッピング療治 マッサージ 料理 亜麻の処理 占いやおまじない 恋愛運や結婚運の改善 政治的関係の構築 重大な取引や契約の交渉 世界の救済(少なくともその努力) 41



昔のサウナの風習 さまざまな害虫や病気を追い出したり、より良いロウリュを得 たりする効能があると信じられていた風習や呪文が、何百年間 も伝承されたサウナの時代を特色づけていました。サウナを建 てる場所、建築に使う素材や温めるための薪などに対するいろん な言い伝えがありました。新しく建てたサウナをおろす時には、そ の後も正しくサウナに入るためにも、しきたりを守ることが不可欠 でした。他人のサウナに入るための呪文もまた別にありました。 以前建物があった所にサウナは建てるべからず。 -ヴィリヤッカラ地方の言い伝え、1936年採集 昔は、サウナには必ず火災などの災いから守ってくれるサウナ の精が住んでいる、と信じられていました。サウナで正しく振る 舞うことで、サウナの精に気を配っていました。大きな声で話し たり、歌ったり、ののしったりしてサウナの精を怒らせてはいけ ませんでした。家の者がサウナに入った後、サウナの精も楽しめ るように、まだ温度の加減が良いうちに出ていくのがマナーでし た。サウナの精のため、ときどき水を桶に残してあげるたり、クリ スマスイブにはミルクがゆをあげたりもしました。多くのサウナに 置いてある木や石からできたサウナ小人の人形から、この伝統は 今でも見て取れます。 サウナの精は、髭が長くて目が一つしかない、とんがり帽子のお じいさん。サウナストーブの後ろに住んでいる。 -ミッケリ地方の言い伝え、1936年採集

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柵作り フィンランド人にとって、サウナは常に人生における往来の境界線でした。昔サウナで行われた 通過儀礼には、例えば遺体の湯灌(ゆかん)、魂を送り出す儀式、花嫁を送り出す前のサウナ、出 産などがあります。治療やまじないも行われたサウナが大いに尊ばれる場所だったのは、ごく自然 ななりゆきだと言えます。

現代フィンランド人にとっても、サウナはやはり節目としての役割を果たします。成功はストーブ に水をかけながら祝い、失敗や悲しみはベンチに座り込んでなげくものです。コテージに行った ときには、到着サウナと出発サウナに入るのが常です。上部の写真では、フィンランド北部キッテ ィラ地方のトナカイ飼いが朝のうちにサウナと小屋の中に薪を積んで、夜の準備をしています。日 が暮れるころには、凍原にトナカイを囲い込むための柵の最後の柱が立てられます。自然の中で サウナに入ることが、一週間もかかったきびしい柵作りの作業の有終の美を飾ります。 44




特別な日のサウナ 季節ごとに、行事ごとに、それぞれの サウナには、それぞれの言い伝えがありま す。夏至のサウナからの帰り道に投げたシ ラカバの束は、将来の結婚相手がやってく る方向を示します。大晦日にサウナで体を 洗うと、一年の間にたまった汚れが全て洗 い流されます。クリスマスイブ、サウナのス トーブにビールをかけると、翌年の豊穣が 確約されます。フィンランドのクリスマスの 伝統においてサウナは特に重要な存在で あることは、言うまでもありません。クリス マスのサウナは何百万人ものフィンランド 人がほぼ同じ時に楽しみます。しかし、 「 それでは大変混んでしまうのではないか? 」という心配は要りません。フィンランドの サウナのベンチに、500万人余りのフィン ランドの全人口が同時に座ったとしても、 更にお客さんを招き入れることが出来るく らいに、まだまだ余裕があります。サンタク ロースのお手伝いも、サンタ自身も、クリス マスの仕事を終えたらすぐにサウナに向か います。

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仕事の後に 仕事の後の足腰の疲れや頭のもやもやは、サウナが解きほぐします。昔は特に真夏 の農作業の後にサウナで汗を流しました。当時、夏の間は最低週2回、冬の間は毎 週1回スモークサウナを温めましたが、今は多くのフィンランド人が毎日仕事の後に 入ります。サウナの中では、仕事の話よりも人生について話します。多くの工場には、 作業員が一日の肉体労働で疲れた心と体を清められる、職員用サウナがあります。

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最高の観覧席 サウナとスポーツは、フィンランドでは切っても切り離せません。それは 試合のときでも変わりません。フィンランドのアイスアリーナの中には、アイス ホッケーの試合をサウナのベンチに座りながら見られるところがあります。 ユヴァスキュラ市のハルユ・スタジオンでは、トップクラスのサッカーの試合 を、サウナストーブに水をかけながら観戦できます。その上、当スタジオンに は移動可能な、サウナとバーを融合させて造った「サウナバー」も隣接してい ます。そのデザインは建築家ヤルッコ・コノネンによるものです。

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魂の音楽 サウナはフィンランドの芸術家にとって、インスピレーションの源です。サ ウナストーブの熱は、文学や絵画、映画など多くの高等芸術作品の中に感 じられます。現代では、サウナの中で、さまざまな文化イベントも開催され ます。例えば毎年トゥルクの群島にあるリュマットゥラで開らかれるスウィン グ・コンサートがその好例です。会場の広い土堀りスモークサウナには、124 名分の女性専用の客席が設けられます。メインアーティストである伝説のト ランペット奏者、テッド・カーソンが、コンサートの最後をシベリウス作曲の 『フィンランディア』で締めくくると、会場の盛り上がりは頂点に達します。 53



公衆サウナ 1950年代に至るまで、公衆サウナはフィンランドでは非

映画『男がサウナに入る番』 フィンランド人の男性はよく無口だと言われます。しかし、

常に一般的でした。たいていの村には、誰かがサウナを温

薄暗いサウナの中で柔らかい水蒸気に抱かれてなら、外で

めると、村の皆が交互に入り、サウナを準備する順番が次の

は絶対に口にしないようなことを、親友に語ることができる

人に移るという仕組みがありました。都会では、人々はくつ

のは、この口数の少ない男たちの大昔からの伝統です。

ろぎや体を清潔にすることを目的に、公衆サウナに通って

このサウナの中の物語が、人間であることの意味を探る

いました。自宅でのサウナが普及するにつれて、公衆サウナ

詩的な映画になりました。世界各地で多数の映画賞を受賞

に通う文化が衰退していき、現代では都会に残存する公衆

したこの映画では、裸の男たちがサウナに入って、心の底か

サウナはごくわずかです。しかし、最近は公衆サウナ文化が

らまっすぐに語り合っています。この映画は、フィンランド各

よみがえる傾向にあります。アパートの住人のためのサウナ

地のサウナを訪れ、入っている男性たちが語る愛、生、死、

や、村の公衆サウナにおける、共同サウナの時間帯には、多

友情についての物語、つまり人生の物語を聞いてまわりま

くの人がサウナを一緒に利用します。多くのフィンランド人に

す。映画のすばらしいシーンのいくつかの写真は、この小冊

とって、週一回決まった時間に、友だちや隣人と一緒に入る

子にも載っています。上の写真は映画の監督・脚本を共同

サウナは、日常生活の楽しみの一つです。

で務めたミカ・ホタカイネン(左)とヨーナス・バリハルがサ ウナに入ろうとしているところです。 55


平和維持活動にも欠かせないサウナ 海外へ出るフィンランド人は、正しいサウナに対するイメージを

世界へ持参します。それだけにとどまらず、目的地に着いたら、自身 と親しい友人のために、真っ先にサウナを建てる在外フィンランド 人も少なくありません。フィンランド人が移動すると、サウナも一緒 に移動します。

1950年代以来、世界中の紛争地域の最も熱い場所の一つは、

フィンランド人PKO隊員のサウナです。いかなる作戦においても、 まずはサウナ、次は紛争の収拾だ、というのがフィンランド人隊員 のモットーです。もはや伝説的となっていたフィンランドのサウナ が活躍した平和維持活動は、アジア・アフリカ・バルカン地域・中 近東などで約30にも上ります。緊張を強いられる状況の中で、サ ウナはいわばくつろぎのオアシスであり、同時にフィンランドのサ ウナ文化を世界に広げてきました。PKO隊員はサウナ広報大使 でもあるのです。

サウナ外交 フィンランドにはサウナ政治の長い伝統があります。これまで多

くの重要な決定や条約が、サウナの中で生まれてきました。サウナ ではなぜ合意に達しやすいのか、その秘密は単純です。一度服を 脱いでサウナに入ったら、肩書きではなく、人間同士が本音の会 話をするのです。現代のサウナ外交活動の良い例として、ワシント ン駐在フィンランド大使館が設立させた人気のサウナクラブがあ ります。そのメンバーは公務員やロビイスト、記者、その他の政治関 係者などから構成され、その目的は、楽しくくつろぎながら最新の 話題や噂を交わし、会話の幅を広げられる場を作り、それからフィ ンランド文化とサウナのいいところを見せることです。

右の写真では、元フィンランド大統領で、当時のフィンランド大

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使マルッティ・アハティサーリ(右)、フィンランド外相アハティ・カリ ヤライネン、タンザニア外相ジョン・サミュエル・マレセラ(左)が 1974年、ダルエスサラームでサウナに入っています。アハティサー リは、国際紛争解決に尽力したことにより、2008年ノーベル平和 賞を受賞しました。




スパ文化 室内プールやスパは、多くのフィンランド人のライフスタイルの一 部です。サウナはスパ文化の切り離せない重要な要素です。スパには スモーク、スチーム、洞窟、自然の音が聞こえるサウナなどたくさんの 種類のサウナがあります。たいていのスパでは、さまざまな美容設備 も提供されています。

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サウナの中の商機 サウナは、フィンランドの産業界にとっても重要な存在です。フィンラン ドでサウナ製品やサービスを扱う企業は何百社にも及び、サウナが経済と 労働の両市場に与える影響は強大です。この小冊子からも明らかな通り、 フィンランドのサウナ関連企業はサウナ分野の最先端の技術を誇り、サウ ナはフィンランドの重要な輸出製品です。これらのサウナ関連企業は、 「サ ウナ・フロム・フィンランド協会」を設立しました。この協会の目的は、フィ ンランドのサウナ文化の普及とサウナに関するサービス発展の促進です。 60




健康と憩いの聖地 フィンランド人にとって、サウナは英気を養う場所です。入ると体がほぐれ、心が落ち 着きます。サウナをより深く楽しむために、葉っぱたたきしたり、さまざまな療法を受け たり、サウナのアロマテラピーをしたり、泳いだり、雪の上で転がって体を冷やしたりし ます。サウナが健康にいいという、フィンランド人が昔から抱いてきた確信は、現代の 科学研究でも証明されています。サウナは健康状態や年齢に関わらず、だれもが入い れる清潔な場所です。サウナは、過去と現在が交じり合う健康と憩いの中心地です。


みんなが入れるサウナ 皮膚は体内の老廃物排出の重要な部分を担う、体のもっ とも大きな器官です。そう考えると汗かき療法が何千年もの 間、世界各地で行われてきたことは、ちっとも不思議ではあ りません。体外の温度が上昇すると、皮膚の毛細血管が拡 張し、体中の血液の最大70%がそれを通って循環します。 サウナに入ることがもっとも影響を及ぼすのは、この血液循 環です。サウナに入って汗をかくことが、皮膚を奥深くまで洗 浄し、同時に死んだ皮膚細胞を排出します。 サウナの最も重要な健康効果のひとつは、ベンチに座っ て心を静めるときに、熱が手足に流れ込むことによって起き る緊張とストレスの解除です。体温の上昇は人間のホルモン バランスにも影響を与え、例えば寝つきの良さと関係がある セロトニンの分泌を増やします。このため、サウナに入ると、 寝つきがよくなり、睡眠の質を向上させる効果があると考え られています。 サウナについてはフィンランドの他に、ドイツや日本でも 研究が行われてきました。ユヴァスキュラ大学は、サウナが 健康に及ぼす影響を的確に集約した研究を発表しました。 それによりますと、節度を保ったサウナ入浴は、妊娠中の女 性や心臓病患者にさえ安全であると報告されています。最 終的な結論は明解です。サウナは老若男女の健康に貢献し ます。

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癒やしのサウナ

カッピングで元気に

病気やけがを直すことにおいて、サウナが中心的な役割を持

カッピングは、5千年以上続く治療法です。これが15世紀に

つ時代がありました。フィンランド国民叙事詩『カレワラ』では

フィンランドに広まるとすぐに、カッピング師がサウナを巡って

すでに、賢者ヴァイナモイネンが神をサウナに招待して、楽しむ

治療をするようになりました。この一時的には忘れられた療治

代わりにサウナに入った村人の病気を治してもらう情景が描か

法が、フィンランドで再び人気を得ています。カッピングは、皮

れています。 「サウナと酒とタールで治らぬ病は命取り」、 「サウ

膚病や血行不良、片頭痛、筋肉痛などの改善に利用されます。

ナはフィンランド人の薬」といったことわざからも、効果のある 治療法としてのサウナに対するフィンランド人の絶対的信頼が 見て取れます。左の写真の女性が行っている泥炭サウナは、現 在でも使用されているフィンランドのサウナ療法の一つです。

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でいたん

泥炭を塗って健康に

泥炭の健康に関する効能は、すでに古代ロー マ人にも知れられていました。ナポレオンや王侯 貴族に至るまで、中央ヨーロッパの人々は泥炭療 法を受けてきました。しかし、泥炭の効果をさら に高める泥炭サウナを思いついたのは、やはりフ ィンランド人でした。泥炭サウナ治療ではまず、 湿地のミズゴケまたはスゲが炭化して形成した 無菌の泥炭を、体に塗ります。それから50℃か ら60℃くらいの適温まで温めたサウナに入り、 時間は15分くらいで十分です。その後、泥炭を 洗い落とし、ゆっくりと休みます。泥炭サウナの 最中には水を沢山飲みます。 炭サウナ療法は、関節リウマチや痛風、筋や 骨格系の疾患、前立腺異常、更年期障害、皮膚 病といったさまざまな症状に効きます。さらに老 廃物を排出し、筋肉をリラックスさせ、ストレス を予防する効果もあります。泥炭サウナは多少 体に負担がかかるため、健康に心配のある人は 医者の許可の下で入ることをお勧めします。

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葉っぱでたたいて元気に フィンランドサウナの醍醐味の一つ、葉っぱたたきは、肌の血行と新陳代謝を促進しま す。葉っぱでたたくことで、体の痛いところを簡単に温めることが出来ます。その感覚はやさ しいマッサージに相当します。おまけにシラカバの葉っぱは、肌にやさしい成分をたくさん含 んでいますから、同時にスキンケアまでできることになります。葉っぱたたきの治療効果を上 げるためには、束にセイヨウネズの枝を加えたり、あるいはセイヨウネズの枝だけで作った束 を使うという方法もあります。サウナの効能を高めるその他の方法としては、エッセンスオイル やはちみつなどのスキンケア製品の使用や、場の雰囲気を照明によって調整するなどです。

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運動とサウナ 運動で疲れた筋肉や関節の緊張は、サウナの温度によって解れ、回復が始まります。そのため、 サウナがフィンランドのスポーツ選手のトレーニングに欠かせない一部分なのは、ごく自然なことで す。サウナは、フィンランドの長距離選手の秘密兵器だと言われたことさえあります。普通の人でも、 疲れた体がサウナの温かさに癒やされる心地よさを理解しているので、運動の後にサウナに入る習 慣は、フィンランドに根強く定着しています。自宅のサウナが温まるのを待っている間、ジョギングに 出ることも珍しくありません。サウナはトレーニングやトレッキングの後のごほうびです。さらに、その 後こじんまりとした暖炉室での夕食が最高なのは言うまでもありません。 72




サウナヨーガ サウナとヨーガは共通点が多く、双方とも心身のリラクゼーションを目標とします。サウナの神聖な面と ヨーガの筋肉トレーニングの面をあわせて生まれたのがサウナヨーガです。誰にでも合うこのゆっくりとし た運動は、様々な種類のヨーガの動きを採用し、ヨーガマットに立って、あるいはサウナのベンチに座って 約30分間行います。

サウナヨーガでは、まず心を静めて呼吸練習をします。ゆっくりした動作で体を鍛えながら同時に体を 伸ばし、最後は全身の緊張をときほぐします。柔らかい50度の適温に温めたサウナ内でのストレッチは安 全で簡単です。サウナのかすかな明かりの中、ヨーガは心を元気づけ、気分を晴らします。サウナヨーガの 後は新陳代謝が活発になり、自然と笑顔もこぼれます。 75


寒さで体をきたえる サウナから凍るようにつめたい水に飛び込むには、何の意味があるのでしょうか?実は、定期 的に行われる寒中水泳は、さまざまな面において健康に貢献します。血圧が下がり、体のエネル ギーバランスが調整され、冷え性が改善され、ストレスが軽減されて、晴れやかな気分になりま す。細胞の老化を防いで皮膚の柔軟性を保つ効果もあります。寒中水泳が体を元気にするのは、 体の内外の温度差が大きいとき、ストレスホルモンの分泌が活発になることが原因です。裸で雪の 上で長い間ごろごろすると、同様の効果が得られます。

寒中水泳は、ほぼすべての人が楽しむことが出来ます。ただし、何か病気を患っている人は、ま ず医師に相談してください。初めての人は、次のことを覚えておくと良いでしょう。 • サウナから水に入る前に、少し体を冷やしておくといいでしょう。 • 一回目は、水に数秒だけ浸かって、すぐに上がりましょう。 • 寒さからのショックで、一瞬息ができなくなることがあります。入水前に大きく息を吸い込んで、 水に入ってからゆっくりとはきましょう。 • 水泳とサウナの後には、十分に暖かい服装に着替えましょう。 • 体の調子に耳を澄ませましょう。寒中水泳への反応は人それぞれです。 76


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社内研修イベント サウナは、フィンランド企業の福利厚生の一部です。たい ていの産業医療サービスにはサウナが含まれます。社内研 修やイベントの後にもサウナに入るのは恒例行事です。研 修、サウナ、ごちそう、この三つがフィンランド企業の典型的 で高品質な社内イベントの日程を形成します。サウナは、ベ ンチに並んで座った同僚同士の親交を深め、職場の悩みを 軽くします。こうした研修イベント開催活動は立派な企業活 動でもあります。サウナ関連の福利厚生サービスを提供する 企業は、フィンランドでは数十社に至ります。

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ロウリュの神 以前は、サウナは多くのフィン語族系民族に とって神聖な場所であり、ストーブの石から舞 い上がる水蒸気は、サウナをあの世につなげる ものだと信じられていました。火を囲み、サウナ に入りながら歌いつがれた神話では、サウナの 中で成し遂げられた治療によって、人間が宇宙 すべてとつながる様子が語られてきました。ゆ っくりとサウナに入ることはいわば、精神衛生 を向上させる時間を越えた儀式です。せわしさ を感じない手から放たれた水が、焼けた石の上 で水蒸気に変わるその音の中に、ロウリュの神 が宿っています。 次の見開き

フィンランド人は何よりも、心と体に元気を「 充電」するためにサウナに入ります。そのため、サ ウナの最大の健康効果は心の安らぎかもしれま せん。サウナに入った後は、まっさらな気持ちで 明日を迎えることができます。

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サウナの後に サウナといえば食べ物です。昔サウナは台所の重要な一部でした。温かくて清潔な サウナの中で肉を薫製にしたり、麦芽を乾燥させていました。サウナの後は、軽食をし てすっきりする飲み物を飲んでいました。今でもサウナの後は、 つまみや新鮮な食材か ら作ったおいしい料理を食べます。サウナ後専用料理のレシピもあります。お祝いのと きに入るサウナの最後を飾るのは、特別のサウナ・メニューです。



自然の食材 しゃきっとした芽、甘いベリー、芳醇なキノコ、身が真っ赤 な魚など、フィンランドの自然は、おいしいものがいっぱいで す。サウナ後の料理は、健康に良い天然食材から作るのが常 です。特に夏の終わりの収穫期には、自然から食材が簡単に 手に入ります。例えば8月のザリガニパーティーは、多くのフ ィンランド人の恒例行事です。フィンランドでは、国民だけで なく、外国人にも自然享受権があり、そのおかげで誰もが自 由にベリーやキノコを取ったり、魚を釣ったりできます。多く のフィンランド人は、夏の間家庭菜園を持ち、そこで穫れた 根菜類やレタスもサウナ後の食卓に加わります。サマーコテ ージでは、地元の食材がたくさん食べられています。

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サウナメニュー フィンランド人は本当によくサウナに入るので、

その後の食事はいつも普段と同じです。しかし、 祝杯を上げて祝う時のために、四人分のサウナ の献立を紹介します。

サウナ・サパス(スペインの前菜タパスのフ ィンランド風アレンジ) アンズダケのスープ トナカイのフィレに獲物のソーセージ ジャガイモ・テリーヌのネギ包み クラウドベリー・ブリュレにクラウドベリー

ジャムを添えて

サウナ・サパス 甘いライ麦パンとペッパー・サーモン サーモンの切り身…400g ピンクペッパー・グリーンペッパー・ 黒コショウ………………………少々 濃度10%の食塩水 甘いライ麦パン サーモンを3ミリの厚さに細長く切り、2時間半塩水に漬け る。サーモンの表面をきれいに拭いて、フライパンで焼き色 をつける。コショウをすりつぶして、その中でサーモンを和 えたら、ラップに包んで冷蔵庫に入れる。 88

スライスしたライ麦パンを、型で一人当たり3個ずつ丸い形 に抜く。バターにみじん切りをしたディルを混ぜて、それをパ ンに塗る。サーモンを細く切って、パンの上に3枚ずつ重ね る。クレソンの盛り合わせを添える。

アンズタケのスープ アンズタケ………………300g たまねぎ ………………100g 鶏か野菜のだし汁……300cc 生クリーム ……………300cc

小麦粉………………大さじ2 バター ………………50g 塩と黒コショウ………少々

キノコと玉ねぎを鍋で軽く炒める。小麦粉を入れた後、ブイ ヨンを入れて、次に生クリームを入れる。30分間弱火で煮 込む。塩、コショウで味付けをする。

パセリのムース 無脂肪牛乳……………200cc パセリの枝 ……………3本

塩と黒コショウ………少々

みじん切りにしたパセリと牛乳を鍋に入れる。塩とコショウ で味付けをする。鍋に熱を加える。ホイップ状になるまで泡 立て器で混ぜ続ける。

トナカイのフィレ トナカイの切り身……………………………1人当たり150g 予め肉を室温に戻しておく。塩とコショウで下味を付ける。 まずバターで炒めて焼き色を付けた後、100度のオーブンで 火が通るまで焼く。肉内部の温度が53度になったら食べご ろです。




獲物ソーセージ ヘラジカと豚の胸肉…250g 豚の腸…………………2m オールスパイス ………2個 ローリエの葉 …………1枚

赤ワインのソース 水 ジャガイモ………………………250g タマネギみじん切り……………50cc 塩、コショウ、オールスパイス…少々

少量の水に香辛料を加えて肉を煮る。皮を剥いたジャガイモ

エシャロット ………………2個 赤ワイン ……………………400cc にんじん……………………30g 肉と野菜からとっただし汁 400cc パースニップ(白ニンジン)30g 水 ……………………………200cc セロリ ………………………30g 砂糖…………………………少々 トマトピューレ…………小さじ1 黒コショウ、タイム…………少々 にんにく ……………………1片

を10分間ゆでる。タマネギを炒める。ミンチ機の一番目の 細かいディスクを使って肉、ジャガイモ、タマネギを合わせて

鍋に野菜と砂糖を入れてバターで炒め、赤ワイン、トマト-ピ

挽き、扱いやすい固さになるまでゆで汁を混ぜ、塩加減を調

ューレと水を加える。水分が3分の1になるまで煮詰める。

節する。豚の腸を水ですすいでから、8分目くらいまで肉を

だし汁と調味料を入れる。ひと煮立ちしたら、火を止め、あ

詰め、調理用タコ糸で口を縛る。肉のゆで汁でソーセージ

ら熱を取ってからソースを漉す。必要であればとろみをつけ

を火が通るまでゆでる。食べる直前にフライパンで炒める。

て、味を確認する

ジャガイモ・テリーヌのネギ包み

クラウドベリー・ブリュレ

オーブン用の大きいジャガイモ…500g レモン汁……半個分 バター………………………………100g ネギ…………適量

生クリーム……………500cc 卵黄……………………5個 バニラビーンズ ………1本

ジャガイモにオイルをふりかけ160℃のオーブンで50分く らい焼く。バターをフライパンできつね色になるまで溶かす。 へレモン汁を絞る。適当な器の内側にネギを敷く。火の通っ たジャガイモが熱いうちに半分に切り、中身をくりぬいてボウ ルへ移す。溶けたバターとレモン汁を加えて、木のスプーンで ジャガイモをつぶしながらよく混ぜ、塩で味を付ける。ネギが 敷かれた器にボウルの中身をきつく押し込む。3時間から4 時間冷蔵庫で冷やして固める。

クラウドベリー………200g 砂糖 …………………75g

縦に割いたバニラビーンズと砂糖を入れた生クリームをひと 煮立ちさせ、クラウドベリーを加えてかき混ぜる。生クリーム に味がなじむように、できれば一昼夜冷蔵庫で寝かせる。漉 した液に卵黄を混ぜる。オーブン用の器に注ぎ、凝固するま で93℃のオーブンで20分から35分焼く。冷やした後にグラ ニュー糖をかけてガスバーナーで表面をあぶる。クラウドベ リージャムを添える。

クラウドベリージャム クラウドベリー…………………200g ペクチン入りのジャム用砂糖…80cc

ベリーと砂糖を鍋に入れてひと煮立ちさせる。ベリーの形を崩 さないようにやさしくかき混ぜる。冷やしてブリュレに添える。 91


サウナ・ストーブソーセージ ソーセージはフィンランドの典型的な サウナ・スナックです。暖炉の中で焼く のと、ストーブの上で焼く調理法があり ます。次のように、チーズや野菜を入れ ると一層おいしくなります。

グリル・ソーセージ ……………………………1パック 角切りピクルス…………………………………100cc 小さく切ったトマト ……………………………2個 おろしたチーズ…………………………………10cc 玉ねぎみじん切り………………………………2個 にんにく…………………………………………2片 ズッキーニ………………………………………一本 油 タイム …………………………………………小さじ½ 塩………………………………………………小さじ1 黒コショウ アルミのソーセージ袋かアルミホイル ピクルスと小さく切ったトマトをよく混ぜる。ソーセージの皮をむいて、 横長に深い切れ目を入れる。そこに混ぜたピクルスとトマトをはさんで、 その上にチーズを軽く詰める。ソーセージ袋か、一枚のアルミホイルを 二重の袋状に折って、そこにソーセージを入れる。半分に割ったにんに くと、味付けした玉ねぎとズッキーニに油をふりかけ、ソーセージの上に のせて袋を閉める。サウナストーブの上にのせた器の中か、焼き網の上 か、オーブンで、20分から30分焼く。できあがったら袋に入れたまま食 卓へ持っていく。 92




サウナに夢中なフィンランド人 フィンランドの多くの住宅やサマーコテージにはサウナがついています。つまり、車の数と同じくら いサウナがある、ということになります。全世界に存在する約1000万の全てのサウナの内、三分 の一くらいがフィンランドにあります。その種類の幅も実に広く、湖のほとりの伝統的サウナから都 会の住宅内のモダンなデザインサウナまで様々です。しかし、それだけの種類があっても、フィン ランド人には物足りません。彼らのサウナに関する想像力は尽きることがありません。


発明家たち クオピオ市にある工科大学の学生たちが、現代的で移動 可能なサウナを造りたいと考えました。その結果、大学生た ち専用の革新的な「工科サウナ」が誕生しました。サウナは 楕円形なので、水蒸気が均等にサウナ内を巡ります。自在 に調節可能な換気装置のおかげでサウナの入り心地は抜 群です。ストーブの石、排気ガスと室内の温度は一秒おきに

測定されるので、石の温度を見て、薪の量とそれをくべるタ イミングを計ります。測定結果は、サウナの内外にある端末 から追跡することができます。サウナを楽しみながら、音楽 を聴いたり、ネットサーフィンしたり、映画を見たりすること も可能です。環境に優しい太陽パネルが、サウナのたくさん の装置の電気の供給源です。

次の見開き コンバイン農機サウナ、公衆電話ボックスサウナ、熱気球サウナなどは、フィンランドのサ ウナ熱狂者が設計した奇妙なサウナ類の一部です。古くなった車やトレーラーを、サウナに 建てかえるような創造力あふれるDIY大工は、フィンランドのそこら中にいます。毎年、何千 人ものサウナ愛好者が、テウヴァ地方で行われる移動可能なサウナの集会に集まります。

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展望サウナ フィンランド北部のラップランドにあるユッラス山では、とびきり現代的なサウナからすばらしい景色が楽 しめます。ロープウェイのゴンドラ内に作られたサウナには、サウナの心地のよさと風景の美しさが交じり合 います。ユッラス山の頂上からは、130キロの距離まで見渡せます。往復の所用時間はおよそ15分です。世界 で唯一のこのゴンドラ・サウナは、世界中の注目を集めてきました。この豪華なサウナ体験は、全世界のメデ ィアにこれまで何十回も取り上げられています。

煙突サウナ(次の見開き) ヴィルヘルム・シャウマンが設立したフィンランド初の合板工場は、1912年にユヴァスキュラで操業を開 始しました。長い間、この工場はユヴァスキュラで最も人を雇用する職場でした。拡大する都市に飲み込まれ た工場は、1995年に活動を終了しました。そこでユヴァスキュラ職業訓練学校は、工場を調理師専門学科 の実習レストランに改造しました。工場の煙突が再び煙を吐くようになったのは、その中にすてきな円形の サウナが建てられたからです。このユニークな煙突サウナには、一度に10人が入れるくらいの大きさです。

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ヨーロッパの屋根で 軽量のテント・サウナはフィンランドのキャンピング文化にずっと受け継がれてきました。野外ハ イキングといえばもちろん、自然の中でこころ静かに入るサウナがつき物です。サウナは山に登りな がらでも可能です。あるフィンランドの登山チームが、標高4810メートル、西ヨーロッパの最高峰モ ンブランでサウナに入ったこともあります。特注のサウナ・ストーブのおかげで入り心地があまりに よく、登山者たちは雪だけを使って体を洗ったといいます。

次の見開き 丈夫なテント・サウナは、よく遠距離ドライブ旅行や長距離のボートの旅、または音楽フェスティバ ルなどの時に重宝します。 「半個小隊テント」という大型のテントの中では、20人くらいは余裕をも ってサウナを楽しめます。テントの外で体を冷やして、たき火を囲むのは非常に心地よいものです。

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水上にて 波がさざめき、太陽の光が水面できらきらと踊ります。清ら

凍てつくサウナ (次の見開き) 氷のサウナを造るのは楽ではありません。湖に張った板状の

かな水が、泳ぎ出そうとする人のサウナで温まった足の指をや

氷の塊をのこきりでブロック状に切って、それを積み重ねていき

さしくなでます。岸から離れて泳ぎついたところは、空と水が出

ます。ブロックの間に氷と雪を詰めます。氷は20トン以上も必要

合う場所です。光に刺繍された平穏で青い水面の方へ意識は

です。完成した氷のサウナは寒いわけではありません。むしろ水

青くかすんでいきます。水中へ潜る瞬間には静寂、水の上では

をストーブにかけるとあまりにもたくさん水蒸気が立ち上るので、

アジサシの鳴き声が聞こえます。いかだサウナは、夏の日を楽

前が見えないくらいです。ほてった体を冷やすのは、外の氷の穴で

しむには最高です。

泳ぐのがいちばんです。

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フィンランド人の夢

湖畔のサウナのパティオから垣間見えるのは、多くのフィンランド人の心の原風景です。 「サウナのストーブに薪が燃えている。今このときを感じながらベンチに腰を下ろしている。夏の終わ りの夕暮れに、煙のいい香りが漂う。目をつぶる。子供の頃の夏休み、このサウナでのいい思い出は いっぱいある。祖父と祖母から聞いた物語りの思い出も。サウナはいろいろだけど、私はここがいい。 ここでは毎日のせわしさが消え、心が静かになる。私の魂の聖地とでもいおうか。落ち着く。薪をくべ て、伝統に従ってサウナの主に水を置いてさしあげてから、小舟で湖に出る。櫂から滴る水は、太陽 の最後の光りが輝く水面に落ちる。私はなんて幸せなんだ」

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メモ


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制作参加企業

写真

Kannen kuva: Sauna-, majoitus-, kokous ja ateriapalvelut, Lomakeskus Revontuli, www.revontuli.fi

123rf.com: P 2–3, 85 (上), 122-123 Aarne Pietinen / Suomen valokuvataiteen museo: P 67 Antti Helimäki / Kannonnokka: P 79 (右, 下 , 右) Aino Klinikat Oy:n kuvapankki: P 68, 69 Eeva-Liisa Anttila / Sauna from Finland ry: P 12–13 Erkki Laitila / Lehtikuva: P 57 Fotolia.com: P 7 (上), 25 (上), 63 (上), 95 (上) Hanne Manelius / Sauna from Finland ry: P 74, 75 Harvia Oy:n kuvapankki: P4, 34, 35, 40–41, 61, 95 Heikki Färm / Oktober: P 49, 98 (上, 左) (The film Steam of Life) Heikki Riikonen: P 37 (上), 43 (上) Herrankukkaro kuvapankki: P 52–53, 53, 62, 71 (右) I. K. Inha / Museovirasto: P 14 Jaakko Kilpiäinen / leuku.fi: P 76 Jaakko Tähti: P 31, 109 Jorma Jämsen / Vastavalo.fi: P 10 (上) Jouni Laaksomies: P 8, 13 Juho Kauppinen & Mikko Ruotsalainen / Savonia-ammattikorkeakoulu: P 96, 97 Jyväskylän ammattikorkeakoulu / Antti Kurola: P 102-103 Jyväskylän ammattikorkeakoulu / Pekka Rötkönen: P 103 Kari Härkönen, Pietari Kauttu, Tuomas Poikela & Sami Vähänen / Helo: P 104–105 Keijo Penttinen / Lomakeskus Revontuli: front cover, P 48 Keijo Penttinen / Sauna from Finland / Sauna Bar: P 50-51, 51 Keijo Penttinen / Rantasipi Laajavuori: P 58–59, 83 Keijo Penttinen / Varjolan tila: P 78, 89, 90, 106, 107 Keijo Taskinen: P 6, 9 (右), 27, 44, 45, 46, 47, 64–65, 77, 112 Keijo Taskinen / Lomakeskus Seita: P 82 Keijo Taskinen / Unique Lapland: P 20–21 Keijo Taskinen / Ylläksen Yöpuu: P 32–33 Kuvawiik: P 15 (右), 73 Malla Hukkanen / Oktober: P 37, 55 (The film Steam of Life) Milka Alanen: P 26 Nikkarien Oy:n kuvapankki: P 9 (左) Pouttu Oy: P 92–93 Päivi Eronen: P 54, 66, 98–99 Rovaniemen Matkailu & Markkinointi: P 111 Rukan Salonki: P 110 Sassa Stenroos / Vastavalo.fi: P 94 Sauna from Finland: P 15 (左), 41 (上) Seppo Pukkila: P 38, 43 (左), 70, 71 (左), 81, 113 Sport Resort Ylläs: P 100, 101 Sun Sauna Oy:n kuvapankki: P 18, 19, 60 Timo Veijalainen / AV-Lappi: P 81 Tuukka Koski / Kannonnokka: P 79 (下, 左)

P 9 (左), 106: Saunatarvikkeet, Nikkarien Oy/Saunia, www.nikkarien.fi P 10–11, 30, 72, 82: Tilaussauna ja kylpytynnyri, Majoitusja ateriapalvelut, Lomakeskus Seita, www.seitahotelli.fi P 18–19, 60: Mittaräätälöidyt saunakalusteet, Sun Sauna Oy, www.sunsauna.com P 20–21: Saunabussi, ohjelmapalvelut, Unique Lapland, www.uniquelapland.com P 22, 25: Saunan ystävien verkkojulkaisu ja -kauppa, Visit Sauna, www.visitsauna.fi P 32–33: Majoitus- ja ohjelmapalvelut, Ylläksen Yöpuu, www.yllaksenyopuu.com P 34, 61, 106: Kiukaat ja saunat, Harvia Oy, www.harvia.fi P 37, 49, 55, 98: Elokuva Miesten vuoro, Oktober, www.oktober.fi P 50, 107: Saunatekstiilit, Jokipiin Pellava Oy, www.jokipiinpellava.fi P 52–53: Tilaussaunat, ateria- ja kokouspalvelut, Rymättylän Herrankukkaro, www.herrankukkaro.fi P 58, 59, 83: Kylpylä- ja hotellipalvelut, Restel Oy, Rantasipi Kylpylähotellit, www.restel.fi P 68, 69: Turvesaunat, Aino Klinikka/Med.SPA Aino, www.ainoklinikat.fi P 78, 89, 90, 106, 107: Tilaussaunat, ateria-, kokous- ja elämyspalvelut, Varjolan Tila, www.varjola.com P 79: Elämys- ja kokouspalvelut, Kannonnokka Oy, www.kannonnokka.com P 100, 102, 104, 105: Sähkö- ja puukiukaat, höyrystimet ja infrapunasaunat, Helo Group Oyj, www.helo.fi P 102–103: Piippusauna, Jyväskylän Ammattikorkeakoulu, www.jamk.fi P 110: Jääsauna, majoitus-, kokous- ja ateriapalvelut, Rukan Salonki, www.rukansalonki.fi


(写真が続く) Veli-Pekka Hentilä / Vastavalo.fi: P 36 Ville-Matti Laakkio: P 98 (左, 下) VisitFinland.com kuvapankki: P 7, 16–17, 23, 24, 28–29, 39, 42, 63, 84, 85, 86, 87, 108 Visitsauna.fi: P 22, 25 VVI VAT 2006: P 10–11, 30, 72 www.peacekeeping.fi: P 56

参考資料 エーヴァ・リーサ・アンッティラ(Eeva-Liisa Anttila)のサウナについての記事 ヘリ・コッペロ&ミルカ・アラネン(Heli Koppelo & Milka Alanen) 『女性のサウナ本』 (Naisten saunakirja) Ajatuskirjat 2006 ヤリ・イエトソネン&ユハ・ペンティカイネン(Jari Jetsonen & Juha Pentikäinen) 『ロウリュの神–三大陸のお湯』 (Löylyn henki, kolmen mantereen kylvyt) Rakennustieto 2000 ユハ・二リッコ&ヘンリーッカ・サロネン(Juha Nirkko & Henriikka Salonen) 『サウナ伝統の小さな本』 (Sauna – pieni perinnekirja) SKS 2010 リーサ・ネイッターンマキ(Liisa Neittaanmäki) 『サウナの健康効果研究』 (Saunan terveysvaikutustutkimus) ユヴァスキュラ大学 2011 マルケッタ・フォルセル(Marketta Forsell) 『サウナの魔法』 (Saunan taikaa) Minerva 2007 メルヴィ・ホンギスト&メルヤ・ピヒラヤマキ(Mervi Hongisto & Merja Pihlajamäki) 『サウナの秘密』 (Saunan Salaisuus) 2005 パイヴィ・エロネン(Päivi Eronen) 『入浴者』 (Kylpijät – The Bathers) Maahenki 2007 サウナ経験者ペッカ・E・トッミラ(Pekka E. Tommila)のインタービューや記事 フィンランド・サウナ協会(Suomen Saunaseura ry) 『サウナ』雑誌(Sauna-lehti)


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